ノルウェイの森

村上春樹・講談社

村上春樹の作品の中で、最初に読んだのがこれでした。
高校2年の夏に出会った作品です。読み終わって、先ず感じたのは
「?」ということでした。何かラストがしっくり来なかったんですね。
私は理屈っぽい性格なので、釈然としない結末に納得いかなかったのです。

しかし、二度三度と読んでるうちに、「これが村上春樹の作風なのかな」と
思うようになりました。違っているのかもしれませんが、私はそれで納得することにしたのです。

この本に一貫している喪失感は私にとっては衝撃的です。
突撃隊、キヅキ、直子、永沢さん、ハツミさん、レイコさん・・・
みんなワタナベ君から去っていきます。求めて得られない、そんな救われない
でも、どうしようもなくそれを受け入れることしか出来ない。
そんなもどかしさを感じました。

基本的に私もワタナベ君同様、楽観主義者なのですが、やはりそれだけでは救われないのかな?
という感じがします。世の中は自分の力だけではどうにもならないことが多すぎるから。
それを割り切ることが果たして居直りなのか、現実逃避なのか、たまに悩みます。

ワタナベ君はその後どうなったのでしょうね?
私が一番気になるのは、永沢さんとの再会はあるのか、ということです。
ハツミさんの死に際して出した永沢さんの手紙に、ワタナベ君は憤りました。
しかし、永沢さんにばったり遭遇したら、声をかけられたら、
応えてしまうのではないかな?

良くも悪くもこの作品は、結構多感な頃の私に大きな影響を及ぼしました。
今でもたまに読み返します。読む度に気に入る場所が違うんですよね。
ま、人間日々成長しているということでしょうか?
感性も日に日に某かの影響を受けますしね。

大学に入ってゼミの友人に青春三部作を借りて読みました。
やはり根底は「喪失感」だと思うんですよね、彼の作品は。
そして、やはりその中でも「ノルウェイの森」が私にとっては最高の作品ですね。

(97/10/11)


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