鉄の骨

池井戸潤・講談社文庫

読み応えもあり、読後感もスッキリ。結構な事です。
NHKのドラマは見てないのだが、再放送でもあれば見てみよう。

帯に「会社がヤバい。彼女とヤバい。」とある通り、談合を巡る仕事のハナシと同格で、彼女との擦れ違いも重たかった。
読み物だから、最後は復縁するんだろうなぁ、と予想しながらではあったけど。
男性目線としては、離れていく彼女の気持ちは切ないものがあるね。

就職して社会人になると、会社が世界のすべてになり、会社人になってしまう。
食べるために、家族を守るために、
年数を経れば経るほど、立場が上がれば上がるほど、そうなるんだろう。
でもどこかに、自分の理想とのギャップを抱えて、忸怩たる思いが燻っている。
存在感の薄い中間管理職と思われていた兼松課長にも、そんな一面があったのは救いでもある。
伊達に営業部の元エースだった訳じゃないと。
どんな仕事であっても、自分の仕事には責任を持ち、誇りを持っていたいものだね。

読み物だから、エンディングの後はどうなったのか定かではないけど、
平太と萌の恋の行方や、ハチの巣をつついたような業界のその後や、西田と理彩の間も怪しい。
平太の母親の病状や、園田のそれからとか、ドラマは決して終わる事は無いのだ。

(12/03/04)


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