2008年に初読、この度機会があって再読。
犯人は誰だったっけ。管理組合の人が怪しいんだっけ、とかトンチンカンな推理をしながら読み進め、
最後のオチも思い出す事なく、2度目も楽しんだ。
以下は、初読後の非公開メモ。
宮部みゆき。ハマッても良さそうなものだったが、そうはならなかった。
「模倣犯」なども映画版は見たけど、原作は読んでない。
どうしても恩田陸と比較してしまうんだよな。
主人公の独りツッコミを交えた視点で進むのは、肩に力が入らずに良い感じ。
怪しいキャラがたくさん出てくるんだけどね。
“氷の女王”、木内さん、工藤理事長、etc.特に工藤理事長なんてさ、主人公がわざと轢かれる様に立ち話する位置を選んだとしてもおかしくないじゃない。
そして車道にはみ出した主人公を、間一髪で救う事ができたのも心構えがあったからだと思ったんだけどね。
水津へ向かう事を決めた所で一旦最初から読み返したが、その後の展開はサッパリ読めなかった。
観念して、その後を読み進めたものの、そういう事だったか!
・・・つまり、初読時も再読時も同じ様な思考で読んでるんだな、私。
言わずもがな、これは家族の物語。
今多家は正妻の2兄弟の他に、菜穂子がいる。
杉村三郎は逆玉の輿の結果、実家と疎遠になる。
そして物語の中核をなす梶田家に隠された過去。それは両親だけではなく姉妹の間にも大きな隠し事があると。
トモノ玩具店の友野一家も、お嫁さんが良い味出してるし、
園田編集長も父の死を語るシーンが用意されている。
そして多くを語られないのだけれど、真犯人も親と子で煩悶があった事だろう。
思い通りにならない世の中を、適度な厭世観で生きる主人公は、ちょっと米澤穂信のテイストも感じる。
そして、宮部みゆきの描く悪意は、どうしても恩田陸に近い臭いを感じながら読んでしまう。
まぁ、つまり好きな作家群の1冊って事なんだな。