「海に沈んだ町」の続編に位置するのだろうか。架空世界を舞台とした、“仕事”についてのお話。
“歩行技師”も出てきて、他の作品との連環を感じさせる。
今回も作中に挟まれている木彫刻の写真が、独特の世界観を膨らます。
もちろん、三崎流の地方自治体を巡るハナシという一面もあり、世論によって作られた虚像へのアンチテーゼでもある。
ミクロとマクロ、総合と分析、まったく架空の世界を作り込む力は凄いなと思う。
ルポという形を取っているので、架空の参考文献まで用意されていて芸が細かい。
恩田陸の常野シリーズや、蝶遣いなんかも独自の世界観だけど、またちょっと味付けが違うよね。
米澤穂信の「ボトルネック」などの捻じれた世界観とか、解が無いもどかしさもあるけど、
モヤモヤ感そのものも楽しむと言うことで良いんだろう。