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平成17年3月30日(水曜日) 衆議院 経済産業委員会 審議録

*クリアランス制度に関する部分のみ黒字で、その他はやや薄い字で表しています。

平成十七年三月三十日(水曜日)
    午前十一時五分開議
 出席委員
   委員長 河上 覃雄君
   理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君
   理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君
   理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君
   理事 吉田  治君 理事 高木 陽介君
      遠藤 利明君    北川 知克君
      小泉 龍司君    小杉  隆君
      佐藤 信二君    坂本 剛二君
      桜井 郁三君    菅  義偉君
      竹本 直一君    武田 良太君
      谷畑  孝君    西銘恒三郎君
      野田  毅君    馳   浩君
      平田 耕一君    望月 義夫君
      森  英介君    山口 泰明君
      山本 明彦君    大畠 章宏君
      奥田  建君    海江田万里君
      梶原 康弘君    菊田まきこ君
      小宮山泰子君    近藤 洋介君
      佐藤 公治君    高山 智司君
      中山 義活君    計屋 圭宏君
      肥田美代子君    村井 宗明君
      渡辺  周君    江田 康幸君
      塩川 鉄也君
    …………………………………
   経済産業大臣       中川 昭一君
   経済産業副大臣      小此木八郎君
   経済産業大臣政務官    平田 耕一君
   経済産業大臣政務官    山本 明彦君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁長官) 小平 信因君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁電力・ガス事業部長)      安達 健祐君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院長)     松永 和夫君
   政府参考人
   (資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長)    三代 真彰君
   政府参考人
   (環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長)   南川 秀樹君
   経済産業委員会専門員   熊谷 得志君
    ―――――――――――――
委員の異動
三月三十日
 辞任         補欠選任
  遠藤 利明君     桜井 郁三君
  嘉数 知賢君     馳   浩君
  大畠 章宏君     肥田美代子君
  中山 義活君     小宮山泰子君
同日
 辞任         補欠選任
  桜井 郁三君     遠藤 利明君
  馳   浩君     小泉 龍司君
  小宮山泰子君     中山 義活君
  肥田美代子君     大畠 章宏君
同日
 辞任         補欠選任
  小泉 龍司君     嘉数 知賢君
    ―――――――――――――
三月三十日
 有限責任事業組合契約に関する法律案(内閣提出第一七号)
同月二十五日
 中小業者への経営支援に関する請願(山口富男君紹介)(第五六八号)
 同(志位和夫君紹介)(第六六九号)
 被災中小企業に必要な救済措置に関する請願(泉房穂君紹介)(第五九八号)
 同(土井たか子君紹介)(第六〇七号)
は本委員会に付託された。
    ―――――――――――――
本日の会議に付した案件
 政府参考人出頭要求に関する件
 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案(内閣提出第四四号)
 核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)
 有限責任事業組合契約に関する法律案(内閣提出第一七号)
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     ――――◇―――――
○河上委員長 これより会議を開きます。
 内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
 この際、お諮りいたします。
 両案審査のため、本日、政府参考人として資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長三代真彰君及び環境省大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
    ―――――――――――――
○河上委員長 これより質疑に入ります。
 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。武田良太君。
○武田委員 自由民主党、武田良太でございます。
 このたび新たにメンバーに加えていただきましたことを厚く御礼申し上げますとともに、委員長を初め委員の諸先生方に心から御指導をお願い申し上げたいと思います。
 まず、二つの今国会提出されます法案の質問の前に、原子力の問題で一番大きな事故が発生した、昨年八月九日、関西電力美浜発電所三号機の件に関してお伺いいたしたいと思います。
 この事故は十一名が死傷するという重大なものであり、皆さんとともに御冥福とお見舞い申し上げたいところでございますが、経済産業省としましても、事故調査委員会を設置して原因究明と再発防止策の検討を行い、ちょうどけさ、最終報告が取りまとめられたと聞いております。この原因についてはチェックリストの記載漏れ等々が挙げられているようでございますけれども、今関西電力幹部の責任追及という声が大変多く上がっておるところでございますけれども、それよりももっと掘り下げた形での検証、そしてまた、改めてチェックリストの再点検というものを今十分に果たさなければならないと思っております。大臣の御決意を聞かせていただきたいと思います。
○中川国務大臣 おはようございます。
 今武田委員御指摘のように、昨年の八月九日に発生いたしました福井県美浜三号炉の二次系の爆発による、五人の方のとうとい命が失われ、現時点でも入院あるいはまた自宅加療中という方がいらっしゃるという大変痛ましい事故が発生をいたしまして、私も翌日現地に飛んでそのすさまじい状況を目の当たりにしてきたところでございますが、自来、事故調査委員会を設置いたしまして、十回にわたり大変熱心に長時間調査をしていただきまして、本日の朝、調査報告書がまとまり、朝田委員長さんから私の方に報告書をいただいたところでございます。
 もとより、原子力というものは安全性が大前提であり、それに基づいて、地元の関係者を初めとする国民の皆様の信頼というものが前提で、初めて原子力エネルギーというものが日本の基幹エネルギーとして位置づけられるわけでございますけれども、今回、それらが大きく損なわれていったわけでございます。改めて、この場をおかりいたしまして、監督行政の責任者として、私からも国民の皆様におわびを申し上げなければならないと思っております。
 と申しますのは、もちろん一義的には、報告書でもはっきり出ておりますけれども、関西電力、それから三菱重工といった主要関係者の長年のいろいろなミス、あるいはまた内部的な手続の不十分さ、そして、不十分な手続ですら守られていなかった、あるいはまた関電と重工との連携ミス等々、さまざまな御指摘をいただいたところでございますし、また、私どもの原子力安全・保安院に対しましても、今後、きちっとさらに厳しく保安行政をしろという御指摘もいただいたところでございますので、責任の大きさを感じ、二度とこういうことがないように、行政としてもさらに監督行政を強化し、厳しく監督し、そしてまた、何よりも、事業者である関西電力あるいはまた三菱重工等々につきましては、本当に国民の信頼を得るために、最大限の、できる限りの努力を、最高責任者から一従業員の方々に至るまで全員を挙げて努力し、報告書で求められたことを緊急に実施していかなければならないというふうに私どもは厳しく指導して、そして一日も早く安全性の確認、あるいはまた地元の信頼等に基づく原子力の再開に向けて努力をしていかなければならないというふうに考えております。
○武田委員 再発防止にくれぐれも全力を挙げて取り組んでいただきたいと思います。
 それでは、二法案のうちの一つ、まずは再処理等積立法関連について御質問させていただきたいと思います。
 我々の生活におきまして、エネルギー、そしてまたそれに伴う環境問題というものは切っても切れない問題でございますし、だからこそエネルギーと環境問題というものをあわせて考えていかなければならないわけでございます。
 御承知のとおり、本年二月十六日に京都議定書が発効されまして、我が国は一九九〇年比で六%のCO2削減という高いハードルを課せられておるわけでございます。しかしながら、その後もCO2の量はふえ続けまして、二〇〇三年段階での排出量は速報値で八%プラスとの状況にあるわけでございます。これまでの取り組みは、平成十四年三月に閣議決定されました地球温暖化対策推進大綱において示されまして、官民を挙げて進められてまいったわけでございますけれども、現在まだ多くの課題が残されておると言わざるを得ません。
 今国会において、原子力発電の環境を整備するための必要な措置としてこの法案が提出されておるわけでございますけれども、この議定書の約束を実現するための大きな課題の一つとして、原子力発電のさらなる推進は極めて重要な課題であると思います。折しも、昨日三月二十九日に、地球温暖化対策推進本部で京都議定書目標達成計画案がまとめられました。この計画において、原子力発電を一層積極的に位置づけることが必要となってまいろうかと思います。
 この法案を提出するに当たりまして、原子力発電が二酸化炭素削減の点でどのような効果を持ってまいるのか、そしてまた、地球温暖化対策においてその役割がどのようなものであるのか、明確に示していただければと思います。
○中川国務大臣 昨日、武田委員の御指摘のような会議において方針が決定されたところでございます。
 もとより、原子力発電というのは、先ほどの繰り返しになりますけれども、安全性とそれから地元を初めとする国民の皆様の御理解というものが大前提でございますけれども、その上に立って、やはり原子力エネルギーというものは我が国の基幹エネルギーとして今後ますます重要になっていく。これは、安価であるとか供給安定性があるとか、いろいろなメリットがございますけれども、地球環境という観点からも、CO2をほとんど排出しないということ等を考えますと、環境面からも極めて重要なエネルギーであるというふうに考えております。
 例えば、二〇〇三年に八%になってしまった、マイナス六%にしなければいけないのに八%になってしまったということでございますけれども、仮にあのとき、東電初め多くの原子力発電所がストップしてしまったわけでありますけれども、これが順調に稼働しているとしますと、八%からマイナス四・九%CO2が削減されていたというデータもあるわけでございまして、八%ではなくて三・一%プラスであったということでありますから、いかに、原発がストップして、普通の火力発電所になった結果、CO2が四・九%もふえてしまったかということでございます。
 今後も原子力発電をふやしていきたいというのが政府の計画になっておりますけれども、どの程度出てくるかわかりませんけれども、二〇一〇年までに稼働がある程度見込まれているものを計算いたしますと、これでもってCO2削減効果が一・七減るという試算を我々は持っているわけでございまして、先ほどの四・九と合わせますとマイナス六・六という効果になりますので、CO2削減あるいはまた温暖化対策という観点からも、原子力エネルギーというものは極めて大きな役割を果たすというふうに考えております。
○武田委員 マイナス六・六という本当に大きな数字が、原子力発電のおかげをもってこれが実現されるということは、本当に我々も期待するところではございますけれども、今大臣がおっしゃられましたように、原子力に関しては、まず安全の確保というのがもう第一前提でございます。そして、この安全、またいろいろな問題に関しては、国においても、今日まで、原子力発電所、またその関連施設におけるいろいろな広報活動が広範囲にわたり、またきめ細かく行われてきたことも承知しております。
 しかしながら、なかなか国民にはそれが理解していただけない。それは、いろいろな要因があるんでしょうけれども、一つには、マスコミがやはり事故ばかりを取り上げる。我々としては、やはり原子力発電所がどういう効力をもたらすか、我が国にとってのエネルギー政策上かけがえのないものである、そうしたことをもっとPRすべきだと思います。そうした中で、もう一個は、安全だ安全だということを余りにも強調する余りに、人間でも同じと思いますけれども、私はいい人間だ、いい人間だと言われている人に余りろくな人がいないと言われるように、余り安全だと言われ続けたら、そんなに危険なものかなんというふうに思われがちな面もあると思うわけでございます。
 これは、広く多くの国民の皆様方に、今からの時代、原子力発電が必要なものであるということを理解していただくため、そのためには、安全確保というものをもっと訴えなければならないのはわかりますけれども、必要に関してももっと幅広い広報活動を展開していただきますこともお願い申し上げたいと思いますし、また、地球温暖化問題というものがどんどんクローズアップされていく中で、原子力発電の今日までの位置づけ並びに評価というものが大きく変わってきていると思っております。もっと前向きに、そして戦略的な取り組みが必要と思いますので、この点に留意して頑張っていただきたいと思います。
 そしてもう一つは、電力自由化と原子力発電との関係でございます。
 今回提出されました再処理等積立金法案、これとあわせて措置されました使用済み燃料再処理準備金制度の契機になった、これは、本年四月一日に実施されます一連の電力自由化が原因となっておると思うわけでございますけれども、平成十五年に電気事業法等の改正でもってこれがなされたわけでございますけれども、この電気事業法の一部改正法の成立に当たりまして、こういう附帯決議がなされております。
  特に、原子力発電のバックエンド事業については、国の責任を明確化した上で、徹底した情報開示と透明性の高い国民的議論の下で、官民の役割分担の在り方、既存制度との整合性等を整理し、経済的措置等具体的な制度・措置の在り方について早急に検討を行い、平成十六年末までに必要な措置を講ずる
こういう附帯決議がなされておるわけでございまして、その政府部内での検討を進めてこられたと思うわけでございますけれども、電力自由化が進展してきまして、余りにも初期投資が大きくなり過ぎる、そしてまた回収には余りにも長きの時間を要する、そうした状況の中、事業者が投資に対して非常に腰が引けてくる状況が生まれると思います。
 また、バックエンド事業については、その投資リスクというものがかなり大きくなってくるということで、原子力発電に対します投資環境というものを整備する観点から、今回の法案というものが具体的に何をしようと、何を目的としようとしているのか、これを明確にしなきゃならないと思います。
 そしてまた、使用済み燃料の再処理に関しまして、電力会社が今日まで引当金の積み立てを内部留保という形で行ってきた、これに対しまして本法案は、資金管理法人への外部積み立てを義務づけるということとなっております。内部留保から外部積み立てとしたところの意義、この内容についてお伺いしたいと思います。
 そしてまた、これまた重要なことなんですけれども、この積立金が十二兆六千億円と大変大きくなる見込みでございまして、この大きな金額が確実に再処理に使われるのかどうか、この点について政府としての見解をお伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
 再処理等の事業につきましては、今先生から御指摘ございましたように、大変長い期間が必要でございます。また、その費用につきましては、発電コストの一部をなしておりますので、電気料金として回収されることになるわけでございます。したがいまして、必要な資金を安全かつ確実に、また透明性が担保された形で確保していくことが必要でございます。
 一方、これもまた御指摘ございましたように、ことしの四月から電力の小売自由化の範囲が大幅に拡大されるわけでございますけれども、こうした中におきましても、核燃料サイクルを含めました原子力発電を着実に推進することが必要でございます。
 この法案におきましては、電力自由化が進展することを踏まえまして、再処理等の事業が確実かつ円滑に進められるように、電力会社に対しまして、これまでは内部の形で準備金で積んできていただいておりますけれども、今回の法案によりまして再処理等に必要な資金を外部に積み立てることを義務づける、そのことによりまして、その資金を安全かつ確実に、また透明性が担保された形で確保されるということになるわけでございます。
 また、積み立てられました資金でございますけれども、これはまさに御指摘のとおり、再処理等に要する費用の支出に適正に充てられることが不可欠でございます。このため、電力会社が積立金を取り戻そうとする場合には、取り戻しに関します計画の作成を義務づけまして、経済産業大臣の承認を受ける、国による厳格なチェックを行うことといたしております。また、積立金の管理を行うことになります資金管理法人が、取り戻されました積立金が確実に再処理等事業に支出されることを確認する業務を行う、そのことによりまして適正な支出を確保することにいたしております。
○武田委員 この法案についても、とにかく国民の理解というものを深めるためには、透明性の確保というものに十分に注意をお願いしたいと思っております。
 続きまして、次の原子炉等規制法関連に対する質問に移らせていただきます。大臣も大変お詳しい分野だと思いますけれども、核物質防護対策強化についてでございます。
 九・一一のテロ以降、国際的にもテロに対する対策を強化すべきだということがますます高まっておりますけれども、昨年の十二月に「テロの未然防止に関する行動計画」が取りまとめられたところであり、我が国としても総力を挙げてテロ対策に万全を期していかなければならないと思っております。
 中でも、原子力施設というものがテロに攻撃されたり、そしてまた、万が一テロの手に核物質が渡ることになれば、これは大きな国際的な脅威をもたらすことになりかねないわけでございます。そういうことから、核物質防護対策の強化というものは一刻の猶予も許されるものではございません。
 一九九九年にIAEAは既に核物質防護対策の強化というものを制定されておる、それから今日まで約五年間が経過されておって、今になってようやく日本はその制度の水準に追いつこうとしておる。これは私としては大変対応が遅かったのではないか、こういうふうに思っておりますけれども、見解をお聞かせいただきたいと思います。
○小此木副大臣 私からお答えを申し上げますが、今委員が御指摘をされましたIAEAが作成した核物質の防護に関するガイドライン、確かにこれはございますけれども法的な拘束力はない、日本は日本としての国情によって責任を果たしていくということであると私は認識をしております。
 改正される前の原子炉の規制法が日本としてはありまして、この規制法の中で厳格に防護措置が講じられてきたというふうにも思います。また、日本としては、米国の同時多発テロというものが起こって以降、我が国の原子力発電所等において、特別の警察部隊ですとか海上保安庁の巡視船艇による二十四時間体制での警備も実施をしてきたところであります。
 しかし、まさに今御指摘されましたように、遅きに失しないように、その後もテロの脅威というものは高まってきているわけでありますから、総合資源エネルギー調査会に設置した原子力防災小委員会等で幅広く議論をいただいた結果、今回法律の改正に踏み切った、こういう認識でございます。
○武田委員 未然にテロを防ぐためには、やはりありとあらゆる危機の想定、それに対応するスピーディーな対応というものが必要となってくると思います。
 この法案の改正では、事業者のテロに対する対策を強化するものでありますけれども、まずは事業者自身がテロから施設を守るという物すごい強い意識を持っていただかなくてはなりません。
 しかしながら、テロにもいろいろなケースがございまして、例えば、武装したテロなんというものがやってきた場合に、これは到底生身、素人の事業者、そしてまた経済産業省では対応できない部分だと思うわけでございます。こうしたときに、我が国は警察庁でありますとか海上保安庁でありますとか、そういう公安当局があるわけでございますけれども、この公安当局との連携がどのようにこの法改正でもって強化されておるのか、お聞かせいただきたいと思います。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
 今般の法律改正に関連いたします、今御指摘の警察等治安関係機関との連携につきまして申し上げますと、まず、この法律に基づきまして当省が導入いたしますDBT、設計基礎脅威の策定に当たりまして、治安担当機関でございます警察庁及び海上保安庁から情報、知見等の提供の協力を受けることになります。また、各原子力施設事業者の核物質防護規定の認可をするに際しまして、国家公安委員会及び海上保安庁から意見を聞く、そういう規定を置いてございます。
 さらに、国家公安委員会等が核物質防護関連の法規定の運用に関する意見陳述を行うために必要な限度におきまして、警察庁及び海上保安庁の職員が原子力事業者等の事務所等に立ち入り、検査、質問することができるような規定を追加しているところでございます。
 当省といたしましては、今後とも治安当局との密接な連携を図ってまいりたい、かように考えております。
○武田委員 それと、今回の改正の目玉とでも言える核物質防護検査官についてお尋ねいたしたいと思います。
 今日まで、国が、事業者自体が適切な防護対策を講じておるかどうかというふうな検査を果たしていなかった。今回は、この制度を導入することによって、一定の期間で、検査官が、事業者がそういう防護対策をきちっとやっておるかどうかというものを検査に入れる、これは本当に重要なことだと思っております。
 この検査官に関してなんですけれども、やはり防護に関して十分な見識を持った方じゃないといけないと思いますし、またいろいろと人格的にもやはりすぐれた方じゃないといかぬと思います。それはなぜかと申しますと、先ほどは外部からのテロの話をしましたけれども、もう一個、内部からの危機というものも我々は考えていかなければならないと思います。
 この内部からの危機というのは、そこで従事される方に対しては大変失礼に当たるかもしれませんが、あらゆる危機の想定をするという上で、内部の従業員の方々が、例えばテロと内通しておったりするケース、それともそこの従事者自身が破壊活動を行うケース等々内面的な問題も相当あると思うわけでございます。
 だからこそ、その罰則規定、そしてまた守秘義務とかそれを犯したときの罰則規定等も盛り込まれておるようでございますけれども、しかしながら、ここで重要視しなきゃいけないのは、慎重に対応していかなきゃならないのは、やはり個人のプライバシーというものは保護していかなきゃいけない、たとえどういう理由であっても、個人は個人としてのプライバシーというものを大事にしていかなきゃいけない、そういうふうに思うわけでございます。
 そういうことで、個人のプライバシーの問題など、慎重に検討を進めていかなくてはいけない問題もありますけれども、ぜひともしっかりと対応していただきたい。見解をお聞かせいただきたいと思います。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
 今御指摘のいわゆるインサイダー、内部者の脅威でございますけれども、これまでも原子力事業者におきましては、当然のことながら、所内における教育の徹底等で一定の対策は講じております。ただ、このインサイダー対策につきまして、諸外国の情勢等も踏まえながら、さらに一層の強化を検討するべきではないかということは非常に重要な課題だと考えております。
 したがいまして、現在、総合資源エネルギー調査会に設置をされました原子力防災小委員会におきまして、ことしの一月から、従業員の信頼性の確認を行う必要性あるいは実効性等について今検討しているところでございます。
 ただ、御指摘のとおり、これは民間企業活動に対する国の過度の介入あるいは個人のプライバシーの問題等、非常に難しい問題もございまして、現在、個人情報保護法あるいは労働法等の各種の法令の専門家の御意見を十分に踏まえながら慎重に審議をしているところでございまして、できれば四月中に一定の報告書を固めたい、こんなペースで今検討しているところでございます。
○武田委員 もう時間がありませんので、大臣に、くれぐれも核物質防護対策に手抜かりがないように、そしてまた、事故、何かがあれば国際社会の信用を著しく失う。念には念を入れて、緊張感を持った対策を講じていただきますことをお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、クリアランス制度というものが導入されることとなっておりますけれども、このクリアランスレベルについて質問させていただきたいと思います。
 このクリアランス制度を新たに創設することによって、やはり一定の数値以下の、これはミリシーベルトというんですけれども、人体に与える影響が年間〇・〇一ミリシーベルト以下となるものについては一般廃棄物と同じ扱いをしていいんだということでございます。
 しかしながら、この数値というのは、専門家にはよくわかると思うんですけれども、一人一人の国民の皆様、また我々にとっても余りよくわからない。本当にこれが人体に対して悪影響がないということが証明できるのかどうか。そしてまた、この〇・〇一ミリシーベルトという数字の妥当性が確立されたとしましても、今からクリアランスされたものが世の中にどのように出回っていくのかわからない。もしかすると我々の生活環境の中にも入ってくるかもしれません、住宅建材だとか日用雑貨だとか。そうしたありとあらゆる場面を想定して、どんな場合でも絶対にその〇・〇以下であったならば人体に悪い影響を及ぼさないとするならば、〇・〇以上は被曝しないものとするという確固たるものが必要と思うわけでございます。どのようなシナリオに基づきましてクリアランスレベルが算出されるかについてお聞きいたしたいと思います。
○平田大臣政務官 大変重要な御指摘をいただいておりますし、もう既に御高承だとは思いますけれども、年間〇・〇一ミリシーベルトは、一人当たりで自然放射線が、世界平均で申しますと年間二・四ミリシーベルトでございまして、その二百分の一になるわけでございます。
 したがいまして、これはもともとIAEAの安全指針の数字を用いて算定をしたわけでございますけれども、国際的に人の健康に対する影響のないレベルと考えておるわけでございます。これはぜひ、原子力施設から発生する廃棄物につきまして、今さまざまな再生利用、処分等も考えていかなければならない事態でございますので、こういう二百分の一という安全な数字を出して設定をしたものでございます。今後とも、さらなる広報、信頼を得るために広報活動をしっかりと引き続き継続してまいりたいと思います。
○武田委員 クリアランスレベルは、これは省令で制定するということで、まず重要なのは、政府が恣意的にこの設定や変更をするものでないということを国民に示す必要があるかと思います。
 そして、最後となりましたけれども、きょうは環境省さんもお見えいただいておると思いますけれども、クリアランスされた後の取り扱いについての御質問をさせていただきたいと思います。
 クリアランスされたものというのは原子力施設の外に搬出されるわけでございますけれども、搬出するのであれば、そこの受け皿がきちっとしていかなきゃならない。受け皿というのは紛れもなく産廃業者でございます。この産廃業者がしっかりとした安全性に関する知識を持っていなければ、施設から運び出そうにも運び出せなくなってまいります。こうしたものが、きちっとした連携を持って果たさなければ、このクリアランスされたものの安全性に問題がなくても、この制度自体がきちっと機能していかなくなってしまうわけでございます。
 したがって、経済産業省は環境省と緊密に連携をとって、そして環境省は、この廃棄物行政というものがほとんど自治体にゆだねられている現状を踏まえて、自治体にもその安全性というものの周知徹底を図っていただく。経済産業省そして環境省、産廃業者、自治体、この四つがうまく連携をしていかなければ、この制度自体が十分に機能していかないと思うわけでございます。
 そこで、経済産業省、環境省それぞれから、この制度の理解増進のための両省の連携に向けた意見を聞かせていただきたいと思います。
○松永政府参考人 御指摘のとおり、クリアランスされたものは発電所の外へ出ますと産業廃棄物になりますので、私どもと環境省との連携というのは非常に大事なことになります。
 法案におきましては、クリアランス制度を所管する経済産業大臣が、環境大臣に対しまして、クリアランスされたものの円滑な処理に向けて必要な協力を求めることができる、そういう枠組みを設けております。さらに、今御指摘の地方自治体の役割でございますけれども、これまでも地方自治体の皆様方に対しましては説明会を累次開催しておりますけれども、法案成立後、さらに環境省と連携を図りながら、自治体あるいは産業廃棄物処理業者の皆様に対する理解の促進に努めてまいりたい、かように考えております。
○南川政府参考人 お答えいたします。
 当然ながら、このクリアランス制度を円滑に動かすためには、経済産業省、環境省の密接な連携が必要でございます。私どもにおきましては、クリアランスの結果を経済産業省より逐次連絡を受けることにいたしておりまして、適宜環境省としても調査を行った上で、必要な場合には適切な措置を要請するといったことで、安全に万全を期してまいりたいと考えております。
 特に、今後でございますが、地方公共団体、また産業廃棄物処理業者に対して、このクリアランス制度の理解を促進してまいります。そして、両省で連携の上、調査あるいは対応のマニュアル、こういったものを策定して周知徹底するなど、国民の安全、安心が十分確保されるように十分な措置を講じてまいりたいと考えております。
○武田委員 原子力の平和利用と安全確保、科学技術の発展に全力を挙げて取り組んでいただきますことをお願い申し上げたいと思いますとともに、私は産炭地の地元でございまして、まだ石炭問題も未解決の事項というものが山積いたしております。またあわせてそうした問題にも御尽力いただきますことをお願い申し上げまして、質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○河上委員長 次に、高木陽介君。
○高木(陽)委員 公明党の高木陽介でございます。
 今回の原子力二法の質問をする前に、先ほど武田委員も冒頭にお話がございました、本日、関電美浜原発事故の事故調査委員会の報告が出てくるということで、後ほど当委員会の理事会でもその報告を受けるようになっております。
 この問題、まさに事故が起きた当初から、本当に多くの国民が原子力に対しての不安、これを感じてきた問題でもございますし、この調査報告をもって終わりにするのではなくて、またこれをさらに原子力の安全確保に対しての再スタートにしていただきたいと思います。
 また、それに伴いましてというか、関電の方も社長が辞任をするというようなことになりまして、ただ、この発表の仕方また報道のされ方、マスコミ等もかなり批判的にそれをとらえておりまして、当委員会でも午後はこの審議が打ち切られるという形となっておりますし、この問題についてはしっかりと当委員会内で論議をさせていただきたい、このことを最初に申し上げたいと思います。
 その上で、まず最初に今回の積立金法案の問題をお伺いしたいと思うんですけれども、今申し上げたように、原子力の安全の問題というのはかなりというか、ほとんどの方々がこの問題、安全というテーマについて関心を持っている。もう少し申し上げますと、私自身もまたうちの党も、この原子力発電に関してはしっかりと推進をしていかなければいけない。特に、資源のない日本において今後のエネルギー問題ということは本当に重要な課題であり、この原子力をどう活用していくのか、生かしていくのか。こういった問題のある中で、原発のメリット、これは核燃サイクルとあわせましてやっていかなければいけない、これはすごく理解をするんですけれども、何度も申し上げます安全、この問題についていろいろと取りざたされる。特にこの核燃のリサイクルについて多様な意見がございますね、批判もいろいろと出てまいりますし。
 やはりこういったエネルギー問題、国民の生活にとって重要な問題でございますから、これを進めていく上において幅広い理解、いわゆる国民の理解がなければ進められないということで、この核燃のリサイクル、これはちょっと大きくとらえますけれども、この政策の推進について、まず大臣、どのようにしていくのか、お考えをお聞かせ願いたいと思います。
○中川国務大臣 エネルギー基本計画あるいはまた原子力長期計画等々で長期間濃密な御議論をいただいておりますし、また、当委員会を初め国民を代表する国会の場でもいろいろな御議論をずっと、私自身何回も御質問をいただき、また答弁させていただいております。また、国民の皆様にも、また御地元を初め国民全体に広くいろいろな意見をいただいて、また議論をしていただいて、進めさせていただいているところでございますけれども、今、高木委員の御指摘のとおり、安全であるということがもう大前提であります、巨大なエネルギー施設であるわけでございますから。しかも、これは核物質を使ったエネルギーであるということで、当然安全であるということが第一。
 そしてまた、安全であるだけではなくて、先ほど武田委員からも御指摘があったように、国民に対してきちっとした情報提供をする。これは何もいいことだけではなくて、いろいろなことをすべて国民にきちっと情報提供をする。その上で、御地元を初め国民の皆さんの御理解をいただきながら原子力エネルギー行政を進めていきたいと思っております。
 今までは、どちらかというと単発の原子力についてどういうふうにしていくかということでございましたけれども、いよいよサイクルという一つの循環の中での作業の中でこの法案を御審議いただいているわけでございまして、そういう意味で、ある意味では一たん燃やした原子力エネルギーが再処理することによってまた新たなエネルギーに生まれ変わるということを、リユースといいましょうか、最近はやりの言葉で言いますともったいないといいましょうか、使えるものについては使っていくということが、もともと安定的であり安価であるこのエネルギーをさらに再利用していくということを、我々としてはぜひ安全とか理解とかいうことを前提にして推し進めていきたい。
 もちろん、いろいろなお考えがあることも承知をしておりますけれども、議論を尽くした上でこのサイクル事業を推し進めていきたいというふうに考えているところでございます。
○高木(陽)委員 今、大臣のお話がありましたように、国民の理解を得る、これが一番重要な部分であるかなと思うんです。
 このサイクル事業が、みんな話を聞くと、なるほど、いいなと。今、マータイさんの話ですね、もったいないという言葉。まさにしっかりと循環型にしていくという、これも我が党がずっと主張してきた政策でございますので、推し進めていただきたいんですが、これは一方的にやってしまうと、またこれが反発を受けて、本当にボタンのかけ違いが大変なことになるということで、この点はしっかりとやっていただきたいと思います。
 その上で、今回の法律、使用済み燃料の再処理等の必要な資金、これはあらかじめ外部に積み立てること、こういうことでございますけれども、六ケ所村ではもう商業用再処理工場がほぼ完成しつつある。この六ケ所で再処理される使用済み燃料に対応した積み立てのみを行うということですけれども、六ケ所で再処理しようとしまいと、使用済み燃料はいずれ再処理される以上、六ケ所工場で再処理されない使用済み燃料に対応した積み立て、これも行うべきではないかと思うんですけれども、この点についてはいかがでしょうか。
○小此木副大臣 中間貯蔵をされた後の使用済み燃料についても、最終的にはすべて再処理をするというのが我が国の基本方針であるということはまず言えることなんです。
 しかしながら、当面は貯蔵し、将来再処理を行うこととする使用済み燃料については、昨年の十一月に取りまとめられた原子力委員会新計画策定会議の中間取りまとめにおいて、六ケ所再処理工場に続く施設については二〇一〇年ごろから検討が開始されることとされており、現時点においては再処理等に要する費用の合理的見積もりができないということ、また、本法案に基づく積立額については、発電コストの一部をなすことから電気料金として回収されることとなるため、そのような費用についてまで積み立てを義務づけた場合には、需要家に対し適正性を欠く負担を強いることとなる可能性があるということから、当面貯蔵される使用済み燃料については、二〇一〇年ごろから検討が開始されることになっている六ケ所再処理工場に続く施設の建設計画が具体化して、再処理等に要する合理的な見積もりが可能となった段階で、適切な検討を行った上で積み立てさせることとしております。
○高木(陽)委員 中間貯蔵、これはこれで理解するんですけれども、核燃料のサイクル事業が円滑に実施されるためには十分な中間貯蔵施設が確保されなければならないわけですね。この立地状況、現状、これはどうなっているのか。
 もう一つあわせてお伺いしたいのは、電気料金の話も出ました。最終的にはこの積立額というのは電気料金に転嫁される。電気料金というのは生活にとって負担となってくるというか、国民生活にとっては重要な問題であるということで、電気料金にどのような影響が出てくるのか。負担増加はすると思うんですけれども、ここら辺のところもあわせて御説明をいただきたいと思います。
○小平政府参考人 まず中間貯蔵施設でございますけれども、これは、現在事業者が二〇一〇年までに操業を開始すべく準備を進めております。
 具体的な動きといたしましては、東京電力が青森県むつ市への中間貯蔵施設の立地を計画いたしておりまして、昨年二月に青森県及びむつ市に対しまして立地協力の要請をいたしました。現在、青森県とむつ市によりまして、立地の可否に関しまして検討が進められているところでございます。
 私どもといたしましても、この中間貯蔵施設の円滑な立地が確保されるように、今後とも広聴・広報活動に積極的に取り組んでまいりたいと考えております。
 次に、電力料金につきましてのお尋ねでございます。
 この法案によりまして費用の外部積み立てを電力会社は行うわけでございますけれども、この費用相当額は料金原価に織り込まれまして、電気料金として回収されることになるわけでございます。
 他方、電力各社が料金において具体的にどう扱うかにつきましては、この再処理等に要する費用を考慮するということだけではございませんで、その他の費用の動向でございますとか、経営効率化の進展状況などを総合的に判断した上で実施をされることになりますので、いつ料金改定が行われるのか、また電気料金が値上がりするかどうかにつきましては、現時点では確たることは申し上げられない状況にございます。
 他方で、原子力発電におきますバックエンド事業に要する費用だけで見ました場合には、総合資源エネルギー調査会の電気事業分科会の試算によりますと、現在既に行われております内部留保型の準備金制度におきましても料金回収を行っておりますので、今回の制度改正の前後におきまして、需要家の負担に大きな影響が出ることはないというふうに考えているところでございます。
○高木(陽)委員 今、長官が電気料金に大きな影響を与えることはないという言い方も最後にされましたけれども、ただ、やはり生活にかかわる問題でございますので、各電力会社がどういうふうにそれに転嫁するのか、していかないのか、こういうことも含めて、ここら辺のところは細かく常時説明責任を果たしていただかなければいけないであろう。特に公共料金でありますから、電気料金というのは。そういう部分では、国民が納得するような形、これを十分に配慮していただきたい、このように申し上げておきます。
 もう一つ、積立金の運用ですね。この積立金というのは極めて公共性の高い資金ということになってくると思うんですけれども、この残高が将来的には三兆程度になるというふうにも伺っております。この公共性の高い三兆円程度の資金について、これは運用を失敗しますとまた大変なことになる。これまでにも、去年年金の論議がありましたときに、年金の積立金の運用がどうのこうのといろいろと国会でも議論になりました。そういうようなことで、この積立金をどのように運用していこうと考えているのか、ここら辺のところを具体的にお聞かせ願いたいと思います。
○安達政府参考人 積立金の運用についてのお尋ねでございますが、資金管理法人に積み立てられました資金は、極めて長期間にわたる核燃料サイクル事業に備えるものでございます。そういった意味で、長期間でございます。それから、御指摘のとおり、安全かつ確実に管理される必要があると認識してございます。
 このため、資金管理法人が行う資金の運用につきましては、その方法を本法案第十四条第一項において法定してございます。すなわち、「国債その他経済産業大臣の指定する有価証券の保有」、「銀行その他経済産業大臣の指定する金融機関への預金又は郵便貯金」、三番目でございますが、「信託業務を営む金融機関への金銭信託」に限定することとしてございます。
 具体的な資金管理法人が行う資金運用についてでございますが、基本的には、国債その他安全な有価証券の保有等で行われるということが原則でございますが、電気事業者が再処理のための資金を取り戻す際に必要となる分につきましては、流動性を確保する観点から、短期間の金融機関への預け入れ等によって行われるものと考えてございます。
 いずれにいたしましても、当省としては、資金の運用に当たっては、安全性、確実性を旨とし、長期安定的運用が行われるよう十分監督をしてまいる所存でございます。
○高木(陽)委員 今のお言葉、きれいなお言葉なんですけれども、本当にこういった問題はしっかりとやっていただきたい。またここら辺のところでミスが出ますと、ここでまた信頼が損なわれるということですね、よろしくお願い申し上げたいと思います。
 この法案について最後の質問になりますけれども、最終処分場について。
 この法案が成立しますと、原子力発電のバックエンド事業、これについてはより一層の環境整備が図られてくる。ただ、先ほど小此木副大臣の答弁にもございました、大切なのはバックエンド事業の高レベル放射性廃棄物の最終処分ですね。既に環境整備の法律が制定されているけれども、いまだ場所が決まっていない。これは超長期の事業であるけれども、この選定に当たっては、いろいろな地域のそういう問題等々があるけれども、最終処分場の選定を初め、この最終処分事業の円滑な実施に向けて、大臣はどのようにお考えなのか、お聞かせ願いたいと思います。
○中川国務大臣 核燃サイクルの最後の段階、つまり最終的な廃棄物、その中の高レベルのものについては、当然これはきちっとサイクルの中で位置づけていかなければいけないわけでございますが、一つには、まだまだ作業に時間的な余裕があると言ったら変ですけれども、我々、今慎重に作業を進めているところでございます。
 特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律というものに基づきまして、実施主体として原子力発電環境整備機構というものを設立したところでございますけれども、最終処分したものが本当に放射能を発することがなくなるのにこれまたとんでもない時間がかかるわけでございますので、超長期的な観点からこの問題に取り組んでいかなければいけませんけれども、既に平成十四年から全国の市町村に、ぜひ最終処分場として手を挙げてくださいというお願いをしているところでございます。
 国としても、またこの機構あるいはまた電力会社とともに、最終的に重要な、そして超長期的なこの国家的プロジェクトにぜひ御協力いただけるような自治体が出ていただけるように、我々としても今後も一層努力していかなければならない、避けて通れないことだということは言うまでもないことだと思っております。
○高木(陽)委員 自治体の方としてみれば、なかなか、そういったものを受け入れるというのはかなり勇気の要ることでありますし、住民の方々が、全員が賛成してくれればいいんでしょうけれども、絶対反対者が出るであろう。だからこそ、原子力の必要性また安全性、そういった部分をしっかりと浸透させていく、こういう問題もあわせて必要な部分であろうな、このように考えておりますので、よろしくお願いを申し上げたいと思います。
 続きまして、原子炉等の規制法案の方に移りたいと思いますが、まず、守秘義務と情報公開との関係ということでちょっとお伺いをしたいと思います。
 今回の法案で、原子力に関するテロを防ぐ、防護に関する機微な情報がテロリストに漏れないようにする、これは当然ですね。逆に言えば、これまでそういったものがなかったのはなぜだったんだろう、そういうふうに思うぐらいですけれども。
 今回の改正におきましてこういう機微な情報を知り得る者に守秘義務を課す、秘密を漏らした者に対して厳しく罰則、これは本当に必要でありますけれども、一方で、守秘義務というものがありながら、原子力というものは、先ほどから何度も申している、安全を担保するために、または安心を担保するために公開の原則、これも必要だと思うんですね。
 国民の中には、原子力事業者の隠ぺい体質を問題視する声、これもあるわけですけれども、ここら辺のところで、事業者に守秘義務が課せられていることを口実にしまして事業者が情報公開というものをぐっと、これはだめなんです、こういうふうに消極的になってしまう、これは避けなければいけないと思うんですが、事業者に守秘義務を課すことが本当に原子力の情報公開の妨げにならないか、ここら辺の関係性について御見解を伺いたいと思います。
○小此木副大臣 守秘義務の対象となる秘密は、国際原子力機関、IAEAのガイドラインに規定されている、不法に開示されると核物質及び原子力施設の防護を損なうおそれのある情報というのを基準にしております。
 限定的にこれを設定することとしておりまして、具体的な秘密の範囲でありますけれども、原子炉等規制法の関係省令で特定をして、守秘義務者の範囲を示した指針を国が策定いたします。これを受けて事業者が情報管理要領を策定し、具体的な秘密事項とそれぞれの秘密保持義務者を規定することを予定しているということであります。
 また、事業者が設定した秘密の範囲に過不足がないかを国が確認して、新たに設置する第三者機関も、情報公開の精神等に照らし妥当であるかどうかを確認いたします。
 守秘義務の対象は限定的かつ明示的に特定されるため、守秘義務を課すことが情報公開の妨げになるとは考えておりません。
 いずれにせよ、情報公開の精神等にもとることのないように、厳格かつ適正な運用を実施してまいりたいと思います。
○高木(陽)委員 今、明示していくというふうな副大臣の御答弁もありました。これははっきりしないと、本当に事業者の方がいろいろな理由をつけて持っている情報を隠してしまう可能性もありますので、その守秘義務をだれが課せられていくのか。
 一方、守秘義務を課せられる人というのはいろいろな人がいると思うんですね。原子力施設にかかわる人、これは例えば清掃をする人もいるでしょうし、こういった問題も含めまして、このだれがということと秘密の範囲ですね。これについて、明示するというふうに言われたように、はっきりとして、もっと言いますと、第三者が見てはっきりわかるような形にしていただきたいなと。そうしないと、恣意的にゆがめられる可能性がございますし、また、その関係者、だれがというのがはっきりしないことには、自分はどうなのかな、こういうことも出てきますので、この点はよろしくお願い申し上げたいと思います。

 続きまして、クリアランス制度、この導入の意義ですね。
 クリアランス制度は、従来の放射性廃棄物として処理していたもののうち、人体に悪影響のない、極めて低い放射能濃度レベルの資材について再利用すること、これを可能にする。先ほどの法案の方でも申し上げました循環型社会、公明党もずっと主張しておりましたけれども、こういう観点から重要な制度であるというふうには認識しているんです。
 一方で、放射性廃棄物として厳重に処理されていたものを再生利用や通常の廃棄物と同等の処分を可能にするというこの制度が、逆に不安を抱かせる可能性もあるわけですね。原子力の分野において、何度も先ほどから申し上げておりますが、安全性というものが重視される、されなければならない。この導入が、単に規制を緩和することによって事業者だけがメリットを受けているんじゃないか、こういうように思われたら逆にこれはマイナスになりますので、この制度導入の意義について御見解を、大臣政務官、よろしくお願いします。
○平田大臣政務官 恐れ入ります。私から答弁申し上げたいというふうに思っております。
 もう御承知だとは思いますが、この制度、IAEAの最新の安全指針による数値から設定をされておるわけでございまして、放射性廃棄物と、放射性廃棄物として扱う必要のないものの区分、こういうことでございまして、これによりまして、原子力利用に伴い発生をいたします廃棄物の安全な処理処分並びに資源の再利用も可能になると考えておるわけでございます。
 当然、これはもう原子力施設の廃止措置がこれからいよいよ本格化するわけでございますので、それをさらに円滑に進める上で必要不可欠でございますので、御指摘の、制度の意義やその安全性につきまして、さまざまな機会をとらえまして、広く国民の皆さんに御理解いただけるように努めてまいりたいと思いますので、よろしくお願い申し上げたいと思います。
○高木(陽)委員 クリアランスされたものが原子力施設の外に搬出される。これが、不適切なクリアランスによって放射性廃棄物が施設の外に搬出されるようなことになれば、これだけでまた、先ほどの美浜の原発じゃないですけれども、また大きな問題となって原子力行政についての信頼を損なってしまうということで、それぞれの事業者、これはこれでしっかりとやっていただかなきゃいけないんですが、まさにここも国が関与していかなければいけないであろうと。
 国がしっかりとチェックする、この点について、具体的にどういうふうにしていくのか、この点を伺いたいと思います。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
 クリアランス制度におきましても、クリアランスレベル以下のものであるという確認を行うことは、一義的には、ほかの原子力の安全確保の分野と同様に事業者の責任でございますけれども、国といたしましても、その活動が適切だということにつきまして、この法案に基づきまして厳格にチェックすることにいたしております。
 具体的に申し上げますと、クリアランスの確認におきましては、原子力事業者は、国が定めました技術基準などに基づきまして、対象となります資材の測定及び評価の方法を定めます。この定めた方法に従いまして判断したものにつきましては、搬出までの間、適切に保管管理をする、あるいはまた測定などの記録を作成、保管する、こういう義務を課しているわけでございます。
 こうした事業者の活動につきまして、国といたしましては、まず、事業者が定めます測定、評価の方法が技術基準に照らして妥当かどうかということをあらかじめ審査して認可をいたします。次に、具体的な測定、評価の結果につきましても、記録あるいは国みずからが抜き取り測定をするというような形で確認をしてまいります。
 また、年に四回行います保安検査あるいは随時の立入検査等を通じまして、こうした品質保証活動がきちっと行われているかどうかということにつきましてもチェックすることとしております。
○高木(陽)委員 そういう制度が国のチェックのもとで導入される、これはこれで理解はしますけれども、新しい制度を導入するときに、やはり移行期間というのを考えなければいけないのではないかなと。いわゆる安心と安全ということなんです。どういうことかというと、安全だといっても、国民の中には安心感があるかどうか。
 これはちょっと別角度なんですけれども、例えばBSE問題で、日本の牛には全頭検査を、全部やるようになった。安全ですよと言われても、やはり心の中のどこかには不安感がありますから、すぐに牛肉の消費というのは戻ってこなかった、いわゆる全頭検査をやってもですよね。
 と同じように、やはりこういった制度を導入するときには移行期間みたいなことをしっかりと考えた方が、定着するまで考えた方がいいのではないかなというふうに思うのと、もう一つ、そうはいっても、一〇〇%絶対に大丈夫だというふうに思いながら信じてやっていくわけですが、やはり不測の事態というのは起きるわけです。原発の事故というのはそういうものですね。これはもうつくる前から完璧にしてやっているはずなんですけれども、それには人為的なミス、そういったものもあるでしょう。
 そういった問題に関して、万一の事態が起きた場合、いざというとき、そういうことも想定して制度の設計ということが必要なのではないかと思うんですが、クリアランスされたものにまじって、原子力施設のほかに放射性廃棄物が搬出されたのが見つかった場合、国はどういうふうに対応するのか、この点もあわせてお伺いいたします。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
 クリアランス制度の運用の結果クリアランスされたものにつきましては、御指摘のとおり、廃棄物と同様の取り扱いを受けることになりますけれども、一方で、新しい制度でございますので、定着するまでの間、まさに国民に信頼感をもって受け入れられるような、そういう取り組みも必要だと考えております。
 具体的には、再生利用、処分の場合にはどこに最初に搬出されるのか、あるいは、有価物として再生利用する場合にはそういう処理をする会社はどこなのかということにつきまして、国といたしましても、事業者に対して、具体的に把握するように求めていきたいと思っております。
 これを受けまして、事業者におきましては、当分の間、クリアランスされたものにつきまして、率先して社会の理解が得られるように、あらかじめ了解済みの処理業者あるいは限定された産業廃棄物処分場に搬出をするということを表明しておりまして、こうした形で円滑な制度の定着に努めてまいりたい、かように考えております。
 それから、仮にクリアランスレベルを超えるようなものが外に出たということでございますけれども、もともと確認対象の資材につきましては、汚染のレベルが低いものをあらかじめ選定しておりますので、このような事態になり得ましても、直ちに人の健康に影響が及ぶ、こういう事態にはないというふうに考えております。ただ、そうした事態が発生いたした場合には、国といたしましては、きちっと調査を行いまして、炉規制法に基づきまして適切な措置を講ずることとしております。
 具体的には、炉規制法に基づきまして、放射性廃棄物の回収を含む措置命令を発出する、あるいはこの命令に従わない場合には罰則を適用する、こうした法律を厳格に適用してまいりたいと考えております。
 また、具体的にこうしたプロセスをどのような形で進めていくのかということにつきまして、環境省等も含めて、具体的なマニュアルづくりみたいなものも検討してまいりたい、かように考えております。
○高木(陽)委員 時間が参りましたのでこれで終わりますが、特に原子力問題、この問題につきましては、これまでもずっと言われ続けてきましたけれども、一番重要なのは透明性である。もう一つは、透明性があるとともに、多くの国民はこの原子力問題については素人なわけですね、その方々が理解ができる、そういう説明責任、これがやはり問われていると思うんです。ここのところが車の両輪のごとく、透明性、そしてまた説明責任と、これが相まって初めて信頼というものが高まってくる、これを、何度も言われ続けてきたと思いますけれども、あえて申し上げまして、質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○河上委員長 午後一時から委員会を再開することとし、この際、休憩いたします。
    午後零時十一分休憩
     ――――◇―――――
    午後一時開議
○河上委員長 休憩前に引き続き会議を開きます。
 本日付託になりました内閣提出、有限責任事業組合契約に関する法律案を議題といたします。
 これより趣旨の説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。
    ―――――――――――――
 有限責任事業組合契約に関する法律案
    〔本号末尾に掲載〕
    ―――――――――――――
○中川国務大臣 有限責任事業組合契約に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 米国や英国を初めとして、海外においては、新たな事業分野に進出する企業同士のジョイントベンチャーやIT分野等における専門人材による共同事業を振興するため、LLPと呼ばれる有限責任組合やLLCと呼ばれる有限責任会社のような新たな組織に関する制度が整備され、大きな効果を上げているところでございます。他方、我が国においては、現在のところ、このような組織法制は存在しておりません。
 こうした状況を踏まえ、我が国におきましても、LLCやLLPに類似した新たな組織に関する制度を整備し、ベンチャー企業や中小企業と大企業の連携、大企業同士の共同研究開発、ITや金融分野において専門技能を有する人材による共同事業などを振興し、新たな産業を創造するべく、本法律案を提出した次第であります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、組合員は、その出資の価額を限度として組合の債務を弁済する責任を負う、有限責任制といたします。
 第二に、有限責任制の乱用を防ぐため、基本的に内部自治にゆだねられる意思決定ルール等について、特定の事項については組合員全員の同意を必要とするなど、一定の規律を定めることといたします。
 第三に、債権者保護に遺漏なきを期すため、財務諸表等の開示義務や組合財産の分配制限等、必要な債権者保護規定を定めることといたします。
 以上が、本法律案の提案理由及び要旨でございます。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。
○河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
 次回は、来る四月一日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
    午後一時三分散会

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