ガラスの巨塔

今井彰・幻冬舎

出入りの業者として、あの放送局に関わってる身としては実に面白い。
番組制作の現場こそ知らないものの、あの組織の雰囲気はよく伝わってくる。

一流の人間と言われる人ほど、足の引っ張り方も尋常じゃないのかも。
真行寺はその後どうなっただろう。まぁ、彼の再起はこの物語ではなく別に語られるべき物語と言う事か。
主人公の西が次第に汚れ方を首肯していくのも面白い。
結局誰にも自分の中の正義と言うか、尺度を持っていて、その価値観に近い人に思慕し思いを強めていくのだろう。
私にとっての月澤は誰だろう。そして私は誰かにとっての月澤になれるだろうか。

自叙伝だから仕方ないんだろうけど、ラストがねぇ。
それまでの盛り上がり方に比べて劇的ではないのは残念。
ちなみに手掛けた番組が大当たりした頃って、離別した最初の奥さんから慰謝料の値上げとかなかったのだろうか。
また、スキャンダルはその辺は狙われなかったのだろうか。
何しろ自叙伝ですからな、書ける事、書きたくない事はあるわな。

(11/09/26)


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