斜め屋敷の犯罪

島田荘司・講談社文庫

本格推理と銘打つにはなぁ。確かにトリックは奇抜ではあるけれど、策士策に溺れるって感じ。
建物が僅かに傾いている、それは密室殺人を完成させるための必要条件ではあるけれど、
その不自然さのデメリットが何も無いじゃない。技巧のためのしかけって感じで強引だよね。
ビリヤードのシーンで、何かその斜度に拠る絡みが有るのかと思ったけどただのアリバイ工作だし。

花壇の仕掛けに関しても、実際にアルミで試してみれば重大なヒントになったのかもしれないけど、
中盤ではほとんど触れられることなく、最後の種明かしの際に実は・・・ってのはあんまり感心しないね。
だいたい、伏線も無いのに主人公と被害者の背景が懲りすぎなんだよね。後付けの説明では推理はできません。
シリーズ物らしいけど、どうも文調も好みではないし、島田荘司は最初で最後かな。

(06/05/28)


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