生存者ゼロ

安生正・宝島社文庫

久しぶりに自分で購入した本。前から平積みになっていて気にはなっていた一冊。
第11回「このミステリーがすごい!」大賞作。この作者は初読み。

バイオハザードな展開かと思いきや、なるほど建設会社勤務の作者だけのストンが待っている。
多くの命が散るんだけど、「亡国のイージス」の福井晴敏とも、皆殺しの田中こと田中芳樹とも違うテイスト。
もう少しキャラを濃く描いてあげないと、感情移入できぬまま死人が増えていく。

ラスボス的な富樫博士が最後にいい人で散るのは、ちょっと出来すぎかな。
序盤の予想としては、わだかまりを超えて鹿瀬博士と手を取り合って難題に立ち向かうのかと思ったんだけどな。
途中で現れたヒロインと共に汗をかいたのは廻田らだったか。
その廻田が橘を殴り飛ばす理由が今一つピンとこなかった。その橘もあとで散るんだがね。

新月の原因を含め、恐怖の元凶がまさか・・・ねぇ。
館山はこれに気付いてしまった故の自死と言う事か。それも弱いんだけど。

使えない政権中枢の幹部連に、言いたい放題文句を言ってのける主人公たちに溜飲を下げる。
この物語の一番のポイントかもしれない。

(14/6/15)


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