その時までサヨナラ

山田悠介・文芸社文庫

序盤は癖の強い編集者の失墜のシーンで、グイグイ話が進む。
そして別居中の妻の事故死と、謎の女性の登場で、家庭を省みなかった主人公がどんどん変わっていく。
ミステリではなく、一本道を進んでいくように物語に吸い込まれる。

謎の女性の正体探しがミステリと言えば、そうなのかもしれないけど
ミステリだとすればアンフェアなオチなので、まぁ粛々を読み進めて主人公が家族を取り戻す過程を楽しめば良いのだろう。

悪くはないハナシだと思うが、このネタならば辻村深月「ツナグ」の方がやりきった感があるし
帯にあるほど泣けるか、と言うとそうでもない。
義理の父母との対立も解決を見てないし、主人公の仕事の面での巻き返しも放っておかれるからか。
何だか風呂敷を広げた割には小さくまとまっている、そんな感じ。

(13/01/01)


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