連作短編集。主人公が次から次へと移り変わるのかと思ったら、佐方が主人公なんだと途中で気付く。
そして、この佐方こそ、「最後の証人」でも主人公を務めた元検事の弁護士じゃないか。
「検事の本懐」は佐方が検事時代の幾つかのエピソードが描かれている。
しかしねぇ、検事時代から歯に衣着せぬキャラで、亡き父親のエピソードまで担ぎ出して、
それで検事を辞めてしまって弁護士に転身っていうのもね。その執念が重いんだか、軽いんだか分からない。
相手役にもそういうところがあって、悪徳警察官にギャフンと言わせるシーンで、仮にも警察官ともあろう男が
佐方の検察バッチを見落とすなんて、そんな間抜けなオチってあるかね。