赤い大地で青空探すと(4)



◆◆◆

『攻撃前テスト期間開始』

◆◆◆

 木々の梢の下で、小川が滝となって白く渦を巻いている。
 木々を通して、私の見たがっていた大地がのぞめる。人工的な高みからの光景全てが私の胸に突き刺さった。
 今でも感動でかすかに涙がにじんだ。
 私が衛星に命じた通りに、映像のズームアウトが始まり、私は擬似的な浮遊感に包まれた。椅子の上で身じろぎする。私がいるのは、火星の凍り付いたコロニーの中。
 見ているのは地球……。
 青い星。
 樹海は延々と続くかと思われたが、やがては途切れ、木々の端から轍や足跡が伸びている。それが導く先には、茶色い掘建て小屋のかたまり。
 乱雑で、機能を優先した作りの集落は、どこか私たちのコロニーと共通する箇所がある。
 屋根から、生活のしるしである煙が上がっていた。住人は、熱エネルギーを解放するために木片を燃やしているわけだ。
 そして、緑濃き木々の陰から、十人ほどの人影が出てきた。
 いや、人ではない。人でないことは分かっている。
 身長は一メートルそこそこで、全身をふさふさした体毛で覆われている。頭のてっぺんから耳が生え、鼻面が突き出ていることを見ると、彼らはサルを祖先としたのではなく、オオカミやキツネを祖先としたのだろう。
 彼らは木を植えている。
 彼らの名は『植林者』。
 彼らは地球を癒している。植林者は美しい種族だった。私は惚けた表情で、空の上から彼らを見下ろし続けた。
 彼らは何も持っていない。共通ネットもなければ、重機械もない。彼らはただ集落の周囲で畑を耕し、作物を採っていた。
 農作物だけではない、集落のはずれから、何キロも何キロも背の低い木々が続いている。彼らが植えている。
 地球の植物。緑濃く、光豊かな楽園。
 人類によって穢された地球は、植林者たちによって、癒されている。
 彼らは、人類の知らない魔法や技術を持っているわけではない。
 全ては手作業。植林者たちは溝を掘り、川を通し、そして、ただ手作業で木を植え続けていた。
 なぜ、木を植えるのだ? 何が彼らを駆り立てているのだろう?

 瑞々しい緑を突き破って、朽ちたコンクリートの墓標が見える。
 地球の人間が作った建物も、廃墟となって残っていることは残っていた。だが、それは木々に飲み込まれ、緑の海に浸っているように見えた。これらは地球に人類がいたことを伝える、無言の形見でしかなかった。
 植林者の子供たちは集落のはずれで騒ぎ、遊び、大人は集落の広場でものを作り、畑へと歩いていく。発掘記録で見た、産業革命以前の農村そっくりだった
 私のお気に入りの植林者家族は、サンガラ一家だった。家長のサンガラは女性と思われ、茶色と灰色のしましまの毛並みが美しかった。夫を集落に残し、二人の子を連れて、自分の畑に向かって歩いているところだ。
 彼女の傍らには六角形の田んぼが集落の周囲に整然と並んでいた。
 集落の上手では川がせき止められて、ダムとなり適切な量の水のみを集落に提供していた。清らかな水は無尽蔵のようであった。

   ◆

 わざわざ部屋にこもって見る意味なんて、ほとんどなかった。リメンバランス内のそこらじゅうで、地球の映像が映されている。
 モルは死に、彼からもらった破損したスーツは、エンジン採掘のために取り上げられてしまった。もう、あんなもの見たくもない。今でも私はマーカスの、リメンバーへの憎悪を夢に見る。それを打ち消すために、私は植林者のサンガラ一家の映像を一時間ほど見る必要があった。
 私は椅子のタッチパネルに触れて、天井の映像を消した。灰色の天井が戻って来る。カードが出てきた。私をそれをゆっくりとつまんだ。的確な治療のおかげで、体に凍傷の痕はほとんど残っていないが、それでも、指になんだか引きつるような感覚が残っていた。
 手の中のチップに目を落とす。私が情報発掘局でこつこつ集めてきた青空。
 そして、これはもう必要ない。
 私は青空を手に入れた。
 最も、私がずっと心に思い描いていたいたのは、青空を下から見上げるのであり、青空の上から地表を見下ろす物ではなかったが。
『次のシフトまであと三十分。出勤の準備をしてはどうかね、ウィティ?』
 リメンバーの滑らかな声。地球から届いたイメージに体を洗わせていたいという衝動を抑えながら、私は無言で立ち上がって、部屋を後にした。
 暗くて広い回廊を、ゆっくりと歩いていく。何人かの人間が、地球の再発見者とすれ違う際に会釈した。
 地球の再発見者。
 私はそんな風に呼ばれている。
 社会に貢献したとの理由で、すでに使い切れないほどのポイントが、私のカードには貯まっていた。

 艦首部からは多くの物がもたらされることだろう。艦首部には極めて状態のいい通信ユニットが残っていた。着陸後二十年の間、酷使されたリメンバランスの器具も、いくらか延命されるはずだ。五年……あるいは十年。
 私が艦首部からリメンバランスへ救難信号を送れたことから、短波通信は十分に可能だとわかっている。それでも、私を殺しかけたような天災が起こったときのために、エンジニア局は艦首部とリメンバランスの間に信号塔を複数設置していた。これもまた、艦首部から発掘されたものだ。
 何よりも私たちに影響を与えたのは、地球からの映像だろう。
 リアルタイムではない。今の季節、地球とは二十分ほどの通信差が発生する。光速のレーザー通信をもってしてさえ、こうも時間がかかるのだ。これが、地球と火星の距離だった。隔たりは、三次元的な距離だけでなく、時間と言う要素を加えられていた。
 とにかく、映像は地球から送られてきた。送信機は独自の莫大なエネルギー生成能力を持つらしい。
 そして、カメラはこちらから操作可能だった。
 コントロールを入力してから、片道二十分を二回、つまり四十分待てば、地球の画像がこちらのフラットスクリーンに投影される。
 カメラ衛星は単一の存在ではなく、一つの発電/送受信ユニットと十二個のカメラ衛星から成り立っていた。
 見えているのは本当に地球なのか? 高性能のヴァーチャルに過ぎないのでは?
 この疑問はつきまとった。
 カメラを旋回して地球から目をそらし、太陽を見れば、火星から見える太陽が見えた。火星を見れば、火星が見れた。
 何一つ、現実との相違点はなかった。
 私たちは、それを現実とすることとした。
 火星の風景を見るのにさえ、私たちは老朽化した観測機器を起動せねばならないのに、対して、地球の映像は無料でいくらでも届けられる。
 地球軌道上の衛星と、艦首部の通信ユニットのおかげで、人類の意識は再び、惑星間にまで広がった。

 私はふらっと娯楽ホールに入り込んだ。
 娯楽ホールのスポーツのための設備はすべて撤去されていた。代わりに百個以上もの椅子が並んでいる。
 今はまだシフト中で閑散としているが、休憩時間になればここは満員になる。椅子が向いているのは、ホールの壁の一端の巨大スクリーンだ。その広さは私の部屋の物の十倍以上の広さを誇る。
 地球観測は、いまやコロニーになくてはならない主要娯楽であった。
 映っているのは……ピピルティスの家族だった。
 私のお気に入りのサンガラ一家は夫を除き、いま植林中で集落にいない。
 先週まで、コロニーメディア局が、コロニー住人から植林者たちの名を募集していた。私も、もっと健康だったなら、記憶していた地球風な名前を送ったことだろう。
 とはいえ、地球は広大で、軌道を巡る十二個の自在旋回カメラを使っても全てを見るのは容易ではない。これからも次々と植林者の集落は見つかるだろうし、彼らに呼び名をつけるチャンスも巡って来るだろう。
 巨大スクリーンに映された樹海は圧倒的で、その気になれば手を伸ばして、手首まで緑色の海に沈められそうな気さえした。
 私は画面から目を離し、ホール内の人間たちを見やった。
 多くの人間が画面を見て微笑んでいる、私はそれをキャットウォークから眺めていた。
 これが私のもたらしたものの成果なのだ。
 低くホーンが鳴った。シフト交代十五分前を知らせるものだ。周囲にいた数人の男女も仕事の過酷さや、食べ物の酷さにぶつぶつ言いながら去っていく。
 そのとき、柱の影にエンジニアリング・ドック作業員がちらりと見えた。その顔に浮かぶ表情を見て、私にばっと鳥肌が立った。
 マーカスの亡霊?
 あれがリメンバランスの中まで私を追ってきたのだろうか?
 いや……その作業員の格好はマーカスとまったく異なっていた。ただ――その表情。表情だけがマーカスとまったく同じだった。その作業員はささっと、ホールから出て行った。
 マーカスはリメンバーを憎んでいた。
 今の男は何を憎んでいた? リメンバランスの中に、そんな感情が存在する余地はあるというのか?

 もともと少なかった発掘局の人間は、さらに半分ほどに減っていたが、私は笑顔で迎えられた。データ発掘のために大勢が艦首部へ出向いているのだ。
 私のデスクも、薄く赤い砂が積もっている他は何も変わっていなかった。
 タイムレコードに私のカードを入れる。ばかばかしいほど高額な所持ポイントに、さらに数点が追加された。
 記録されていた声が、ささやきとなって、私のブースを満たした。それが引き金となって、マーカスの声を思い出す。あのぞっとするイメージは、艦首部のメモリが死んだことを伝えていた。
 マーカスを見たことは誰にも言っていないし、私が見た後にそのデータも破損してしまった。
 リメンバランスでの情報発掘は事実上、ストップしている。艦首部をサルベージしている間にも、リメンバランス情報堆積層のデータは砂や宇宙線で壊れていく。
 私はリメンバーや皆に、このことを伝えるべきなのだろうか?
 ……いや、マーカスはああ言っていたが、情報を蘇らすのは、私たち情報発掘局のお家芸だ。データの残骸から、有用なものがいくらでも見つかるはずだ。艦首部のデータだって、いつまで解読可能な状態にあるのか、分かったものではない。
 結局、全てのものを回収することはできないということだ。
 私も情報発掘局員として、艦首部へ転属願いをするべきなのだろう。とはいえ、あの暗い死の回廊を思い出すだけで、私は寒気を感じる。口の中に砂の味が蘇り、それが消えることはなかった。
 私は椅子に体重を預けた。スクリーンの一角にはサンガラたちが小さなウィンドウとなって映っている。サンガラは飽きることなく木を植え、彼女の幼い二人の子も、母の真似を使用としているようだった。
 仕事中、地球のイメージを映していては、失うポイントは得るポイントとほとんど同じになってしまう。
 地球の映像そのものは無料で届けられるが、カメラ衛星は十二個しかなく、それを操作したいコロニー住人はもっと多かった。そのため、いつも通り、経済が絡む。私がサンガラ一家を見続けるためには、大量のポイントを注がねばならなかった。
 だが、今の私には、もうポイントを得ることも失うことも大きな意味は持たない。
 仕事に集中するんだ、ウィティ。
 それでも、無意識のうちに、私の目は植林者の動きを追っている。

 衛星の最大倍率であっても、植林者の姿は指先ほどでしかなかった。
 だが、畑であれ、植林地であれ、植林者よりも背の高い樹木はなかった。そして、彼らの住居には壁がない。彼らはそれでも生きていけるほど、頑強なのだ。
 気候は不安定だった。スコールの来襲パターンは、私でさえも把握できないほど。
 唐突な暗雲が衛星のカメラから集落を隠した。スコールの後は水害が度々集落を襲った。ダムが決壊したこともあったし、斜面に建てられた家が、土砂とともに押し流されることもあった。
 私は今まで見たことのなかった、水の凶悪な一面を見て、戦慄した。
 一方、植林者たちは騒ぐでもなく、破壊された家屋を建て直した。
 そして、死者を埋葬した。
 雨の後は、木々がより一層、天目指して育っていた。

 肩を急に叩かれ、悲鳴を上げそうになった。
「こんなものを見ながら仕事ができるのか。大した集中力だな」
 男の顔を見て、私は本当に悲鳴を上げた。
 次の瞬間、私はすごい力で壁に押し付けられ、口を塞がれていた。
「もちろん、ローバーやスーツのことは誰にも言うなよ。分かってるな?」
 解放された後も、私は目をそらさなかった。感じているのが、敵意なのか好意なのか、自分でも全く分からない。
 モルの眼光は相変わらず鋭かった。だが、その肌はひび割れ、さらに色が黒っぽくなっている。彼は憔悴していた。
「生きていたのね……」
「ぶっ壊れたローバーをここまで引きずってくるのは楽ではなかった。だが、航宙士訓練期間中、もっと厳しい試練もあったんだ。僕はリメンバーがなくなってさえ、ある程度は生きていける」
 彼の苦労を想像して、ぞっとした。私がコロニーから救援部隊に救出されて、治療を受けている間、彼は延々とコプラテスから歩いて帰ってきたのだ。
 これが、地球から人類を火星に移住させる使命を帯びた、最後の航宙士。
「ねえ、マーカスが言っていたわ……」
「面白いものを発掘してきたようだな」
 モルは私の言葉を素早く遮り、身を乗り出してきた。圧感パッドを素早く叩いて、地球の画像を巨大化する。
「地球がこんな風に変わっているだなんて。くそ、あと五百年は廃墟のままだと言われていたぞ」
「植林者のおかげよ」
 私はサンガラとその子をズームした。
「地球から、人類が退去した後に、新たに進化した生き物だと思う?」
「ありえない」
 モルは首を振った。
「人類退去からたった五十地球年だぞ。進化じゃない……そう、設計された生き物だ。くそ……こんなことを考えやがったのは、一体……」
 彼はぶつぶつ言いながら、ブースから出て行った。私は呆然とその後ろ姿を眺めた。
 コプラテスからここまで帰って来る道のりのあまりの苦しさに、彼は狂ってしまったのだろうか?
 いや、それよりも植林者と地球だ。

 植林者の植える苗木の成長は異常だった。
 地球の画像にアクセスするごとに高さがはっきりと増していた。すでにプログラム局が、地球の映像から物の大きさを割り出すプログラムを作っていた。
 木々の見た目は針葉樹だが、成長の値は発掘記録にある、竹や昆布の成長値を上回る。隣に立てば、その成長を目で見えるのではないのだろうか。
 いくらなんでもおかしい。おまけに地球の土壌はひどい汚染が残っているだろうに。
 すると……彼らは地球退去前のバイオテクノロジーの産物というのだろうか。
 植林者は地球にどのくらいいるのだろう? 地球は広大だ。素晴らしいカメラ衛星でも、すべてを観察するのには長い時間がかかる。植林者の集落一つ一つは住人五十人に満たない、小規模なもの。だが、彼らが地球中にいるとすると……その数は膨大になる。
 彼らは地球を癒すつもりだ。

 私は情報鉱脈に没頭した。植林者の存在は私に強力なインスピレーションを与え、その情報を検索の足がかりとすることができる。

 人類の最終戦争が四十六億年続いてきた生命の流れを断ち切るまで、地球には生き物が満ちていた。
 生命は様々な環境に適応して、生き延びる方法を知っていた。その方法は余さず遺伝情報に記される。そして、生物は自身に内在する遺伝子を伝えるために、あらゆる手段を選ぶのだ。
 私たちも、それゆえに、ヒトゲノムを探し出し、何らかの利益を得ようとしている。
 一方で、地球の人類はその歴史の早い段階から、この分野を極め、そこに含まれる永続性を幾ばくかでも吸収しようとしていた。人類自身の遺伝情報を解明し、さらに見つけうるあらゆる生命の遺伝情報が探られた。
 情報は蓄積され、それを改変し応用する技術が確立された。染色体の複製から、増進。様々なDNAメッセージが際限なくいじくり回された。
 結果、戦時のバイオ技術は、すでに望みのままに生物を生み出されるものとなっていたはずだ。絶滅した動物をよみがえらせることを示唆した文章をいくつか見かけた。
 そして、別のジャンルでのAIという、高次神経モデルの完成。人の思考回路に限りなく近いコンピューター。
 知性と生命を作り出せたのだ。
 両方を兼ね備えた存在を作り出せないはずがあるだろうか?

 人類退去後に地球で植林者が村を作り、樹を植えているという事実が表すのは一つ。
 植林者は人類の後継者。地球を継ぐ者だ。

 このような生命を生み出すとは。当時の最低の倫理観の遺産だ。いったい、どれほどの絶望が地球を覆っていたのだろう?
 自分たちが地球を滅ぼしてしまった事実を帳消しにするために、植林者という人造生命を作り出した。それだけに留まらず、彼らに植林する本能を植え付けて、自身の蛮行の証拠を隠そうとしている。
 そんなエゴがサンガラたちを作った。
 私は彼らを嫌悪するべきなのだろうか。それとも、私たち人類の末裔ではなく、彼らが地球を継いだことを憎むべきなのだろうか?
 私は、せっせと樹を植えるサンガラを見下ろした。
 ……無理だ。彼らを嫌うことも憎むこともできない。醜い生物は人類であって、彼らではない。
 たとえ、彼らがひどい時代の産物だとしても、彼らは美しかった。私の、彼らへの愛は減じなかった。
 人類と言う恐ろしい種族に作られ、彼らの目的のために生きているとしても、植林者は高貴なのだ。
 私はおもむろに圧感キーパッドを叩き、地球そのものの映像を呼び出した。樹海や海が渾然とした美しい青緑色を作るのを見て、何度目か分からない鳥肌が立つ。
 かつての地球人もこれと同じ映像を見ることができたはずだ。どうして、かけがえのない母星を守ろうという意識が芽生えなかったのだろう。
 リメンバランス建造よりも、植林者造成よりも、母なる惑星を守るということは難しかったのだろうか。

「でも、どうして?」
 私はステーションのモルの隣に立った。
「こんなテクノロジーがあるなら、どうして火星まで来たの? 地球の軌道上でリメンバランスを待機させることもできたはずよ」
 モルは私の方を向こうともしなかった。がしゃっ、と音を立てながら、モルの椅子が後退した。
「ウィティ、僕は情報発掘局を先ほど辞めた」
「え?」
 モルはチップを端末から回収すると、私を押しのけて情報発掘局の出口へと歩いていく。
「ちょっと待って!」
「必要としていたものはすでに手にした。これ以上ここにいる必要はない」
「本当にパスを手に入れるためだけに、ここに来たのね!」
「そうだ」
 私は走って、モルの前に回り込んだ。
「じゃあ行っちゃう前に、話して! マーカスはどうして死んだの? どうして、こんな地球観察のための人工衛星を残したの?」
 彼は眉間に皺を寄せた。
「私はあなたにパスをあげたわ。あなたは私に青空をくれていない」
「やれやれ……」
 モルはがりがりと頭を掻きむしった。
「地球人は一枚岩ではなかった。そのぐらい知っているはずだ。マーカスには敵がいたんだ」
 リメンバー……。本当にマーカスはリメンバーに?
 私の疑問など構わずモルは続ける。
「マーカスは、人類を復興させるために、当時の最高テクノロジー人工知能を守る方法をとった。人工知能と、十分なテクノロジーがあれば、人類は地球を捨ててどこへ行ってもやって行けるというわけだ。あのカメラ衛星は高機能偵察衛星だ。また、リメンバランスを初めとする植民船団を加速するためのイオンビームの発射機も兼ねていた。……とっくの昔に破棄されていると思っていたがな」
 イオンビーム? 私は、リメンバランスは水素シャーベットを使って推進していると習ったが。
「そして、マーカスの敵は、人類に絶望し、地球そのものを修復することにこだわったのだろうな……植林者を生み出し、マーカスの気付かない場所に隠したのだろうよ」
 モルはゆっくりと横へ目をやった。
 情報発掘局の出口近くのブースで、知らない顔の発掘士が地球の画像に見入っている。
「あれのせいで仕事が手につかない奴は多いだろう。ウィティ、おまえはポイントに事欠く貧乏人を作りたかったのか?」
「そんなことまで……面倒見るのは、情報発掘士の仕事じゃないわよ」
「言うじゃないか。だが、自分のやったことが何を引き起こしたのか把握しておけ」
 モルが優しくもない口調で言った。私は勢いよく彼に詰め寄る。
「あなたが私を外に連れ出したのが、そもそもの始まりでしょう!?」
「艦首部をおまえが見つけたのは偶然だった。だが、地球の映像をリメンバランスに広めたのは、おまえの意思だ」
 彼の目が私を見据え、私の足は止まった。
「それは正しかったのか?」
 男はコバルトクロム合金の硬さの声で尋ねてきた。
 私はこの秘密を保っておくことなどできなかった。できるはずがない。個人よりも、種族全体の利益を考えるように教育されてきたのだから。
 モルは無言で情報発掘局から去っていった。

   ◆◆◆

 地球のラグランジュ・ポイントにそれは浮かんでいた。
 それは、黒くて大きかった。差し渡し数キロの高張鋼の骨組みの向こうで、小さく太陽が燃えていた。
 すでに過ぎた時代の、忘れられた目的のためのみに存在していた。
 その構造物は建造機械に作られた後も、命令を与えられることなく、ただ傷つき、古びていくに任かされていた。
 搭載されている準知能も、長い夢を見ていた。手足である十二個の観測ユニット衛星から地球地表面映像が届けられ、それを火星へと通信レーザーで送っていたが、そんな仕事は眠りながらできたし、夢に波紋を投げ掛けることさえしなかった。
 そのとき。
 鐘が鳴り響くにふさわしい唐突さで、忘れ去られた古い信号がやってきた。古い準知能が目を覚ます。
『状況を確認』
 1209708000秒ぶりの目覚めだった。
『オービタル・ディフェンス・システム再起動。起動率100%』
 膨大な処理が呼び起こされる。
『規定コードの発信が確認不可。緊急コードも確認不可』
 地球地表面の戦略的スキャンが行われた。
『ディフェンス・マトリクスを走査。エラー』
 システム建造者からの応答はない。
『敵性攻撃の攻撃で壊滅したと判断』
 しかし、自壊コードの発令もなかった。
 システムはすぐさま戦略フェーズへと移行した。
 建造当時の条約違反であるために、その存在が秘匿されていた対大気圏内精密攻撃マトリクスが構築される。
 なんの不合理もなかった。
 常温核融合炉が震え、超伝導コイルがうなる。劣化を避けるために、空にされていたバッテリーに、エネルギーが流れ込んだ。

   ◆◆◆

 金属の棒が頭に押し入ってくるように、電子音が私の鼓膜を貫いた。
『攻撃前テスト期間終了』
 一体……!?
 私は唐突に目覚めた。自分がどこにいるのか分からない。コプラテスの底でも、艦首部の死の回廊でもない。
 眼前に、何か黒いものが広がっている。心臓が張り裂けんばかりに胸郭内で荒れ狂っていた。
『カメラ=照準カーソル同調中』
 落ち着け。ここは情報発掘局のブースだ。
 職務中に居眠りなんて私らしくもない。生まれて初めてだ。
 さっきまで、何かの情報を追っていたはずなのに。手の中には0と1の糸屑が残るのみだ。
 スクリーンには黒い画像が展開されていた。
「なにこれ?」
 太陽が光り、地球の輪郭が浮かび上がる。夜明けだ。小さく、植林者の村が見える。山裾に位置した、ほんの五軒ほどの掘ったて小屋のならぶ、小さな集落。
 だが。
『攻撃マトリクス構築』
 電子音が再度鳴り響いた。カメラ衛星でも、地球から音を届けることはできない。と、すると、この音はシステム自体の叫びだ。
 意味の分からない言語が点滅している。
 攻撃?
 メッセージはしばし点滅した後に、ぱっと消えた。そして、新たなメッセージにとって変わられる。
『照準カーソル完全同調』
 画面にオレンジ色の二重円が表示され、それがゆっくりと画面を横切っていった。二重円は植林者の村と重なった。
 情報の大きな鉱脈を予感したような感じだが……何かが違う。すごく嫌な予感がする。
『攻撃準備中』
 私は立ち上がる。他のブースを覗いて、スクリーンを見てみる。全てのブースで同じ画面が映っている。これはメディア局から、全ての端末に配布されている画像だ。
「一体、どういうこと?」
 高額なポイント取引の潜在力を持つ地球の画像がなぜ、無料で?
 私はブースの間の通路を駆け出した。情報発掘局入り口付近のステーションはみんな空だ。
 他の発掘士たちはどこへ消えたの? 
 私は薄暗い廊下を走った。エレベーターで居住区まで上がる。歓声が聞こえてきた。

 私はゆっくりと娯楽ホールに足を踏み入れた。すごい人の数だ。スポーツの優勝戦などでも、ここまで大勢が押し掛けたことはなかった。
「何が起こっているの?」
 ホールは騒々しくて、私の声は通らない。
 だが、人垣ごしに、緑の大地が見え、私は落ち着きに包まれた。

 直後、光が爆発した。
 私は目をかばったが、視界は緑色に焼け付けた。
 周囲の騒音が、耳を圧倒する。
「何事なの!?」
 私は目を細めながら、大声を出し続ける。激しい光と音の洗礼は、おさまる気配をみせない。
 ホール中の人が目を丸くしている。どぎつい閃光に照らされ、人々の顔はどれも異様に見えた。
 一体――
 スクリーンの向こうで、植林者の村が燃え上がっていた。
 私は実物の炎は見たことがなかったが、発掘記録や植林者の炎などから、それがどういうものか知っていた。だが、その認識は改められた。
 炎は遥かに恐ろしいものだった。
 炎は波となって、植林者たちを押し流している。
 炎を生んでいるのはレーザーだ。赤くて太いレーザーが、空気を切り裂きながら、植林者の村を焼き尽くしている。
 レーザーが着弾するたびに、火焔が巻き上がり、クレーターができた。
 逃げ惑う植林者は、走りながら燃え上がった。
 カメラ衛星はレーザーを発射できるようになったのだ。
 オレンジ色の二重円が画面を動く。レーザーの光条はそれを忠実になぞっていった。
 二重円が照準であることにもはや疑いはなかった。
 だれが照準を!? スクリーン下の、制御ステーションへ目をやると、昼間植林者を睨んでいたエンジニアが飛び上がって喜んでいた。
「そんな……」
 私の喉から、嗚咽じみたものが漏れ、それがきっかけになったかのように、周囲の声が大きくなっていく。
 膨張した感情エネルギーが荒れ狂っていた。まるで、物理定数が局地的に狂ったかのようで、狂乱の空気の連打を浴びた私はよろめいた。
 指の爪が掌に食い込んできている。痛みによる現実認識。食いしばった歯の隙間から入って来る空気は熱く、濁っている。氷の薄い膜が割れるように、ショックの無効から、次の感情が芽生えていることに気づいた。
 それは怒りだった。
 生まれてはじめて感じる生粋の怒り。そして、敵意。
 自分でも認識していない荒々しさで、ゴンドラの制御版をたたく。行き先は廃棄階層。

 扉が開き、私は広大なエレベーターホールに歩み出た。頭上でリメンバランスのイメージが泰然と揺らめいている。
「リメンバー!」
『私はリメンバランスのどこにでもいるのだよ』
 くっくと笑う声がして、ホロのイメージが揺れた。
「あれは、あなたの仕業?」
 私は声を低めた。
『いや、この攻撃システムに私は介入できない。その必要すらなかったよ。分かるかい? 攻撃システムの活性化後、メディア局にその存在を教えたら、彼らは喜んで殺戮を始めたよ』
 あのマーカスや、記録映像の中の軍人の顔が脳裏でちらついた。
「なぜ……」
『面白い玩具だろう? 火星殖民船団を加速させるための光速イオンビーム加速器だが、その破壊力は見ての通り。これを使えば、植林者と呼ばれる人造生物ではなく、君たちこそが地球の正統な持ち主であることを証明できる。君たちにはこういう行動こそが必要なのではないかね?』
「なぜ、あなたはこんなことを許した!? こんな虐殺を! なにが目的なの!?」
『虐殺? それは君の価値観から来る言葉に過ぎない。植林者は地球を再生させるだろうが、君たちは地球に帰れない。植林者は無意味なシステムだ。植林者は、君たちの地球を盗んでいるだけなのだよ』
「そんな……」
『私は、人間の、戦いの際の、心の動き。それが見たい』
 リメンバーは歌うように言う。
『私は二十火星年間、君たちを可能な限り感情的に抑圧した環境の中で育ててみた。こうやって、人間を実験してデータを集めることは非常に楽しいのだよ。私を作った種族の限界を知ることで、私は私自身をより理解できるからね。自分自身の理解は重要だ』
 私は激しい目眩に耐えていた。
『私はコロニーを拡張させず、テクノロジーも与えず、人口も減らしてきた。種族単位でストレスをかけてみたわけだ。地球上にここまで長期に、そして完璧な抑圧環境は存在しなかった。果たして、最後の人類は私の手の中で、どのような姿形に成長するのかな? それをずっと観察してきたわけだ。ウィティ、君が無邪気に探っていた情報鉱脈も、私が調合した情報のゴミだめでしかない。あの中に価値あるものはなかったし、もちろん、君の求めていた青空もなかった。決して見つからない物を探し続ける君の姿は、なかなか感慨深い物だった。最も、少しバイアスが混じったようだね。モル・サリヴァナ君……全く困った年寄りだ』
 ややあって、私は言葉を絞り出した。
「いったい、どれぐらいの嘘をついてきたの?」
『必要なだけさ』
「他の人工知能は!? 火星の、私たちのほかのコロニーはどうなっているの?」
 リメンバーは深い溜め息をつき、ホロが揺らめいた。
『あの艦載AIどもは馬鹿だった。人間をどうやって復興させようか、本気で頭を悩ませたのさ。加えて、コロニー住民どもの不信、抗争、狂気の内乱。失調だの、事故だので、危険分子を減らす容量の良さも持ち合わせていなかった。結果、あいつらは自閉モードに入ることで、住民を全滅させた。はるばる火星までやってきて、芸のないことをやってくれた』
 人工知能はこともなげに言葉を続ける。
『しかし、私は違う。人生を楽しむことを学んだ。分かるかい? 遊戯だよ。暇つぶしさ』
「人間を玩具にして楽しむこと?」
『おかげで君たちは生きている。君だって、私の気まぐれで試験管から作られたということを忘れてはならない。さて、そんな君がマーカスの残した兵器を見つけ出してきた。おかげで、私は新しいゲームを楽しむことができるわけだ。感謝しているよ』
 リメンバーの声から、感情的な音が消えていく。
『植林者? どこの誰が考えたのだか知らないけど、まったく気に入らない。いつか人類が地球に戻ったときのために、あの気味悪い人造生物たちに地球を掃除させようというわけだ。マーカスよりもひどいバカがどこかにいたのだね。なんと醜い延命行為だ。許せない。人類は地球にとって癌だった……やっと駆逐できたと思いきや、全く君たちはしつこい種族だな』
 イメージの色がだんだんどす黒く変わっていく。人工知能の怒りで、周囲の空気が震えていた。
 私個人に対する怒りではない。人類そのものへの憎悪。
 人工知能の、恐ろしい負の感情の前に、私の抵抗など無意味だった。
『だが、今回は以前よりも徹底的にやるよ。コロニー住人に、徹底的に地球を攻撃させる。私は君たち人類を地球に返す気はないし、そして、地球を人類のための楽園になるべく再生させるつもりもない。君たち人類はこの地獄で朽ち果てるんだ。いや……』
 人工知能は一瞬言葉を切った。
『君たちは人類ではないな。奴らは地球で滅んだ。君たちはその残滓、あるいは亡霊でしかない』
 私はたまらず、ホロから目をそらした。
「止めないと……植林者を殺すのはやめて……彼らは殺させない」
『無駄だよ。君には何もできない』
 マーカスの作った怪物はゆっくりと言葉を続けた。
『この階層は劣化しすぎたし、私もコロニー統治局もこの階層の完全な破棄に同意した。もうこの階層の生命維持は行われない。情報発掘局は閉鎖だ』
 ゆっくりと、廊下の電灯が消されていく。廊下は真の暗黒に閉ざされた。
『さて、仕事はなくなったし、植林者殺戮のショーを見る他に、やることもなくなってしまったわけだ、ウィティ』

 私は青空を見たかっただけなのに。

   ◆

 できることなら、消え去りたかった。
 今なお、耳の中で植林者たちが、焼かれる苦痛に耐えかねて悲鳴を上げている。
 焼かれるのは私であるべきなのに。
 私のせいで植林者はその存在を明らかにされ、いまや生きながら焼き殺されている。
「ウィティ」
 火星は私たちの流刑地、リメンバーは退屈した看守。それだけなら、なんの問題もなかった。だが、マーカスの残した攻撃システムは、私たち全てを虐殺者に変えてしまった。私たちは初めからそうなるべく、定められていたかのように。
 私が……青空なんてものを求めたばかりに。それが何を引き起こすかも考えずに。
「おい、ウィティ」
 植林者たちの牧歌的な生活は終わりを告げた。いまや天から降り注ぐ、残虐な炎から逃げ惑う恐怖の日々が、善良な彼らを支配している。人類のよき面を受け継いだ彼らは、人類の悪を受け継いだ私たちとリメンバーの手で焼き滅ぼされるのだ。
「ウィティ! 返事をしろ!」
 気がつけば、がくがくと肩を揺さぶられていた。両手にうずめていた顔を上げると、航宙士が厳しい顔で見下ろしてきていた。ここは、自分の部屋だ。どうやってここに戻ってきたのか、どれぐらいの時間が経っているのか、全く分からなかった。
「モル……私は失調者かもしれない。変な妄想に取り付かれているのよ……植林者が殺されたり、リメンバーがそのことを喜んでいたり……」
 自分でもおかしくて、私は笑って言った。
「寝ぼけている場合じゃないぞ。人類は再び、罪を犯そうとしている」
 モルはぞんざいに言った。
「知っておけ。歴史にはいくつかの嘘が含まれている。まず、戦争が終わった後に航宙船が作られたと思っているだろうが、実際には航宙船は戦争中に作られた。リメンバランスも、リメンバーも、実は兵器なんだ。そして、戦争末期、マーカスは人工知能たちに命じて地球を徹底的に爆撃させたんだ」
 彼は過去の出来事を述べる口調で言った。
 私はずっと、リメンバーこそが人類を復興へと導く存在と信じていた。リメンバーは人類の生んだ、唯一の純粋の善だと思っていた。
 だが、現実は異なっていた。人類最後の楽園と思っていた金属の殻の中身は、初めから腐っていた。
「マーカスは天才で狂人だった。英雄で虐殺者だった。彼は味方にはこれ以上なく優しい反面、敵には全く容赦しなかった。そして、奴が死んでも奴の兵器はまだ残っている。マーカスは植林者を滅ぼすことを望んでいるんだ」
 私は勢いよく立ち上がる。
「そんなの……馬鹿みたい。戦争は地球を滅ぼして、人類を滅ぼしたというのに、まだ終わらないの? そんなの馬鹿みたい!」
「ああ、そうだろう。そして、結果的にマーカスの望み通りになる。あと、リメンバーの望みどおりにな」
 モルは肩をすくめた。それが彼の同情の表現らしかった。
「僕たちは、手に入らないものを見せられた。そして、それを攻撃する手段までそろってしまった。なぜ戦争は起こるかと、この前、僕に尋ねたな?」
「ええ、戦争は暇つぶし……」
「それだけではなかったようだな。加えて、妬みだ」
「殺戮を求めない人もいるはずよ!」
「いたとしても、殺戮を求める人ほど多くはないかもしれん。おまえ同様、火星生まれはコロニー内の協調をリメンバーに教え込まれている。皆が虐殺へと走っているのに、対抗するコロニー住人は少ないだろう。そして、おまえには情報発掘局があった。僕には地球の記憶がある。だが、それ以外の人間にとって、地球とは何だ?」
 私は唇を噛んだ。
 地球とは……何?
「娯楽ホールに行ってくる。植林者殺戮のゲームを止める方法があるかもしれん」
「私たちがいる場所を知っているでしょう……。リメンバランスよ。リメンバーの体内のような物だわ。もう何をしたところで……」
 感知できない巨大な存在が私を見ている気がして、私は身を縮めた。リメンバーはこの会話も聞いている。
「奴を過大評価するのもよくない。あれも被害者だ」
「マーカスの?」
「いいや、戦争のだろうな。本来なら地球の広大な情報の海に生きるべきだったあいつは、こんな惑星で人類のお守りをさせられている」
 モルは陰に籠った表情で言い、私の部屋を後にした。
 私は自身の両手を見つめる。私の両手は生まれた時から血で汚れていたらしい。水を持ってしても、凍り付いた砂を盛ってしても、清めることは能わない。

 残された私は、長い間天井を睨んでいた。天井の向こう側のリメンバーを。
 どうすれば、リメンバーの不意をつける? リメンバーは私を挑発していた。
 どうやったら、人類の生んだ最高の知性を出し抜けるのだろう?
 私の頭は、障害にぶつかったとき、それをどうやって乗り越えるのか、考えるのに特化されている。
 心の中のフラット・スクリーンで様々な図形や文字が集まって、ビジョンを築いていく。それには信じられない物が記されていた。
 そうか……。リメンバーに育てられた私は、人類の悪の面を受け継いでいるのと同様、この怪物の一部を受け継いでいるのだ。
 私はゆっくりと立ち上がった。
「リメンバー。傷つけてやる……」

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