わたしをみつけて

中脇初枝・ポプラ社

「きみはいい子」を読みたくて図書館で待ってるんだけど、なかなか出会えず
著者の違う作品から借りてみた。仕事で行き詰っている今だからか、ズシンと来たぞ。
「きみはいい子」もどんな本か予想はできた。

親に捨てられ、施設で育った主人公。
ただし独りでは無かった。見てくれている人がいた。声をかけてくれる人もいた。
それでも自分の場所で頑張る事を選んだ。
私も頑張ろう、そんな勇気をくれる一冊。

「あなたなにを見てたの?」

この藤堂師長の一言が響いたわけさ。
漫然と仕事をしてきた身に刺さる一言。
腕があれば、院長に楯突く自信があれば、強く生きられるのか。
そんな藤堂師長にも過去があった。取り返せない過去の上に、笑顔の仮面がある。

自分で自分を育てる。

この一言も効いた。院長先生も、大野先生も、自分を育てそこなったんだろう。私も同じタイプだよ。
育てる家族は今のところ自分自身しかいない。厳しく育てなければ。
今のままで親になっても、大甘で過保護で、そんな親になる事、間違いなしなんだろう。
ただ、そんな心配ですら、今のままでは無用。

親を探すな、と言った菊地さん。今が大事なんだ、という現状至高主義か。
ラスト、あれから菊地さんがどうなるのか、山本さんと院長先生のどちらに軍配があがるのか。
物語だから、あそこで幕が切れるのだけど、我々の人生はどこまでも続いていく。
今を頑張れ。

(13/12/07)


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