ミザリー

S.キング・文春文庫

いや、恐いですね。盲目的な愛というのは、往々にして悲劇を呼びます。
「ミザリー」の場合、愛というか独占欲ですかね?

流行作家であるポールは自動車事故に遭う。
元看護婦の愛読者に助けられたのは良いが、そこは・・・

薬付けってのが恐いね。絶対的な何かを握られてさ。
私も少し気持ち分かりますよ。「ゼ○単位」をめぐって
頭を悩ませたもんです。まぁ、必修ではないんだけどさ。

いかん。また余談に・・
小説の中で、タイプライター原稿用にフォントを変えてあるじゃないですか、
あれは、最初はアイディアとして評価したんだけど、
しまいには「N」も「T」も「E」も使えなくなって 読みにくいったらありゃしない。
作中の『ミザリー』はあんまり頭に残ってないな。

アニーは、ポールが最初に書いた『ミザリー』にけちをつけますね。
リアリティがない、と言って。リアリティというか、つじつまですかね?
確かにそれはそのとおりだと思うんですよ。子ども番組や三流のヒーローものなら
助かる訳のない絶体絶命の主人公が、簡単に窮地を脱してしまいますよね。
あっけらかんと笑えることは笑えるけど、幼い子ってそういうの信じる子も
いる訳で、絶体絶命の状態をそんなに軽く捉えてほしくないですよね。

ま、現代っ子はすれてるかもしれないけど。
犯罪の低年齢化が進む度に「命の大切さを・・」なんて言われますが、
その割には、いろんなものが野放しにされているような気がします。

? 何で「ミザリー」からそんな話に??
私の移り気の多さに、皆さんもあきれてることでしょう。

「ミザリー」に戻ると、一番恐いシーンって何処でしょうか?
私はハブリングかな? 足切られちゃうんだよ! やばいって。
痛そう・・ ゴシック体となったポールの「切らないで」と言う叫びが
痛々しい。

私はまだ映画は見てないんですよね。
ロブ・ライナー監督で映画化と言うことですが、主演は誰なんでしょう?
私のよく行くレンタルビデオ店は主演順に並んでいるので、
どなたかご存知の方は教えて下さい。

それにしても、S.キングもいろいろ書きますよね。凄い!

そんなキングもかつて「自称ナンバーワンの読者」マーク・チャップマンなる
若者に写真撮影とサインをねだられたそうです。キングは渋々承諾したようですが、
翌年、同じようにマーク・チャップマンはサインをねだった後、
ジョン・レノンを射殺することになるのです。

愛とか、信奉とかって恐いですね。

こういう話があるそうです。
とある島で、ある若者が突然キツネ付きになってしまいます。
住民は彼は狩の役にも立たないし、殺してしまおうという結論に
固まりつつありました。ところが彼は、みんなが初めて聞くような
昔話や神話を語るようになったのです。
状況は一転し、彼は語りべとして住民から畏怖されました。
幾年かが過ぎ、これまた突然彼は憑き物から解放され、
狩にも参加できるくらい元通りの若者に戻りました。
すると、住民は彼を「語りべとして役に立たない」という理由で殺してしまったそうです。

みなさんも自分に向けられている愛が、本当は何に向けられているのか
考えてみるのも良いのではないでしょうか・・・

(97/10/08)


背の低い本棚(海外の作家)へ戻る

私の本棚へ戻る

タイトルへ戻る