戦略と地政学2 胎動する地政学 英、米、独そしてロシアへ

奥山真司 訳・五月書房

前に読んだ中川八洋にダメ出しされていた奥山真司。
ただし、奥山の師事するコリン・グレイに対してはマッキンダーやスパイクマンの理解を認めていたな。
まぁ、結局はどんな文献だって詰まる所は恣意的な主観は混じるもの。
そして「地政学」も、その定義そのものから主張は千差万別。結局答えはある様な無い様な。

from 訳者まえがき
地政学とは「地理」と「政治」と「安全保障」と言う3つの要素が絡んでくる。
別の言い方で言えば「地政学」というのは
「地球のどこかの場所で、ある国や集団が政治的な思惑を巡って行う、地理上の駆け引きや争いについてのこと」

from コリン・グレイの「逃れられない地理」に関連した記述
「あらゆる政治的なことは、ある特定の地理的な状況のなかで起こる」
簡潔にいえば、それらは「地政学的である」
また、地理とは
「物理的環境」
「環境によって生まれる戦術に必要とされる機械と電子的なパフォーマンスのために必要なもの」
「高等理論の源」に集約される。

from 訳者あとがき
「地政学」が「社会科学」なのだとすると、どうしたって「人間の主観とは切り離せなくなる」

結局は特定の事象に関して、それらが起こった誘因を地理的、政治的、主観的に後付けで講釈を付け
尤もらしく帰納するのが「地政学」って解釈で良いのか?
となると「地政学的リスク」って、要するに特定の事象から考えられる余波って事か。
あまり難しく考えなくても、それ以上でもそれ以下でもないのかな。

(11/06/11)


スチールの本棚へ戻る

私の本棚へ戻る

タイトルへ戻る