知人の書評に触発され、図書館で借りてきた上下巻。返却期日が迫り、駆け込みで読了。
時系列に整理して読み直したかったけど、一読して返却してしまった。
脚本家だけあって、見せ場の盛り上げ方はドラマ的。
通り魔事件、食品偽装事件、不祥事隠蔽、裏ガネ、いろいろ詰め込んだ物語を見事にゴールインさせた手腕はお見事。
また、キャラクターの際立たせ方が上手。
登場人物の多彩さと、多くの命が散っていく辺りは、「半島を出よ」や「亡国のイージス」を彷彿とさせる。
山科さんの前途も多難。これはこれで今年に入って読んだ「小児救急」を彷彿とさせた。
磯辺ですら引退の憂き目にあうのに、懐刀の服部は無傷なのかね。まぁ、悪はすべて処断されるわけじゃないというリアリズムか。
終盤の相馬の恋心は必要だったのかな。まぁ、放っておくには可哀想なキャラクターではあるから、少し良い事があっても良いよねという親心か。
だったら修司と亜蓮がくっつくのかなと思ったのに。
そして5億円の金の流れはお見事。ストンとやられた。誰だって、鑓水の感情はミスリードされたんじゃないかな。
これがデビュー作だと言う作者。次回作、期待したいね。