リカーシブル

米澤穂信・講談社

久しぶりの米澤穂信の長編ミステリ。図書館で借りて読了。
2週間の貸出期間に4冊も借りて来たものだから、1冊あたりにかけられる時間が足りず
しかも通勤と外回りの合間に読んでると、大事なところで腰を折られたり。
物語の持つ疾走感は半分くらいしか味わえなかったかもしれない。

読み終わった後の感想としては、正直言うと“投げっぱなしジャーマン”の系統かな。
「ボトルネック」と同じような底冷えのする感覚は伝わってきたし、
恩田先生ばりの勿体ぶった伏線に期待感は十分。 
それだけに謎の回収が宙ぶらりんなのは否めないかな。

どこまでネタバレになってしまうか分からないけれど、
血のつながらない姉弟の物語でもあり、
失踪した父を軸にしたハナシでもあり、
とある地方の都市伝説について書かれた本でもある。
こうしてみると、恩田陸の「木洩れ日泳ぐ魚」とテイストが似ているような気もする。
内容は「きのうの世界」に近いのかもしれない。

タイトルに関連して『リカーシブ』と言う形容詞について、説明が添えられている。
確かに、これこそが物語のカギなのだ。
ただしラストは・・・って事なんだけど、やっぱり解決はしてないんだよね。
何が何だか分からないまま、主人公ハルカの内面だけは一区切りがついたように着地させてる。
でも、明日が見えないよな。
これは小説で、この先が書かれないから良いけれど、この先のハルカに思いを馳せると
せめて破り捨てたおみくじが当たって欲しいと思うよ。

でもまぁ、恩田先生と同じく読んでる途中のワクワク感をエンターテインメントだと捉えるのならば
十分に及第点だった。私にとって米澤穂信というネームバリューがそうさせたのかもしれないけど
それでも良いじゃない。
次は同じく好きな作家の一人である辻村深月に取り掛かる予定。来週までに図書館に返却できるかな。

(13/08/25)


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