昭和歌謡大全集

村上龍・集英社文庫

「半島を出よ」のあとがきを読んで、本作を読んでみた。
本作ではイシハラは底知れぬフィクサーの様にも思えたが、「昭和歌謡大全集」では分裂症紛いの奇人に過ぎない(よね)。
これが一癖も二癖もある少年たちを惹きつけるカリスマになり得るとは思えないのだが。
没個性の時代にあっては、これほど強烈な個性の持ち主って事がカリスマなのか。
現実味ゼロの空想科学小説の続編で、仮想近未来の舞台設定で危機感の無さに警鐘を鳴らされてもなぁ。

恩田陸の「ロミオとロミオは永遠に」みたいなノリもある。
主人公がカタカナ表記で、章タイトルに映画や曲のタイトルを持ってくる手法とかね。

(07/10/21)


茶色い本棚(国内作家)へ戻る

私の本棚へ戻る

タイトルへ戻る