日曜日たち

吉田修一・講談社文庫

吉田修一は短くて良いよ。
表紙の平井堅似の男は誰なんだろう。

1話目は導入だから、すんなり入っていく。
彼らと遭遇するのは何年か前の池袋界隈のパチンコ屋の駐車場。
2話目は不思議な話し。ラストのセリフがよく理解できない。これだけ悲劇だし。
なぜ千景だったのか。むしろ彩が被害者なら分かるけどね。
彼らとの遭遇は7,8年前の旅行の車内で。千景は2週間前、渋谷のバーで再開してしまったことで…。
3話目はじんわりする。彼らとの遭遇はもう7,8年前、三軒茶屋のアパートの105号室の前で。
4話目は同情するよ。「サンパウロォ〜」は地球の裏だぜ。太陽もそりゃ眩しいわな。
こんな兄貴の背を超えるやり方も有りか。やはり彼らとの遭遇は7,8年前、早稲田の学生だったころの三軒茶屋のアパートにて。
3話目と4話目のみ連動している。松坂さんは荻窪へ引っ越してしまったそうです。
5話目で7,8年ぶりの奇跡的な邂逅の末に、少しだけ明かされる真実がある。
しかし渋谷の独身寮で1年、吉祥寺のアパートに4年、練馬のアパートに10年。他人事じゃないな、この独身ライフ。

でも、こうなるとやっぱり2話目だけが異質なんだよな。彼らが何故ヒールに?
どっちかと言うと2人は恩田陸ならツル先生みたいな、ふんわりとした存在っぽいのに。
2人に託されたメッセージは何だったんだろう。世界はそんなに優しくないって事を言いたかったのか。
逆であって欲しいんだけどね。世界はそんなに悪くない。

(07/11/26)


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