神様からひと言

荻原浩・光文社文庫

最後にリンコからクレーム電話がかかってきて、なるほど神様からひと言なのかな、と推測したのだが…

リストラ
転職
左遷
パワハラ
横領
クレーマー
2ちゃんねる
愛人
筆頭株主
恐喝未遂
猟官
癒着
そして自殺…

サラリーマンを巡る世界の中で、よくもまぁこれまでネガティブな要素を
と思わずにはいられないくらいに、主人公は逆境へ追い込まれる。
でもその都度、篠崎さんの的を射た、実に常識的な発言などで切り抜ける事で
爽快感を得られる。私とて会社の中の一つの部品みたいなものだもんな。
最終的にティンバーウルフは唸り声をあげる事になり、私にそこまでの勇気は無いけれど
同じサラリーマンとしては共感を覚えつつ、外回りの移動中の車内でサクサク読み進める。

会社を離れても、何故だか姿を消したリンコの行方を追うのに必死で心休まらない主人公。
しかし彼には神様がいた。でも普通の人はジョンがいないから困ってるのであって、
ここぞと言う時に思い通りにジョンに会えるのはどうなんでしょ。
そして篠崎さんと同じく、実に適切なアドバイスを施すジョンはいったい何者?

2ちゃんねるへの書き込みは誰の陰謀だったのか。
宍戸さん?あるいは神保さん?
ん、考えてみたら宍戸さんに神保さんって…
赤坂某局を担当していた時のお客さんと同じ名前だ。

篠崎の『会社=おでん鍋』説や、高野の『会社に人質』説など、サラリーマンなら誰しも
なるほどと首を縦に振ってしまうのではないだろうか。
若年性アルツハイマー症候群を取り上げた「明日の記憶」も筆者の作。
恩田ワールドとは全く別の、サラリーマンの心に染み入るこう言うストーリーも良いね。
また明日から頑張ろうって思うよ。

(07/11/10)

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