推理小説

秦建日子・河出書房新社

ドラマ「アンフェア」の原作。映画版(1作目)をTVで見たので、図書館で借りて読んでみた。
作者のデビュー作と言う事で、いろいろ力も入っているなぁという感じは受ける。
虚構である物語の間に、ところどころ書き手目線と思われる部分を差し込む辺りは恩田陸にも通じる印象。

サラッと読んじゃうんだけど、辻褄が合っているかどうか。
複雑に練りに練った故に、ストンと落ちる分かり易さが足らない気もする。
理恵子の死や、雪平が瀬崎相手に急にガードが緩んだり、ご都合主義な面もひっかかる。
これも恩田陸だったら、それを因数分解したくなるのだから、読み手って本当に勝手気ままにいろんな事を言うんだ。
作品を酷評されて死を選んだ平井、なりふり構わずゴーストライターを使ってでも虚栄を張る久留米、
自分を超える書き手はいないと厭世的に編集に携わる瀬崎。
デビュー作の割には、説得力のある愚痴ばかり。下積み時代の苦労なんだろうか。

字面からてっきり作者は女性なのかと思っていた。
ドラマの主役も篠原涼子だったから、余計に女性のイメージが強いのかも。
原作が先だったら、印象は違ったのかもしれないな。

(11/09/25)


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