夜の底は柔らかな幻

恩田陸・文春文庫

半年ぶりの恩田陸。待望の長編。
しかし、序盤から嫌な予感。
国境? 入国管理官? 途鎖国?
ヌキ?? イロ?? これはスピリチュアル系か。

「ネクロポリス」の様な異世界か。三崎亜記の成和ワールドは、それはそれで理知的なんだけど
どうも、この恩田ワールドはオチが回収できるのか心配でならない。
ま、異世界にかぎらず「きのうの世界」のように、現在を舞台にしていても恩田ワールド炸裂すると
凡人たる私は付いていけないのだが。
期待していたイサオ・オサリヴァンの話も、この手の話と分かっちゃうとガッカリだな。

はぁ、途鎖=土佐なのね。
ソクだの、どんどん用語が増えていくねえ。読者も削ぎ落とされていくことでしょうよ。

第三部まできて、高見広春「バトル・ロワイヤル」のような様相に。
総当り戦を生き抜くのは誰か?
ラスボスがソクとマサ坊か。
実邦、善法は一緒にいたジュンと離散。 (ジュンも何だか幼稚なんだよね)
黒塚と軍は最後の援軍かな? (恩田陸って軍みたいなお姐キャラ好きなのかな、「MAZE」の神原みたいだ)
葛城と謎の男が分かり易い当面の敵か。 (この謎の男、前田だったんだろうけど、哀しいくらいにチョイ役だった…)
屋島先生も援軍枠の筈なのだが吊り橋から落ちちゃったな。 (スーパーゼウスってとこか)
占部署長とみつきは帰りを待っててくれる人で、カツ丼食べたらこれ以上は出番なしかな。 
あ、爺さんと天馬は?
可哀想なのはタミさんだよ。
最後まで生きてるのは誰だ? 愚者って誰だ?

はぁ、破天荒な冒険活劇ってとこで、田中芳樹の「創竜伝」みたいに笑って読めれば良いのかな。
池上永一「シャングリ・ラ」みたいなドンチャンワールドだったな。
凡人には置いてきぼりにされた感のあるスケール感、という苦笑いすら贔屓の引き倒しかもな。

(15/12/11)


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