張り込み姫

垣根涼介・新潮文庫

「大人気お仕事小説シリーズ第3弾!」の帯キャッチコピーそのまま。
テンポよくサクサク読めた。

File1はあまりオチもよく分からず、ただ流され易い女の子のお話。

File2は読んでて焦った。
こうして自分自身を知る、立ち位置を分かる、そう在らねばならないんだろうと思う。
既に私も会社で15年目に突入。中堅どころか、いずれ管理職として経営面にも気を配らなければならない世代に近づいている。
そんな時、重い組織を脱ぎ捨てて自分自身で勝負できるだけの腹を持っていられれば、どれだけ心強いだろう。
この物語では、その門出を上司が祝福できているのが、また良い。
恨み節などではなく、新しいチャレンジを後押ししようと言う思いが素敵じゃないか。
それは、それまでの働きっぷりが、伝わっていた証拠。
こうなるとプロセスではなく、やはり収益と言う生々しい定量的な評価が重くのしかかる。

File3。手に職ある人は、いずれ自分の城を構えたくなるものだろうか。
ただし趣味を仕事にしてしまう事の功罪はあると思うけど。
結局は仕事は「人」についてくると言う好例。

File4は表題作。張り込み=デカ?となると姫川皐月・妄想デカの話を想起したけど、違った。
学歴で証明できるのは、迅速な事務処理能力と、答えの確定した事象への理解力』 うーん、耳が痛い。
出版社。私の第一希望の就職先だったんだよね。内情は非常に厳しい業界だっただろう。

(12/07/14)


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