平成17年4月20日(水曜日) 衆議院 経済産業委員会 審議録 |
*クリアランス制度に関する部分のみ黒字で、その他はやや薄い字で表しています。
平成十七年四月二十日(水曜日)
午前十時一分開議
出席委員
委員長 河上 覃雄君
理事 河村 建夫君 理事 櫻田 義孝君
理事 平井 卓也君 理事 松島みどり君
理事 鈴木 康友君 理事 細野 豪志君
理事 吉田 治君 理事 高木 陽介君
遠藤 利明君 小野 晋也君
嘉数 知賢君 北川 知克君
小杉 隆君 佐藤 信二君
坂本 剛二君 菅 義偉君
竹本 直一君 谷畑 孝君
西川 京子君 野田 毅君
平田 耕一君 望月 義夫君
森 英介君 山口 泰明君
大畠 章宏君 奥田 建君
海江田万里君 梶原 康弘君
菊田まきこ君 近藤 洋介君
高山 智司君 中村 哲治君
中山 義活君 永田 寿康君
計屋 圭宏君 村井 宗明君
渡辺 周君 江田 康幸君
塩川 鉄也君
…………………………………
経済産業大臣 中川 昭一君
経済産業副大臣 小此木八郎君
経済産業大臣政務官 平田 耕一君
政府参考人
(外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長) 天野 之弥君
政府参考人
(文部科学省大臣官房審議官) 森口 泰孝君
政府参考人
(文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全監) 片山正一郎君
政府参考人
(資源エネルギー庁長官) 小平 信因君
政府参考人
(資源エネルギー庁電力・ガス事業部長) 安達 健祐君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院長) 松永 和夫君
政府参考人
(資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長) 三代 真彰君
経済産業委員会専門員 熊谷 得志君
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委員の異動
四月二十日
辞任 補欠選任
武田 良太君 西川 京子君
西銘恒三郎君 小野 晋也君
海江田万里君 永田 寿康君
佐藤 公治君 中村 哲治君
同日
辞任 補欠選任
小野 晋也君 西銘恒三郎君
西川 京子君 武田 良太君
中村 哲治君 佐藤 公治君
永田 寿康君 海江田万里君
―――――――――――――
本日の会議に付した案件
政府参考人出頭要求に関する件
原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案(内閣提出第四四号)
核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案(内閣提出第四五号)
資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件
原子力発電の安全確保に関する件――――◇―――――
○河上委員長 これより会議を開きます。
資源エネルギー及び原子力安全・保安に関する件について調査を進めます。
この際、平井卓也君外二名から、自由民主党、民主党・無所属クラブ及び公明党の三派共同提案による原子力発電の安全確保に関する件について決議すべしとの動議が提出されております。
提出者から趣旨の説明を求めます。吉田治君。
○吉田(治)委員 ただいま議題となりました決議案につきまして、提出者を代表いたしまして、案文を朗読し、趣旨の説明といたします。
原子力発電の安全確保に関する件(案)
昨年八月九日に発生した関西電力美浜発電所3号機二次系配管破損事故は、十一名の死傷者を出した我が国原子力発電史上例を見ない深刻なものであり、国民の原子力に対する信頼を大きく揺るがす事態を招来した。
本年三月三十日には、本事故に関する原子力安全・保安院の最終報告が公表され、事業者たる関西電力の重大な責任を認定するとともに、施設の建設、維持管理に当たった三菱重工業にも重大な責任があると結論付けられた。しかしながら、監督・指導に当たる政府についても、その責任は大きいと言わねばならない。
巨大な先端技術の集合体である原子力発電所は、適切な安全管理がなされなければ大きなリスクを伴うものであり、それ故にこそ円滑な運転確保のために確実な安全対策の実施が大前提とされてきた。しかも我が国において原子炉の実用運転が始められて以来、既に四十年近くが経過し、多くの実用原子炉の高経年化が進む中、安全対策は益々重要度を加えている。
国の根幹をなすエネルギー安定供給のために原子力は不可欠であり、また今日では地球温暖化対策にも大きく貢献することが期待されているが、安全確保がすべてに優先することを今一度厳しく確認すべきである。
事業者においては、国の原子力政策を遂行しているとの自覚を新たにし、常に緊張感と責任感を持って事業に当たるとともに、事故の教訓を生かし、早急に再発防止のため、より実効性のある対策を構築すべく、最大限の努力が払われるべきである。なお、事故の関係者の責任については、今後とも検証を行うべく注視していく必要がある。
政府においては、透明性を旨としつつ、事業者に対する監督・指導を一層強化するとともに、より長期的な課題として、発電所周辺地域の基盤整備や広報対策、教育対策など各般の施策に総力を挙げて取り組むべきである。
右決議する。
以上であります。
何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
○河上委員長 これにて趣旨の説明は終わりました。
採決いたします。
本動議に賛成の諸君の起立を求めます。
〔賛成者起立〕
○河上委員長 起立多数。よって、本件を本委員会の決議とすることに決しました。
この際、中川経済産業大臣からただいまの決議に対し発言を求められておりますので、これを許します。中川経済産業大臣。
○中川国務大臣 おはようございます。
ただいまの決議につきましては、その趣旨を十分に尊重いたしまして、原子力発電に関する安全確保に万全を期してまいりたいと存じます。
ありがとうございました。
○河上委員長 お諮りいたします。
ただいまの決議についての議長に対する報告及び関係当局への参考送付の手続につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
――――◇―――――
○河上委員長 次に、内閣提出、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を議題といたします。
この際、お諮りいたします。
両案審査のため、本日、政府参考人として外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長天野之弥君、文部科学省大臣官房審議官森口泰孝君、文部科学省科学技術・学術政策局原子力安全監片山正一郎君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君及び資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長三代真彰君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。
〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○河上委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。
―――――――――――――
○河上委員長 質疑の申し出がありますので、順次これを許します。吉田治君。
○吉田(治)委員 民主党の吉田でございます。
本当にただいま大きな決議を委員会でしていただきました。ただ、また後ほどの同僚議員の質問等にもありますように、発電所周辺地域の基盤整備、広報、教育というもの、これはこの委員会でも、電源特別会計の使い方を含めて随分議論があるところでございますので、一概に何でもそれでよしというものではないということをまず私どもは表明させていただき、大臣に、改めて、この二法に取り組む決意というんですか重要性、そして、大臣、今よくテレビに出ておられますように、片一方では中国のエネルギー問題、大変タイトな中、厳しい中で、この法案はバックエンドですけれども、その次の先にあるのは核燃料サイクルというものがある。中国は、もう「もんじゅ」型の実験炉は北京郊外で建設が終わって試運転まで入っているという話もあるんですけれども、やはりそこの部分を含めていくと、エネルギーにおけるこの原子力、そしてサイクルというものの重要性というもの、ここの部分について、大臣、改めてのお考え、御決意のほどをお願いしたいと思います。
○中川国務大臣 この二法を含めて、原子力発電に関して、あるいはまたサイクルに関してどう思うかという吉田委員の御質問でございますけれども、日本は、御承知のとおりのようなエネルギー状況でございますので、原子力発電の重要性というものは今後ますます、環境面とかエネルギーの多様化とかいろいろな面で原子力発電の重要性は高まってくる、いわゆる基幹電源としての位置づけは高まってくると思っております。
ただ、今の御決議にもありましたように、あくまでもこれは安全であるということが第一であり、そしてまた、御地元の皆さん、国民の皆さんの御理解と御協力、御支援があってこその原子力発電ということになってくるわけでございます。
そしてもう一つ、日本としての原子力発電に関しては、平和利用というものが絶対的に必要であるということで、これは、日本のみならず各国に対しても積極的に働きかけていかなければいけないと思っておりますが、そういう観点からも、核燃サイクルというものは両方に資するものであるというふうに思っております。
しかし、それも、あくまでも安全ということ、あるいはまたコストの適正な負担の問題とか、そしてまた国民の総合的な御理解、御支援というものが大前提であるということを申し上げて、その上での必要性について、ぜひ御理解いただきたいと思います。
○吉田(治)委員 そういう中で、いわゆる再処理の積立金なんですけれども、これは、今、各社が内部留保しているのを外へ十年間かけて出してくるというんですけれども、現状、この法案を作成され、審議に入っていき、時間が随分たっておりますけれども、具体的なイメージとして、どういう組織にそのお金を積み立てるのか、その辺の考えというのは、政府の方である程度まとめができているんでしょうか。
○小平政府参考人 お答えを申し上げます。
ただいま御質問がございました今回の法案によりまして、外部の法人に各電力会社から必要な資金を積み立てていただくわけでございますけれども、この法人につきましては、この法律に基づきまして、経済産業大臣が申請に基づいて指定をするということになっております。
これはやはり、法人を指定するに当たりましては、大変大きな金額が将来積み上がりますので、これを適正に管理、運用ができるということ、それから、取り戻したものが実際に再処理の場で適正に使われるということもあわせてチェックをするということが期待されておりますので、それにふさわしい法人を指定する必要があるというふうに考えております。
現在までのところ、高レベルの廃棄物につきまして拠出金をいただいておるわけでございますけれども、この資金を管理しております原子力環境整備促進・資金管理センターというのがございますけれども、これは一つの候補であろうかというふうに思っておりますけれども、あくまでも、法律が成立しました後、申請を受けた上で、それぞれの法人を比較して、全国一つで、一に限って指定をする、こういうことにいたしております。
○吉田(治)委員 今エネ庁長官おっしゃられたように、今の時代もありますし、何か一つ法律ができると、こんな言い方はよくないですけれども、外部的には役所の天下りにしか見えないような、そういう組織ができていくということはいかがなものかというのが大宗の意見ですので、今のエネ庁の長官の御答弁というのは、なるほどという部分はあるんだなと思っております。
続きまして、核原料物質に関する法案に関してなんですけれども、対テロ対策、クリアランス、それから廃炉対策ということがこの法案の大きな骨子になっております。
まず、対テロ対策に関しては、この法案ができることによって、例えば経産、事業者、そして警察、これは私は自衛隊まで含めての、防衛庁まで含めての話になると思うんですけれども、その辺の連携というもの、これがいかに変わるのかということが一点。
そして、クリアランスといった場合に、出てくる産業廃棄物、これは、産業廃棄物の業者のためにつくっているのかという意見も実はございます。地域対策の、地域の産業廃棄物業者のためにと言ったら怒られるかもしれませんが、そういう仕事のためにそういうのをつくったのかという意見もありますが、それに対してどうお考えになられるのかということ。
そして三点目は、高経年化ということが言われておりますけれども、装置産業ですから、できるだけ長く原子力発電所というのは回さなければいけないというのはコスト、効率の部分では重要なことなんですけれども、いつかは廃炉をしていく。これは、廃炉ビジネスと言ったら語弊がありますけれども、廃炉というものが一つの大きな、原発を初めとするそれぞれの一つのビジネスというかツールというか、そういうようなものが出てくると思うんですけれども、いわゆる廃炉ビジネスというふうなものについてどう考え、これは単に国内だけの、ビジネスモデルと言うと語弊がありますけれども、発想を持つのか、それとも、今海外で原子力発電所、中国等はできておりますが、それの将来も見据えたものになるのかということ、この三点、お答えをお願いしたいと思います。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
まず、最初の御指摘でございますテロ対策でございます。
テロ対策につきましては、これまでも、特に九・一一のアメリカにおけるテロ以降、原子力発電所につきましては警察が常駐をし、また沖合の海におきましては、海上保安庁の巡視艇がそこに停泊をして、監視していただくというようなことをお願いしておりまして、警察、海上保安庁等治安当局と密接に連携をし、御協力をいただきながら対応をしてきております。
また、防衛庁・自衛隊についての御指摘がございましたけれども、有事の際には、御指摘のとおり、国民保護法制の世界になりますけれども、当然、防衛庁・自衛隊の御協力をいただくというような形でございますので、今後とも、この法案の具体的な執行に当たりましても、治安関係当局との連携というものをきちっととってまいりたいというふうに考えております。
二点目、クリアランスにつきましての問題でございます。クリアランスされました鉄、コンクリート等のいわば廃材につきましては、発電所の外に出して、産業廃棄物として、産廃法の世界に入るわけでございますが、当然、そうしたものの輸送等につきましては、産業廃棄物処理業者の御協力をいただかなきゃいけないというふうに考えております。これまでも、どういう法律の運用、執行になるのかということにつきまして、既存の産廃業者の皆さんにもいろいろな形で御説明をさせていただいております。
これは、廃炉になった際に、資源の有効利用あるいは一定の水準を超えた放射性廃棄物を帯びた廃材が出ないようにするということのために法律改正をお願いしているわけでございますので、必ずしも産業廃棄物処理業者のいわば利益のためにこういう法案をお願いしているということではないというふうに御理解をいただきたいと思います。
三点目、高経年化対策は大変大事でございます。アメリカにおきましては、四十年の運転期間を順次六十年という形で延長しているというふうに制度を動かしておりますけれども、私どもの原子力発電所におきましても、高経年化対策を万全に行いまして、可能な限り長く運転できるような形を追求していきたいと考えております。
そうはいいましても、当然どこかの時点では廃炉になります。現在、日本原電の東海発電所では廃炉の進行が行われておりまして、来年にも具体的な、コンクリートとか鉄の廃材が外に出るという格好になると思います。この辺のいわば知見というのは海外との関係においても大変重要な知見になると思っておりますので、日本原電では、その辺の知見というものを蓄積して、将来の、みずからの発電所あるいはほかの電力会社の発電所における廃炉にもいわば生かしていきたい、こんなような意向を持っているというふうに承知をしております。
○吉田(治)委員 時間もないので、ちょっと今の保安院長の答弁の中で数点お聞きしたいなと思うのは、対テロ対策で警察等常駐した場合に、ほとんどが地域の民宿の借り上げというふうに聞いております。待遇の方で、これは地域振興の部分があって民宿に泊まられるというのは私は否定はしませんけれども、せっかく苦労されて泊まられている警察を初めそれぞれの方々のその中身が、来て我慢を強いられるようではちょっといかがかなと。場合によれば、常駐という形が続くのであれば、寮というんですか、そういうふうなものも私はつくっていく必要が、対テロ対策という部分では、やはりいざというときに力が出るようにしていく必要があるんじゃないかなということ。
それから、鉄、コンクリートを外へ出した場合に、これは再処理すると、原則は、また発電所等でそれを使うということが原則になっているのかということ。そして廃炉の部分は、検証された知見は国内だけじゃなくて海外の廃炉にも、これは先ほど申し上げましたように、ビジネスという部分も含めて活用していくのか。では、活用先は、いわゆる同盟的な国も含むのか、それとも広く一般に、原子力発電をしているものの廃炉というものに国境なく活用していくのか、その辺はいかがですか。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、テロ対策で常駐をしていただいております警察の皆様、海上保安庁の皆様には大変な御苦労をおかけしているわけでございます。特に宿泊施設等につきましては、よく治安当局の皆様の御意向を踏まえながら、少しでも処遇の改善につながるように、私どもも汗をかいていきたいというふうに考えております。
二点目、クリアランスされたものの再利用でございますけれども、法律上は、これは産業廃棄物の世界に入りますので、その使い道につきましてはいわばオープンでございます。ただ、このクリアランス制度がきちっと国民の御理解を得て、制度としてきちんと浸透するまでの間は、電力事業者の自主的な措置として、再利用する場合には、再び原子力発電所の中で利用するということの方針でいくというふうに承知をしております。
三点目、こうした廃炉のビジネスの問題でございますが、御指摘のとおり、原子力発電所を取り巻くいろいろな問題というのは、いわば海外共通の問題でございます。したがいまして、私どもの経験というものを海外において利用したいというようなものがあれば、積極的にそういうものを海外にも展開をしていく、そういう考え方であると思います。これにつきましては、原子力発電所を運転しているところにつきましては、いかなる国でも協力可能なのではないかというふうに考えております。
○吉田(治)委員 時間ですけれども、ちょっと、一点だけ気になるのはこの積立金の方なんですけれども、これは大臣の答弁がいただければいいんですけれども、場合によれば事務方になるのかもしれませんけれども、やはり大臣ですかね。
積立金の積算については、随分この期間、議論が起こったり、役所の中でもいろいろあったやに聞いておるんですけれども、原子力長計であるとかエネルギー長計とか、いろいろな長期計画の中でそれぞれ数字が出てくると思いますけれども、基本的には、今、年間一千トン出ているものが八百トンしか再処理工場では処理できないということで、二百トンとなってくると、また早晩、第二工場建設等というような形も出てくる。これは否定するものではありませんけれども、そういうふうな新たな事象が生み出されてくれば、よく言うんですけれども、この法律ができて、それは半年、一年でということは無理かもしれませんけれども、絶えず、新たな数字に基づいた形での報告なり、また、それに対する国会での審議というもの、これはやはり役所が出すのと同時に並行してやっていく必要があると思うんです。いつ何どきということではないと思いますけれども、今後そういうことが起こったときには、早急に、あわせて、報告と同時に、例えばこの委員会の現場であるとか国会の場で議論をするということ、そのことについては、大臣、どういうふうにお考えになられますでしょうか。
○中川国務大臣 もちろん、専門家の皆様方の御審議を踏まえて、いわゆる再処理という前提でサイクルが動いていくわけでありますが、御指摘のように、今の原燃の施設だけではいずれ満杯になる、そのときにどうしたらいいのかという議論は当然出てまいりまして、それは専門家の間でも御議論をいただきますが、最終的にはこれは国会での御審議あるいはまた御了承ということになるというのは、これは原子力行政一般の基本的な原則だと私は思っております。
○吉田(治)委員 最後、また質問させていただく予定にしておりますので、まず最初の質問は以上で終了させていただきます。ありがとうございます。
○河上委員長 次に、鈴木康友君。
○鈴木(康)委員 民主党の鈴木康友でございます。
先日、関電の美浜原発事故調査委員会の最終報告がまとまりまして、本委員会でも集中審議が行われました。また、本日はその決議文も採択をされたということでございまして、こうした事故が二度と起こらないように再発防止に努めるとともに、こうした教訓を生かして、安全確保を最重点にしながら、原子力発電の有効活用を今後も図っていかなきゃいけないというふうに思います。
そこで、まず、原子力発電のエネルギーの中における位置づけと国の責任ということについて御質問をさせていただきたいと思います。
前回の原子力長計、平成十二年につくられたものの中で、原子力発電を基幹電源として位置づけたわけであります。また、平成十五年にエネ庁が作成をしましたエネルギー基本計画でも、原子力発電というのは、エネルギーの安定供給、あるいは、これから日本がきっちりやっていかなきゃいけない環境あるいは地球温暖化対策にも非常に有効であるということで、基幹電源として位置づけているわけであります。
そういう意味では、これからもますます原子力の重要性というのは高まりこそすれ、低下することはないというふうに思うわけでありますが、その辺の御認識について、まず大臣にお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 これから、いわゆる化石エネルギーだけに過度に依存をするということは、有限エネルギーということもございますし、また、それぞれ程度の差はございますけれども、CO2、NOxあるいはサルファー等、いろいろ環境によくない物質もございます。そして、とりわけ日本の場合には、新エネ等の一部を除いて、エネルギー資源がほとんど海外に依存をしている、そういうことでございますから、今後ますます基幹電源としての原子力発電のウエートは高くなってくると思っております。
世界的にも、アメリカ、あるいはまたお隣の中国、それからヨーロッパにおいても、やはり原子力発電の有効性といいましょうか、メリットというものが見直されている。あるいはまた、中国のようにがんがん、これからまた十五基ぐらい計画があるやに聞いておりますけれども、そういうこともあります。
そういう意味で、地球全体のためにも、あるいはまた日本のエネルギー政策、いろいろな、温暖化とかそういうものも含めた総合的な意味でのエネルギー政策においても、これからますます重要になってくると思っております。
言うまでもなく、これは安全と地元、国民の御理解が大前提であるということも当然配慮しなければいけないことではございます。
○鈴木(康)委員 原子力の問題は、短期的に見た場合にも、やはりエネルギーの中の基幹電源として重要でありますが、一つ注目すべきは、中長期ビジョンですね、この中で、二〇三〇年以降も現在とほぼ同じ比率で原子力発電を活用していかなきゃいけない。あるいは、二一〇〇年まで見通しても、当然、新エネの導入というものも踏まえて、これはたしか今の百八十倍ぐらいの導入というものを仮定したということでありますが、それでもやはり原子力の比率というのは大体今と同じぐらいの比重を持ってこれを活用していかなきゃいけないという長期ビジョンが出ているわけであります。
これはある意味で画期的なことであって、長期的に見ても、二一〇〇年まで見通しても原子力の比重というのはそういうものであるということでありますが、これは、国としてこういう目標をきちっと出して、それに対する達成の、ある意味で覚悟と責任を示したものとして理解してよろしいのかどうか、大臣にお伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
ただいま先生から御指摘がございましたビジョンにつきましては、先般、原子力委員会、現在、新しい長期計画の策定作業を行っておりますけれども、その場におきまして、経済産業省・資源エネルギー庁といたしまして、これからの原子力についてどう考えるかということを長期的な展望に立って御説明申し上げたものでございまして、これに基づきまして原子力委員会でも論点整理が行われておりますけれども、やはり、長期的な展望に立ちましても、日本にとりまして国際エネルギー情勢はますますこれからタイトになってまいりますけれども、その中でエネルギーの安定的な供給を図る、それから環境に対応していくという意味で、資源エネルギーにももちろん力を入れていく必要がございますけれども、あわせまして、原子力発電につきまして、今後とも三ないし四割程度依存をしていく必要がある、そういう観点から政策を推進していく必要があるのではないかという論点を提示させていただいた、こういうことでございます。
○鈴木(康)委員 これは、このぐらい必要ですよと、何か他人事みたいに、客観的な数字として出したというふうには私は理解していないんですね。つまり、それだけの原子力発電の施設も含めて、きちっと維持していかなきゃいけない。当然、二一〇〇年ですから、既に今ある原子力発電施設というのは廃棄して、新しいものを新設しなきゃいけない。あるいは、きょうテーマになりますバックエンドの問題も含めて、実はこれから、希望としてはそれくらいあるとしても、新たな原子力発電施設をつくったり、あるいは、再処理も含めて核燃料の処理をどうしていくかというようなことも含めると、原子力発電というのは大変難しくなってくると思うんですね。ましてや、自由化の流れの中で、事業者としても、これからはそういう過大な投資も非常にきつくなっているというようなことも考えると、希望は希望としてあるけれども、現実的にそういう目標数値を達成していくという自覚と覚悟があるかどうか、その点をもう一度お伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 先ほど申し上げました将来にわたっての見通しでございますが、これは、原子力委員会でただいま、これからの国としての原子力政策をどう考えるかということを幅広い観点から議論しておられますので、そういう観点から私どもとしての考え方を申し上げたということでございまして、これに基づきまして、原子力委員会で議論をされた後に、年末までの間に長期計画をおまとめになるというふうに考えております。
この御説明に当たりましては、電力業界とも十分意見交換を行いまして、ただいま先生の御指摘のございましたような、電力の自由化が進む中で、電力会社としてこれからさらに新増設をしていく、あるいは現在稼働しておりますものが次第に更新をしていく必要がございますので、そういう中でどういう条件を整える必要があるか、これは、国として何をやるべきか、民間事業者として何をやるべきかということを改めて私どもとして提示をさせていただきまして、それに基づいて原子力委員会で多面的な立場から御議論をいただいて政策を明確にしていっていただくということで、資源エネルギー庁といたしましては、我が国のエネルギー安定供給の確保、環境対策ということで今申し上げたような考え方を持っておりますということを申し上げたということでございます。
○鈴木(康)委員 考え方はよくわかりましたけれども、これは実現をしていかなきゃいけないわけですよね。後でもまたちょっと国のいろいろな役割について御質問したいと思いますが、では、最終的にだれがこの数値目標を達成することに責任を負って、だれがリーダーあるいは旗振り役となってこれをやっていくのか、そこが私はいつも見えてこないんですが、その点は、それはだれがやるんですか。
○中川国務大臣 どのぐらいの需要があるのかという見通しがまず前提にあって、それに対して、どのぐらいの発電、当然それに見合う発電が必要になるわけですけれども、そのときに、いろいろなエネルギー、一長一短あるわけでありますけれども、その中で、原子力発電というものは、先ほど申し上げたようなメリットもあります、しかし安全性、国民の理解が大前提ですという位置づけにあるわけであります。
だれに責任があるのかといえば、政府として計画を決定する、そして、原子力行政あるいは原子力安全行政の責任者は、一義的には私、経済産業相でございますから、強いて、責任という意味も相当重い責任からそうとも言えない責任まで、責任の言葉も若干重さにはアローアンスがあるということを前提にお話を申し上げますけれども、例えば、二〇〇三年のあの東電事故のときに原子力発電の状況はがらっと変わってしまって、その結果、CO2も余計に四・七%もふえてしまったというようなこともございますので、とにかく、できるだけ計画どおりにやっていく。
しかし、突発的なときには、特に、きょうも九州で大きな地震があって、そのときに、玄海の原発がどうなっているのかと一瞬私はすぐ心配したわけでありますけれども、幸いにして影響がなかったということで、極めて慎重にその辺もやっていかなければならない、より注意深くやっていかなければならないとは思っておりますけれども、計画を策定したことを進める政府、とりわけその行政に当たっている私どもがその遂行に責任がある。万が一のときに、じゃ、責任をどうとるのかと言われるとちょっと困ってしまうんですけれども、言葉としては、責任があるというふうに思っております。
○鈴木(康)委員 二〇三〇年のときにはまだ中川経済産業大臣は現役でいらっしゃるかもしれませんが、二一〇〇年は、私も、もちろん中川大臣も、存在をしていないと思うんですね。そうしますと、やはり個人に帰着するものじゃなくて、組織として政策の一貫性を持って責任を持っていける体制をつくる必要があると私は思うんですね。そうしたことはまた後ほど御質問したいと思いますが、もう少し直近のことをお伺いしたいと思います。
今度の地球温暖化対策推進大綱によりますと、二〇一〇年までに原子力発電の発電量を二〇〇〇年の三割増しにしなきゃいけない、そのためには、新しい施設の増設も必要であるということでありますが、この前、浜岡の五号機が稼働いたしました。直近に稼働する予定なのが泊三号と東通の一号と志賀の二号、三つあるわけでありますが、あとの計画中のものについて、めどというのは一体どうなっているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 ただいま御指摘ございましたとおり、二〇〇二年の三月に取りまとめられました地球温暖化対策推進大綱では、二〇一〇年までの間に原子力発電によります発電電力量を二〇〇〇年度と比べまして約三割増加させるという目標を掲げておりましたのは御指摘のとおりでございます。基数で申しますと、これは大体十基から十三基の原子炉の新増設に対応いたしております。しかしながら、本年三月二十九日に、京都議定書の発効に伴いまして京都議定書目標達成計画、これは大綱を衣がえしたわけでございますけれども、この中では、この目標の達成の前提といたしまして、二〇一〇年度までに運転を開始する原子炉は、二〇〇〇年度以降に運転開始をいたしました女川三号、浜岡五号に加えましてこれからの三基、五基というふうに見込まれております。
それで、今御指摘の、その後どうなるのかということにつきましては、計画に比べまして新増設がおくれております理由といたしましては、想定しておりましたよりも電力需要の伸びが低下傾向にあるということが一つございます。加えまして、立地地域におきまして地域との調整が必ずしも円滑に進んでいないということによるところも大きいわけでございますけれども、二〇一〇年度以降の運開を目指しまして各電力会社がそれぞれの地域で努力をしておられまして、私どもも、地元の説明会等も含めて電力会社とともに参加をするというようなことを含めて、さらにこの原子力発電所の計画が実現をしていくように努力をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木(康)委員 今長官御指摘のように、当初十基から十三基の増設が必要であるということでありました。ただ、なかなかこれはうまくいっていないわけですね。
最近は、今度、安全確保を前提として原子力の一層の活用、稼働率の向上という目標が設定されているんですね。これは、稼働率をどうやって向上させるかというところをお伺いしたいんですが、先日の美浜のときにも定検短縮の問題も指摘をされていたわけでありますが、電気事業者も今自由化の流れの中でぎりぎりのところでやっているわけでありまして、では、既存の施設の稼働率をこれからどうやって上げていくのかという点について具体的にどういう計画を持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 お答えを申し上げます。
原子力設備利用率向上のための取り組みでございますけれども、例示として申し上げますと、例えば、現在既に多くの原子炉で導入が進んでおりますけれども、近年、実施が可能となっております、原子炉で発生いたします熱を一定とすることによりまして電気の出力を増加できる運転形態、これは定格熱出力一定運転というふうに申しておりますけれども、それが挙げられます。
また、そのほか、安全の確保を大前提にいたしまして、原子炉が運転をしておりますときにも待機状態で停止をしておりますポンプ等の予備機があるわけでございますけれども、これは運転中におきましても点検、補修を行うことが可能であるということで、そのような形での取り組みを行うということも考えられるというふうに思っているところでございます。
○鈴木(康)委員 先日の事故でも、運転中に定検の準備をして、それがちょっと大きな災害につながってしまったわけでありまして、むしろ、今、そういう意味では慎重になっている時期じゃないかと私は思うんですが、そういう中で、今言ったようなことが本当に可能なんでしょうか。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
御指摘のとおり、安全の確保があくまでも大前提でございます。例示として申し上げました予備機の点検と申しますのは、実際に原子炉が運転をしておりましてもこの予備機は動いていないということで、待機状態にございますので、そういう意味では安全確保の観点からも問題がないのではないかというふうに想定をされておりまして、そういうようなことで、安全の確保を大前提に、さらに工夫の余地がないかということを検討するということであろうかと思います。
○鈴木(康)委員 もちろん一義的には、事業者がその現場においてそうした安全確保の責任を持っていくわけでありますが、当然、そういうことを推進していくという限りでは、エネ庁としてもそれなりの自覚と責任を持ってこれからやっていくということでよろしいですか。もう一度答弁をお願いします。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
原子力を基幹電源としてこれからも推進をしていくというのが国の基本的な方針でございます。
そのためには、大臣からもたびたびお話ございますように、まず大前提は安全の確保、それから、御地元を初めといたします国民の皆様の理解でございます。そういう点につきましては、私どもエネルギー政策を推進する立場におります者も、十分踏まえて、これからのエネルギー政策を推進していく覚悟でございまして、まさに先生のお話のとおり、私どもとしても努力をしてまいりたいというふうに思っております。
○鈴木(康)委員 次に、地球温暖化対策推進大綱に、今後、さらに、原子力政策に関する国民合意形成に向けた広聴・広報活動が必要である、そのためにこれを抜本強化するということが指摘をされているわけであります。あるいはまた、エネルギー、原子力に関する教育推進のための環境整備を行っていくということでございますが、抜本強化ということでありますから、ある意味で、全くこれまでと違った取り組みがなされているというふうに理解もできるわけでありますが、それぞれ具体的に、今何をやっているか、あるいはこれからやろうとしているのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○平田大臣政務官 お答え申し上げて、抜本的であるというふうな御理解をいただけるかどうか難しいところでございますけれども、御指摘のように安全の確保が大前提で、それを広く情報公開し提供していく、こういうことでございます。さまざまに、新聞等の各種媒体を利用した情報提供、シンポジウムの開催等を行っておるわけでございます。
これはかなり長期の観点で、小学校、中学校のときからしっかりと理解を深めていただくような、さまざまな教育にかかわる方々の御協力をいただきながら進めておりますことと、それから具体的には、国民への理解を促進するということで数項目ございます。それから、次世代を中心とした理解促進として、エネルギー体験館とかポスターコンクールであるとかをやっております。そして、産消交流事業として小学生の交流事業をやっておる。それから、エネルギー教育の推進ということでも、作文コンクール、副読本の提供等もやっております。
それから、その他では、地域担当官事務所というのを設置して、双方向のコミュニケーションを行うことを通じて原子力政策に関する理解促進を図るための拠点をつくった、こういうようなことをやっておるわけでございます。
○鈴木(康)委員 今聞いていて、余り私は抜本的というふうに思えなかったんですけれども。
私は、特にこれは、広聴・広報活動が必要だということも理解できますが、やはり教育の問題って大きいと思うんですよね。きょうは文科省からも来ていただいているんですが、ちょっとその点について、経産省としっかりそういう話ができているのかどうか、あるいは文科省として何かこれから意気込みを持ってやろうとしているのか、ぜひその点をお伺いしたいと思うんです。
○森口政府参考人 先生御指摘のように、原子力の研究開発利用に当たりましては、やはり国民の方々の理解と信頼、これが非常に大事だというふうに思っております。その際、いわゆる単なるPRではなくて、やはり情報公開を徹底した上で、国民一人一人がみずからの問題として考えて判断する、そういうことが非常に重要だ、我々はそれをお手伝いする、そういう位置づけかと思っております。
そういう中で、文部科学省といたしましては、やはり教育等の場におきまして、原子力やエネルギーについて理解を深める、あるいは、みずからの考えで判断する力を身につけることができるような環境を整備する、そういうのが役割と思ってございます。
具体的に申し上げますと、平成十四年度から、原子力・エネルギーに関する教育支援事業というのを実施しておりまして、各都道府県が学習指導要領の趣旨に沿って主体的に実施するエネルギーや原子力に関する教育に係る取り組み、これを支援するということで取り組んでいるところでございます。
このほかにも教員の方々の原子力セミナーとかそういうことも実施しておりまして、いずれにしましても、今後とも、経済産業省とも十分な連携をして、原子力やエネルギーに関する教育の取り組みを我々としても支援していきたいというふうに思ってございます。
○鈴木(康)委員 ぜひ頑張っていただきたいと思うわけであります。
ちょっと先ほども御指摘をしたわけでありますが、実は私は、これからこの原子力の事業というのは大変難しくなってくると思うんですね。もちろん、新しい、後ほど議題としたい高速増殖炉のこともありますし、そうしますと、フロントエンドからバックエンドまでを含めて、さらにその前のいろいろな研究開発から含めますと、非常に一貫した体系的な政策やその推進というものが必要になってくると私は思うんですね。
そういう中で、今大別しますと、研究の部分は文部科学省、あるいは原子力の推進は経済産業省が主にその責任を負っているわけでありますが、どうもそこが私はちぐはぐな感じがしてならないんですね。やはりどこか、一貫してそういう原子力政策を進めていく部署がどうしても私はこれから必要になってくると思うんですね。
大学の研究は別としましても、やはり実用的な研究から推進まで、資源エネルギー庁あるいはいずれ省に昇格させてエネルギー省、そういった組織が絶対に必要になってくると私は思うんですが、大臣、どうですか、そういうお考えはありませんか。
〔委員長退席、高木(陽)委員長代理着席〕
○中川国務大臣 この原子力に関する技術、そしてまた、それを利用して、平和利用を前提としてエネルギー政策を進めていくということであれば、最終的にエネルギー政策を所管している私のところということになるわけで、その間、いろいろな流れがあるわけでありますけれども、科学技術という観点からは、やはり、例えば今問題になっておりますITERなんというのは、これは文部科学省が中心になり、しかし政府一体としてこれをバックアップしていくということでもありますので、研究に主に力点を置いているのが文部科学省であって、あくまでもエネルギー政策という観点を最終目標としてやっているのが経済産業省でございますけれども、そこは重なり合う部分が当然あるわけでございますから、そこはお互いに連携を密にし、危機管理、安全対策、あるいはまた、技術のいろいろな相互の協力関係というものは当然必要になってくるわけでございますので、鈴木委員が御指摘の点も十分理解できるわけでございますけれども、現時点においては、そういう力点の置き方に違いがあるということによって、そんなにマイナスが生じているということも感じていないので、お互いに連携を持ってやっていくということが一番大事なことではないかというふうに思っております。
○鈴木(康)委員 大臣の答弁としてはそうならざるを得ないかと思うんですが、私は、これはこれから絶対に必要になってくると思いますよ。いずれまた、これはある意味でもう少し時間をかけてやる議論だと思いますので、また御質問したいと思います。
さて、少しバックエンドの問題について御質問をしたいと思います。
この前の与党の方の質問の中でも出ておりましたけれども、電気事業法改正のときの附帯決議で、バックエンドに関する官民の役割あるいは国の責任の明確化ということが附帯決議で示されたわけでありますが、その点について、特に、国の責任はどうあるべきかという点について、まずお伺いをしたいと思います。
○平田大臣政務官 先ほども、原子力発電事業の総合的なことについての責任という御質問もあって、大臣も、経済産業省が頑張っていこう、こういうお答えを申し上げたわけであります。バックエンドも大変重要なことでございますが、これはこれで、国と民間の役割を適切にそれぞれが分担をして、密接に連携をしていかなければならないということでございます。
国としては、あくまで事業を推進するのは民間でございますけれども、国は、それが円滑に行われるように、基本的な方針の明確化、事業環境の整備、基礎的、基盤的な研究開発の推進というところで基本的な責任を有しているんだろうというふうに考えております。
事業自体は民間に帰属するのが基本でございますけれども、大変長期であり、費用も極めて巨大でございます。さらには、技術革新等、不確実性の部分もございますので、昨年の八月に取りまとめをされました総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の中間報告におきまして、経済的措置を講ずることが必要だという整理もされたわけでございます。
経済産業省といたしましては、このような官民の役割の分担の整理を踏まえて、新たな使用済み燃料にかかわる準備金の創設とか、御審議いただいております本法律案の提出を行ったところでございまして、基本は基本で踏まえながら、さらに連携を深めて原子力政策を進めていく、こういうことであろうかと思っております。
○鈴木(康)委員 少し個別の話に入っていきたいと思うんですが、今度の法律の中で、バックエンド事業の対象範囲ですけれども、第二条の定義の中に、中間貯蔵やMOX燃料加工にかかわる内容というものが含まれていないんですけれども、これはなぜ抜けているのかという点について御質問したいと思います。
○安達政府参考人 お答え申し上げます。
本法案第二条第四項で定義されてございます「再処理等」の範囲は、再処理それ自体や再処理に伴い生ずる廃棄物の処理など、再処理に直接かかわるものということとなってございます。
今御指摘の中間貯蔵施設の建設、運営に要する費用につきましては、再処理に直接かかわるものでないため本法案の対象とはいたしておりませんが、広く発電コストの一部をなすものでございまして、各事業年度の当期費用として処理され、電気料金として回収されることとなります。
また一方、MOX燃料加工に係る費用についてでございますが、これにつきましては、燃料費として処理されるべきものであるため、本法案の対象とはしてございません。すなわち、この費用につきましては、燃料費でございますので、MOX燃料によって発電される電気の供給を受ける者が負担すべきものであることから、将来MOX燃料によって発電される電気の供給が行われる各事業年度の燃料費として処理され、電気料金として回収されることとなります。
なお、これらの整理につきましては、昨年八月に取りまとめられた総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の中間報告を踏まえたものとなってございます。
○鈴木(康)委員 そうしますと、MOX燃料の加工という部分については、これはバックエンドの範疇に入るのか、フロントエンドに入るのか、どっちになるんですか、これは。
○安達政府参考人 お答え申し上げます。
将来のフロントエンドでございます。
○鈴木(康)委員 では、この部分については、事業のリスクを含めて、一義的に事業者にそのリスクがかかってくるというふうになるわけですか。
○安達政府参考人 お答え申し上げます。
MOX燃料の加工費用でございますが、MOX燃料を燃やして将来発電をして、その電力を売って収入を得るわけでございますので、その収入から費用として支出をするということでございます。したがいまして、それは将来の電力事業者の事業に伴うコストということでございます。
○鈴木(康)委員 ただ、流れ的には、サイクルですから、再処理から流れていくものでありますね。ですから、その部分を整理すると、再処理のその先にある一つの作業というか事業として私は考えるべきだと思うんですが、どういうふうな整理をつけたらいいんでしょうか。
○安達政府参考人 具体的には、プルサーマルとして将来燃料として使っていくわけでございますので、そのプルサーマル発電の費用ということでございまして、その電気料金から支出をしていく、費用化されていくものというふうに考えてございます。
○鈴木(康)委員 いや、費用のところはそれで構わないと思うんですが、一連の流れとしては、プルサーマルができなければこれは全部崩れちゃうでしょう、事業全体が。ですから、やはりそういういろいろな、細かくこれからどういうリスクが出てくるかわからないけれども、その部分についてはやはり国が責任を負っているわけですよね。そこが崩れたら、これはサイクル全体が崩れちゃいますよ。そういう理解でよろしいんですね。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
使用済み燃料を再処理いたしまして、それからプルトニウム等の有用物を取り出しまして、まずはMOX燃料に加工いたしまして、これを従来の軽水炉、これは御地元の御理解と安全確保が大前提でございますけれども、推進をしたいということで従来から取り組んできておりまして、現に今、二つの電力会社で御地元との間で話が進んでいるところでございまして、私ども国といたしましても、電力会社と一緒に、地元説明会等で取り組んでいるところでございます。
したがいまして、プルサーマルにつきましては、ぜひ実現をさせたいということでございまして、これはあくまでも制度的な仕分けでございまして、今回の使用済み燃料の再処理は、これまでに使いました燃料を処理するということで、使用済み燃料を処理するということでございますので、これまでの電力を使ってきた方々に御負担をいただく、こういう仕組みでございまして、MOX燃料につきましては、将来の需要家がMOX燃料によって発電された電気を使うということでございますので、これを将来のある意味ではフロントエンドというふうに整理をしているところでございます。
仮に、将来万一プルサーマル発電ができなかった場合にはどうするかという御質問かと思いますけれども、これにつきましては、現時点では私どもとしては、電力会社と協力をいたしながらこの実現に努めていきたいという考え方でいるということでございます。
○鈴木(康)委員 いや、だからそこが私は不透明だと言っているんですよ。
では、電気事業者が、いいですよ、それは電気事業者のコストとして電気料金に乗っけてくださいと。では、そのコストが物すごいはね上がっちゃって、ばかばかしいからプルサーマルなんかやりませんよと。だって、電気事業者はそれはビジネスでやっているわけですから。この自由化の中で厳しい商売をやっているわけでしょう。その中で、コストがはね上がったらプルサーマルなんかやらない、あるいは、地元の理解が得られなくてプルサーマルできない、こんな苦労するのなら今までどおりウランをたいていりゃいいじゃないかという話になってきますでしょう。そこのところを言っているんですよ。そこが非常に不透明だから、そこを責任を持って、ではだれが推進をしていくのか、そこの責任はやはり国が持つべきでしょうということなんですけれども、いかがですか。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
その点につきましては、特にプルサーマルの推進につきましては、国としてもこれまで積極的に取り組んでおりまして、まさしく核燃料サイクル全体を実現するという上では、これが、国として責任を負いながら、かつ、民間事業者の御協力もいただきながら進めていくということでございまして、将来的には、高速増殖炉におきまして再処理することによって取り出されましたプルトニウムを使われるということになろうかと思いますけれども、そういうことも含めまして、国として、政策的には責任を持って取り組んでいきたいというふうに考えております。
○鈴木(康)委員 ここは非常に私は大事な点だと思うんですね。ここが崩れたらサイクル全体が崩れちゃうので、私は、やはり国の責任というのはしっかり自覚していただかなきゃいけないと思うんですね。
ちょっと次に進みたいと思うんですが、先ほど吉田委員からの御質問にも出ていました第二再処理工場の問題なんですけれども、今の六ケ所が年間八百トンの処理能力、そして現存の原子力施設だけでも毎年一千トンの廃棄物が出るわけでありまして、当然、そこは二百トンの差が出てくる。足らない部分あるいはこれからふえていく部分の処理も含めれば、新たなる施設の建設というものが必要になってくるわけであります。
この第二再処理工場については、二〇一〇年くらいから検討を始めるというふうに聞いているんですけれども、私はもうこれは検討を始めた方がいいと思うんですけれども、なぜ二〇一〇年ころから検討を始めるというふうに方針としてなっているのか、まず、その点についてお伺いしたいと思います。
○平田大臣政務官 現実に処理をしなければならない量の方が多いということは、もうそのとおりでございます。六ケ所の工場では処理ができないわけでありますので、したがって、原子力委員会の新計画策定会議で、昨年十一月に行われた中間取りまとめで、御承知のように、当面中間貯蔵、こういうことで答申があったわけでございます。
そのことに基づいて、次世代の再処理技術というものもにらまなければならないということで、既に核燃サイクル開発機構で高度な経済性、安全性、核拡散抵抗性等の特徴を有する次世代の核燃サイクル確立に向けた研究が進められておりまして、今後とも引き続きこれを推進していかなければならないというふうに考えておるところでございます。中間取りまとめに示された方針に従いまして、第二再処理工場の検討と実現というものをそういう形でしっかりと進めてまいりたいというふうに思っておるところでございます。
○鈴木(康)委員 技術は日進月歩ですから、そういう新たな技術開発をにらみながらということで、こういう検討状況になっているのか、あるいは別の要素があって検討を先送りしているのか、そこが私はちょっとよくわからないんですね。
では、第二再処理工場についての仕組みは、今の六ケ所と同じような仕組みで建設をされるのか、あるいは全く別の、もっと国が責任を持った形でこれについてかかわるのか。その点はどういう見通しを持っていらっしゃるのか、お伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 お答えを申し上げます。
六ケ所工場に続きますいわゆる第二再処理工場でございますけれども、これは、ただいま政務官からもお答え申し上げましたとおり、一つは、やはり六ケ所の再処理工場は四十年間操業でございまして、この六ケ所の再処理工場の運転実績というものをある程度見る必要がある。
それから、これは日本国内だけでございませんで、アメリカでもほかの国におきましても再処理の技術開発が進んでおりますので、そうしたものの状況も見る必要があるということで、それでは次の再処理工場をどういう仕組みで行うのかということにつきましては、そうした状況を見ながら、その時点でふさわしい仕組み、あり方を検討するということでございまして、現時点におきまして、六ケ所工場と同様な形で進めるというようなことはまだ全く決まっておりませんで、今後の課題、それも含めた検討ということでございます。
○鈴木(康)委員 恐らく今お伺いしてもそれ以上の答えはないと思うんですが、私は、一つ要望として言っておきたいのは、やはりもう少し国が踏み込んで、何となく日本のバックエンドに対する国のかかわりというのは、他国に比べて、私は何か中途半端な気がしてならないんですね。ぜひそこをもう一歩踏み込んだ形で行っていただきたいというふうに思います。
ちょっと時間も限られてまいりましたので、次の質問に移りたいと思いますが、今回の法律のもう一つの法律であります核物質防護あるいはクリアランス制度についてお伺いしたいと思います。
今回、新たに核物質防護についてさまざまな規制がなされるわけでありますが、これはIAEAのガイドラインに照らして、これから我が国でもそういうガイドラインをつくるなりしてやっていくんだろうと思うんですが、まず、今のガイドラインに従って見ていきますと、我が国の原子力施設はどういった点が今不足をしているのか、恐らく検討されていると思いますが、その点について、まずお伺いしたいと思います。
○平田大臣政務官 よく御承知の上で御質問いただいておりますが、IAEAが作成した核物質防護に関するガイドラインの最新版におきますと、原子力施設への破壊行為に対する防護対策の強化、治安部隊との連絡体制強化などが勧告されているわけでございます。
これまでは、我が国の原子力発電所等におきましては、IAEAのガイドラインを参考にしながら、原子炉等規制法に基づいて厳格な措置を講じてきております。先ほどもお答えの中にございましたが、同時多発テロ以降は、二十四時間体制での警備が実施されているところでございます。
しかし、御指摘のように、さらにテロの脅威が高まるということから、IAEAのガイドラインのうち、これまで実際には未対応であったという点を三点、設計基礎脅威の導入という点と、核物質防護検査制度の創設それから秘密保護制度の制定、この三点を今般の制度改正で、この国の核物質防護体制の強化を図ることのために御審議をいただく、こういう運びでございますので、よろしくお願いを申し上げたいというふうに思います。
○鈴木(康)委員 検討の結果、今回の法律になったということであります。
それでは、その柱の一つであります核物質防護検査官という今度新しく創設をされる検査官は、どういう資格を持った方がなられるのか、どのくらいの人数を想定されているのか、あるいはどういう形で採用されるか、その点についてお伺いしたいと思います。
〔高木(陽)委員長代理退席、委員長着席〕
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
核物質防護検査官制度は、今回の法律改正のいわば柱でございます。御指摘のとおりでございます。
具体的な職員でございますけれども、まず、人数でございますけれども、十七年度予算、定員上は二十五名まで配置できるように定員を確保しております。それで、具体的には、原子力安全・保安院の職員を、一定の研修を行いながら、一定の資格を有する者をセレクトして配置したいと思っておりますけれども、それだけではなくて、警察庁、防衛庁等から新たに出向を求めるということなど、幅広い分野から登用していきたいというふうに考えております。
次に、その資格でございますけれども、いわばセーフティー、安全の検査とは異なりますので、核物質防護検査ということで、それに伴います必要な学歴、業務経験といったような知識経験を求めていきたいということを考えておりまして、具体的には、この法律改正に伴います政令で定めていきたいというふうに考えております。
この核物質防護検査官でございますけれども、したがいまして、一定の資格を有する者を幅広い分野から登用いたしまして、各地方のブロック単位で原子力安全・保安院の職員として配置をしていきたいというふうに考えております。
今後とも、こうした検査官につきましては、その技能の向上を図るということも大事でございますので、任用後も継続的に検査官の研修というものを行いながら、その知識や能力の向上を図ってまいりたいというふうに考えております。
○片山政府参考人 御説明を申し上げます。
文部科学省におきましては、試験研究用原子炉施設あるいは核燃料物質の安全規制を実施しておるところでございます。
核物質防護検査官の資格といたしましては、この試験研究用原子炉施設の設置者あるいは核燃料物質の使用者が講ずべき特定核燃料物質の防護のための必要な措置について、相当の知識及び経験を有することが必要であるというふうに考えているところでございます。
また、人数につきましては、平成十七年度に二名の新規増員を行うこととしておりますが、今後、検査の内容を具体的に検討した上で、検査が適切に行えるよう、所要の人数の核物質防護検査官を確保する予定でございます。
また、核物質防護検査官につきましては、試験研究用原子炉施設や核燃料物質の使用施設の核物質防護に関する専門的な知識を有する職員に発令するほか、新規増員分につきましては、治安機関の協力も得ながら、外部から専門家を採用するなどの方法も検討してまいりたいと考えております。
○鈴木(康)委員 いや、ちょっと、まだわからないのは、核物質防護ということでありますが、例えばテロ対策とか治安の面でそういうきちっとした体制が整っているかどうかというようなことをチェックされるのか、あるいは、もっと核物質に対する技術的な、科学的な知識がこの人たちには要るのか。どういう専門知識がまず要るのか、ちょっとその点、再度御質問したいと思います。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
結論から言いますと、今鈴木委員御指摘の双方の知見が必要だと思います。
当然、テロ対策でございますので、原子力発電所を初めとした施設がテロ攻撃をされた際にどういう形で防御するのがいいのかということについて、事業者の対策が十分かどうかということを検査いたしますので、そういう意味での、治安対策面での知見というものが必要だと思います。
また同時に、原子力発電所、どこにどういう機能があるのか、どこがどういう形で例えば災害防止の観点から重要な施設なのかといった、原子力発電、あるいは研究施設もそうでございますけれども、そういった意味での科学的な知見というものもあわせて必要になるのではないかというふうに考えております。
○鈴木(康)委員 これはなかなか、これを両方持ち合わせたスーパーマンみたいな人材というのはそうたくさんいるわけじゃないと思うんですね。
そうすると、こういう理解でいいんですかね。現実的には、いわゆるそういう治安のプロと、あるいはそういう核物質に対する科学的知見を有したそういう専門家と、その両方を例えばセットにするとか、あるいはそういうチームにするとかという形で施設をきちっと検査する、現実的にはこういう理解でよろしいんでしょうかね。
○松永政府参考人 お答え申し上げます。
確かに両方を備えられている方をまず採用したいと思っておりますけれども、片方がより知見が少ないということであれば、その辺のところは研修で採用するまでに補っていきたいというような形を考えております。また、当然チームを組んで行いますので、両方の分野をいわばうまく全体としてカバーできるようなチーム構成ということも大事だと思っております。
○鈴木(康)委員 これからどういう形でやるのか御検討なされるんだろうと思うんですが、私は、研修で、つけ焼き刃で何とかなるようなものじゃないと思うんですね。現実的に考えれば、やはりそういうチームをつくる必要があるんだろうと思うんですね。そういうことに関しましては、政令で定めるということになっていますが、今後の実際の運用状況等もまたチェックをさせていただきたいと思います。
ちょっと時間も迫ってまいりましたので、高速増殖炉について一、二点お伺いをしたいと思います。
今、サイクル路線というものが一つの方向として出されているわけでありますが、やはり最終的には、これはプルサーマルでは不十分で、高速増殖炉が最終目標というか当面の大きな目標というふうに思うわけであります。プルトニウムを増殖させて、それを消費して、半永久的にそうやって燃料を使える。あるいはマイナーアクチナイドという長半減期のそういう核種を処理できるといった、いろいろな多機能を持つのはやはり高速増殖炉でありまして、そこに行き着かないと、私はやはりサイクルの完成とは言えないと思うんですけれども、そういう認識でよろしいのかどうか、まずお伺いしたいと思います。
○森口政府参考人 先生御指摘のように、高速増殖炉につきましては、プルトニウムを増殖、消費するという特色を持っております。それによりましてウランの利用効率が飛躍的に高まる。将来実用化されますと、現在の利用可能なウラン資源だけでも数百年にわたって利用し続けることができる、そういう可能性を有してございます。また、いわゆるマイナーアクチニド等の長期に残留する放射性廃棄物を少なくする、そういう技術的利点もございます。
そういうことで、今、原子力委員会の長期計画策定会議でいろいろ議論がなされてございますけれども、高速増殖炉サイクル技術は着実に研究開発に取り組んでいくことが重要、そういう認識でございます。
核燃料サイクル開発機構におきましても、実験炉の「常陽」あるいは原型炉の「もんじゅ」、こういったものを用いた研究開発を通じ、また、電気事業者とともに高速増殖炉の実用化に向けた調査研究、こういうことも今進めてございまして、こういうことを通じまして、高速増殖炉の実用化に向けた研究開発に着実に取り組んでいきたいというふうに考えておるところでございます。
○鈴木(康)委員 よく高速増殖炉の議論になると、やはりウラン資源の有効活用という面が非常に脚光を浴びるんですが、私はもう一つ、やはり長半減期の核種の処理という、これは非常に大きいと思うんですね。このままですと、やはり万年単位で後世に有毒な放射性物質を先送りしなきゃいけない。もしこの処理が可能となってくると、その量が激減するわけですよね。そういう意味で、私は、それができれば画期的なことだろうと思うんですね。やはり人類の責任としても、それは、技術的に追求可能であれば、私は徹底してやるべきだと思うんですが、今、現実的にその可能性というものはどの辺まで来ているのか、その点についてちょっとお伺いしたいと思います。
○森口政府参考人 先生おっしゃいますように、使用済み燃料中のいわゆる長寿命核種の分離変換技術というのは、放射性廃棄物に含まれる長寿命の放射性物質を核変換して消滅させるということで、高レベル放射性廃棄物の環境負荷の低減という意味で非常に重要な技術だろうと思っております。
それで、現在、高速増殖炉において発電を行いながらマイナーアクチニドその他の長寿命核種を消滅させる技術につきましては、核燃料サイクル機構において、技術的実現の可能性、経済性、廃棄物発生量等の検討評価を行ってございまして、関連する要素技術の開発といったものを現在進めておるところでございます。
この技術につきましては、原子力委員会の専門部会で評価が行われておりまして、有用な技術となる可能性があり、今後とも引き続き研究開発を着実に進める必要があるとされてございます。今後とも、外部評価もしっかり受けながら、着実に研究開発を進めていくことが重要であると考えてございます。
○鈴木(康)委員 時間になりましたので、もう一点だけちょっと御質問したいんです。
やはり高速増殖炉を進めていくとなると、「もんじゅ」の位置づけをどうしていくか、ここがすごい大事だと思うんですね。昨年、私はフランスへちょっとお伺いしたんですが、ポストフェニックスとして非常に「もんじゅ」に期待しているんですね。やはり、そういう国際的にも期待をされている「もんじゅ」の位置づけというのが、どうも私は中途半端な気がしてならないんですね。
だから、今度の例えば長計にきちっとそうした位置づけをする、あるいは今後それをどうしていくかというきちっとグランドデザインをかいていく、そういうことが必要になってくると思うんですが、そういうお覚悟というか決意をお聞かせいただきたいと思うんです。
○森口政府参考人 「もんじゅ」につきましては、先ほど来出ております原子力委員会における次期長期計画の検討の中でも、先日取りまとめられました論点整理の中で、「もんじゅ」は高速増殖炉サイクル技術の研究開発の場の中核として位置づけるというふうにされたところでございます。長期計画自身につきましては、年末に向けて取りまとめが行われるわけでございますが、このように論点整理されたこともあり、我々としては、「もんじゅ」についてしっかりと長期計画の中に位置づけられるようにというふうに今後とも努力をしてまいりたいと思っております。
また、今後の高速増殖炉の実用化に向けたステップでございますけれども、いわゆる実証炉の建設でございますとかその後の実用化計画、これは非常に重要な課題と認識してございます。これにつきましても、現在、原子力委員会の次期長期計画の検討の中で議論がされてございます。我々といたしましても、現在、「もんじゅ」の運転再開を目指しているわけでございますが、その実験の成果、あるいは電力会社とサイクル機構が進めております実用化戦略調査研究の成果、こういったものも踏まえながら、国として適切に評価しながら、具体化を図っていきたいというふうに思ってございます。
○鈴木(康)委員 ぜひ、国一体となってやっていただきたいと思うんですね。今度の質問でちょっといろいろ、レクのときにも、それは原子力委員会の問題ですよとか、いや、それはあちら様の問題ですという、やはりその障壁というのを物すごく私は感じるんですね。
冒頭でも申しましたように、これからますますこの原子力の問題は難しくなってくるので、やはり国の体制がそういう状態だとどうしてもこれは先に進むのがなかなか大変だなと思うんですね。ぜひそこを壁を打ち破って、できればエネルギーをきちっと一体として処理していくような、エネ庁を省に昇格させて将来にわたって責任を持っていけるような、そういう組織体系の構築も含めて検討していただきたいということを要望いたしまして、質問を終わらせていただきたいと思います。
どうもありがとうございました。
○河上委員長 次に、大畠章宏君。
○大畠委員 民主党の大畠章宏でございます。
鈴木委員に引き続いてこの原子力二法に関する質問をさせていただきますが、その前に、質問通告はしておりませんけれども、けさ、民主党の経済産業の部会といいますか会合で、中国の反日問題、反日運動の日本経済といいますかあるいは中国国内の企業に対する影響はどうなんだろうかという論議をいたしました。
さまざまな背景があるということでありまして、大臣におかれましても、政府内でこの問題について種々報道を集め、そしてまた分析をし、小泉政権としてどうするかという対応をされていると思うんですが、その中で、中国国内の経済状況、あるいは貧富の差、あるいはまた労働条件がなかなか上がらない、そういう国内の不満等々がうっせきした形でこういう形になったんじゃないか。あるいはまた、整然と警察官がガードしながらも、れんがを投げるとか、インクの瓶を投げるとか、火をつけたものを云々するとかという者には全く制止する姿勢すらないわけでありますから、何か気脈を通じて、ああいう形で国内の不満を解決させようとしているんじゃないかとか、さまざま論評がされているんです。
その中でちょっと私が気になるのは、日本の常任理事国入り問題について、中国政府の方で、隣国との信頼関係を築けない者が常任理事国入りすることはできないんじゃないかと。インドですとかあるいはドイツについては評価をする、そういう形で表明がされておりますけれども、この事態、あるいは中国のこのようなメッセージ、まあ韓国の方からもそういうメッセージが出始めておりまして、日本の経済活動にも大きな影響を与えるんじゃないかと指摘をされているところでありますが、小泉内閣の閣僚としての御意見あるいは御感想がありましたら、冒頭にお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 まず今回の、毎週、週末になると、整然とした暴徒という、何か日本語になっていないことは自分でもわかっているんですけれども、整然とした暴徒が集まって、そして日本企業あるいは日本の在外公館に対して投石をしたり傷つける、あるいはまた日本人に対しても、何人かいきなり殴られたという方もいらっしゃるわけでございます。
原因がどこにあるかということは、今、大畠委員もおっしゃったようないろいろな原因があるのかもしれません。そこは私自身、推察の域を超えませんけれども、いずれにしても、法治国家あるいはまたWTO上の市場経済国家の位置づけを確固たるものにしたいというふうに思っている国であれば、私は、愛国無罪という言葉は通用しない。愛国無罪という言葉から思い出すのは、文革のときに、造反有理、革命無罪という言葉がありましたけれども、どうもそれとダブってきてしようがない、これはもう私の個人的な印象でありますけれども。
愛国という名のもとに、幾ら日本に対して言いたいことがあっても、無法状態にし、しかもテレビで堂々と、まあ警察官がコントロール、あるいは私はこの前のテレビでアシストという言葉を使いましたけれども、こういう形でやるということは法治国家としてはいかがなものかと。他方、日本に対して、何か日本にいる中国人の方に対してはしっかり警備をしろよということを申し上げたということになると、私としては、笑止千万というふうに言わざるを得ないわけでございます。
いずれにしても、隣国として、日中平和友好条約を結び、互恵平等で発展をしていきましょうというふうにお互いに確認をし合っている両国でございますから、少なくともお互いの国の人々あるいはお互いの国の資産をきちっと守るというのは、所在する国の治安の責任であるというふうに私は思っております。
他方、常任理事国入りが一つの原因ではないかということについては、実際に中国も韓国も、ヨーロッパのドイツは支持する、あるいはインド、ブラジルは支持する、日本は支持しない、なぜならば云々ということでありますけれども、これは、例えば韓国について言うと、似たような例としては、ドイツの常任理事国入りに対してイタリアが必死になって反対しているということを聞いております。やはり、常任理事国入りということに対して、その対象になっていない国から見ると、一般論としてはそんなに、反対をしている例も世界の中にはあるわけでありますし、他方、周りで応援している例もあるわけでございますから、ぜひとも隣国の韓国、中国の皆様にも、日本が国連常任理事国入りすることによって、我々は東アジアの代表として、中国、韓国あるいはまたその他の国々にとってもプラスになるんだということを我々としても行動で示さなければなりませんし、また、そのことを御理解いただかなければなりません。
そういう前提でぜひ御理解をいただいて、この常任理事国入りについても地域の仲間としてぜひ御支援をいただきたいと思いますが、いずれにしても、愛国無罪のスローガンに基づくあの行動というものは、どこの国の行動であっても許すことはできないというふうに考えております。
○大畠委員 おおよそ大臣が今述べられましたが、私自身も、愛国無罪と叫びながら何の罪もない日系の商店街を襲って被害をこうむらせるということは、全く無罪ではなくて、あの行動そのものは有罪だと思いますね。
私は、この暴動の背景に、もちろん中国国内のさまざまな動きがあると思うんですが、小泉政権の外交姿勢について、余りにも日米に偏り過ぎていて、隣国の韓国とかあるいはお隣の中国との外交問題について、どうも軽視しているというのは言い過ぎかもしれませんが、ほとんど眼中にないというその政治姿勢も一つの要因になっているんじゃないかと思うんですね。したがって、小泉総理のコメントの中で、今度会ったときにはこの問題についてお互いに非難し合うことではなくという姿勢もわからないわけじゃないんですが、毅然と日本として言うべきもの、あるいは、中国国内の日系企業あるいは日本の国民の命と財産を守るという強い姿勢を私は出すべきだと思うんですが、閣僚として、もう一度そのことについての御意見を賜れればと思います。
○中川国務大臣 小泉総理は、隣国の韓国、中国というのは極めて大事な存在として認識をしているというふうに私は思っております。
だからこそ私の東シナ海に対する取り組みについても、もちろん、これは政府として全体で行動しているわけでありますけれども、総理からはいつも、あの東シナ海は対立の海ではなくて協調の海にしなければいけないということを必ず発言されているわけであります。
他方、どういう原因であれ、今、大畠委員もおっしゃり、私も申し上げたことの、日本人に対する危険あるいはまた日本の資産に対する損害ということに対しては、向こうに一義的に治安の維持をする責任があるわけでございますけれども、それができなければ、邦人保護、日本の財産の保護のために日本国がきちっとそれに対して対策をとる、守るというのは、主権国家として国民に対する責務だというふうに私は考えております。
○大畠委員 外交問題は非常に国が行うべき課題の中枢でもありますし、防衛問題、外交問題、教育あるいはまたさまざまな治安の問題等々も国のやるべきものでありますが、ぜひ、日米関係のみに傾倒してあとはどうでもいいんだというような感じのメッセージを出さないように。町内会だって同じなんですね。隣の町内の金持ちの人と仲よくなっていればいいというのではなくて、やはり両隣あるいは前後ろ、こことはちゃんと仲よくするというのが、地域だって生きていくための大変重要な形でありますから、ぜひそこら辺は小泉政権として、改めてそういうものに配慮しながらも毅然とした姿勢を示していただきますように、特に国民の生命、財産、中国国内でも必死になってやっているわけですから、企業の対策とかあるいは被害を受けた商店街に対する対応等々、十分に配慮していただきますよう要望しておきたいと考えます。
さて、そういうことを申し上げながら、この原子力関連二法案に対する質問をさせていただきますが、最初に、私たち民主党としての基本的な立場といいますか、これまでの経緯というものについて申し上げながら質問させていただきます。
私たち民主党は、我が国の原子力政策は、安全性を最優先させ、万一に備えた防災体制を確立した上で、いわゆる次の技術の確立までの過渡的エネルギーとして慎重に推進します。まず、原子力安全規制の独立性及び安全チェック機能の強化充実を図るため、経済産業省や文部科学省から切り離した国家行政組織法第三条による原子力安全規制委員会を新たに創設します。こういうことを基本的な政策に置いております。
また、プルトニウムの再利用は、MOX燃料、高速増殖炉などの研究開発用として使用計画のある分量のみを抽出し、その他の使用済み燃料は中間貯蔵します。その間、安全確保を前提とした使用済み燃料の国内再処理事業の確立と核燃料サイクルの研究開発を進め、放射性廃棄物処分の計画的かつ確実な実施、廃炉技術の技術的安全性とあわせて、信頼性確立のための先進国間の協力を推進します。こういうことをベースとして政策活動を進めているところであります。
そこで、そうは言いながら、昨今、先ほど吉田委員あるいは鈴木委員からも御指摘を賜りましたが、さまざまな原子力事故等々が重なって、日本の原子力政策に対する国民の不安というのが非常に大きくなってしまったんですね。先ほど決議をいただきましたけれども、美浜の事故の問題もそうですが、いろいろお話を伺いますと、安全性とコスト、いわゆる定検期間を短くしよう、そのかわり一日原子力発電所がとまると一億円と言われていますから、だからなるべく定検期間を短くしよう。そのために、プラントはとまらないんだけれども、前もって準備作業はいいじゃないか、PWRは、タービン建屋はいつでも入れますから、そういう意味で準備作業に入っていてああいう事故に遭ったわけですね。
それで、社長も会長も陳謝をし、確かにコスト優先で安全をないがしろにしてしまいましたという反省の弁は聞いたところでありますが、これは原子力だけにかかわらず、雪印の問題もそうでしたね。三菱ふそうを初めとして自動車問題も、コストと安全性のどっちを優先したかというと、コスト優先にしてしまったというくだりがございました。ジェー・シー・オーの事故のときにも、効率、効率と、効率を上げようというのであのバケツの事故でもって二人の方が亡くなられたわけですね。
そういう意味では、どうも日本全体が小泉さんの言う頑張れ、頑張れ、競争しろ、勝ち残った者を支援してやるから、こういう日本全体の風潮が今日のさまざまな事故を生んでいると思うんですが、経済産業大臣として、私は、日本国内の物づくり、あるいは各産業界に対して警鐘を鳴らすべきだと思うんです。競争もいいけれども、安全大事ですよ、国民の信頼を失ったらどんなに大企業といえどもあっという間に滅びるんですよという、産業界のトップである経済産業大臣としてこの際警鐘を鳴らすべきだと考えますが、この件について、最初に大臣の御見識あるいは御見解をお伺いします。
○中川国務大臣 今お話のありました雪印、あるいはまた三菱自動車、そして昨年の関電、いずれも日本を代表する企業でありますけれども、どうも共通しているのは、ちょっとしたことで、このぐらいなら大丈夫だろう、美浜について言いますと、次の定期点検まで大丈夫だろうとか、あるいは通常の出力であれば問題ないだろうとかいったようなこと、あるいはまた、製造そしてメンテナンスをやっていた三菱重工についても同じようなことがあって、それが複合的に重なり合って大変な事故を出してしまった。
雪印については、私の地元でございましたから大変影響が大きかったのでありますけれども、賞味期限の切れたものをまた入れたとか、あるいはパイプの掃除をきちっとしていなかったとかいうちょっとしたことから会社自体が実はばらばらになってしまったということで、まさしく大畠委員の御指摘のとおり、日本を代表する企業があっという間に信用を失うだけではなくて、会社の存立にかかわる。会社の存立にかかわるということは、従業員、御家族あるいは取引先、地域経済にも大きく影響を与えるわけでありますから、まさに、社会的な企業の責任というものはますます大きくなってきているわけであります。
小泉総理が、勝者だけ頑張れ、頑張れと言っているというのは、必ずしもそれはそういうことではないと私は思っております。
つまり、競争力を強めるということは、ある意味では日本が、今おっしゃられた物づくりも含めて、生きていく上での一つの、はっきり言って唯一とも言っていい人材育成と競争に勝つための方策をいかにつくり上げていくかということに今取り組んでいるわけでありますけれども、そのトップランナーあるいはまた勝者というのは、何も瞬間的に売れているから勝者だということではなくて、あくまでも安全性だとか食品における信頼性、安全性、あるいはこういう巨大なエネルギー組織あるいは自動車といった安全性、信頼性というものが大前提にあって、その上で技術的な格差というものによって競争力を勝ち抜いていくということでございます。
トータルとして最終的に競争していって勝ち抜いていくということでございますから、当然その安全性とか信頼性とか社会に対する責任というものが大前提にあっての日本として物づくりとして勝ち抜いていくということが、小泉総理、そして我々経済産業省も含めた内閣の基本方針でございますが、いずれにしても、企業の社会的責任というものはこれからも極めて大きくなっていく、それをクリアしたところの企業というものは逆に高く評価される、それが健全な、あるべき姿だろうというふうに思っております。
○大畠委員 いずれにしても、今、大臣からもお話ありましたが、日本は、戦後、戦争で負けて焼け野原になって何にもなかったところからここまで来たんですから。それは、世界の一流国に入ったことは事実かもしれません。しかし、その原点、要するに、物づくり、貧しさ、堅実、それから約束したことはきちっと守るとか、そういう日本のよさが次々と失われて、私は非常に残念なんですよ。
こういう事故、雪印の問題だってそうだし、安全性よりもコストを優先するなんという発想はもともと日本にはなかったんですね。世の中の人に役立つものをつくろう、いいものをつくろう、隣のやつよりもいいものをつくろうというのはありましたよ。しかし、わからなければいい、ごまかしてでも勝てばいいなんという風潮はどこから出てきてしまったのか、私は非常に悲しんでおるんです。
ぜひ、経済産業大臣としてリーダーシップをとって、もう一回みんな昔を思い出せというような話で、そういうこそくなことをやると必ず失敗するよという警鐘は鳴らし続けていただきたいと考えます。
次に、皆さんのお手元に二枚の紙が渡っていると思うんですが、参考資料がございます。これは、一つは毎日新聞の新聞記事でございまして、「スーダン油田に中国旗」ということで、サハラ砂漠に中国の国旗が翻っていた、中国が年間に支払う石油代金は推定六十億ドル、約六千五百億円。下の方へ行って、中国が九七年に石油開発権を獲得して、アメリカは九五年、人権抑圧を理由にスーダンを制裁、中国やインドなどアジア系石油企業が権益を握った、こういう記事があります。私は、中国というのは本当に着実にこういうことをやっているなという感じがするんですね。
それからもう一つの資料は、これは資源エネルギー庁からいただいた資料でございます。二一〇〇年のときのデータを見ますと、二〇〇〇年に比べると六・二倍に肥大すると。北米、欧州、日本とか旧ソ連関係は余り大きく変わっていないんですが、中南米、中東・アフリカ、アジア関係が急速に伸びるんですね。
こういうことを考えたときに、日本のエネルギー政策は大丈夫か。きょうは原子力関連二法でありますけれども、非常に緻密なことを考えることも大事なんだけれども、こういうものを考えたときに、日本国内のエネルギー戦略というのは、どうも私は、メッセージが余りにも少な過ぎる。
先ほど鈴木委員からも御指摘がありましたが、エネルギー政策というのはどこがやっているのというときに、答える人というのはどこなんでしょう。例えば、日本のエネルギー戦略はどこでやっているんだというときに、どこどこの部署がエネルギー戦略をやっていますという部署があるでしょうか。大臣、もしもわかりましたらお答えください。
○中川国務大臣 エネルギーの長期見通しについては、これはもう内閣として基本方針ができておりまして、それに基づいてやっているわけでありますけれども、エネルギーを担当する責任者はだれかといえば、私でございます。
○大畠委員 実はここに、私の手元に、フランスの原子力庁の原子力開発局長さん、フィリップ・プラデルさんという方と先日お会いしました。彼の略歴をいただいたんですが、七八年にフランス原子力庁に入省して、スーパーフェニックスの試運転に入ったんですね、立ち上げに従事。それから、八七年にコジェマに入社した。それから、八七年から八九年、ラ・アーグ再処理場に入り、一九九〇年には再処理本部技術部長になって、九五年から二〇〇〇年には核燃料・リサイクル本部副本部長。それから、二〇〇〇年から二〇〇四年はコジェマの副社長、二〇〇五年一月にフランス原子力庁の原子力開発局長。言ってみますと、ずうっと原子力部門、それも高速増殖炉関係をずうっとやっているんですね。
こういう人が、今、日本にいますか。大臣も、最長四年ですか、最短一年。私が責任者だと言ったって、大臣もかわるわけですよ。そのときに、日本のエネルギー関係者の中でこういう経歴を持つような人物を育てているのかどうかが問題なんです。役職は、それは社長さんでも副社長さんでも次々かわりますよ。ただ、それじゃなくて、やはり現場、あるいは、こういうエネルギーをずうっとやっている男をどうやって育てるかというのが私は大事だと思うんですね。
そういう意味では、先ほど鈴木委員の方から、エネルギー問題ではエネルギー省というものをつくることが必要じゃないですか、エネルギー問題にずうっと、入省してからあるいは携わってからずうっとやるような男を育てることが必要じゃないですかと言ったけれども、大臣は、今その必要性は感じておりません、現在でも十分ですというお話がありました。閣僚の一員としてはそういう答えをしなければならないかもしれませんが、私は、ちょっとそれは違うんじゃないか。
こういうことを考えると、二一〇〇年時代、あと百年先といったってすぐですよ。そういうことを考えると、今の体制のままで、エネルギー担当の課長さんも二年ごとにころころころころかわる、ずうっとエネルギーに携わる人間がなかなか育たないというのが現状。
そういう意味では、こういう「スーダン油田に中国旗」という記事がありますが、日本のエネルギー政策がどうもどこが責任部署でやっているのかわからないというのが私は非常に残念なんです。これは、与党の中でも、ぜひ、そういう建前論だけにとらわれずに、私たちも今日あるのは、先輩方がそういう下地をつくったから今日生きられるのであって、私たちもいずれ死にますよ。死んだ後の日本人の子供たち、あるいは、将来はだれが担うかといったら、私たちが担わなきゃならないことは事実。
そういう意味では、現状、非常に不十分であるということをぜひ御認識いただいて、さらに御努力いただきたいということを申し上げさせていただきます。
それから、再処理準備基金についてお伺いします。
これは、いろいろ資料を見ると、言ってみますとこの問題は、今まで電力会社がたんす預金をしていたんだけれども、どうもたんす預金をしているとどこに使っちゃうかわからないから、やはり公的な郵便局に貯金しよう、そういうことだと私は思うんですね。だから、信頼できる郵便局に預ければ大丈夫だということで預けるんだと思うんです。
ただ、三百年も十八・八兆円を預金しておいて本当に大丈夫かな、そういう不安視する声もあるんですが、この十八・八兆円の基金の使途あるいは透明性をどう確保するかということについて、具体的なお話を伺います。
○安達政府参考人 お答え申し上げます。
再処理積立金として積み立てられた資金につきましては、今御指摘のように、極めて長期にわたり発生する再処理に要する費用の支出に適正に充てられることが不可欠であると考えてございます。このために、電力会社が再処理事業の支出に充てるため積立金を取り戻そうとするときは、その支出内容について経済産業大臣の承認を受けることを義務づけまして、国による厳格なチェックを行うこととしてございます。
さらに、積立金の管理を行うことになる資金管理法人が、取り戻された積立金が確実に再処理事業に支出されることを確認する業務を法律上行うことにより、適正な支出を確保することとしてございます。
また、この資金管理法人は、毎年度、資金の取り戻し状況を記載した事業報告書を国に提出することとしてございますが、この提出されたものを公表いたすことによりまして、常に積立金の使途の透明性の確保を図っていきたいというふうに考えてございます。
いずれにいたしましても、今先生から御指摘のように、安全、確実、透明性が担保されるような形でこの資金管理が行われるように、今後とも十分な監督をしてまいる所存でございます。
○大畠委員 とにかく、三百年というと江戸三百年ですから、それと同じぐらいの時間ですから、そこら辺は十分に、国民の皆さんにも理解いただけるようにさらに努力をしていただきたいと思いますし、資金管理団体が天下り先になるんじゃないかとか、社会保険庁に対する批判も今出ているところでありますが、往々にすると無責任な機関になりがちでありますから、そこらは十分に注意をしていただきたいということを申し上げさせていただきます。
それから、日本原燃でございますけれども、六ケ所村でさまざまな困難を克服して一生懸命事業展開をしているわけでありますが、この日本原燃さんの位置づけというのは、今回のこの原子力政策上大変重要な位置づけでありまして、まさに不可欠な任務を負うことになっています。再処理事業、燃料加工処理、そして高レベル廃棄物処理事業などの運営を行うんですが、民間企業にこんなに、四六年とかなんかというと、これはかなりの時間やらなきゃならないわけでありますが、こういうところを本当に民間企業でいいのかなという感じが私はしているんですね。
それで、今回の法律案の計画を見てみますと、実は、原子力情報資料室からも私どもにファクスが幾つか来ています。こういうことはやめた方がいいんじゃないかというようなものが来ているんですが、その中で、やはりもうちょっと政府の方も、使用済み燃料を再処理してどうするのかということをつじつまが合うような仕組みにしておかないと、こういう声が出るんですよね。
これは、やはり懸念する声に対してはきちっと答えなければならないんですが、すなわち、使用済み燃料は三・二万トン処分されるが、それより多い三・四万トン分は当面貯蔵される。結局、今回シナリオを書いたんだけれども、これまでにたまった使用済み燃料が一・四万トン。それから、これから発生する分量のうち一・八万トンの分はこの施設で処理できるというんですが、毎年千トン出る使用済み燃料のうち、二百トンは処理できないんですね、八百トンしかキャパシティーがありませんから。そうなると、二百トンずつずっと積み上がって三・四万トン、二〇四六年までには三・四万トンどうしても処理できないものが残ってしまう。それから、再処理をしてプルトニウムをどういう形で使うのか、そこのところも明らかじゃないんじゃないか。
だから、今回の法律案で基金をきちっと明確にして、たんす預金からきちんと郵便貯金に入れて保持しますが、そのお金を使いながらきちっと再処理をし、そして基準、クリアランスを決めますよというこの流れはいいんですが、国民に対してそこら辺をわかりやすくするためにも、やるんですが処理できない部分が残ってしまって、それをどうするかということについては、残念ながら解をまだ出していないわけですね。
ですから、私は、原燃さんの問題も、こういう重要な位置づけを民間企業にやらせていいんだろうか。小泉さんは、民でできるものは民へ、官から民へと言うんですが、こういうものは、数十年あるいはひょっとしたら数百年続けなきゃならない事業については、本来は官でやるべき、国がやるべきだと私は考えるわけでありますが、ここら辺の基本的な御認識をお伺いしたいと思います。
○小平政府参考人 お答え申し上げます。
使用済み燃料の再処理でございますけれども、これをどのような事業形態で行うかということにつきましては、これまでさまざまな形で議論をされました結果、今日のような形で民間九電力が主体となりまして設立をされました日本原燃株式会社において再処理工場を運営するという形になっているわけでございます。他方で、国といたしましては、安全規制等につきましては国としてしっかり対応する、それから、その事業につきましても、ただいま御審議をいただいております使用済み燃料に関します法案等によりましてこの事業の裏づけを図っていくというような形で、国と民間企業がそれぞれ役割分担をしながら的確に進めていくというのがこれまでの方針であり、また現在そういうことで取り組んでいるということでございます。
これからの見通しにつきましては、さまざまな形でこれまでも公表をしてきたところでございますけれども、例えば、今御指摘のございました年間一千トン生じます使用済み燃料のうち、六ケ所の再処理工場で処理されますものは八百トン、残りの二百トンにつきましては、中間貯蔵をした後に、将来建設をされる第二再処理工場で処理をするというのが基本方針でございますけれども、そこら辺の数字を含めたこれからの展望、あるいはプルトニウムの利用計画につきましても、これは平成十五年の八月に原子力委員会が決定をしております「我が国におけるプルトニウム利用の基本的な考え方について」におきまして、「電気事業者は、プルトニウムの所有者、所有量及び利用目的を記載した利用計画を毎年度プルトニウムを分離する前に公表する」というふうにされておりまして、「利用目的の妥当性については、原子力委員会において確認していく」ということにされております。
プルトニウムにつきましては、こういう仕組みも含めまして、さらに一般によく周知、情報提供がされるように努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○大畠委員 私が思うには、この計画に反対する国民、市民もいるわけでありまして、なぜそういうことを言うのかな、そういうものに対してはきちっと答えられるものは答えなきゃならない。ところが、どうもここら辺が、二百トン余ってしまいまして、それについては将来再処理場をつくるんですという話でありますが、やはり全体像をきちっとしていないから、こういういろいろな指摘を受けちゃうんだよね。
私は、だから大臣に先ほど申し上げましたけれども、この原子力政策、この原子力問題も、では、どこが本当に責任部署でやるんだ、だれがやっているんだと。単なる、今度私が担当しましたから私がやります、あなた、いつから来ているの、三カ月前にちょうど赴任しましたというので、その後はどこがというと、全然別な人が入ってきたりなんかすることがあるんですが、私は、そういう人事じゃなくて、まさに自分の頭の中にマップをかいて、原子力問題について懐疑的な方々の問題点、指摘にきちっと答える。きちっと答えられるようなマップをつくっていないからこんな話になってしまうので、今の二百トンについても、つじつまが合っていないわけですよ。将来やればいいという話じゃなくて、やはり今から、こういうことできちっとやるんですということがなぜ言えないのか。
それから、NUMOとの関係もございますね。二〇四〇年の中ごろから始まるというんですが、いずれにしても、そういう問題も含めて、一度大臣、ぜひマップをつくって、いろいろなことを言われないように、言われるというのは何かすきがあるんですよ。ですから、もう一度、原子力政策全体について、将来考えましょうなんという話じゃなくて、一応こういうふうにするんですという一つのマップをきちっとつくることが今必要なんじゃないかと私は思うんです。
今回の法案は法案として、民主党としても必要性を認めて賛成をする予定でありますが、まだまだそういう意味では部分、ジグソーパズルでいえば、部分のピースをはめているような形で、まだピースがはまっていない部分があるんですね、空白が。ここら辺のところをやっていないから、青森県の知事さんなんかもいろいろ悩んでいるところがあるし、原子力発電所の立地県の首長さんだって、なかなか議会に対して答えができないんですよ。だから、それはやはり国の責任としてジグソーパズルの空間を全部埋めて、これで日本は原子力政策を進めるんですということをやらないと、この政府の方の説明資料についても、当面は貯蔵なんという話でありますが、原子力委員会の全量処分の方針とは違うわけですよね。こういう資料を出さざるを得ないという体制そのものに、やはり不備があるんじゃないかという感じがすることを私は申し上げさせていただきます。
それから、原子力用語の話ですが、ちょっとお伺いしますが、プルサーマルというのは何語ですか。
○安達政府参考人 造語でございます。プルトニウムをサーマル発電所でたくという造語でございます。日本語の造語でございます。
○大畠委員 国際的に通じないような日本国内の専用の言葉をつくること自体が、要するに、市民から見ればわからないんですよ、プルサーマルって何だろうと。原子力関係者は、私もそれは知っていますよ。でも、青森とか茨城の東海村とか、そういうところの農作業をやっているおばちゃんにプルサーマルと言って、わかりますか。わからないんです。そういう言葉がかえってわからなくしているんですよ。
だから、私は先ほど、フランスの友人の話をするわけじゃないんですが、彼らは明確に、どういうふうな言い方をしているかというと、核燃料リサイクル本部というのをつくっているんですよ。リサイクル本部というんですよね。サイクルじゃないんですよ、リサイクル。核燃料リサイクルなんですよ、使用済み燃料のリサイクル。これだったらわかる。紙のリサイクルとか、ペットボトルのリサイクル、空き缶のリサイクル、これはみんなわかっているんですよ。ところが、原子力になると突然、サイクルになっちゃうんだよね、核燃料サイクル。でも、これも結局は核燃料リサイクルというのが正しいし、プルサーマルについても、言ってみますと、これは使用済み燃料のリサイクルなんですよ。使用済み燃料のリサイクルの使い方として、原子力発電所で使うということなんだから。
だから、こういうところも含めて、再度、原子力関係者はもうちょっとわかりやすい言葉で説明をする責任があると思うので、これは一つの例として申し上げますが、まだまだ努力が足らない。
ですから、この原子力問題についてももうちょっと、今度担任しましたとか何かじゃなくて、ずうっと原子力でやっているとか、ずうっと高速増殖炉をやっているとか、そういう、一言で言えば……(発言する者あり)そうです、人を育てるという言葉がありましたが、そういうことをぜひ政府内でも努力していただきたいということを申し上げます。
それから、核不拡散の問題について質問させていただきますが、最近、核兵器を持たない国の使用済み燃料の再処理を認めないという考え方をIAEAの事務局長が示したということでありますが、北朝鮮問題も絡み、複雑な国際情勢下となり、かつ、各国が競ってエネルギー資源を求めている中で、日本としてはどういう対応をしようとしているのか、お伺いします。
○天野政府参考人 お答えいたします。
御質問のIAEA事務局長の発言というのは、ことしの二月のファイナンシャル・タイムズ等におきまして、同事務局長が、ウラン濃縮や再処理施設の新規建設を五年間凍結すべきという趣旨の意見を述べたことを指しておられるものと考えます。
このように、現状では、IAEA事務局長の見解は、新聞紙上での意見表明であり、まだ正式な提案ではなく、また、議論も行われてはおりませんが、一般論として申し上げますと、国際的な不拡散体制の維持強化が必要だという認識は共有いたしますが、我が国が国際社会の信頼を得て行っている核燃料サイクル活動を含めまして、原子力の平和利用を阻害する可能性がありますので、適切なアプローチではないと考えております。また、このような考え方は、直接エルバラダイIAEA事務局長にも伝えております。
○大畠委員 実は過日、ロシアの新任大使の方とお話をする場があって、いろいろお話をさせていただきましたが、北朝鮮の核開発を放棄させることは非常に難しいと思うと。それは、中国も核兵器を持っているし、ロシアも持っていますし、アメリカも持っている、その中で、おまえだけ核兵器を放棄しろというのはなかなか難しい話だという率直な話をちょっと聞いたんですが、だからといって、今の外務省のお話もありましたが、IAEAの事務局長が非核保有国の核燃料サイクルを制限するというようなことになれば、日本のエネルギー政策はどうなってしまうんだ。
これは単なる核不拡散というものだけの問題じゃなくて、日本のエネルギー、二一〇〇年ぐらいを考えた場合は、高速増殖炉というのも非常に有効な手段として浮上するわけですね。一般的に、高速増殖炉はもう各国とも興味を失って云々という話がありますが、中国は二〇〇七年に、開発を進めて、高速増殖炉の臨界に入りますね。それからフランスも、フェニックスを二〇〇八年でやめて、二〇〇八年から新しい新型炉に、第四世代炉というものをつくり始める。そういう意味では、日本にとっても死活問題になってくるわけですよ。
ですから、外務省の方も、対中国、対韓国、いろいろ大変かもしれませんが、そうではないんだ、我が国のエネルギーの中核にこの再処理というものが位置づけられているんですからということを明確に出さなければならないし、それを担当する大臣としても、経済産業大臣としてこういう問題に対してきちっと物を申すべきだと思いますが、この動きに対しての大臣の御見解がありましたらお伺いしたいと思います。
○中川国務大臣 まず、北朝鮮は、中国もロシアも持っているから自分も持っていいんだというのは、これは全然理屈にならない理屈だろうと思っています。
それから、今大畠委員の、IAEAが日本についても今までと違う措置をとるということにつきましては、私は東京で二回エルバラダイさんにお会いしていますが、一回目に会ったときには、日本は優等国です、平和利用の優等国ですから特別扱いというんですか、ちょっと正確な言葉は忘れましたけれども、やっているんです、こうおっしゃっておりました。その後、あれはことしの初めでしたか去年の終わりでしたか、二回目にお会いしたときに、ことしの初めですね、こういう今のような議論が出てきたので、何でそういうことをするんですかということで、私の方からも強く申し上げたところで、まさに平和利用の優等生、世界に対する一つのお手本としての自負と責任を持っている日本という立場があるからこそ、ほかの国もそういうことによって平和利用に徹すれば、そういうメリットといいましょうか、そういうものもあるのではないかということを強く申し上げたところであります。
○大畠委員 これは外務省マターではなく、本来は経済産業省の所管でもありますし、ぜひそういう御認識を持って進めていただきたいと考えます。
それから、先ほどちょっと申し上げさせていただきましたが、原子力委員会では全量再処理の方針が確認されたんだけれども、実際上、六ケ所では、残念ながら、八百トンの年間処理の能力しかないんですね。そこで、そこの差ですとか、あるいは、再処理をした後何に使うんだ、その使う目的が明らかになっていないじゃないかという御指摘をいただいているわけでありますが、このことについても明確に答えていくことが必要だと思いますが、このことについてお伺いします。
○小平政府参考人 まず、再処理の、六ケ所工場の能力、年間八百トンであるということに関しますことでございますけれども、昨年の原子力委員会で、大変時間をかけまして、すべて公開のもとで、日本における使用済み燃料についてどうするかということが徹底的に議論をされました。その結果取りまとめられましたものが、昨年の十一月の核燃料サイクル政策の中間取りまとめでございます。
この中におきましては、再処理を行う目的につきまして、循環型社会の追求、まさに先ほどお話がございましたリサイクルということでございます。それから、エネルギーセキュリティーの確保、将来における不確実性への対応能力の確保ということから、再処理することを基本方針とするということは非常に明確にされているところでございます。
したがいまして、先ほど中間貯蔵のお話がございましたけれども、これはあくまでも将来再処理をするという前提で中間貯蔵するという位置づけに原子力委員会の中間取りまとめでなっているところでございまして、これはこれまでの国の政策の再確認ということでございます。
また、今お話のございましたこれからのロードマップと申しますか、出てくるプルトニウムをどういうふうに利用していくのか、この再処理によって得られる資源をどのように日本のエネルギーとして活用していくのかということを明確にすべきであるという御指摘でございます。
これにつきましても、従来から国といたしましてはプルサーマルでの利用、これは電気事業連合会におきましても電力会社の取り組みをこれに合わせまして発表しておられますけれども、この推進を図るということ、それから、高速増殖炉の実用化に向けての研究開発というものも進めてきたところでございます。
現在、原子力委員会で、新しい長期計画を策定する中で改めて検討がされておりますので、現状を踏まえた上での全体としてのロードマップ、将来に向かっての展望、政策が示されるということになるというふうに考えておりまして、私どもといたしましても、これに全面的に参画をし、議論をしてまいりたいというふうに思っております。
○大畠委員 時間が参りましたので、最後に大臣にお伺いしようと思ったんですが、鈴木委員からもありましたように、私は、エネルギー省というものをきちっと日本としてつくると。教育、食糧、エネルギー、防衛、こういうものはまさに現状だけではなく未来の日本を支える大変重要な柱でありますから、そういうものをきちっとしないから、諸外国から、日本は何だ、いつもアメリカの言うとおりじゃないかという、何か弱腰外交とか日本人というのは何を考えているかわからないなんという、そんな話を指摘されちゃうんですね。
だから、私は、この際、きちっとこのエネルギー問題についても、冒頭に申し上げましたように、マップを、ジグソーパズルでいえば全部当てはめて、これこれです、どこからでも質問してください、どこからでも意見を言ってください。青森の知事も、福島の知事も、茨城の知事も、新潟の知事も、これできちっと議会あるいは住民に話をしてくださいという全体のマップを準備してやるのは国の責任だし、ましてや、中間のところを民間企業に任せておくというのは、どうも私はよくわかりませんね。
アメリカは、使用済み燃料は全量をアメリカ政府が買い取って処理するというし、フランス政府も、使用済み燃料については国の責任でやっているんですね。そういう意味では、日本の原子力政策のそこら辺が、民間企業の責任なのか国の責任なのか、何かよくわからないもじゃもじゃしたところがあるのが今日の日本の原子力政策の大きな問題点じゃないかと思っているんです。ここら辺を踏まえて、大臣には大臣の任期中にぜひそこら辺を明確にしていただきたいと思いますが、一言大臣のお話を伺って、終わります。
○中川国務大臣 文字どおり、食糧とかエネルギーとかいったものの安定確保はある意味では国民に対する責務でございますから、そういう意味で、きちっとした政策をやっていくことが大事だと思っております。
いろいろ御提言をいただきましたが、その中で、人材の育成、その方がずうっとコジェマへ行ったり、また政府へ行ったりやっているというのは、フランスやアメリカと日本とではなかなか違う部分もありますけれども、いずれにしても、人材の育成は大事であります。
それから、マップを示せということも、国民あるいは御地元に対しての理解をさらに深める意味でも必要なことだと思いますけれども、まだ不透明な部分があったり、突発的にいろいろなことがあったりということもありますけれども、きちっと国民にサイクルを含めたマップを示すということは、やはり大変重要な御指摘だと思っております。
○大畠委員 終わります。
○河上委員長 次回は、来る二十二日金曜日午前九時二十分理事会、午前九時三十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。
午後零時十四分散会