U章の書き出し。
足もとから見あげる塔は、先端が夜に溶けたガラスの柱だ。
お洒落だねぇ。こう言う叙景的なフレーズって美しいね。
ところが、さほど分厚い本じゃないんだけど、読んでも読んでもクライマックスが訪れない。
廣永に身包み剥がされるのか、ヨシトシに半殺しにされるのか、克己に裏切られるのか、裕香に刺されるのか…
どれでもなく、何と無く中途半端に終わってしまう。
これじゃまるで単なる官能小説みたいだ。
石田衣良にしては、まとまりがない。
2004年頃に月刊誌に連載されてたみたいだけど、途中で打ち切りを示唆されたのかな。
時期的にファンドやM&Aへの警鐘だったのかもしれないけどね。
「アキハバラ@DEEP」と似た感じだけど、本作の方があっさりしている
これが最初の一冊だったならば、石田衣良はこれっきりだったかもしれない。