■1日目
アナザー・ヒルへの出航。 賑わい。まさしく、これは賑わいである。この書き方なんかは恩田陸らしい切り込み方だなと思うね。 練乳の緑茶割り…これは甘そう。 ロンドン橋落ちたの歌詞ね。 p52で日本とイギリスと並べて、この三国とV.ファーの位置づけを設定。 家系博物館!オレも行きたい。 夜のテーブル。

■2日目
テリーにより鳥居に吊された死体(ジュンが考えた様に単独犯では大変だったろうに)に因り、ラインマンの登場。 アナザー・ヒルへの上陸、そして書初め式。 教授の家にジョナサン博士が来訪。 テリーに因ると思われるリトル・フット(ホリカワ夫妻の飼ってたビーグル犬)の死体遺棄。 笑うゼンマイ亭での夕食の後、教授・マリコ・ジュンは「踊る九尾の狐亭」で2次会。 その夜ジュンはサマンサとの遭遇。直後に“悪い風”が吹く。

■3日目
未明に悪い風をやり過ごしたラインマンが祈りの城の死体を発見。 ノブヒコも死体発見。 第四章の最初の記述はマチアス視点? マントをかぶった影はラインマンへのミスリードで実はテリー。 祈りの鐘は鳴らずジュンは寝坊。 臨時集会で40年ぶりとなるガッチの開催。 ジュンはロバートの店で切手を買った帰りにリトル・フットのお客さんと出会い、テリーのダテ眼鏡を発見。 いよいよガッチ。ジュンは手水鉢の中にサマンサを見る。マチアスに入れられた軍手のせいで精霊からエラい目に遭わされる。 でも軍手が木っ端みじんになるのではなく、雨合羽がってのも不思議なハナシだけどね。 マチアス探しで夜が更ける。

■4日目
ハナが忍び込んだマチアスを発見。 軍手は3日目の朝に玄関で見つけた、死体発見現場でラインマンを見たと証言。 二晩目のガッチにはラインマンも参加することに。教授・マリコ以外はジミーも含めて今晩参加。 ラインマンのガッチの際、ジュンは異世界のアナザー・ヒルに紛れ、礼拝堂の影(ヤタガラス)や黒婦人を目にする。 礼拝堂の中では、精霊と共感したラインマン(と三役)がアナザー・ヒルの過去を見た。そこには影なども見たのだろう。 教授・マリコ・ジュンが家に着くとテリーが出て来るのを目撃。 リンデたちが帰った後もジミーが戻らず探しに出ようとしたら倒れているジミーを発見。ところがこれはテリーなんだな。

■5日目
臨時集会で全てのガッチが終了したと告げられた。 博士からジュンにTELで呼び出し。 祈りの城でさんざんケントの話をした後に、黒婦人と面会し異世界の存在を語らう。 祈りの城からの帰り道にタスケテの声を聞く。これは恐らく『お客さん』となったジミーの声か。この助けを求める声はジミーの本音?それとも罠? 『丘の懐に』と言う小説がアナザー・ヒルに酷似してることに気付く。ミサーグ=陵(みささぎ)説は合ってるのか、合ってないのか分からないまま。 マリコ・スペシャルでヒガンから覚醒するのかと思ったけどね。 ハナも加えて黒婦人との会話を披露。怪我の手当てをしたジミーも帰ってくるが彼の眼鏡に度が無い。 ジミーを残し皆でパブへ行き、ジュンはジミーの眼鏡に度が入ってない事などを告げる。 皆でパブを出てジミーの声がしたと思われる場所を探すと、ジミーと思しき包帯を巻いた男が茂みから現れ、教授の家へ一目散と駆けて行く。 皆はそれを追いかけ家まで戻るが、ジミーしかいない。 ところがこれはテリーで、「ジミー」との問いに「はい?」と肯定してはいない。 テリーは先に休み、皆は食堂で思索を交し合う。テリーは再び茂みに戻り、ジミーの遺体を埋葬する。 ジミーの部屋には度の無い眼鏡を残しもぬけの殻に。

■6日目
皆はジミーを尋ね人として掲示板に載せる事にする。 トーマス・ウィンチェスターがジュンのもとに訪れる。 二人で祈りの城を行く途中、ラインマンと合流する。ラインマンはトーマスにまとわりつく黒い影を見つけた。 影ってゲーム『ICO』みたい。影の中を突き進んでいこうとしたら、ジュンには連なる鳥居を感じる。 建物の中に入るトーマスとジュンと別れたラインマンは建物の周りを探る。黒夫人の窓に集まるヤタガラスの足跡の影を確認。 メアリ(黒夫人)はオフダで結界を張っているが、何かの侵入に怯えている。まずはトーマスと電話で会話。 メアリの部屋の前に来ると影が大挙している。部屋の中からは悲鳴。 ラインマンも訪れ、斧で扉を打ち破り部屋の中に入ると一面鮮血の海。博士も現れるが、入替りのようにトーマスが姿を消す。 三役による事情聴取の果て、これはオフダを貼った事に対する精霊の怒りと言う事で解散。 納得のいかない博士・ラインマン・ジュンの3人はホテルの庭で思索を巡り合わす。 3人は教授の家で食事をとる事にし、ラインマンは一旦準備のために中座。 食事の席でアナザー・ヒルの歴史が教授から語られる。 日本ではかつて観音島と呼ばれていた。その日本は英国統治領だったと言う世界観が語られる。 クロが吼え始め家の外を見ると「血塗れジャック」の被害者5人が現れ、「踊る九尾の狐亭」へ入っていく。皆も着いて行く。 彼らの口から犯人は詩集の訪問販売員である事が分かる。 皆は博士、ラインマンを含めて教授の家に再び戻る。ラインマンの用意した赤い石を皆で確認した後、ラインマンは一足先にジミーの部屋で休む。 潮騒が現れ、ドアの下から水も漏れ出す。ラインマンがまやかしだと看破し、赤い石で結界を張る。 潮騒の上にニザエモンが登場。鳥居が壊れている事を伝える。『月の井戸』と言う手がかりを与えて去っていく。 教授が煽って、ラインマンも含めて皆で古い森の中にあるという『月の井戸』へ行ってみる事にする。 教授が『月の井戸』の位置をおぼろげにせよ知ってるってのもどうかと思うね。 途中でジュンはアスナの姿を感じる。 他にいた三役と思われる3人が井戸の中に何かを投げ入れるのを目撃する一行。実は祈りの城で血まみれとなって果てた影の遺骸の処理だった。 教授は井戸を調べようとするが、三役に気付かれて皆で逃げ帰る。

■7日目
朝はハナとジュンの会話。『かもめかもめ』の歌詞とか。 昼は外から帰ってきたラインマンがジュンの部屋へ訪れ会話。アスナを見たこととか。 アナザー・ヒル中で鳥居が壊れたためにヒガンが出来ないと『お客さん』に言われたらしく騒然となる。 マチアスが家のなかの隠し戸棚からラインマンの目を見つける。 町は提灯行列をやると息巻いている。 教授とジュンは提灯行列を見に行く。 ハンドレッド・テールズ(百物語)の実施が決まる。 パブを出て郵便局前の広場でクジを引いて帰る。 ジミー・テリーは話題にも上がらず。

■8日目
百物語のネタを相談しあうハナとジュン。 耳なし芳一のハナシは変更した方がいいかしらん。出たー、“かしらん”。 ヴィクトリア大学の怪事件は「血塗れジャック」事件と関係あるのか。 ジミーもヴィクトリア大学の学生なら、もっとハナと同窓の話題で盛り上がっても良さそうなもんだったのにね。 「踊る九尾の狐亭」へ集まる人々。

■9日目
百物語が始まる。3番目の語り手だったマチアスは、話を披露するのではなく、前日見つけたラインマンの目を披露する。 雨。 三役からと思われる電話で、マチアスが持っていた目は本物だと分かる。 外出禁止令。 サマンサが訪れ、自分の父親はジョナサンだと語る。ジュンは博士へ電話をかける。 夕食の鍋をつつきながら、百物語で語りそこなったエピソードを披露。そこへケント登場。 ミステリの常道、一人二役はジミー/テリーではなく、ジョナサン・グレイ博士/ケント叔父さんだった。 ラインマンも加わり、ケントのこれまでの経緯が語られる。 10年前の密室からの失踪の真相は『お客さん』を使ったトリックとはね。

■10日目
眠っていたジュンのもとに、ジミーとテリーが現れナイフで警告する。 目を覚ました世界は異質なアナザー・ヒルとなっており、ケントとラインマンと3人で丘へ向かう。 道中、この現象は信仰のゆらぎ、合理性への意識の変容など、 集団の意識みたいなテーマが語られるが、これは月の裏側とかQ&Aとかにも通ずる。 アナザー・ヒルに人がいなくなっており、祠の中にヤタガラスの遺骸を見つける。 祈りの城の塔の中で、人々と再会する3人。 ベッカーの口から「血塗れジャック」はアナザー・ヒルから出てきた殺人者だと言うけど、 テリーがヒガンのアナザー・ヒルを超えて、普通の世界で殺人を起こしたというの? 果てにはヒガン中に訪れた弟のジミーをも? それでいてジミーとテリーが仲良し? この辺から破綻が始まる。 ミルクティの例えは、あまりストンとは来ないし、これでしばらく安定と言われてもね。 ジミーとテリーはアスナが追い払った、っていとも簡単に。だったらもっと早くお願いしますよ。 融合でヒガンの危機を乗り切ったって判断もどうだか。 礼拝堂でのドンチャン騒ぎの中、ジュンがラインマンに語りかける。 太陽信仰とかルーン文字とかヤタガラスとかギリシャ神話とかケルトのドルイドとか… ファンタジーの二束三文セールみたいになって終了。

あとがきの萩尾望都のV.ファー探しが一番論理的です。


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