家族小説と言うのか、ホワンとした雰囲気の連作短編集。
基本は虫壁知加子と安藤正次というカップルのお話なんだけど、
ところどころ脇を飾る登場人物たちの話が挟まる。
ラストの主人公が、二人が一時期同居していた部屋の、後の入居人の視点からと言うのが良かった。
しかも、正樹らがカレーも食べられて、健一と波子に子が授かりそうだと言う“答え”まで出てるのが小気味よい。
気に入ったフレーズは2つ。
生きているということは、辻褄が合わないということだから。
勇気も優しさも、勝負どころで気前よく使わないと。
読後に知ったけど、いかにも芥川賞受賞作家な雰囲気の作品でしたな。