これがデビュー2作目か。
常野シリーズや「禁じられた楽園」の超常パワー、
「月の裏側」「不安な童話」のオカルトタッチ、
「夏の名残の薔薇」の精神世界、etc.
この辺に繋がる原案だったんだろうな。
章タイトルは意欲的な感じもするし、仕掛け過ぎな感じもある。
でも、やっぱりこのラストは放り投げちゃったパターンだよ。
消化不良は否めない。今でこそ、他の作品を読んだからこそ、許容できるが
「六番目の小夜子」とこれしか読んでなかったら、私の恩田陸歴はそこで終了していたかも。
それを考えると、早くに「三月は深き紅の淵を」に辿り着いた事こそ奇跡に思える。
ともかく、これで文庫化された作品は全て目を通せたんじゃなかろうか。
まだまだハードカバーでのみ刊行されている作品がたくさんあるから、
楽しみはまだまだ残っている。