久しぶりの恩田陸。早く読み終えるのはもったいなくて、章ごとに何度か読み返しつつ味わいながら読了。
閉じた世界での会話劇による心理戦。これぞ恩田ワールドの真骨頂(と私は思う)。
悪くないぞ。
事件をもって、事件を隠す。何だか「悪の教典」みたいだね。
謎解きごっこはドンデン返しの連続で、目の前の事実は表裏一体。私はサラさんまで疑った瞬間もあったよ。
いささか強引で無理もあり、分かりやすさに欠くのでストンと落ちないけど、
小野寺の推理という形で、一応の解が示されてるだけマシか。
老人の遺体は唐突だったし、羽澤の旦那を無縁仏として葬るのは大変だと思うぞ。
でもまぁ、少なくとも、投げっぱなしジャーマンでガッカリという事ではなかった。
最後まで解かれぬ謎があるのも、まぁ良いだろう。【朝霞千沙子、峠昌彦の死の真相。羽澤の旦那の死の真相。お星様の匂いも。昌彦の父は?愛華の父は?】
訪問者の意味するところは、なるほど。
井上や長田を嵌めるためにしては迂遠だと思ったけど、「注文の多い料理店」って訳か。
これがストンなのかな。パンチに欠けるけど。
恩田陸の仕掛けた謎めいた空気は十分に堪能できたと思うので満足。
まったく内容を思い出せなかったので再読。
あー、そう言えばそういう感じ。今回もサラさんを疑ってしまった。
そして今回も、小野寺君が出てくるまでの謎めく展開はワクワクするけど、
小野寺君の推理は我田引水だし、急に千蔵たちが種明かしに回るあたりから、無理強いが否めない。
それでもまぁ、これは恩田陸作品としては、まとまっている方だろうし、好きか嫌いかで言えば、やっぱり好きなのだ。