らせん

鈴木光司・角川ホラー文庫

映画も見てきました。「リング」と「らせん」と。
1500円で2本見れてお得でしたよ。
映画と原作で設定が異なるのは世の常ですから
仕方ないとは思いますが、
浅川が女(松嶋奈々子)になってるし、
高山はかっこ良くなってるし(真田広之)、
挙げ句の果てに夫婦だと!?

ま、いいや。
「らせん」も「リング」同様、男性コンビが謎を解きます。
前作は浅川・高山コンビ、今回は安藤・宮下コンビでしたね。
高山の解剖から物語は始まりますが、
さっそく映画では変更点が。竜司からのメッセージが『RING』
ではなく『DNA』と『PRESENT』でした。
とにかく、解剖から天然痘に酷似したウイルスが検出されます。
前作とは異なり、やや科学的ですよね。

それから、あの4人や、浅川の家族の死因も
同じウイルスによる心筋梗塞である事が分かります。
しかし、浅川だけが何故助かったのか?
謎は解けぬまま高野舞も失踪。

リング・ウイルスの塩基配列の暗号解きは
読者への説明として、安藤がリア王を比喩に持ち出す
文章がありましたが、少し苦しいですね。
私はトリプレットとか懐かしかったけど。
専門知識を小説の世界を崩さずに
読者に説明するのは難しいものです。

さて、
原作で一番恐いシーンは高野舞の姉として登場した
真砂子が山村貞子だと分かるシーンでは無いでしょうか?
最初に合った時から、何処か不気味な描写で
読んでるこちらも嫌な感じがしましたが、
それが貞子だったとはね。

繰り返すようですが、「リング」では怨念とか、
図らずもオカルト色が前面に出てたような気がしたけれど
「らせん」ではあくまで生命の突然変異として「山村貞子」という
設定を駆使して、あのエンディングへ持っていった
作者の知謀に脱帽です、ホント。
山村貞子からの褒美は何となく想像がつきました。
宮下は何の褒美も無かったのかな?

ま、この本を読んだ私もキャリアになっているのかも
しれませんが、ちゃんと映画に1人誘ったから
増殖に手を貸したという事で・・・

最後に
安藤の職業は監察医でしたが、ちょうど今
テレビでも「きらきらひかる」で監察医が主人公を
勤めていますね。今年の流行になったりして。
ちょっとそんな事も思いました。

さ、「ループ」も文庫化されたら買おうっと。

(98/2/1)


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