ジュラシック・パークは私の読書歴の中で最高の作品の部類に位置づけられてます。
これは映画化もされましたが、完全に原作の勝ちでしょう(比較するのはよくないですけど)。
原作を読んで感じたのは、主にイアン・マルカムの口を通して語られる
作者のメッセージ。現代の行き過ぎた科学技術に対する警鐘が鳴らされています。
ご存知の通り、「ジュラシック・パーク」の中では琥珀のなかに閉じ込められていた
蚊の血液の中から恐竜のDNAを復元します。
人間は知恵を絞って復元した恐竜を自分達のコントロール化に置くための工夫をします。
カエルのDNAを用いる事で出来上がる恐竜はすべてオスのはずでしたが・・・
マルカムが言うように、科学技術や理論というものは一度発見してしまえば
その後の世代の人間は、誰でも活用することが出来ます。その裏に
どれほどの苦労があるか、それがどんな意味を持っているのか、それがどんな事を併発するのか
そんな事を一切知らなくても、知識は流用できます。
マルカムは他にも例を挙げてます。
空手の名人は決して人を攻撃するのに技を使わない。
自分が習得する際に、自己規制能力が備わっているので
技を使ったらどんな事になるか知っているからです。
ところがピストルはどうでしょう。
どんなか細い人でも他人を殺傷する事が出来ます。
ピストルを買うのにはお金が要るだけで、自己規制能力など要りません。
上手く紹介できてる自信が無いので、是非本物の一読をお勧めします。
この件は、下巻の223ページ当たりにマルカムとハモンドの会話に出てきます。
科学の力は本当に恐いものです。
及ぼす力が大きいだけに、使い方次第では人間を救う力にも、滅ぼす力にもなります。
しかし、この「人間のため」なるエゴをもクライトンは糾弾しています。
地球が危機に瀕しているという意見は確かによく耳にします。
例えばオゾン層の破壊により、紫外線の照射量は増えます。皮膚癌の原因として
対策を求められるのは当然です。
ところが、紫外線は生命にとって有益なものなのです。突然変異と変化をもたらすパワーなのです。
逆に酸素は人間にとって必要不可欠なものですが、代謝にとっては毒なのです。
地球が危機なのではない、人間が危機なのであると。
地球の生命は長いスパンで自己の面倒を見てきたのです。
この件も下巻の338ページにグラントとハモンドの会話に出てきます。
ジュラシック・パークが映画化された時にはスピルバーグ監督のSFX技術が
前面にクローズアップされましたが、原作はこうも奥の深い物語りなのです。
ハモンド氏に代表されるInGen社とマルカムやグラントの科学観論争こそ
ジュラシック・パークの醍醐味だと思います。
映画をご覧になった方も、是非原作をお読みになることをお勧めします。
こんな原作贔屓の私ですが、映画も見ました、何度も。
映画は映画で良いと思います。あのSFXは凄い!
生きてるみたいだもの、あの恐竜たち。特にラプトルは恐いね。
映画と原作の違いは多々ありますが、ハモンドの孫であるティムとレックスの
年齢が逆転してましたね。原作は兄妹。映画は姉弟でした。
原作のレックスは言うこと聞かなくってねぇ。読んでて腹が立ちましたよ。
でも、想像できるなぁ。
てっきりラストでマルカムは死んだと思ってましたよ。
ところが・・・
最後に。NHK-FMの「青春アドベンチャー」という番組(月−金 22:45〜23:00)で
ジュラシック・パークがラジオドラマ化されました。
第二話のみテープに録音したんですけど、どうにかして全編手に入れたいんです。
ところが、NHKに手紙を出したところ、CDとして販売する予定もないそうです。
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