だから見るなといったのに

恩田陸ほか・新潮文庫

ホラー短編集。
これも恩田陸が含まれているので2018年に衝動買いし、新幹線移動の合間などにちょこちょこ読み進めて年を跨いで読了。

「あまりりす」
恩田陸
なるほど、恩田ワールドはいっそホラーやオカルトに徹してしまうという手はあるよね。
オチを付けない不条理なモヤモヤ感は定評あるだろう。

「妄言」
芦沢央
今年攻めようかと思っている作者の一人。
ミスリードの策士に導かれるまま一気にラストへ。
あとは長編でストンとオチが付くかどうか。

「破落戸の話」
海猫沢めろん
初読みの作者。そこはかとない無常観、みたいなものは感じた。
単独の著書を読むかどうかは微妙。

「とわ家の女」
織守きょうや
これが一番面白かった。なるほど死ぬのね。
短編だと、こういうストンに向かうものなのかな。

「うしろの、正面」
さやか
アンソロジーには途中で漫画なり、こうした文字なしを交えるのが流儀なのか流行なのか。
あまりタイトルとの関連は感じなかった。

「自分霊」
小林泰三
未来物は、「夏への扉」に敵うモノはあるまい。アイディアとしては当世のAIを絡めて面白かったが。

「高速怪談」
澤村伊智
クローズドミステリといった前半は恩田陸の仕掛け部分に通じる。「まひるの月を追いかけて」みたいな。
ただし最後のオチは、やはりミステリというよりホラーだった訳ね。

「ヤブ蚊と母の血」
前川知大
不条理短編としては出来が良いが、この先の解はない。
タイトルとの関連性も今一つ分からない。

「誕生日」
北村薫
カスコウOBとして母校で教壇にも立っていたらしいよね。
タイトルとの関連性は薄く、命名のからくりそのものは驚くような仕掛けではない。
つまり、衝撃度合いとしてはもう一つ。

(19/02/05)


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