以前から北見隆さんのカバーイラストが気になってはいた。
本屋で平積みになっている所「ミステリー好きはぜひ!」と言う帯で購入を決意。
最初っから、かなり穿った読み方をしたが、やっぱり騙された。
でも、展開自体は実に素直。
伊坂幸太郎のような時系列トリックもなく、恩田陸のような入れ子もないので
サクサク進んでいく。
先ずはボンボンを工藤か、篠沢かと疑った。
次に武原はテープで自分の声を聞いたのかと推理した。
春海の兄のエピソードには何か意味があるのか? と勘繰ったけど、そう言う事とは。
そしてラストは文庫化にあたって、作者自身があまりに後味が悪いと封印したモノローグ4が残る。
もちろん私は封印を解いたけどね。
父親が出てくるのではないかと言うのが私の推理だったけれど。
「いやあ、まんまと騙されました。」
私も帯の通り。
細かなツッコミどころはあるけれど、ここでは一つだけ。
ルームメイトの失踪で家賃肩代わりを悩んでいた春海が、
京都へ綾部へ箱根へと大枚叩いてフットワーク良く出歩くのには笑ってしまった。
ゴメン、もう一つだけ。
由紀の旦那の松下氏も途中で出番を失ったっきり。彼はその後一体どうしたんだろう。
盛岡の独身寮を出る事ができたかどうかは、語られる事の無いまったく別の物語って事か。
図書館で、同じく北見隆さんがカバーイラストを書いていた「つきまとわれて」「鬼」を借りてきた。
言わばジャケ借りだね。
■映画版を見て
なるほど、2時間の尺で映像化しようとすると、こういう魅せ方になるのね。
原作ではなく、原案だね。ストーリーは全く別モノ。むしろ「ミザリー」みたいだ。
春海と麗子とマリを同一人物にしてしまった。
ま、深田恭子と北川景子が良いオンナだと言う映画だ。
「完全なる首長竜の日」の映像化も、そんな感じだったな。