無理

奥田英朗・文春文庫

5つの視点で織り成される、地方都市での出来事。
伊坂幸太郎しかり、最近この手の構成が多くなってきたので、これだけではウリにはならない。
上巻を読み終え、5つの物語をどう収拾するのか楽しみだったのだが。
あぁ、これで終わるのか。
ちょっと投げっぱなしな気はするけど、でも破綻ではない。
これが10のうち8くらいで止めておくって感じか。

実は家族の物語でもあるんだろうね。

友則は奥さんとは離婚したままではあるけど、最後に娘への思いが溢れる。
彼は無事に県庁に復職出来たかな?

史恵は逃げられそうで逃げられなかった鬱屈していたものが最後に爆発。
あれじゃ過剰防衛だろう。そして噂からは逃れられまい。
最後にお母さんへの思いが止まらない。

裕也は死体遺棄の片棒担ぎは避けられないだろう。柴田の出頭の意図は伝わるのかな。
社長を亡くした会社も大変だぞ。天網恢々祖にして漏らさず。
せめて実子と両親との絆だけは手放さぬように。

妙子はまさか自分がドリタンで万引きの追及受けるなんてね。
人の優しさが沁みるけど、お母さんの面倒どうするよ。骨肉の争い必至だな。
妙子の入院そのものだって、誰が支えるんだ?そうか、子供たちとの絆に期待か。

順一は2人の死に関与しちゃって無罪放免は無いだろうが、せめて家族は守れたのかな。
息子は影薄かったけれど、彼の基盤を継いでいつの日かゆめの市を支える日がくるだろうか。

(13/03/30)


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