恩田陸の「中庭の出来事」も舞台を巡る話だったが、
石田衣良の「下北サンデーズ」は、また全然別の角度から、この世界の底辺を描く。
基本的にはサクセスストーリーなので、軽快にズンズン読み進む。
私も大学までは吹奏楽をやっていて、年に数回舞台に上がり、照明を浴びる側にいた事もある。
人生、どの瞬間が最高潮なのか。持て囃されるからと言って、それが幸せとは限らない。
今回の里中ゆいかにとって、愛チカと松多劇場とどっちが良かったかは、永遠に分からない。
でも選べる今は一つだけ。
ラストの八神の移籍は意外だったな。
考えてみれば、劇団もサッカークラブもメンバーは紆余曲折あるよね。
レアルマドリードの第一次銀河系代表も、王座を永続的に手中に収める事はできず、
また新たなメンバーで構築された第二次銀河系代表はさっぱり奮わず。
それでもまた時が巡り、第三次銀河系代表が舞台にあがる。
会社もそうか。人事異動で常に人は変わりゆくのだ。
ゆいかが、初めて下北サンデーズを見に来たその日。
その嵐の日に、唯一の観劇となる対象に、なぜ下北サンデーズを選んだのか。
その邂逅の妙に乾杯。これからの下北サンデーズに幸あれかし。
読み終えてからドラマ版のキャストを確認しに、番組HPやウィキを覗いてみる。
そうそう、上戸彩だったね。1話削られたんだ。なぜか上戸彩はドラマ不発なんだよね。
キャンディはしずちゃんじゃなく、森三中だったか。
この中だったら、私は亜希子さん(山口紗弥加)が良いな。