福祉ガバナンス宣言

岡澤憲芙・連合総合生活開発研究所[編]・日本経済評論社

読んだメモ替わりに雑感交えて。

p5
 今日の多様性に満ちた時代にあって、福祉を実現していくうえでは、国家は「大きすぎる」し「小さすぎる」。
 身近なサービスをやるには大きすぎるし、ボーダーレス・グローバルな観点からは小さすぎる。

p101
 これまでの失業の考え方は
 失業は経済の規模が小さすぎるから生じるのであり、したがって政府が人々の需要を拡大する政策をとれば、
 経済成長そして失業の解消が実現できる。
⇒■小泉改革・上げ潮派の主張がこれか。

p104
 医療・福祉重点型の社会保障の必然性として
 第一に基礎的なニーズに応ずる部分については所得再分配という観点から公的な対応が必要であり
 第二に医療や福祉の分野は情報の非対称性から「市場の失敗」が起こりやすく、それを防ぐために公的な対応が求められるから。
 年金は基礎的な生活保障を平等にという点を主眼におくべきならば、報酬比例部分すなわち高い所得のものが高い年金を得るという部分まで
 国が行う根拠は薄いのではないか。
⇒■401kかどうかしらないけど、国は最低限の生活のみを保障して、+αについては自己運用の推奨。
  これは小泉流の小さい政府+市場経済を推奨しているという事?
  この辺、読み方浅いから、趣旨とは違うかも。

p125
 経済のグローバル化、国際競争の激化は、賃金抑制要因となっており、最低賃金と生活保護の逆転現象を発生させている。

p146
 社会全体の総所得が一定であるとすれば、最低保障水準(事前的な獲得所得ゼロのときに保証される所得水準)を上げるとしたら
 税率は上がらざるを得ない

p276
 負担をする人は負担が可能な人、と言うのではなく固定化されて入替えがほとんどないとすると「高齢者は優先席にしか座れない」
 状態が生まれ、人々は分断され「国民の共同連帯」と言う用語の期待する関係からは程遠いものが生み出される
⇒■格差社会の固定化にたいする警鐘

p297
 例えば二つの家庭で家事労働をお互いに交換して、賃金を払い合えばそれだけで所得は倍増する。



(09/03/16)


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