雨のなまえ

窪美澄・光文社

家族関係についての捻じれた断片。
以下はネタバレ含む、各章への短観。

○雨のなまえ
ラストで悠太郎が選ぶのは本妻のちさとなのか?浮気相手のマリモなのか?
単純に考えれば、たいちゃんの名前を付けるつもりになってんだから、
身重な本妻を選んだんだろう。いきなり気怠いねぇ。

○記録的短時間大雨情報
意味深なタイトルの底意は何だ。あっという間に世界は変容するって事か。
柏木君への気持ちを含めタミコにとって理解者のようでもあり、
手間暇を増やされる敵のようでもある義母。ラストはどこへ行っちゃったんだろうね。
柏木君も結局は手に届かない存在であり、妄想は妄想でしかなく、タミコの前には何も残らない。

○雷放電
暗転からのストン。ダークだねぇ。
佐枝の狂気を他人事だと片付けられない。地続きの世界に幸あらん事を。

○ゆきひら
これもダークサイドが続く。
これはトラウマに縛られた先生の妄想なのか、本当にユキが陥れたのか。
ただしユキには動機があるか?普段のイジメを解決してくれないためか。イジメの報復がコレなのか。
信じ続けた戸紀子にはこんな時にこそ信じてもらいたいだろうに。

○あたたかい雨の降水過程
これは比較的ストレートなお話し。それだけにテーマは何だ?
シングルマザーの理解者になってあげたいが、口ほどに覚悟も無いのだろう。
中脇初枝テイストだったかな。

窪美澄は一旦お休みで良いかな。

(14/4/13)


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