消失グラデーション

長沢樹・角川文庫

迂遠なハナシだ、と思って読み進めた終盤に≪あっと驚く≫仕掛けが施されていた。
これは辻村深月にありそうなストンではあるが、屈折した人たちばかり登場していたのだな。
分かって読み直すと、マサヨシくんと、コウちゃんの奮闘は痛々しいのだろう。
マユたんが無敵キャラなのは、先生たちも腫れ物に触る感じなんだろうな。

≪背徳の死角≫で何をしてたと言うのか、伊達先輩とコウちゃんの間に何があったと言うのか、
その辺りのパンチが弱いのと、ジョージとヒカルの狂言回しがご都合主義なのが引っかかるな。

≪あっと驚く≫仕掛けを分かった上で、もう一度読んでみたかったのだが、
あとがきが上手くまとまっていたから、それで満足した事にしよう。
これネタバレにつながっちゃうけど、統計学上はLGBTがクラスに1人はいるってのは
こういう事なのかもしれないね。

(15/11/19)


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