僕の好きな人が、よく眠れますように

中村航・角川書店

僕の所属する研究室に可愛いゲスト研究員がやってきた。
しかし、その子は人妻で、北海道に旦那を残してきたと言う…

そんな2人の恋愛劇なんだが。
まず旦那が実在するのか、引っ込みつかなくなった方便なのか。
旦那が本当にいるとしたら、その旦那目線で考えると何と不幸な話なんだろう。

物語は基本的に2人だけのシーンが中心で、他者との関係性が希薄。
もちろん南部さんに嫉妬するめぐや、勇者木戸を頼る山田さんがいるんだけど、日常ではない。
書きたいものが2人の恋模様だから、そこにフォーカスが当たるのは自然なんだろうが
ご都合主義な展開に共感はできかねる。

これが恩田陸なら突然2人が異母兄妹でした! ってドロドロが始まったり
米澤穂信ならごっこ遊びの果てで、虚無的に身を引いてみたり
道尾秀介ならめぐの存在自体が山田さんにしか見えない過去の亡霊でした、ときたりするんじゃないか?

と言う事で、
ダシを吸って美味しくなるのは、鍋のうどんだけかしら。

あと、オロロン鳥がお好きな様だけど、そこに何か意味はあるのかな?

(11/05/28)


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