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平成17年5月10日(火曜日) 参議院 経済産業委員会 審議録

*クリアランス制度に関する部分のみ黒字で、その他はやや薄い字で表しています。

第162回国会 経済産業委員会 第15号
平成十七年五月十日(火曜日)
   午前十時一分開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十日
    辞任         補欠選任   
     田  英夫君     近藤 正道君
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  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 昭郎君
    理 事
                泉  信也君
                加納 時男君
                小林  温君
                藤原 正司君
                渡辺 秀央君
    委 員
                魚住 汎英君
                沓掛 哲男君
                倉田 寛之君
                保坂 三蔵君
                松田 岩夫君
                松村 祥史君
                加藤 敏幸君
                木俣 佳丈君
                直嶋 正行君
                平田 健二君
                藤末 健三君
                浜田 昌良君
                松 あきら君
                近藤 正道君
                鈴木 陽悦君
   国務大臣
       経済産業大臣   中川 昭一君
   副大臣
       経済産業副大臣  保坂 三蔵君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       平田 耕一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        世木 義之君
   政府参考人
       文部科学大臣官
       房審議官     森口 泰孝君
       経済産業省産業
       技術環境局長   齋藤  浩君
       資源エネルギー
       庁長官      小平 信因君
       資源エネルギー
       庁資源・燃料部
       長        近藤 賢二君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      安達 健祐君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院長     松永 和夫君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院次長    三代 真彰君
       環境大臣官房廃
       棄物・リサイク
       ル対策部長    南川 秀樹君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○原子力発電における使用済燃料の再処理等のた
 めの積立金の積立て及び管理に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に文部科学大臣官房審議官森口泰孝君、経済産業省産業技術環境局長齋藤浩君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁資源・燃料部長近藤賢二君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長三代真彰君及び環境大臣官房廃棄物・リサイクル対策部長南川秀樹君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題といたします。
 政府から順次趣旨説明を聴取いたします。中川経済産業大臣。
○国務大臣(中川昭一君) おはようございます。
 初めに、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 我が国においては、供給安定性や環境適合性に優れている原子力発電を基幹電源として位置付けており、これを的確に推進していくに当たり、原子力発電の運転に伴って生じる使用済燃料を再処理し、有用物質を回収して再び燃料として利用する核燃料サイクルを推進することを基本的考え方としております。この核燃料サイクルの根幹を成す再処理等の事業については、極めて長い期間を要すること等から、その事業に要する費用を確実に確保していくことが必要であります。
 このため、再処理等を適正に実施するための必要な措置等を講じ、発電に関する原子力に係る環境の整備を図ること等を目的として、本法律案を提出いたしました。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、実用発電用原子炉を設置している者に対して、使用済燃料の再処理等を適正に実施するため、毎年度、経済産業大臣が通知する額の金銭を使用済燃料再処理等積立金として経済産業大臣が指定する資金管理法人に積み立てることを義務付けることとしております。
 第二に、使用済燃料再処理等積立金を管理する資金管理法人に関する事項その他所要の措置について定めることとしております。
 続きまして、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案につきまして、その提案理由及び要旨を御説明申し上げます。
 米国同時多発テロ事件以降、核燃料物質の防護に対する要請が高まってきており、核燃料物質の防護対策の抜本的な強化が必要となってきております。
 また、原子力発電所等の廃止の現状と将来の見通しを踏まえ、原子力施設の廃止措置に関する安全規制の一層の充実を図るとともに、原子力施設の解体等に伴い発生する廃棄物等を適切に処理するための制度を整備することが必要となっております。
 本法律案は、これらを踏まえ、核燃料物質の防護及び原子力の安全確保に万全を期するため、所要の措置を講ずるものであります。
 次に、本法律案の要旨を御説明申し上げます。
 第一に、核燃料物質の防護に関する規定の整備であります。原子力事業者等に対して、国が定期に行う核物質防護規定の遵守の状況に関する検査を受けることを義務付けるとともに、核燃料物質の防護に関する秘密の保持を義務付けることとしております。
 第二に、原子力施設の廃止措置に関する規定の整備であります。事業等を廃止しようとする原子力事業者等は、廃止措置計画を定め、国の認可を受けなければならないこととするとともに、講じた廃止措置の結果について国の確認を受けなければならないこととしております。
 第三に、原子力施設の解体等に伴い発生する廃棄物等を適切に処理するための制度の新設であります。原子力事業者等は、原子力施設の解体等に伴い発生する廃棄物等に含まれる放射性物質の濃度が極めて低いことについて国の確認を受けることができることとし、国の確認を受けた廃棄物等については通常の廃棄物等と同様に再生利用や処分を行うことを可能とするものであります。
 以上が、これら法律案の提案理由及び要旨であります。
 何とぞ、御審議の上、速やかに御賛同くださいますようお願い申し上げます。
○委員長(佐藤昭郎君) 以上で両案の趣旨説明の聴取は終わりました。
 これより質疑に入ります。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○加納時男君 自由民主党の加納時男でございます。
 初めに、エネルギー政策における原子力の位置付けについて、中川大臣にお伺いいたしたいと思います。
 この経済産業委員会において、三月十五日、中川大臣の所信説明に対する質疑を、私、行わさしていただいたところ、大臣から、供給の安定性、そしてまた気候変動など、地球温暖化防止のためにも原子力は重要な政策であり積極的に推進するという大変力強いお言葉をいただいたところであります。
 それから約一月後だったと思いますが、四月十六日の日に官邸のホームページ、私、時々見ているんですが、これ非常に短くてポイントがよく載っているラジオトークという、総理のラジオトークが載っているんで時々見ているんですが、一月後にこれ見ていましたらば、ちょっとあれっと思ったことがありました。それは一言で言うと、新エネルギーで脱石油をという趣旨にどうも聞こえるわけであります、音も聞こえるわけですけれども。
 盛んに言っておられたのは、新しい官邸ができた、太陽光が入った、これから、余り出力は出ないけれども小さくても風力も置いておく、燃料電池も入った、いよいよ新エネルギーの時代であると、何といってもエネルギー政策では脱石油が大事だと、脱石油のためには太陽光だ、そして風力だ、そしてバイオだ、こういったことをやっていく、これが大事なんですとおっしゃって、私、これ大事だということはよく分かるんですが、脱石油というのちょっと引っ掛かったのと、それからもう一つ、脱石油は新エネでと、この二か所にちょっと、もう少し説明があっていいのかなと思ったんですが、何分あのホームページ非常に短くて、おっしゃる方も非常に短い言葉でおっしゃるものですから、余り説明がなかったんでちょっと誤解を受けるんじゃないかと。
 私のところに実はいろんなところから、私もホームページ開いてやっているものですからメールがしょっちゅう入るんですけれども、大分抗議のメールが来まして、何か政府の方針というのは新エネで脱石油ですかと言うんですけれども、いや私は、まああれはいろいろあって、その一部であって、あれはその部分は正しいけれども、全体はもうちょっとあるんですというふうに言ったんですけれども、そこを今日は確認したいと思います。
 実は、それからまた半月たちまして、先週のことでございます。先週の五月二日、大臣はパリに行かれました。IEAの閣僚理事会、私もIEAの仕事は専門家会議の副議長を五、六年務めたんでしょっちゅう行っていますんで大体内情は分かるつもりなんですが、中には非常に原子力が好きじゃないヨーロッパの一部の国がしょっちゅう発言する、もう不思議な会議なんですが、そのIEAの閣僚理事会で五月二日に中川大臣がなさった演説は、実に私は的確だったと思っています。
 要点、御本人がいる前で要点言っちゃいけませんけれども、私、三つ大臣は強調されたと思っています。
 第一は、世界がエネルギーで取り組むべき課題は、これ三つあると。一つは省エネルギー技術だ。エネルギー利用の効率化は、エネルギーの安全保障、そして環境保全のためにも重要であり、両立させるもので、供給ばかり言うんじゃない、まず需要が大事だと。非常に私はいい御発言だったと思っています。省エネが一番。
 第二に大切なことは、脱石油とは言われなかったようです。石油の安定確保とはっきり言っておられます。特に上流部門、それから中流、下流、精製設備等も入りますが、こういったところに対する投資が不足しているんじゃないか。これも非常に私は鋭い指摘だと思っています。
 この石油、確かに石油依存度は全体としては減らしてきています。日本で言えば、一次エネルギーの七五%を占めていたものが、最近は原子力と天然ガス、そして省エネルギーもあって五〇%まで減っていますし、発電で言えば、かつて七七%が石油火力だったのが、今日、一一%です。七分の一に減っている。いろんなことをやって石油依存度を下げてきたけれども、それでもなお日本で五割、先進国で四割強を占めている石油、この石油の安定確保は大事だということを大臣がおっしゃったのは、私は非常に重要なポイントだと思っています。
 三つ目は、エネルギーの多様化の促進が大事で、環境、セキュリティー、両面をにらんだ多様化が大事だ。その面で最も力を入れて大臣が言われたのが原子力の重要性ということでありまして、そして、量は少ない、まだ少ないけれども、補完として再生エネルギー、日本語で言うと新エネルギーですけれども、英語でおっしゃったようですけれども、再生エネルギー、リニューアブルズの推進ということも重要であると。
 簡単に要約しちゃうと、省エネルギーと石油の安定確保とそれから原子力等の供給の確保と、こういう非常に重要な三点をおっしゃったと思うんです。私、これはエネルギー政策として正に政府の方針であってほしいし、また、エネルギー基本法、我々が作った基本法に基づくエネルギー基本計画でもはっきりとこの方向が出ている。
 それに比べると、この官邸のホームページ、時間の制約だと、私、あえて言いたいんですけれども、それもあったんでしょう、非常に誤解を招きやすいんですけれども、一体、政府の方針として新エネで脱石油というのは決まったんですか。
 これを大臣にまず伺いたいと思いますし、原子力についての大臣の思いも伺いたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 今、加納先生から御指摘の、まず、五月の二日、パリでのIEA閣僚会合において私から冒頭発言をした内容は、正に今御引用していただいたとおりでございます。
 更にそれを一つ付け加えさせていただきますと、日本は世界一の省エネ国家になったと。エネルギー効率は、アメリカの三分の一、あるいは中国の十分の一、あるいはインドの十六分の一、これはIEAの統計でございますけれども。
 したがって、当委員会でもよく話に出ますように、三十年前に比べて、産業用のエネルギーというものはもうほとんど横ばいである。我々は胸を張って世界一のエネルギー効率国家であるということを自慢をしてきたわけであります。何もこれは私が自慢すべきことじゃなくて、日本国を代表して自慢しておりますので、関係者の御努力のたまものでございます。そのことをまず当委員会の先生方に御礼かたがた御報告を申し上げます。
 と同時に、日本だけが頑張ってもしようがないんでありまして、アメリカが四分の一エネルギーを使っている、あるいは中国、インドがこれからどんどん増えるという中で、まあこれ川上の話はまず別にしまして、川下の部分でじゃぶじゃぶと世界じゅうからただかき集めて効率の悪いエネルギーを消費ということは、これは決して良くないことである。したがって、日本が重視しておりますエネルギーの効率化のための技術というものを、是非、ほかの国々にも我々は移転する用意があります、とりわけ、中国、インドを始めとする東アジアの国々に一緒に省エネをやりましょうよということを私の方から提案をし、採択されたところでございます。
 あと二点目、三点目については、御指摘のとおりでございますので省略させていただきますけれども、そういうことで、日本としてはもとより資源がない、しかし、世界で第二番目の経済国家として、あるいは一億二千六百万人が快適に暮らすための民生用、あるいはそれを補完するための運送用を含めてエネルギー効率を良くしていく。あるいはまた、それともう今や表裏一体であります環境問題、温暖化対策等についても我々は、今御指摘のとおり、新官邸、太陽光、あるいは小規模ですけれども熱と発電のコージェネレーション施設とか、そういうものもお手本として入っておりますし、万博においても日本館等々でそういうものに配慮した施設を造っているわけでございます。それが私のといいましょうか日本政府を代表したエネルギー政策でございます。
 他方、四月十五日に行われました総合エネルギー対策推進閣僚会合におきまして、脱石油に向けて全省庁挙げて取り組むべきという指示があったことも事実でございます。
 これは加納先生が心配されるとおりといいましょうか、これは現実的には、エネルギー全体で五〇%、発電でも一〇%を占める石油を、現在一%に満たないいわゆる新エネ、まあ燃料電池でありますとかあるいは新しいいろいろな、バイオでありますとか、そういうものでいきなり、いきなりといいましょうか、将来にわたって全部代替して石油をなくすということではないわけでございまして、そういう意味で、とにかく、より、日本の石油、原子力あるいは石炭、水力、その他新エネ、大きく基幹エネルギーというふうに分けますとそういうものをバランス良く取っていくんだということで、特に新エネの技術、太陽光は御承知のとおり世界の半分の発電量を日本でやっておりますし、先ほど申し上げたように、省エネあるいはまた温暖化対策技術が世界に冠たる日本は、新エネというものにより世界をリードしていく自負と責任がある。そして、それを世界に移転をしていくという貢献もしていきたいという意味で新エネを頑張りましょうというふうに申し上げたわけでございます。
 それについての小泉流キャッチフレーズといたしまして、あえて脱石油ということを総理自ら使われたわけでございまして、決して、この石油についても二〇三〇年に向けても五〇%から四〇%、一〇ポイント下げるという目標はございますけれども、やっぱり四〇%、半分近くはやっぱり石油ということに頼っていくわけでございますから、そういう中で最大限の我々の技術力を発揮して、日本のみならず世界のエネルギー状況あるいはまた温暖化対策等の環境面に向けて積極的な役割を果たしていきたいということでございまして、御心配のとおり、言葉じりだけ見ると石油をやめて新エネへと、これは技術的にも、少なくとも我々の計算の範囲内では、時間の範囲内ではとてもできる話では現実的にもございませんし、また、エネルギーのポートフォリオという観点からも、石油を捨ててしまうとか石油を極端に減らすということは、決して国民経済的にも私は、好ましい、ベストの選択だとは思っておりませんので、ひとつ新エネをやっていこうという一つのキャッチフレーズとして、小泉式用語法として脱石油から新エネということでございまして、政府として進めていくべきエネルギー政策というものは、当委員会等での御審議に基づきまして、冒頭、IEAで私が申し上げたようなことが基本的な方針であるということを是非とも御理解をいただきたいと思います。
○加納時男君 今の大臣の御説明で非常によく分かりまして、ありがとうございました。
 おっしゃったことの中で、一、二、ちょっと感じたことですが、一つは太陽光ですね。確かに私も太陽光の推進、その一翼を担ってきたつもりでありますし、ここまで進んできたのは非常にうれしく思っています。日本の太陽光、政府の政策、そして企業の開発努力があって世界一の効率。そして、おっしゃったとおり、世界の生産の二分の一を占めるという、ある意味では大変成功したと。ならば、これで石油に代替できるのかと、そこだけがポイントだと思っています。
 今、太陽光どんどん増えていって、これで二〇一〇年には五百万キロワットぐらい、そこらじゅうに太陽光がつくって、できればということですけれども、そういう夢が実現したと仮にして、五百万キロワットという物すごい太陽光がついにでき上がった。それで一次エネルギーの何%を占めるんだろうか。冷酷に申し上げますと、〇・二%でございます。〇・二%になるかどうか分からないけれども、最大やって〇・二%。それをもって、現在五〇%、一次エネルギーの五〇%を占めている石油の代替というのはちょっと、オーダーが二けたぐらい違うんじゃないかというのが私の感想でございます。
 いや、太陽光はそうかもしれない。それなら風力があるよ。風力も同じようにして、今どんどんこれまたいろんな促進策を取って増やしてきています。三百万キロワット、あっちこっちにやたらできたイメージですが、それで、それならすごいだろうと思いますが、これまた〇・二%。〇・二と〇・二足せば大したもんだと言うけれども、足しても〇・四。とても五〇%とか四〇%の石油とちょっと、代替というのはちょっと無理かなということで疑問がありましたけれども、大臣の御説明で非常によく分かりました。
 そういう意味では、既に日本の電力の三五%を占めている原子力、これを環境と供給の多様性、両面から積極的に推進していくんだというふうに大臣のお言葉を今理解したところでございます。
 念のための確認ですけれども、このたび、京都議定書が二月十六日に発効しまして、今までの温暖化大綱じゃなくて京都議定書目標達成計画、我々、長いのをみんな短くする癖があるんで、通称目達と、こう言っておりますけれども、この目達の中に、目達を閣議決定したわけですが、その中に原子力がしっかりと位置付けされたと思います。これ、念のための質問でございますけれども、この目達の中で原子力を積極的に推進していくと、こういう理解で、大臣、よろしいでしょうか。
○副大臣(保坂三蔵君) この部分は私どもから答弁させていただきます。
 加納委員からお話がありましたとおり、中川大臣の過日のIEAでの発言は、大変各国の閣僚から注目を浴びております。なかんずく原子力発電につきましては、エネルギーの多様化の中で、大変安定供給に優れた面、そしてまた地球温暖化ガスの抑制という二局面から、これは重要な役割を果たしているという認識につきましての訴えも十分できたものだと存じております。
 先生おっしゃるとおり、四月二十八日に京都プロトコールの目標達成計画が閣議決定されました。この中でも、原子力発電は重要な役割を占めている、このように明記されております。したがいまして、政府といたしましても、今後、国民のよく理解を得た上で、安全性というものを大前提にしながら、原子力発電の推進のために鋭意努力してまいりたいと存じております。
○加納時男君 保坂副大臣、ありがとうございました。
 大臣、副大臣に今までずっと伺ってまいりました。以下、若干具体的なことを政府委員の方に伺いたいと思っています。
 原子力が重要だということになりますと、原子力の稼働率についてどう考えるのかということを、まずエネ庁長官、小平長官に伺いたいと思います。
 原子力の設備利用率ですけれども、欧米や韓国を見ていますと、九〇%台に達しております。中でもアメリカの利用改善が顕著でありまして、一九九〇年以降新しい発電所は一つもできてないんですけれども、設備利用率は非常に良くなりまして、その結果、発電電力量は三五%も増加しているようであります。設備利用率が八〇%だったのが九〇%台に一〇ポイント上がったというのは大変な出来事だと思います。新増設がゼロであっても、実質的に二千万キロワットあるいは三千万キロワット近い発電所を新しく造ったのと同じ効果が現れているわけであります。温暖化防止で言ったら、キロワットじゃなくてキロワットアワー、どれだけ電気をおこしたかが大事なところであります。
 なぜそれが成功したのかと私なりに理解しているところでは、長サイクル運転、日本だと十三か月ごとに必ず止めて、何のトラブルがなくても止めて全部ばらすわけですが、整然と動いているもの、運転実績のいいものはもっと長く運転していいよと、いわゆる長サイクル運転、それから定検を重点化すること、合理化すること、そして熱出力、電気出力を弾力的に扱うこと、こういったようなことがあったと思うんです。
 こういう九〇%台の世界相場に対して、さっき大臣は省エネで日本は世界一と言われたんですが、この原子力の稼働率だけに限定してみると、日本は八〇%で悪いんです。じゃ、日本は計画外停止率、原子力が計画しないで止まる率は高いのかといったら、実は世界一低いんです。一番いいわけであります。省エネと同じで世界一なんです。だけれども、ルールでよく止めることになっているので稼働率が上がってないというのも事実であります。遺憾な事故があったのももちろん事実でありますけれども。
 こういう日本が低い稼働率で、水準でいったときには、議定書の目標達成に対しては、私は、大きな力は出ないんじゃないだろうか、逆に言うと、ここを改善できるかどうかが京都議定書目達、目標達成の大きなかぎを握っていると思っています。もちろん安全確保、これは大前提であります。その上で、利用率の向上を図る環境対策が重要じゃないかと思いますけれども、そういう政策面から見て、まず小平長官に伺いたいと思います。
○政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。
 ただいま先生から御指摘ございましたとおり、目標達成計画を実現いたしますためには、原子力発電を基幹電源といたしまして今後とも推進していく必要がございます。現在稼働中の五十三基に加えまして、二〇一〇年度までに現在建設中でございます三基の着実な稼働を実現することはもちろんでございますけれども、先生からただいま御指摘ございましたように、これに加えまして、電力の二酸化炭素排出原単位を更に低減するというためには、原子力発電の設備利用率の一層の向上が必要でございます。
 こういう原子力設備利用率向上のための取組といたしましては、既に多くの原子炉で導入が進んでおります定格熱出力一定運転に加えまして、安全の確保が大前提となりますけれども、原子炉の運転中に待機状態で停止しておりますポンプ等の予備機等の点検、補修を行うことなどの取組も想定されるところでございます。
 国といたしましても、事業者と協力しながら、安全の確保と原子力発電所立地地域の地元の方々の理解の促進に努めながら、今後とも稼働率の向上のために努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○加納時男君 ありがとうございました。
 この同じ質問に対して安全規制面、保安面の問題が私は当然重要だと思いますけれども、松永保安院長、見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 原子力発電所の設備利用率につきましては、今、加納委員御指摘のとおり、事故やトラブルが発生いたしますとその分低下をいたしますので、設備利用率向上のためには、まずは日々の安全の確保ということが大変重要であるというふうに考えております。その上で、設備利用率を向上させるための方策といたしまして、ただいま小平長官の方からお答え申し上げましたように、定格熱出力一定運転という考え方が既に取り入れられております。さらに、これに加えまして、一回の定期検査に要する時間の短縮、あるいは事業者の点検や国の検査の合理的な運用というふうなことで運転停止期間の短縮を図る、こうした考え方が電力事業者の間でも議論をされているというふうに承知をしております。
 検査を含みます原子力安全規制の在り方につきましては、私ども、日ごろ事業者との意思疎通を円滑にいたしまして、事業者からの提案に対しましてはよく耳を傾けてまいる、そういう考え方でございます。その上で、保安院といたしましては、新しい技術進歩を踏まえたり、あるいは民間の企画を国の評価後に導入するなどによりまして、規制の不断の見直しを図ってまいりたいというふうに考えております。ただ、その際、基本となりますのは、今、加納委員も御指摘のとおり、安全に支障を生じないということが大前提でございまして、設備利用率を上げるために安全の水準を切り下げるというふうなことがあってはならないというふうに考えております。
 以上申し上げましたように、日々の安全確保のために規制の執行に万全を期しますとともに、新たな設備利用率向上策のいろいろなアイデアにつきましても、科学的、合理的な基盤に立って厳正な評価や審査を行ってまいりたいというふうに考えております。
○加納時男君 ありがとうございました。今、目達について少し踏み込みましたので、原子力をまず伺いました。
 目達に関連して、政府のグリーン調達について簡単に伺いたいと思います。
 市場原理第一主義、市場原理主義というのは私が大好きな言葉でありますが、ただ、これだけでエネルギー政策をやってはまずいんではないだろうか、もっと大切なエネルギーのセキュリティーと、そして環境調和が大事だというのがエネルギー政策基本法、その上での市場原理というふうに位置付けされているのは御存じのとおりであります。政府のエネルギー調達もそういう考え方に沿って私はやってほしいと思っているところであります。
 ところで、公用車、政府が使う車については、値段が若干高くても環境にいい車に切り替えようという方針の下に、この三月、一〇〇%公用車は環境に優しい車に替わったことは、私は政府としてすばらしい決断だったと思っています。その反面、エネルギーの調達については、入札をしてともかく安いものにしようということを積極的にやってきた結果、中央官庁においては、建て替え中の文部科学省を除いて全部化石燃料を使う新規事業者の方に契約を変えたようであります。言葉はちょっと悪いんですけれども、政府が率先実行していろいろやることはいいんですけれども、何かCO2の増加を率先実行してやっているようにどうも聞こえるという批判が国会でもありましたし、自民党でもございました。
 政府はこれ、いろいろ、この意見を取り上げまして、実は今回の目達の中に、省CO2、CO2を少なくする電力を調達しようということをうたったということでございますが、具体的にこれは今後どのように進める考えがあるのか、まだこれから検討しているのか分かりませんが、検討中のことがあれば伺いたいと思います。
○政府参考人(小平信因君) 今御指摘のございました政府の電力調達でございますけれども、平成十二年三月の電力の小売部分自由化以降、庁舎を始めといたします国有施設のうち、自由化対象のものにつきましては、会計法で原則とされておりますとおり、競争入札により契約を行っているところでございます。
 この結果、中央省庁の庁舎を始めとする政府調達案件を落札することによりまして、特定規模電気事業者が事業シェアを拡大するなど、落札価格が相当程度低下しているということも見られておりまして、電力市場におけます有効な競争の促進に一定の貢献をしてきたものと考えております。他方で、今御指摘がございましたとおり、目標達成計画におきまして、先ほどのお話のとおりの旨が盛り込まれております。
 したがいまして、経済産業省といたしましては、現行の購入方式を改めまして、電力市場におけます有効な競争の確保と、原子力を含めましたCO2削減に資する電源の推進をともに図ることが可能な調達方法を平成十八年度から導入をしたいというふうに思っておりまして、どのような調達の在り方がいいのか、今検討を進めているところでございます。
○加納時男君 それでは、検討を進めていただきたいと思います。
 同じ関連で、CDMについて伺いたいと思います。
 京都メカニズムの一つにクリーン開発メカニズム、CDMがあります。まず、全世界を一つのマーケットとして考えたならば、最も投資効果の多いところから順番に投資をしていって、最後の追加投資、限界生産力が均等になるようにすると世界で一番効果が出る、これはまあ常識でございますが、その発想で出てきたのが、京都会議のときに、妥結のときに生まれたCDM、京都メカニズムの、中でもこのクリーン開発メカニズムであります。
 当然、このクリーン開発メカニズム、先進国で、先ほど中川大臣がお話があったように、省エネルギーが最も進んでいる日本、更にそこで追加の省エネルギー投資をやるよりも、ほかの国で省エネルギー投資をやった方が大きな効果が地球レベルで上がると。同じように、CDMを考えていくと、原子力もそうではないだろうかということになってきます。
 当然、原子力もCDMの対象にしてよいと、すべきであるというふうに我々考えているわけでありますが、CDMの理事会は、非常にその中に原子力の嫌いな方も入っておられる、ヨーロッパの方ですが、ありまして、これまで理事会ではCDMは取り上げないということ、原子力をCDMの対象にしないということで理事会で決めて今日に至っていますが、これでいいんだろうかという疑問がありますが、どのようにお考えか、伺いたいと思います。
○政府参考人(齋藤浩君) 先生御指摘のとおりでございまして、CDMにつきましては、実は二〇〇一年のいわゆるマラケシュ合意、COP7でございますが、その際の決定におきまして、原子力のプロジェクトについては、CDMとして仮に削減を稼いできても、先進国がそれを自分の国の削減量として使うべきじゃないという決定がなされてしまいました。そういうことで、先生御指摘のとおり、結果的にはCDMの中に原子力プロジェクトが入らない状態に現状にはなっておるということでございます。
 私どもといたしまして、世界的な規模での原子力の利用促進というのは、やはりエネルギーの安全保障の点、また温室効果ガスの削減に関しましても大変有効な手段ではないかというふうに考えております。
 そこで、昨年の十二月に、産業構造審議会の環境部会におきまして、将来の枠組みに対する中間取りまとめというのをしていただきました。その際に、CDMにつきまして、原子力の安全の確保と、それから途上国に幅広く原子力発電所を建てるということもございますので、核不拡散に対する十分な対応というものをした上で原子力発電プロジェクトがCDMの対象となるべきであろうという答申をいただいております。
 早速それを私ども活用さしていただいておりまして、昨年十二月にCOP10ございましたが、その際に、私どもはサイドイベントということで、その提言いただきましたものについて御披露を申し上げまして、世界の方々にこういう考え方を取るべきではないかという提案をさせていただいているところでございます。幸いなことに、京都議定書の発効に伴いましてCDMを積極的に活用していこうという実需が出てきております。
 それからもう一つは、将来の枠組みの議論がどんどん進んできているということでございますので、こういう国際的な検討の場におきまして、私どもは今のような考え方を積極的に提言をしていきたいというふうに考えております。
○加納時男君 どうもありがとうございました。
 COP7で、原子力をCDMの対象にするのは、リフレインというたしか英語だったと思いますが、慎むんだと、やらないんだという決議をしたことも今のお話でよく分かったところであります。
 同時に、今、日本は、いろいろ議論があるにせよ、せっかく京都で約束したあの議定書の目標を日本は全力を挙げて達成するように努力する、このことが一つでありますが、加えて、二〇一〇年前後、第一約束期間を超えたこれからの長期の地球レベルの気候変動防止に向けてどのような枠組みがいいのか。アメリカとか中国、インドが参加しない、世界のごくわずかな国だけが参加するような、そんなものじゃなくて、正に世界最大の大国、エネルギー大国でありCO2大国でもあるアメリカの参加、そしてやがては世界の過半を占めるCO2を発生することが確実な発展途上国を仲間として迎え入れられるような、そういう枠組みを日本が提案していくべきであるというのが一つと、それからもう一つは、今おっしゃったCDMをその中で生かしていくと、これが不可欠だと思いますので、是非その方向で御努力いただきたいと思っているところでございます。
 さて、法案のちょっと具体的な内容について、二、三、残った時間で伺いたいと思います。
 まず、炉規法でございますが、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案というのが正確な名前になると思いますが、この炉規法の中で幾つか伺いたいと思います。
 一つは、廃止措置中の、廃止、原子力発電所の運転をやめた、もうこれで壊しますということを決めた発電所における安全規制について伺いたいと思っています。
 廃止措置に入りますと、原子力発電所はその廃止措置の進み具合に応じて施設の放射線等のリスクがなくなって、減ってまいります。そして、燃料も運び出しちゃう。そうすると、もうそこには発電しようにもしようもなくなっているわけであります。したがって、その燃料に伴うリスクがなくなってくる。そのために規制は段階的に変えていくのが当然だと思っています。
 ところで、先般ちょっと見てきたところ、びっくりしたことを見たのは、日本原子力発電所の東海でございますが、この東海発電所、既に廃止措置に入っております。廃止しました。この廃止をしている発電所において、運転員が制御室にいるわけです。いついるのと言ったら、いや、二十四時間交代勤務でいますって言うんですね。何しているのと言ったら、別に何もしていませんと。で、なぜいるのと言ったら、そういう規則になっている。何の規則ですかと言ったら、保安規定だと。保安規定って、確かに保安規定も私読んでみたら、そう書いてあるんですね。交代勤務によって原子炉施設の監視を行う、確かに書いてあるわけですね。書いてあるからやっているんですと言うけど、じゃ、なぜこの保安規定変えないのと言ったら、これは変えられないと。それは省令によって、炉規法三十五条の一項の規定を受けた省令、実用発電用原子炉の設置、運転等に関する規則というのが、これ省令ですけど、これも私、こういうのを調べるの好きですからすぐ調べたんですが、それ見たら確かにそう書いてあるんですよ。原子炉運転に必要な人員がそろっていなければ運転はしないことと。
 これ、運転しないならば、運転するならもちろんこの規則大事なんですが、この炉はもう運転やめちゃった、運転しない、将来も運転しないんです。それが決まっちゃったんで、こういうのは人はいなくてもいいんじゃないかと思うんですけれど、これについてルールの変更というのは、恐らく検討していらっしゃるんじゃないかとは思いますけれども、検討中でしたらその方向性を伺いたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 廃止措置に移行いたしました原子炉施設では、原子炉の運転が停止をされて、また炉心からの燃料取り出しも終了しております。したがいまして、供用中に、運転中に考慮すべき事故あるいはこれに起因をいたします放射性物質の環境への漏えいといった危険性は確かに低減をしております。したがいまして、今御指摘のとおり、廃止措置期間中の安全規制につきましては、こうした廃止措置の特性あるいはその進捗などに応じた段階的な規制にするということが重要であるというふうに考えておりまして、今回、炉規制法の改正案ということでお諮りをしている次第でございます。
 御指摘の日本原電の東海発電所は、ただいま廃止措置中でございます。ただ、空調換気系あるいは廃棄物処理系などの一部の施設につきましては引き続き運転をしておりまして、御指摘のとおり、まだ法律改正がされていないということもございまして、原子炉本体の運転中と同様の規制を適用しておりまして、中央操作室には二十四時間体制で運転員が勤務をしているというのは御指摘のとおりでございます。
 今申しましたとおり、廃止措置期間中の安全規制につきましては、廃止措置計画を通じた監督が適切に行われれば段階的な規制にするということが正しい方向であるというふうに私ども考えておりまして、そういう意味では、現在の規制内容は必ずしも廃止措置中の施設の特性を念頭に置いて整備をされたものではないと、こういう指摘を踏まえまして、今般の法律改正に基づきまして今後整備する省令などの検討の段階で、今、加納委員御指摘の点も含めて、適切な規制の在り方についてきちんと対応してまいりたいというふうに考えております。
○加納時男君 省令の改正で十分できるという今お答えだったので、結構でございます。私は、何か今けしからぬと言っているんじゃなくて、これ、不思議なことが起こると。気が付かないことが世の中にいろいろあるんですから、いいんですよ、世の中ね。それで、気が付いたら直していく。直すよって言ってくれたんで、私は納得です。直さないと、今の法律でこういうことなんだって言うならば、そんなら議員立法で法律を変えちゃおうということになっちゃうわけでね。そんな激しいことを私は言っているつもりはないんで、おかしいことはおかしいと認めた松永院長は、私、勇気のある方だと思うし、それは直してください。それ、それだけで深追いしません、もうこの話は。これ、直してくだされば結構です。
 同じようなことをちょっとまた伺いたいと思います。今度の法律案の改正によって新しく出る話について、ちょっと気になることがあるので伺います。
 これ、炉規法を今回改正しますが、改正案、条文全部読みました。そうしたところ、七十二条の三項だったと思いますけれども、国家公安委員会や海上保安庁は、その職員に、原子力事業者の事業所に立ち入り、帳簿とか書類等の物件の検査をすることができると。私、これ、結構だと思いますよ。この必要性は理解します。
 質問は、分かったんですけど、同じところに行って同じ帳簿を、今日は国家公安委員会が来ました、あしたは海上保安庁が来ます、あさっては原子力安全・保安院が来ます、それぞればらばらに同じ目的で同じところに同じもので行くというのは二重三重になっちゃって、それぞれがまたばらばらに勧告をしてくると、指示をしてくるって、これ、ちょっと非効率的じゃないかなと思うんで、これらの機関がやるのは結構なんですけれども、事前に関係機関の間で調整をして、それじゃまとめてやろうというふうにすると非常に効率的ではないかと思うんで、この二重三重の規制というのはこれからやる話ですから、今から気を付ければ十分できると思うんですが、是非考えてほしいと思うけれども、いかがかと。
 実は、似たような事例、経済産業省じゃないんですが、ほかの官庁でたくさんありました。もういろんなところが次から次へと調査に来るというんで、ばらばらの書式でばらばらのものを全く同じものについて出している。こういうのは港湾関係でも実はあったわけですが、かなり今回改善したわけですが、是非、これからやる話ですので、今日是非、これは今後の進め方を伺っておきたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 今般の法律改正では、核物質防護規定関連の運用に関しまして、国家公安委員会、海上保安庁長官が主務大臣に元々意見陳述できる規定になっておりましたけれども、この意見陳述に際しまして、事業者の防護措置の実情を踏まえて的確にこれを行えるようにすると、こういう趣旨で国家公安委員会あるいは海上保安庁長官の配下の職員が立入検査できる、こういう規定を追加した次第でございます。
 この規定の運用につきましては、事業者の負担が過度にならないようにこれら関連の治安機関と密接に連絡調整を行いまして、具体的には原子力安全・保安院が立入りを行うときに合わせて一緒に立入りをしてもらうというような形の運用をきちっとまとめておきたいというふうに考えております。
 ちなみに、その上での事業者への是正措置命令あるいは指導というものにつきましては、従前より、主務大臣でございます経済産業大臣が一元的に行うということにしておりますので、こうした法的な枠組みは引き続き変更はございません。
 いずれにしましても、治安当局と密接な連携を図りながら、加えて事業者負担への配慮ということも十分勘案しながら、適切な法律の運用というものを図ってまいりたいというふうに考えております。
○加納時男君 その方向で是非よろしくお願いいたします。
 次に、細かくなりますけれども、法案の中で一つ新しいコンセプトであります設計基礎脅威について質問したいと思っています。
 この法案では、核物質防護のための規制強化の一つとして設計基礎脅威を設定するということになっています。この言葉、設計基礎脅威というのはちょっと日本語としては余りなじみのない言葉のような響きがします。元の英語はDBT、デザイン・ベーシス・スレット。それ直訳すると、確かに一つずつ日本語にすると、設計で基礎で脅威だからということなんだろうと思いますが、元々のIAEAのガイドラインではこのDBTをどのように定めているんでしょうか。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 IAEAの最新のガイドラインでは、この設計基礎脅威、デザイン・ベーシス・スレットにつきましては、核物質の不法移転又は妨害破壊行為を企てるおそれのある潜在的内部者及び、又は外部からの敵の属性及び性格、これに対して核物質防護システムが設計、評価されると、こういうふうに記述をされております。
○加納時男君 ありがとうございました。よく分かりました。
 今の御説明をちょっと私なりに理解してみると、要するに、DBTというのは核物質防護システムの設計に当たり考慮すべき脅威、つまり想定脅威といいますか、そういう日本語に近いのかなって理解をします。
 そこで、具体的なイメージを伺いたいと思うんですが、実はこの設計基礎脅威の内容を明らかにするということは、正に今おっしゃった内部の通報者だとか外部の敵だとかに対して塩を送ることになるので、機微情報だと私は理解しております。その上であえて伺うのは、イメージが少しでもこういう場を通じて国民の方々に伝えたいと思っているからであります。
 要するに、五W一H風に言うと、一体だれが、そして何のためにどこでどのように何をするのかというような、そんな話だろうと思います。外部の人なのか潜在的内部者なのか。それから、目的としては核物質を盗み出すこと、あるいは不法に移転することなのか、原子炉施設、原子力施設の妨害とか破壊なのか。いつ来るのか、これは分からないと思います。平日の昼もあるし、夜間、それから休日なんか特にねらわれると思います。それから、場所はどこか。サイトの中なのか外なのか。一体何をねらってくるのか。こういうレベルでは区分Tというのがありますが、再処理施設だとか、それから「もんじゅ」のような研究開発施設。それから、区分Uというのが原子力発電所なんかが入りますが、この区分Tなのか区分Uなのか。それから、どういう手段で、ハウですね、やるのか。例えば武器なのかミサイルなのか弾薬なのか。NBC兵器と言っていますが、核それから生物兵器、化学兵器を使ったこういう脅威なのか。外からの脅威なのか中からの脅威なのか。暴力的な脅威なのか、あるいは暗証番号を盗み出すというような極めて情報戦略的な脅威なのか、いろいろあると思うんですが、例えばこんなようなことという、一つぐらいで結構ですから、もし分かりやすい例があったら教えてください。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 DBTの内容の概略は、テロリスト等の仮想敵の攻撃目標、人数、携行武器、戦術、攻撃能力等を具体的に想定したものでございます。事柄の性格上、詳しくは申し上げられませんけれども、イメージで申し上げますと、例えば、原子力施設における核物質の盗取あるいは施設の妨害破壊行為等を目的といたしまして、複数名のテロリストが自動小銃等の小型火器を持ち、武装車両を用いて実力行使で警備システムを突破をいたしまして、安全上重要な施設でございます冷却施設の破壊を企てると、あるいは監視システムの網の目をくぐりまして隠密裏に施設内に侵入をいたしまして、中央制御室の占拠を企てると、こういったような行為を想定をしているところでございます。
○加納時男君 大変機微なお話を、いや若干オブラートに包みつつ、しかも非常に分かりやすく説明していただいてありがとうございました。
 さて、その脅威でありますが、この核物質防護対策の強化の一環として、内部事情に精通した人間の不正行為だとか情報漏えいといった内部脅威対策がある、これに対して対応が必要だということは、何か四月二十六日の新聞によりますと、保安院ではそういうことを検討を、方向性をまとめているという新聞記事があったので、若干伺いたいと思います。
 内部脅威を排除するためには、私は三つあると思います。一つは、フィジカルプロテクションと言っていますが、物的な防護施設。二つ目は、出退管理と言っていますが、出入りの管理。それから三つ目が人的管理。今ここで質問したいのは、その人的管理のところであります。
 私はこの三つ、フィジカルプロテクションと出退管理と人的管理を組み合わせて効果的にやっていくのが内部脅威対策だろうと思っていますけれども、人的管理についてどのように考えられるのか。アメリカなんかの例をちょっと調べてみたんですが、アメリカは原子力発電所だけやっているわけではありません。あの国は国防とか治安とかテロ対策、特に九・一一以降はテロ対策に非常に力を入れておりまして、これはもう国家の安全だということであって、そのために、そういうものに、安全に関する仕事に就く者は、職歴だとか学歴だけじゃなくて借金情報、借金しているかどうか、アルコールとか薬物依存状況などの情報を集めまして分野横断的にこれを活用するんだというんですけれども、それは事実でしょうか。
 これに比べると、日本の場合は非常に個人のプライバシーということを強調してやりにくいんじゃないかと。私自体、個人情報とか個人のプライバシーは守りたいという立場に立っております。私益は守るべきだと。と同時に、一方、テロリスト、暗躍は許さない、テロ対策、安全対策という公益も大事だと。ここで公益と私益がぶつかるわけでありますが、どのように考えていくのか。現在までの検討状況があれば教えてください。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 内部脅威対策の必要性につきましては、かねてから御指摘もございまして、昨年の十二月から審議会において検討をしている最中でございます。
 御指摘のとおり、内部脅威対策につきましては、物的防護、出入りの管理、それから人的管理のこの三つの観点から整理をして対策を講じております。ポイントになりますのは、このうちの人的管理ということでございます。
 加納委員御指摘のとおり、この人的管理のうち、特に原子力施設の従業員等に対しますいわゆる信頼性確認、信用調査といいますか、そういうことにつきましても、諸外国の状況等について現在詳細に調査しているところでございます。
 これによりますと、イギリス、アメリカ、フランス等いずれの主要国におきましては、国家秘密を取り扱うことを業務とする国防分野等を中心に、国家レベルでの分野横断的な信頼性確認制度が整備をされております。この上で、原子力施設に立ち入る者につきましては、これらの分野横断的な国防・治安分野の信頼性確認制度に付随した制度という形で整備をされております。
 現在の検討状況でございますけれども、こうした各国の状況等を踏まえまして、日本においてどうした形で個人の信頼性を確認するための制度ができるのかということでございますけれども、現在検討が行われております審議会のワーキンググループにおきましては、内部脅威対策として真に実効性のある仕組みを実現するためには、諸外国の例に見られますように、脅威の排除に直結をいたします個人情報を国が収集、管理をいたしまして、それを各機関が活用する普遍的、横断的な制度とするということが重要であると、こういう指摘もいただいております。
 ただ、一方で、こうした制度と、民間企業への国の過度の介入になるのではないか、あるいは個人のプライバシーの侵害に当たるのではないかといった基本的な人権との関係につきましても併せて慎重に議論する必要があるということもこのワーキンググループの中で議論をされておりまして、現在更に検討を続けていると、こういう状況でございます。
○加納時男君 分かりました。
 公益、国防、治安、こういったことと、それからまた、私益、特に基本的人権、これをしっかりと両立させるという大変難しいこれ話ではございますが、分野横断的に進めること、そしてそれを扱う人間に完全な守秘義務を課すること、そして企業等における自主申告制等も活用する、いろんな方向があると思います。慎重かつ積極的な対応を希望しまして、私の質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。
    ─────────────
○藤原正司君 民主党・新緑風会の藤原でございます。
 本日、審議に付されております法案、とりわけバックエンド積立法につきましては、我が国の原子力政策の基本となる核燃料サイクル、この核燃料サイクルにとりまして当面最も重要なプルサーマルの資金を安定的に確保しようとする極めて重要な法案であるというふうに考えております。本日、この法案を審議するに当たり、我が党が衆議院において賛成した上に立って本院に送付されてきたということについて、極めて深い感慨を覚えております。
 それでは、質問に入らしていただきます。
 まず最初に、先ほど同僚議員の質問もございましたが、大臣がこの五月二日、IEAの閣僚理事会に出席をされました。どういう論議がされて、そして大臣がどう発言されたかという概要につきましては新聞等で大体承知をしているところでありますけれども、大臣として、あの会議に出て論議に参加されてどういう思いを持って帰られたのか、そういう点を是非お聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 私は、万博の会場はほとんどまだ見てないんですけれども、日本館、それから、この前シラク大統領に同行してフランス館を見てまいりまして、フランス館も趣旨に賛同した形で環境とか地球とか貧困とかいった問題に大変取り組んで、しかも、日本館の方はこういう技術でこういうことをやれば未来はバラ色ですという明るい未来を描いておりますが、フランスはこのまま行くと地球は大変なことになりますねという、目標は同じなんですけれども、アプローチが全く違うフランス館を見て、大変ある意味では感銘を受けたわけであります。
 その中でいろいろな言葉があるんですけれども、地球は先祖から受け継いだものではなくて子孫から借りているものであるという言葉がございまして、私はその言葉に非常に感銘を受けたわけでございます。エネルギーにしてもまた経済活動にしても、あるいは生活にしても、我々は今、先祖の築いた中で好き勝手にやればいいということではなくて、子孫の皆さんから我々が、今たまたまこの時点で生きている我々が借りているんだという目的意識というものを持っていかなければいけないんだなと、ちょっと私にとりましても大変重たい言葉であって、そういうものを、これからのエネルギー政策、あるいはまた温暖化対策に取り組んでいかなければいけない一つの心掛けみたいな感じを持っているわけであります。
 そういう中で、御質問のIEA、実はIEAにのみならず、アメリカの新しいエネルギー長官、あるいはオーストラリア、あるいはEUのエネルギー担当、あるいはオランダのエネルギー担当兼副首相と個別の会談をいたしましたけれども、どの国もこのままでほっておいていいものではないであろうと。例えばアメリカにおいても原子力発電所の、原子力エネルギーの見直しが行われておりますし、中国でも行われておりますし、ましてヨーロッパの国々、一時期は原発といえば環境の最も敵みたいに思われていた国も原子力を見直す動き、あのドイツの緑の党ですら原子力発電というものの見直しの作業に入ってきているようなわけでありますから、そういう意味で、限られた化石燃料あるいはまた地球環境への貢献といったときに、先ほど申し上げたような三点が非常に大事であるということを強く印象を受けたがゆえに、土壇場まで原稿を書き直しをしながら発言をしたところでございます。
 他方、やはり供給側ももっと供給したい、でも供給するには大変なコストが、今いろんな物財費が上がっておりますから、例えば開発するためのコストあるいはまた運搬するためのコスト等々があってなかなか厳しい状況にあるということで、川上、川下ともこういう問題に苦労を抱えておりますし、そしてまたその中間においての地政学的なリスク、先日のマラッカ海峡の海賊ではございませんけれども、そういったようなリスクも世界じゅうに存在をしているわけでありますから、やはりこれはみんなで力を合わせてやっていかなければいけない。アジアはアジアで、ヨーロッパはヨーロッパで、そして輸出国と輸入国とが協力し合ってという中で、石油に限らず、原子力であろうと、そしてまた省エネ、新エネといった技術を日本がトップの技術を持っているんであればそれをほかの国にも移転をしていく、ヨーロッパが持っている技術もほかの国に移転をしていくということをやろうじゃないかということを提唱したところでございまして、主にIEAというのは先進国が中心でございましたけれども、多くの途上国、中国、インドを始めとして途上国の閣僚にも参加をしていただいて積極的な議論をしたところでございます。
 中国に対しての、エネルギー需要の急速な伸びに対して中国の代表は、いや、我々はそんなにその世界の値上がり、混乱に影響を与えていないんだと、中国は今でも自給率五〇%あるんだから中国要因というのはないんだというような御発言もあって議論が大変盛り上がったということもございましたし、率直に自分の国のことを考えながら、しかし自分の国だけでやっていけるエネルギー政策はもはやないんだろうということを、私は、中国、インドを含めて多くの国々が実感をし、それが共通認識になったのではないかと。これは、将来にわたってのエネルギー政策あるいは地球温暖化対策、もっと言えば、中国に関して言えば、中国の環境対策も含めて、効率化対策も含めて、みんなでやれるところを協力し合ってやっていこうということで共通認識ができたというのが今回の会合の成果であったのではないかというふうに感じております。
○藤原正司君 そこで、化石燃料の中心となる石油価格の動向についてでありますが、イラク戦争のときに一時的に上昇した価格が二〇〇三年に少し落ち着いて、アジア指標になるドバイで大体二十八ドルぐらいで落ち着いていたと。ところが、二〇〇四年の夏以降ずっと上がって、若干の上下を繰り返しながらも、これ五十ドル近くまで上がってきている。
 私は、これから質問するのは、予想屋さん、予想してくださいということではなくて、こういう石油の価格の上昇傾向等を踏まえながら、我が国として、今後、油の価格というのは高止まりするのか、あるいは更に高くなっていくということなのか、あるいは一時的な問題でこれは落ちていくというふうに見るのか、どういうことを想定しながらこれからエネルギー政策を考えていくのかと、この点についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。
 現在の原油価格でございますけれども、中国、インド、アメリカといった国々を中心に世界の需要が増大しておりますこと、またOPEC各国の原油の生産余力が少ないこと、さらにはアメリカを中心に精製設備の能力に余裕がないこと、こういった構造的な要因と投機的な動きが加わりまして高い水準で推移しているものと理解をしておるところでございます。原油価格につきましては、様々な要因が複合的に影響し合って決まるものでございます。原油価格が今後どのように推移するのかということを予想するのはなかなか難しいところではございますけれども、少なくとも今申し上げたこれらの構造的な要因自体は短期的に解決することがなかなか難しいのではないかというのが大方の見方でございます。
 こういう観点から、ただいま大臣からも御説明がございましたIEAでもいろいろな議論を行いまして、大臣のスピーチを受けた形で、最終コミュニケにおきましても、これらの点を中心に産油国、消費国が構造的な課題にしっかり取り組もうということの必要性について合意がされたところでございます。
 政府といたしましては、引き続き、原油価格の高騰が我が国及び世界経済に与える影響を十分に注視をし、今後の対応に遺漏なきを期してまいりたいと、このように考えておるところでございます。
○藤原正司君 いや、まあ本当はその最後の一行をもっと詳しく聞きたいわけですけれども。
 いずれにしましても、識者の方には、もう石油というのは市場で扱われる物品から完全に戦略物資に変わってきたんだというような見方もありまして、我が国としては、石油依存度を五割切るまで下げてきたとはいいながら、なお貴重なエネルギー源であるし、そういうことに対してどういう基本をもって臨んでいくかというのは大変重要なことではないかというふうに思うわけであります。
 そこで、この油の価格上昇が我が国に及ぼす影響について簡単にお尋ねしておきたいんですが、例えば一バーレル十ドル上昇した場合に我が国の年間負担増というのはどの程度になるのか。大ざっぱな数字で結構です。それは、例えば二〇〇三年に安定していた大体バーレル二十八ドルごろに比べて現在の価格、この差で年間トータルどの程度の負担増になっていくのか教えていただきたいと思います。
○政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。
 二〇〇四年の我が国の年間の原油輸入量の実績でございますが、二億四千三百万キロリットルでございます。これをバーレルに換算いたしますと十五億三千万バーレルという数字になるわけでございます。
 今委員の御指摘の、仮に十ドルこれが高くなったらどうかということでございますが、十五億三千万バーレルに十ドルを掛けますと百五十三億ドルほど増加をするということになるわけでございます。二〇〇四年の為替レートの平均が一ドル百八円でございますので、これを日本円に換算をいたしますと増加分は約一兆七千億円ぐらいと、十ドル上がりますと一兆七千億円ぐらいと、こういう試算でございます。
 また、原油価格が高騰を見せる前の二〇〇三年の時点と現時点を比較して年間の原油輸入総額がどのぐらい増加するかという御質問でございます。仮に、今年の原油輸入量、それから年平均の為替レートを二〇〇三年と同じであるという前提を置いて計算をいたします。また、今年の第一・四半期、今年の一月から三月の平均の原油輸入価格、これが一キロリットル当たり二万七千円でございますが、これが一年通じて平均輸入価格となるという前提で計算をさせていただきますと、二〇〇三年に比べまして、二〇〇五年にかけて約二兆円の輸入総額の増になると、このように試算をするわけでございます。
 ただ、今の試算は幾つかの前提がございまして、例えば為替レートは二〇〇三年には百十六円でございます。現在の為替、この第一・四半期の平均は百五円でございまして円高になっておりますこととか、年間の輸入量も二〇〇三年から二〇〇五年にかけて約五百万キロリットルほど減少しております。そういう点がございますので、今申し上げた二兆円というのはあくまでも幾つかの前提を置いた数字というように御理解をいただきたいと、こう思う次第でございます。
○藤原正司君 いや、それほど詳細な数字というよりも、大体油の価格の上昇が我が国の例えば輸入金額にどれだけの影響を及ぼすのかというようなのを概算として頭に持っておきたかったわけでして、そういう前提はそれほど気にしてもらう必要はないわけでございます。
 そういうふうにして、油の価格が今後とも少なくとも現在の状況で高止まりをしていくというふうなことを考えたときに、今、我が国、様々なエネルギーの見通しだとか計画だとか、いろんなものを作っているわけでありますが、こういう油の高騰傾向というのはそういうエネルギーの計画、見通しに対して影響を与えるものかどうか、いや、それは必要ないものなのか、その点についてお伺いしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) ただいま御質問がございましたとおり、二〇〇三年の計画でございますから、原油価格が高騰する以前に立てられた基本計画ではないかと、このようにお伺いをいたしました。しかし、現実的に我が国の石油の供給はほとんど、九〇%以上を海外から輸入しているわけでございまして、この脆弱な体制というのはその時点でよく分かっていたわけでございます。したがいまして、国際的な原油供給体制の動揺というものがあってはならないわけでございますが、あるという前提に基づいて、さすればどういうことをやっていくかという政策、総合的な戦略もこの中に書き込んでいるわけでございます。
 したがいまして、我々といたしましては、一兆円とか二兆円とか今御説明がございましたけど、現時点での価格の体制を読みながら体制を組んでいくしかない、このようには考えておりますけど、この基本計画は少なくても三年に一度は見直すということになっておりますし、また、大きな事情の変更があった場合は適時適切に見直さなくちゃならないわけでございますから、今その状況を冷静に判断をしているところでございます。
○藤原正司君 次に、この法案の作成の背景についてお尋ねをしたいと思います。
 まず、おととしの五月、六月に改正電気事業法が衆議院、参議院で論議、採決をされ、そのときの附帯決議に官民の役割分担について触れているわけでございます。その内容は、「バックエンド事業については、国の責任を明確化した上で、徹底した情報開示と透明性の高い国民的議論の下で、官民の役割分担の在り方、既存制度との整合性等を整理し、経済的措置等具体的な制度・措置の在り方について早急に検討を行い、」云々と、こうなっているわけでして、この検討に基づいて今回の法案が提出されたというふうに承知をしておりますが、この附帯決議に言う国の責任の明確化ということと官民の役割分担の整理と、こういうことについては今回の法案の中でどう生かされているのか、お尋ねしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) お答えいたします。
 ただいまお話がありましたとおり、バックエンド対策を始めといたしました官民の役割の分担でございますが、民間におきましては、事業を執行するに際しましてのノウハウの蓄積、あるいはまた地域との信頼関係をより一層綿密にする、そしてまた事業を実施していくと、このような責任があるわけでございます。一方、国におきましては、それらの事業が現実的に円滑に行われるような基本方針を明確化すること、そして同時にそれを行われるような事業環境をつくっていくという、こういう役割分担があるわけでございます。
 こうした役割分担の下で、このたびバックエンド事業に係る環境整備を図るためから使用済燃料の再処理準備金制度を設けたわけでございまして、この制度が実施されることによりまして、旧来の官民の役割分担がうまくいくという前提の下でやってまいりますればこの全体のスキームというものは崩れることはない、このような思いで提案をさせていただいたわけでございます。
○藤原正司君 今の御答弁につきましては、恐らく昨年の八月に出されました総合資源エネルギー調査会電気事業分科会における「バックエンド事業に対する制度・措置の在り方について」の中間報告、この中の第四章に基づいて恐らく発言されているんだろうというふうに思います。
 ただ、この第四章、バックエンド事業についての官民の役割分担の考え方、このまとめの前提になっておるのは、現行の原子力長期計画において国はこういうふうにしなさい、いわゆる平たく言えば国策民営という考え方が出されているわけであります。
 ただ、私が質問したいのは、確かに現行の原子力長計においてはこういう国策民営という考え方で役割分担が整理をされてはいるわけでありますが、これは平成十二年にこの原子力長計というのは作られているわけであります。ところが、このバックエンドといいますか事業をめぐりましては、平成十三年に御承知のとおり九・一一テロというのが発生をいたしましたし、そして冷戦構造の崩壊に伴いまして特定の国の核保有をめぐる動向というものも気になる。ということは、すなわち核不拡散に対して国際社会が大変敏感になっている、核不拡散に対して大変国際社会の懸念が非常に高まっているという、そういう変化があるわけであります。そういう変化がある中で従来どおり長計の中では国策民営と言っているんだから、国は、基本方針を明確化したり安全ルールを設定したり危機管理体制を整備したりとか、そういういわゆる国策に類するものをやって、民間はそれに基づいて事業をやるということだけでいいのか。国自身、国、官民の役割そのものを、こういう核不拡散が大変デリケートな状況にある中で、そういうことも含めてもう一度改めた論議というものがされた上で、いや、従来どおり官民の役割というのはこのとおりいくんですよと、こういうことになったのか。この辺りについてお聞かせを願いたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) 御案内のとおり、原子力発電の収益性につきましては、基本的に対コスト、遜色がない、他の電力発電者に比べまして原子力発電の場合はその点はキープされていると考えております。しかしながら、初期投資が非常に大きいこと、またその投資をされた部分の回収に長期間掛かる、そしてさらに、今お話がありましたように、バックエンド事業に関しましては更に超長期なわけでございますね。したがいまして、非常に投資的なリスクが大きいものですから、確かに国策民営と言われますように、分かっていながらも電力事業者に関しましてはやはり慎重にならざるを得ないところがあるわけでございます。
 そこで、我々といたしましては、今回提案されております法案に基づきまして、必要な、例えば廃止に関しましての、再処理等に必要な資金の外部積立てを義務付けたり、そしてさらにそれを、費用をすべて電気料金で賄うというような制度を提案することによりまして現実的に今、官民の役割が維持される、また国際環境に大きな変化がない、こういうような前提に基づけば、基本的にはこれは整備されていくものと考えております。
○藤原正司君 まあ国際環境の問題はまた後から質問させていただくことにさせていただきますが、要は、国としては今回このバックエンド積立法を作るに当たり、これから我が国のバックエンド事業を運営するということを全体的に俯瞰してみたときに、今までどおりで、今までどおりの役割分担でいいんだと。最近の核不拡散をめぐる問題だとか電力の自由化問題だとか、そういう状況変化はあるけれども、十分それは論議した上で今までどおりの役割で基本的にいけばいいんだと。ただし、想定外のような問題が発生をしたような場合については、これは根本的に論議する必要があるかもしれぬけれども、経済的措置をさえやっておれば基本的に役割分担というものは見直す必要はないんだということで今回の法案整備がされたと、こういうふうに理解してよろしいでしょうか。
○副大臣(保坂三蔵君) そのとおりでございます。
○藤原正司君 そういう意味でいいますと、今回、経済的措置ということで超長期にわたる巨大な資金を必要とする、あるいは将来不確実性を有する、あるいはお金を使うときと負担する時期の違いが出てくるなどから、この積立金方式というものができたわけですけれども、今回の積立金方式で少なくとも今当面国として想定されるリスクの基本的な部分というのはヘッジをされたというふうに理解をしてよろしいわけですね。
○政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。
 先ほどから副大臣がお答えを申し上げておりますとおり、私どもといたしましては、電力の自由化あるいは国際環境等々を勘案をいたしまして、今回の準備金制度、それを実施するための法案を御提案をしておるわけでございまして、これによりまして、現状の下では今先生御指摘のリスクにつきましてはヘッジをされているものというふうに考えております。
○藤原正司君 次に、この核不拡散問題について、特に国際社会の動向と我が国の基本姿勢についてお尋ねをしたいわけであります。
 IAEAのエルバラダイ事務局長は二〇〇三年に国際核管理構想というものを表明して、そしてこれを受ける形で国際専門家会議というのが招集され、昨年の二月にMNA、私も舌かみそうなんですが、核燃料サイクルへのマルチラテラル・アプローチについての報告書が出されているわけで、この報告書の中には、ウラン濃縮、再処理、使用済燃料、放射性廃棄物の貯蔵管理などを複数の国や国際機関で共同管理をするという考え方でございます。
 もう一つは、この五月二日に開催されておりますNPT、核不拡散条約の再検討会議において、これは発言されたかどうかまだちょっと確かによく分からないんですが、事前の情報によれば、エルバラダイさんがウラン濃縮・再処理施設の新規建設の五か年凍結を始めとする七項目を提案される予定であると、こういうことも報道されているわけであります。
 この背景にはいろいろありまして、エルバラダイさんは三選ねらった上でちょっと政治的発言しているのやというようないろんな声もありますけれども、少なくとも核の平和利用という問題と核不拡散をどう両立をさせるかという面で、これはある程度検討すべきものもあるというふうに思うわけでありますが、まずひとつ、この核の国際管理という考え方について、日本は考え方として受け入れられるものなのか受け入れられないものなのか、どうなんでしょう。
○大臣政務官(平田耕一君) エルバラダイの構想は、もう御承知のように報告書が取りまとめられたと、こういうことでございまして、また、先ほど言及されました今開催中のNPT運用検討会議の演説でございますけれども、これは大まかな構想の報告を取りまとめたということで報告を受けておるわけでありますが、具体的にエルバラダイの個人的な構想であります五年凍結ということには言及をされなかったというふうに今、ただいまの時点で聞いておるところでございます。
 いずれにいたしましても、これらのことは正式な議論ということではまだテーブルに上がっておりませんので、政府といたしましては、正式な具体的なコメントというのはこれはちょっと差し控えていきたいというふうに思っているところでございます。
 御指摘のこの核不拡散というのは大変重要でございまして、特に我が国は、原子力ということにつきましては平和利用のフロントランナーと自称しておるわけでございますが、こういうことに、経過に基づいて厳格な保障措置、輸出管理規制、そして核物質防護等を講じてきておりまして、いろんな経過から唯一、非核兵器国として商業用の再処理施設の設置を行うに至ると、こういうことでございますので、我が国としては今後とも、国際的な核不拡散体制の強化と各国の原子力の平和利用とのバランスをいかに確保していくかということについて様々な国際的な場で十分に議論を尽くしていきたいと、そういうスタンスでやってまいりたいというふうに思っております。
○藤原正司君 我が国の原子力政策というのは、平和利用に徹して、それで現実もきちっとそれをやってきていると。その意味で世界、国際社会から高い評価を受けている。このことは誇るべきであるし、今後とも維持すべき、堅持すべきものだというふうに思います。
 ただ、エルバラダイが二日の日にどういうスピーチをしたか知りませんけれども、少なくとも核の国際管理ということについては、エルバラダイが専門家会議を招集して、そして検討させて、そして今年の二月にレポートが出されていると。だから、これから、二日から始まって一か月ぐらい論議されるんでしょうけれども、そういう中で十分論議がされることは間違いないわけです。
 我が国が平和利用、優等生の国として高い評価を受けて、IAEAの中でも統合保障措置の位置付けを与えられたり、あるいは日米原子力協定の中でも二〇一八年まで、少なくとも三十年間包括的プルトニウム利用を認められたり、これはいいんです。いいんですけれども、実際に、原子力発電、フロント部分は韓国でも台湾でもずっとやっているわけで、こういうところは使用済燃料がぼんぼんたまってくるわけで、これを一体どうするんだという問題が、アジアの中でもそういう問題が出てくると。
 核を持っていない国は平和利用をするというのは権利なんです。NPT条約のやっぱり条件は、平和利用はちゃんとさせてもらいますよと、だから核を持っている国を認めるということですね、現有。そういうことできているわけでして、そのことがうまく両立をするのかどうかと。下手をすれば、日本だけ好きなように何かその、ウラン濃縮もやるし原子力発電もやる、その後、再処理もやる、そしてプルサーマルもやり、将来は核燃料サイクルもFBRサイクルもやっていくと。わしらは軽水炉だけ運転して、あと、ふん詰まりかと、どうするんだ、私らの問題はと、こういうことが出かねない状況にあると。
 そういう中で、我が国の路線を堅持しながら、かつ国際社会全体の中で、核不拡散といいますか、この平和利用路線を進めていくために我が国は何をなすべきかと。我が国は認められているんだから、うちはもう特別の権利なんで、あんたら知らぬでということで済むのかどうかということがこれから一番大きなポイントになってくるんではないかと。
 だから、NPTの中で議題に上がっているか上がっていないか知りません。知りませんけれども、少なくともこのことが十分論議をされていくに当たって、我が国としてどういう立場で臨んでいって、やっぱり日本は認めると、日本のことはちゃんと分かったというふうにやってもらえるかというのは極めて重要なことだと思うんですけれども、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 言うまでもなく、日本は唯一の被爆国としての経験、そしてそういう中での国民的な理解、安全性に基づく、先ほどの加納委員とのやり取りでもございました、藤原委員ともやり取りやらせていただきましたが、原子力エネルギーの重要性というものは日本の国益として存在しているわけであります。
 他方、これが国際的な核を扱うシステムの中でどう位置付けられてきたかということにつきましても、今藤原委員が整理をしていただいたとおりでございまして、日本は非核兵器保有国家であるにもかかわらずといいましょうか、であるからこそといいましょうか、日本の不断な努力がIAEA等の特例扱いを認められているわけでございます。仮に、その日本もひっくるめて五年間云々ということになるとするならば、我々は率直に言えば、今後も厳しい体制、あるいは制度をもって、運用をもってこの核物質を扱い、エネルギーの平和利用に徹していく決意は何ら変わるものではありませんけれども、他国の事情によって、つまり核に関するいろいろな不透明な問題等々の問題によってこの体制そのものが崩れてしまうということになることは、日本のみならず多くの平和利用を志向している国々にとっても決して私はプラスにならないんだろうと思います。
 そういう意味で、今年の初めでしたか去年でしたか、エルバラダイさんお見えになったときにもちょっとその話をいたしましたけれども、どういう背景かは分かりませんけれども、時々そういう発言をエルバラダイさんがおっしゃっておられることについては、どうぞ日本の実情、あるいはまた何で日本がそういうふうに、仮にそういう候補にならなければいけないのかということをきちっと説明をしてくださいということを私も強く申し上げたんでありますけれども、あのときはたしか、まだまだ基本的な私の案ですみたいなことで具体的なお答えはなかったわけでありますけれども、日本は胸を張って世界一の平和利用国家であり、そしてそれを通じて貢献をしたいということで、これからもその大きな決意を持ってやっていくわけでありますから、仮にもそのようなIAEAの事務局長のお立場で、責任あるお立場でそういう発言をするとするならば、我々としてもきちっと事実を御説明をし、御理解をいただいていかなければならないというふうに考えております。
○藤原正司君 私がしつこくお聞きしている背景は、官民の役割という中で、この第四章の国の役割の中で、平和利用を担保し事業の円滑な実施を図る国際的枠組みの整備、これは国の責任だ、役割だと、こう書かれている。こういうものがきちっと整備されて安定的な原子力政策があればこそ、その下でこそ民間事業は成り立つわけで、これがきちっと担保されなければ、幾ら資金的な対応をしていますと、手だてをしましたと言ったからといって、それでリスクはヘッジされたと私は言い難いと思うんです。その意味で、きちっとこの平和利用を担保し事業の円滑な実施を図る国際的枠組みの整備ということに関して、国は全責任を懸けてやってもらわにゃいかぬというふうに思うわけです。
 今までは我々は評価をされた、今までは評価をされた。しかし、これから国際環境が様々に変化していく中で、例えばアメリカの大統領だって替わったら何を言い出すか分からない。二〇一八年までは一応三十年もっているけれども、一八年過ぎた後、非常にデリケートな大統領が出てきたら急に何を言い出すか分からぬ。そういうことに対して、我が国はエネルギーのない少資源国で島国なんですから、そういう国がきちっとしたエネルギーの安定確保をしていくためには、ここのところ、一番大事なような気がするんです。だから、国の責任、役割というものは、今までどおりとおっしゃるんなら、この今までのここの部分に関しては是非腹にきちっとたたき込んで対応していただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、バックエンド事業を民間でやれるかというのを私質問しようと思ったんですけれども、ただ私は正直言うと、このバックエンド事業に対する資金の手だては三百年先まで見通していますと、こういうことになっているわけです。確かに再処理施設を四十年間運転して、四十年間、放射能レベルを下げるために四十年間冷ましておいて、そこから分解をして、そして高レベル部分はガラス固化して、次にまたそれを冷まして最終地下処分するということを考えると三百年ぐらい掛かるし、足し算すりゃ三百年になるんですけれども、ただこれは単に足し算の世界であって、民間がというと、どうもこのイメージが、民間について三百年先の話というのはどうもイメージがわいてこない。国というのは、その領土に国民が存在する限り、人間が存在する限り、国家としての組織は僕はあると思うんです。ただ、三百年先に、会社法が変わって株式会社ないかも分からへん。何も想定できないわけでして、そういうときに民間に対して三百年先の想定した事業ということがどうもイメージとしてわかない。
 で、どう理解するかということになる。それは、三百年先のことはだれも分からないんだから、取りあえず今の体制の下で進んでいって、今手を打つべきものだけ打っておいて、何か起きたらそのときはそのときもう一遍考えましょうと、こういうふうに三百年先の問題というのは理解していいもんかどうか、簡単にお答えいただきたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 確かに、今から三百年前に、一七〇〇年ですから江戸時代の元禄末期ぐらいのときに決められたことを今我々がこの世の中の中でまあそれに基づいてやるということはなかなか想像しにくいことでございますし、また、三百年先について今から認めるのもまず感覚的にいかがなものかという藤原委員の御指摘は、私もそのとおりでございます。
 ただ、これはエネルギー政策という、ある意味では先ほど申し上げた子孫からの借り物ということの一つであると同時に、とりわけこの原子力エネルギーというものは、誠にその半減期の関係もあって中長期にわたらざるを得ないということが一番の特殊要因だろうと思います。したがいまして、やっぱりその三百年とか百年とか二百年とかと、そういったタームでこの核エネルギーサイクルを視野に入れた真剣な議論をし、制度づくりを現時点ででき得る限り考えていかなければいけないということも、やはりこの問題の一つの大きな特徴であろうというふうに考えております。
 その点に関しまして、先ほどから強調されているように官民の在り方ということになるんだろうと思いますけれども、エネルギー政策は言うまでもなく、国が基本的な方針を決め、それに基づいて民間事業者がやっていく、民間がやる以上は当然採算性ということもあるんでしょうけれども、あくまでも地元の理解だとか国民の理解だとか安全性だとか、そしてそういうものをすべて含めた国の基本方針の上に立ってやっていただくということを前提に三百年というものを一つ視野に入れざるを得ないと。そうしないとある程度のきちっとした計画を出すことができないということがあって三百年という、まあこれ核物質エネルギー以外であれば、三百年計画なんというとびっくりしちゃうわけでありますけれども、こういう特殊なものを扱うことによる必然だということは多分藤原委員も十分御承知の上での御質問だと思いますけれども、その分、国としての責任といったものもしっかりせいよという御指摘についても重く受け止めていかなければならないというふうに思っております。
○藤原正司君 時間の関係もありますので飛ばすところもあると思いますが、高レベル廃棄物の処分地問題について。
 我が国のバックエンド事業について民間と言い切れない部分というのは、NUMOがやっている高レベル廃棄物の最終処分と、この中間報告で将来の課題として残されておるあのTRUの処分の問題、これぐらいだというふうに思うわけでありますが、これは官というのか民というのか、この認可法人というのは一体どういう分類に入るのかよく分からないんですけれども、少なくとも民間でないところが担当しているのがこの実は高レベル廃棄物処分地問題なんですけれども、これについて、これ今どういう状況の中で、そして見通しどおりにいけるんかな、その点についてお聞きしたい。
○大臣政務官(平田耕一君) 高レベル放射性廃棄物の最終処分について、もう御承知のことでございますが、特定放射性廃棄物最終処分に関する法律というのが十二年に制定をされまして、国としてはその九月に基本方針それから計画というのを閣議決定をしておるわけでございます。
 これらに基づきまして、最終処分の実施主体として原子力発電環境整備機構設立の認可を行って、実際、その機構が十四年十二月から処分地選定というものを全国の市町村を対象にいたしまして公募を開始をいたしておるところでございまして、これ鋭意やっておりますけれども、現時点ではまだ期間の点もあり応募がなされていない状況でございますが、このこともしっかり情報提供に努めながら、処分事業等について御理解をいただき、国として最大限の努力を積み重ね、責任を果たしていかなければならないと、このように考えているところでございます。
○藤原正司君 いずれにしましても、核燃料サイクルの中で最後のところはこれなんですから、これは是非国として責任を持ってやっていただきたいと、着実に進めてほしいということをお願いしておきたいと思います。
 そこで次に、原子力の平和利用開発における我が国の役割の問題についてお尋ねをしたいというふうに思うわけでありますが、少なくともこれまでの論議を通じて、我が国は平和利用の先進国として、そして技術開発に努力を行っていくとともに、その技術を国際社会にも利益を均てん化していくということが極めて大事だというふうに思っているわけであります。
 特に高速炉の場合は、今回想定しているのはあくまでもプルサーマルでありまして、ウラン利用効率が一〇ないし二〇%程度向上するというものでありますけれども、飛躍的な向上を望むということであるならば、やはり高速炉、いわゆるFBRサイクルというところに持っていかなければ本当の意味で我が国のエネルギー確保というものが中長期的に安心とは言えないということが言えると思いますし、その意味でも高速炉は大変大事ですし、特に先ほどの高レベルの廃棄物の処理に関連して、超ウラン元素を核変換しますが、元素を変えてしまうということによってできるだけ半減期を小さいものに変えてしまう、そういうことによって廃棄物を減容化していくと。そういうようなこともこの高速炉の大変大きな役目としてある。これらの点について我が国は先行的に進めていく必要があるというふうに思っているわけであります。
 だれかはすぐ、フランスでフェニックスはもうやめたとか、スーパーフェニックスは途中でやめたとか、だから高速炉は駄目なんだとかいう単純な論理に走る人があるかも分かりませんけれども、高速炉の技術的なものというのは十分確立しているわけで、これをいかに実用可能な状況に持っていくかということが我が国に課せられた、ある意味では我が国のこれから強みにならなければならない。よそがやってへんからやるべきでないというようなものは、それはもう論理とは全然関係のないところだと私は思っておりますし、こういう面でもやっぱり役割を果たしていく必要がある。
 さらに、水素社会という問題がよく言われまして、私もこの委員会で質問したんですけれども、一次エネルギーなくして水素なしなんです。水素というのは天然にただぽつんと単体で存在しないんです。ですから、幾ら天然ガスから燃料電池つくります、あるいは自動車をつくりますと言いましても、その中に含まれているカーボンがCO2になるのは間違いないわけで、純粋に水素をつくろうと思えば一次エネルギーの供給なくしてできないわけで、そこのところを考えると、やっぱり例えば高温炉の開発問題、まあ実験的には我が国も相当進んでいるようですけれども、そういうようなことを含めて我が国が平和利用のリーダーシップを取る、ある意味ではイニシアチブを取っていくということが極めて大事だというふうに思うわけですけれども、この点についてのお考えをお聞きしたいと思います。
○政府参考人(森口泰孝君) お答え申し上げます。
 先生御指摘のように、高速増殖炉の技術につきましては、原子力委員会の長期計画策定会議の議論あるいはエネルギー基本計画におきましても、高速増殖炉サイクル技術については着実に研究開発に取り組んでいくことが重要というふうに指摘されているところでございます。
 こういうこともございまして、我が国におきましては、高速増殖炉「もんじゅ」を始めといたします高速増殖炉の研究開発につきまして、その実用化を目指して着実に取り組んでいるところでございます。
○藤原正司君 私は研究開発の状況をお聞きしたんじゃなくて、我が国が平和利用の先進者としてこれからやっていくんだというむしろ決意をお聞きしたかったわけでございます。まあ、もういいですから。
 次に、「もんじゅ」の話に入りたいんですけれども、その「もんじゅ」が今最高裁で争われておりまして、再開までまだ見通しが立たないというのは承知をしております。しかし、先ほども申し上げましたように、FBRサイクルの確立というのは我が国にとって極めて重要であり、そのためにはこの「もんじゅ」が順調に再開までこぎ着けていくということが極めて大事なことであります。
 その上で、国として、これから「もんじゅ」再開までどのような課題があって、少なくともこのぐらいには何とか運転再開したいというものを聞かせていただきたい。
○政府参考人(森口泰孝君) お答え申し上げます。
 高速増殖炉の「もんじゅ」につきましては、一日も早く運転再開をしまして、これを最大限に活用して高速増殖炉の技術成果を蓄積していくということが将来の高速増殖炉の実用化に不可欠であると考えているところでございます。
 去る二月七日には改造工事着手につきまして地元の御了解もいただいたところでございまして、現在、核燃料サイクル開発機構では、安全第一で改造工事に向けた準備工事を精力的に今進めているところでございます。
 今後の見通しといたしましては、準備工事を含め改造工事に約二年を要するわけでございますが、その後、改造した設備の機能確認あるいはプラント点検等を行った後に試運転を再開する予定でございます。
 文部科学省といたしましても、核燃料サイクルの実現に不可欠な「もんじゅ」の一刻も早い運転再開を目指しまして鋭意取り組んでまいりたいと思ってございます。
○藤原正司君 実は、この「もんじゅ」、そしてその後のFBRサイクルの今後の計画といいますか、そういうものについてもお聞きをしたかったわけでありますが、この問題をお聞きしようとすると最低限三つの省庁にお尋ねしなければ、いやここのところはちょっと違う、ここは違う、ここは違う。いつも何となく達成感のない質問をしなければならないというのは誠に残念なわけであります。
 私は本会議でも質問さしていただいたわけでありますけれども、アメリカでもフランスでもエネルギー省というのがあって、そして、例えばフランスの原子力庁でいえば、研究開発から実用まで一貫して、もちろん原爆も含めてやっていますけれども、それは横に置いて、研究開発から実用化まで一貫した体制の下でエネルギー問題、原子力問題が所管されていると。
 私、大変うらやましいというふうに思うわけでして、私は、こんなこと言ったら文科省が怒られるか分からぬけれども、実験室でテーブルの上で実験されるレベルならば文科省でもいいかもしれぬけれども、例えば「もんじゅ」のようにどこから見ても、地域の皆さんから見たら、どこから見てもあれ原子力発電所なんですよね。そういうようなところも含めて、今我が国がエネルギー部門だけでもばらばらばらばらの所管になっていることについて誠に危惧を感じます。特に、「もんじゅ」の高裁判決のときにいろんな御意見お聞きしようと思っても、もうそれぞれ、内閣府は違います、いやエネ庁は違います、いや文科省は、もうばらばらになってしまっていると。私は、十二省庁再編問題の大きな問題はここにあると。私はもう一度、最低限エネルギーに関連する部門というのは整理して一つの省庁で対応してもらわないと、これから我が国のエネルギー問題というのは、大変厳しい環境の中で、しかも戦略的に対応しなければならない中で、こんなばらばらの状態で本当にいいのだろうか。しかも、役所側の人材にしても、そういうぶち切られた中で人材が本当に育成されていくんだろうか。大変私は危惧をするわけでございまして、この前の東シナ海の平湖の、もっと広げて言えば平湖の油田のときの例のあのストローの話のときだって、輸銀が融資することを外務省は全く知らぬまま行ってしまっているとか、今度のエネルギー問題に関しても、「もんじゅ」に関してもばらばらの状態になっている。
 私は、何とかこのエネルギー全般にわたって所管する省庁というものをつくっていただきたい。安全規制するのは、我々、我が民主党も提案していますけれども、まああれは、それはちょっと横に置いても、とにかく推進する体制だけでもきちっとした体制をつくっていただきたいというのが願いでございます。大臣、お考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 結論的には藤原委員と私と全く同じでございますし、多分政府としても同じだろうと思っております。
 何も、実験やって何かの知見を得て、さあおしまいということではなくて、この「もんじゅ」にしても、途中でこれは中断になりましたけれども、「ふげん」というものも過去ございましたけれども、やはり日本のエネルギー政策という中に貢献できるような施設を造っていきたいという中で、今文科省の実験炉として「もんじゅ」が、今裁判とかいろいろございますけれども、できるだけ早くやっていただきたいというふうに思っております。
 いただきたいと言うこと自体、またこれは他省のことだろうという御指摘を受けるわけでありますが、いずれにしても、総理の下で関係閣僚会合、あるいはまた総合エネルギー審議会ですか、等々、調査会ですか、政府としては一体としてのエネルギー政策を中長期的に進めておりまして、その中の新しい施設としての高速増殖炉、その実験炉としての「もんじゅ」の位置付けというものは、我が国のエネルギー政策の中で、さっき藤原委員も御指摘のとおり、実験としてはもうフランス等においてある程度実証済みということもございますので、日本としてきちっとした形で、「もんじゅ」についてはいろいろと裁判等があってなかなかスピードが遅れておりますけれども、いずれにしても、安全性と地元の理解、国民的御理解の下で、よりメリットのある核物質エネルギーとして高速増殖炉が早く実用化できれば、国民経済的にも国のエネルギー政策上もいいと思っておりますので、その辺は政府一体となって進めておりますので、引き続き御指導をよろしくお願いいたします。
○藤原正司君 是非、形ともに一体となって進められるように心からお願いをしたいというふうに思います。
 残余の質問はございますが、それは明後日に回させていただきまして、今日の質問はここで終わらせていただきたいと思います。
 ありがとうございました。
○委員長(佐藤昭郎君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時まで休憩いたします。
   午前十一時五十五分休憩
     ─────・─────
   午後一時開会
○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○加藤敏幸君 民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。
 藤原委員に引き続きまして質問をさせていただきます。
 午前中は大変プロフェッショナルなお二方の御質問を聞かせていただきまして、少なからず感銘をいたしておりました。私はアマチュアの目線でいろいろと御質問をさせていただきたいと、このように思いますのでよろしくお願いいたします。
 まず、この法案は、原子力発電の一層の推進ということと核燃料サイクルの必要性ということを前提として提案をされていると思います。そして、その理由として、一つはエネルギーセキュリティーの確保並びに地球環境保全の二点が挙げられています。石油、石炭を始めとする化石燃料の今後長期にわたる安定的確保が定かでないこと、また、我が国が京都議定書に織り込まれたCO2排出の大幅削減の義務を負っていることを考えますと、原子力発電の推進は正に我が国の公益的課題に沿うものであると、このように考えます。
 しかしながら、これらの主張は幾つかの前提条件の下で成り立っているということも事実でありまして、例えばその前提条件として主に三つ挙げさせていただきますと、第一は、ウラン資源が今後も長期的、安定的に確保されるということであります。ただ、この点につきましては、中国を始めアジア地域における今後の原子力発電の拡大がウラン資源の需給バランスを崩していくのではないかという懸念があるということであります。第二は、使用済核燃料が再利用できるという核燃料サイクルが確立されるということでございました。第三に、化石燃料を使った発電技術が飛躍的な効率向上と、正にそういう大きなブレークスルーがこれは余り期待できない。あるいは、自然エネルギーや水素エネルギーなどを利用した新エネルギーにつきましても、午前中、加納委員の御指摘もございましたように、大変発達はしていますけれども、全体に占めるウエートというのは一けたも二けたも低いんではないかという意味で、日本のエネルギーの屋台骨にはこれはなかなかならないという、そういう見通しがあると思います。
 これらの前提条件につきましては政府としても関係審議会などで様々な御検討をされてきたわけではございますが、どのような科学的な見地あるいは経済的見通しに立ってこれらの諸点について検証されてきたのか、御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。
 今、何点かにつきましてお尋ねがございましたので、少し長くなるかと思いますけれども、それぞれにつきまして御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、ウラン資源でございますけれども、ウラン資源につきましては政情が安定した国々に分散して賦存しているという特徴がございます。現在のところ、我が国の電気事業者が海外のウラン資源開発会社との長期購入契約を締結することなどによりまして適切に確保がされているものというふうに認識をいたしております。
 他方、世界のウラン需給でございますけれども、現在の世界のウラン生産、一次供給でございますけれども、これは世界のウラン需要の約五割から六割でございまして、この不足分につきましてはアメリカ、ロシアの核兵器の解体に伴いまして発生するウラン等のいわゆる二次供給により賄われているという状況にございます。
 今後は、こうした解体核からの二次供給が減少することに加えまして、先ほど御指摘ございましたように、中国を始めとするアジアにおける原子力発電所の新設等に伴いますウランの大幅な需要増が見込まれておりまして、早ければ十年後にも供給不足となるという予想もあるところでございます。このため、限りがありますウラン資源を有効利用するという観点から核燃料サイクルの必要性が高まっているものというふうに考えているところでございます。
 次に、核燃サイクル、核燃料サイクルでございますけれども、これにつきましては、原子力委員会長期計画策定会議におきまして、すべて公開の下に小委員会も含めまして十八回、延べ四十五時間にわたります徹底的な議論が行われまして、全量再処理、全量直接処分等の四つの基本シナリオにつきまして、エネルギーセキュリティー、経済性、技術的成立性等、十項目の視点から総合的に評価が行われました。
 その結果、主に、再処理路線は、直接処分路線に比較いたしまして、経済性の面では劣るけれども、エネルギーセキュリティー、環境適合性、将来の不確実性への対応能力等の面で優れていること、第二に、長年掛けて蓄積してきた技術、立地地域との信頼関係、我が国における再処理に関して獲得してきた様々な国際合意等は維持すべき大きな価値を有していること、第三に、再処理路線から直接処分路線に政策変更を行った場合において、原子力発電所からの使用済燃料の搬出が困難になって発電所が順次停止するおそれがあることや、中間貯蔵施設と最終処分場の立地が進展しない状態が続くことが予想されることといったような理由から、使用済燃料を再処理し、回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とするという中間取りまとめを行ったところでございます。
 次に、化石燃料の発電効率でございます。化石燃料の発電につきましては、負荷追従性に優れているという特性はございますので引き続き一定の役割を果たしていくものと考えております。
 発電効率でございますけれども、石炭火力発電につきましては、石炭をガス化いたしまして発電する技術開発等を通じまして、従来型のもの、四〇%から約一〇%向上することが見込まれております。LNG発電につきましては、コンバインドサイクル発電、現在約五〇%の効率でございますけれども、これが更に高まることが期待されるわけでございますけれども、こうした効率の向上によります二酸化炭素の排出量の削減率はこの向上の範囲内にとどまるということでございます。これに対しまして、原子力発電は発電過程で二酸化炭素を排出しないという環境面での優位性を有しており、今後の温室効果ガスの削減に当たってはより大きな役割を果たすものというふうに考えております。
 新エネルギーでございますけれども、これは、エネルギー自給率の向上、地球温暖化対策の観点から積極的に推進しておりますけれども、本格的な普及を実現いたしますためにはコストが高いといったような課題を克服する必要がございます。新エネルギーの一次エネルギー供給に占めますシェアにつきましては、総合資源エネルギー調査会需給部会の二〇三〇年のエネルギー展望におきまして、二〇〇二年度実績一・六%に比べまして二〇一〇年度で三%、二〇三〇年で約七%というふうに伸びていくというふうに見通しておりますけれども、当省といたしましては、今後ともこの導入拡大に向けて全力で取り組んでまいりたいというふうに考えているところでございます。
○加藤敏幸君 ありがとうございました。
 そういう分析なり見通しに立って正に日本のエネルギー、基本的な政策を考えていくということでございますけれども、総合資源エネルギー調査会需給部会がこの三月に二〇三〇年のエネルギー需給展望をまとめられました。この報告書では、エネルギー需給構造の分析やシナリオ分析を具体的かつ厳密に行われているわけですが、その分析結果からもエネルギー需給の柔軟性を求める姿勢が大いに出ているのではないかと、この点については評価をしたいと思います。
 そこで、私は、地球環境問題の抜本的な解決手段を求めると、やはり近年著しいエネルギー技術の胎動を注視することが必要であると考えます。
 二〇三〇年の、そういう二十年、三十年のレンジで考えるならば、技術開発のブレークスルーによってはエネルギー供給におけるポートフォリオがドラスチックに変わる可能性も十分にあると考えられると思います。
 この需給展望の中で、エネルギーの供給問題を新エネルギーの役割を含めましてポートフォリオ論から説明していくことは国民的な理解が得やすいのではないかと考えます。二〇一〇年あるいは二〇三〇年においてはどのようなエネルギーの組合せがベストミックスであるのか、そういう国民的議論を起こすことが必要であると考えます。コストを重視するのか、あるいは安定を重視するのか、あるいは環境を重視するのか、その視点の置き方によってポートフォリオは大きく変わってくるはずであります。
 特に、エネルギー政策全体の中で原子力発電の位置付けについても、硬直的にと申しましょうか、賛成か反対かと、そういう見方、あるいは硬直的な目標値を出すとか、そういうことではなくて、政府が科学的知見に基づく様々な情報を広く提供し、最終的には国民がいかなるポートフォリオを選択するのが本当にいいのかと、そういう私は生きた議論が今、日本におけるエネルギー全般の議論の中でも大切ではないかと、このように思っている次第でございますので、二〇三〇年のエネルギー需給展望、現在における私ども日本国の英知がある意味でここに結集しているとするならば、その内容もさることながら、このことの中身、特にポートフォリオ課題の在り方ということについて国民への広報活動を展開していくことが今一番必要ではないかと、このように考えますが、展望の中身、あるいは先ほど私が申し上げました点についての御見解を伺いたいと思います。
○政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。
 今、先生から御指摘がございましたように、今回の二〇三〇年の長期の需給見通しでございますけれども、これは従来行っていなかったものでございまして、従来行っていなかった長期の見通しを作成をいたしましたが、その際には、今御指摘がございましたように、省エネルギーの進展、これは従来技術だけで対応するとどうなるか、あるいは更に新しい技術を適用していくとどうなるかというようなこと、あるいは原子力発電所の新規立地がどの程度進むかというようなこと、それから経済成長率、原油価格等の不確実性の高い要素につきましては幅を持って想定をするということで幾つかの道筋を示しまして、全体として柔軟性を持たせた見通しを作成をしたところでございます。
 これは、特にこういう二〇三〇年までの長期ということになりますと、今先生の御指摘ございましたように、幾つかのシナリオを提示いたしまして、それに基づいて様々なところで議論をしていただきながらエネルギー政策を遂行していく必要があるという観点から作成をしたものでございまして、この見通しの中での特徴を幾つか申し上げますと、エネルギーの需給構造でございますけれども、エネルギー需要の伸びは人口、経済、社会構造の変化により鈍化をいたしまして、二〇二〇年ごろには自然体でまいりましても頭打ちになると。さらに、技術を実用化、普及すれば更に減少する可能性があるというようなこと。それから、エネルギーの供給構造につきましては、天然ガスのシェアが高まる一方で、石油はシェアが低下するものの依然として四割程度を占める重要なエネルギー源であると。また、原子力はベースロードに対応した電源として引き続き発電電力量の四割から五割の安定的なシェアを占めるというような需給見通しになっているところでございます。
 こうした見通しに基づきまして、具体的な政策を進めていきます上では、省エネルギーの推進でございますとか原子力発電の推進など国民の皆様の御理解と御協力を得ていくことが不可欠であるというふうに思っております。そのために、エネルギー基本計画とかエネルギー需給展望の策定に当たりましては、広く国民の皆様からのパブリックコメントをいただいておりますほか、各地で地方公聴会を開催するといったように、様々な形で国民的な議論を踏まえるように努めてきているところでございます。
 また、先ほど申し上げましたような需給展望に示されました基本的な考え方につきましては、新聞、マスメディアを通じた広報、各種シンポジウムの開催、パンフレットの作成、エネルギー白書の作成などを通しまして国民の皆様に広くお知らせするとともに、学校におきますエネルギー教育の充実などにも取り組んでいるところでございます。
○加藤敏幸君 是非とも、特に学校教育の場における私は説明といいましょうか、この展望を使った、次の世代の子供たちに二〇三〇年になったらあんたらも選挙権できるんだからと、そういうようなことも含めて私はよく展開をしていただきたいと、このように思います。
 次に、バックエンドの受益者負担の公平性、自家発電のこの問題について少しお伺いをしたいと思いますけれども、基本的に原子力発電はいわゆるフロントエンドと呼ばれる初期投資が大きく、また立地もいろいろ問題が多く、解決に長期化を要する、さらに地域の合意が得られにくいという立地そのものの持つ困難性、そういうようなものを含んでおります。
 国策としての原子力発電推進は、言わば電気事業者にとっては経営的に実力を超えたリスクを背負っているわけであり、それだけに、今後とも公的な支援政策がないと電気事業者としては経営責任は果たせない、あるいは供給責任を果たせない、こんなふうなことではないかと思います。今回のバックエンドに対する施策はその一環のものであると考えますが、結論的には積立金の原資を電気料金に含めるという受益者負担の形と、こういうふうなことに御提案をされているということでございます。
 私は、エネルギーの利用に関しては当然受益者負担という原則が貫かれるべきだと考えますが、この受益者負担はやはり公平性の観点が不可欠だと、このように考えます。この視点から幾つかの問題点が出てくるわけでございますが、それは、バックエンドへのコストを特定規模電気事業者、いわゆるPPSから既発電分を含めて徴収されるのに対し、現在増え続けている自家発電からは徴収しないということでございます。自家発電が現在十数%のシェアを占め、今後その割合が増えていくことが予想される中で、私は、やはり公平性の観点から近い将来問題が生じることにならないかと懸念いたします。
 当然のこととして、自家発電の有利性が強まれば需要家の自家発電へのインセンティブが強く働きますし、小口の需要家も分散型の自家発電に積極的に投資していくのではないかと、このようにも思われます。そうなると、一般電気事業者の経営環境はますます厳しくなることが予想されますが、私は一般電気事業者の肩を持つ気はございませんけれども、この自家発電に対してどのように見ておられるのか、また、今後、原子力発電との関係や環境コストへの負担という視点からどのように対応されようとしているのか、お考えをお伺いしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) お答え申し上げます。
 御質問の原子力のバックエンド費用の負担でございますが、これは御案内のとおり、原子力発電による利益を享受したいわゆるユーザー、これが負担をすることになっておりまして、基本は受益者負担でございます。
 一方、お話がございました自家発電でございますが、これに関しましては現実的に自家発電をすべてで賄うわけではございませんで、原子力を活用した電力事業者からの供給も受けるわけでございます。したがって、その受けた部分に関しましては当然バックエンド費用は負担をしなくてはならないわけでございますが、自分で発電した部分に関しましては、この発電者はいわゆる電気を供給する事業者ではございませんので、したがってこの負担がないという、そういう御指摘のとおりの矛盾があるわけでございます。
 これはほかの法律でも、特定放射性廃棄物拠出金制度や電気事業者が新エネルギー等の利用に関する特措法がございましたけど、これらも実は長期的な観点から免除になっているわけでございます。しかしながら、今お話がありましたとおり、現実的に自家発電は既に十五年レベルで一五・八%まで伸びておりまして、しかも素材産業、鉄鋼や紙パルプなどでは既に三〇%を超えているわけでございます。
 したがって、長期的な供給体制を見ながら、この自家発電者の電力の供給といいましょうか、あるいは活用といいましょうか、これが電力市場にどういう影響を受けていくか、あるいは及ぼしていくか、こういうことをよく考えながら検討していく課題であろうと存じておりまして、今検討をしているところでございます。
○加藤敏幸君 ありがとうございました。検討中ということでございますし、私もこれ、直ちに結論がそう簡単に出せるというふうには考えていないわけであります。
 しかしながら、やはり負担の公平性ということを、私はある意味で、神経質なようですけれども、やっぱり目一杯議論として追求していく姿勢がなければ、この手の問題は、まあ楽をしたいとかうまくやったらいいんだとか、そういうふうなことが社会に蔓延するようでは、私はやっぱり、基本的なエネルギーを国全体として責任を持って確保するし、先ほどお話がありましたように、三百年にわたってどうするかというようなことも含めた議論をする前提としては、私は、ひとしくそれぞれがそれぞれの立場に応じてしっかりと負担をやっていくと。そして、その論理のやっぱり貫徹性ということを私は国の責任としてしっかりとやっていっていただきたいと思いますし、私どももそのことに参加をしていく必要があるんじゃないかと、このように思っておるわけであります。よろしくお願いをしたいというふうに思います。
 先ほどPPSについて触れましたので、これに関連して更に御質問さしていただきたいと思います。
 現在、高レベル放射性廃棄物の処理・処分費用として拠出されております特定放射性廃棄物処理拠出金制度におきましては、PPSの顧客については既発電分の発電費として料金原価に算入させてきませんでしたと。そして、今回の使用済燃料再処理等積立金制度においては、PPSからも託送料金に上乗せして既発電分も徴収されることに方針が切り替えられました。
 この措置の変更について、どのような議論経過があったのか、過去の積立分を含めた負担に対してはPPS関係者の強い不満もあると、このように聞いておりますけれども、改めましてこの場において、ここにかかわる議論についての御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(安達健祐君) 御説明申し上げます。
 今御指摘の特定放射性廃棄物拠出金制度でございますけれども、これは平成十二年度に特定放射性廃棄物の最終処分に関する法律に基づきまして拠出金制度が創設されたわけでございますが、その際には、電力の小売自由化が開始されたばかりでございまして、また自由化範囲が電力需要量の二六%に限られてございました。このため、需要家間の公平性とか競争中立性に対し大きな影響はないと考えられたことから、過去の原子力発電によって生じた使用済燃料についての最終処分費用をPPSの需要家から回収する仕組みは導入しないということにされたところでございます。
 平成十七年度四月から小売自由化の範囲が電力需要の過半を超えることになりましたが、既に拠出金創設後五年が経過してございまして、この間に、過去の原子力発電によって生じた使用済燃料に係ります特定放射性廃棄物の最終処分費用のうち、既に約四〇%に当たる約〇・二兆円の回収を終えまして、今後平成十七年度以降回収すべき費用は〇・三兆円となってございます。それで、制度として根付いている本制度を変更することは市場参加者に対し無用の混乱をもたらすおそれがあるということなどから、現時点で拠出金制度を変更することは適当ではなくて、引き続き今後の状況をきちっと見守ってまいりたいと考えているところでございます。
 他方、今回の法律で積立ての対象となっております過去の原子力発電によって生じた使用済燃料に係ります再処理費用につきましては、平成十七年度以降に要する費用は約六兆円でございまして、うち内部留保されている約二・八兆円を除いても三・二兆円と、平成十七年度以降に回収すべき拠出金費用に比べて約十倍という額になってございます。このため、平成十七年度四月から自由化範囲が電力需要量の過半を超えることになることを勘案いたしますと、過去の原子力発電によって生じた使用済燃料についての費用について、PPSの需要家からも費用を回収することは適当であるというふうに判断したところでございます。
 なお、これらの整理につきましては、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会において御審議をいただき、昨年八月に取りまとめられた中間報告を踏まえたものとなっているところでございます。
○加藤敏幸君 少し視点を変えさしていただきまして、国際競争条件という視点から、かつて私も電力料金の問題について少し指摘をさしていただきまして、私のライフワークといいましょうか、物づくり日本と、日本列島でやるんだと、こういうふうな条件をどうつくっていくのかと、このことについて昨年十一月、大臣ともいろいろと、御意見をいただいたと、こういうふうなことでございます。
 原子力発電のバックエンドコストを最終需要者が使用料金へ上乗せする形で負担するということは、まあ単純にですよ、ある気持ちからいって、国際的に割高である我が国の電力料金の引下げに若干ブレーキを掛けるのではないかと、そういうふうな懸念というふうなものもあると思います。
 私は、もう先ほども言いましたように、物づくり日本と、製造業の再生を言い続けておりますけれども、我が国の製造業を立ち直させて地域を活性化していくためには、まず海外展開を抑制して国内における工場立地を促進していく、これがまず第一の道だと。しかし、その際に障害となっている我が国の法人税体系であったり、流通・輸送部門における非効率性や高コスト、あるいはまた、電力、ガスなどのエネルギーコストの国際的に比較相対的に高いと、こういう問題があると。もちろん、人件費の問題、福利厚生費の問題、これは労使間でいろいろ議論しておる問題でありますし、最近はいろいろと労使が工夫して、これらの総額人件費の引下げということに努力をしているということでございますから、本日はこれらはテーマではございません。
 これらの問題は前川レポートの時代から言われ続けてきたことでございますが、やはり電力料金は国際水準にまで引き下げる努力は今後とも怠ってはならないと、このように思います。この点、もちろん公共料金である電力料金の決定方式の変更や電力自由化政策はそれなりの成果を上げてきたわけでありまして、電力事業者の労使の御努力については、私はこれはもう本当に大変な御努力をいただいているという意味で評価をしたいと、このように思っております。
 そこで、今回のバックエンドコストの料金上乗せについてでございますけれども、国内の製造業その他、各産業の復権という政策目標からすれば、今回の措置というのはどっちの方向を向いているのかと、そういうふうな指摘もございますわけでございまして、この上乗せ分を上回る値下げの努力が必要になってくると思いますが、この辺のところはなかなか、口で言うのは簡単ですけれども、やるのは難しいと。そういう点で、政府として電力料金の国際水準までの引下げ、このことについて、今の時点でどのような道筋なり政策を考えておられるのか、大臣の御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 電力エネルギーというのは、産業活動においても、また民生その他あらゆる活動、人間の活動において必要不可欠のものであるわけであります。そういう中で、電力料金が諸外国に比べて高いという加藤委員の御指摘は、現実、そのとおりでございます。
 ただ、自由化前に比較いたしまして、現時点におきましては、産業用あるいは家庭用を含めまして、世界の主要各国との価格差というのは縮まり、イタリア等では一部逆転をしているというデータもございます。引き続き関係者の皆様方には安全性等々を十分、あるいは環境面等を十分配慮をしていただきながら御努力をいただきたいと思います。
 そしてまた、電力に限らずエネルギーの安定確保ということは中長期的な観点にわたって必要なことでございますので、そういう意味で、いわゆるこの核燃サイクル、バックエンド費用というものも当然重要な位置付け、基幹電源としての中長期的な観点から必要になってくるわけでございますし、このコスト、費用は欧米諸外国におきましても電気料金として需要家からいただいているというのが通例でございます。
 そういった観点と、それから今、加藤委員御指摘のように、物づくり、世界的な競争の中で勝ち抜いていくためには日本がこれからも大いに頑張っていかなければいけない、そういう観点でのエネルギー政策というものが足を引っ張るということがあってはもちろんいけないわけでございますので、そういう方向に向けて関係者の御努力をいただいて、エネルギー政策、あるいはまた電気料金政策、政策といいましょうか、電気料金の体系も含めていろんな中で皆で御努力をいただいて、そういう方向に進んでいけるように関係者の皆様にも御努力をいただきながら、御指摘の物づくり日本として今後も生き抜いていくための大きな役割を果たしていただきたいというふうに思っております。
○加藤敏幸君 という大臣の答弁を踏まえまして、私はこの問題を考えているときに、どうしても国内料金が高い高いと、引き下げろと、こういうことだけでは済まない課題を抱えているし、それは私が立場として是非申し上げなきゃならないことが一つあるんです。
 それは、国際的な競争を考える場合に、公正労働基準、これは私はそういう仕事をしてきましたけれども、これはやっぱり労働者の労働条件については非常に安い、あるいは劣悪な労働条件を前提として国際競争で勝っていくと、これはやっぱり許されないわけでありまして、それは正にILOの活動が何十年にわたってそのことを、国際的な公正基準をいかに確立していくかという、そういう努力をしてきたわけでありまして、同時に、公正な競争条件ということからいくならば、エネルギーコストについても、我が国のように、安全から、それから環境対策だとかいろんなことを先進的に一生懸命やる、それらを含めて全部支えている国のコストと、一方で、ほとんど環境対策についてはお金を使わずに、石炭の生だきに近いような形で他国の酸性雨のもとをつくっているような、そういう安い電力を前提として物づくりをやって世界の工場だと、そういうふうなことで本当にいいのかと。だから、私は、このシステムというのは、国内だけで頑張るということは当然やるべきですけれども、と同時に政府として、やっぱり基準からいうと随分劣悪な電力で、そういう、しかし地球に対しては極めて厳しい環境負荷を掛けているような、そういうその電力を前提として国際競争を戦っていくと、そういうことについてどうするんですかと。
 私は、そういう視点からもやっぱりこの議論を国全体として、国として、政府として、世界のやっぱり電力コストの在り方、そしてそれは当然環境に対する対応策というものをしっかり、余り具体的な名前は言いませんけれども、中国なんかはしっかりと背負ってほしいと、そういうふうなことも含めて私は議論をやるべきではないかということを、これを申し上げないと同僚議員に対してなかなか顔を向けられないと、こういうようなこともございまして、そういう広い視点からも、これは御意見でございますけれども、よろしかったら大臣も一言おっしゃって。
○国務大臣(中川昭一君) 私になりましてからも、去年五月にオランダでエネルギー関係のフォーラム、これは先進国も途上国も、あるいはエネルギー生産国も消費国も一堂に会して会議をやりました。そのときに私から、エネルギーについてはそれぞれの立場だけで頑張っても、午前中もちょっと申し上げましたけれども、限界がありますので、みんなでそれぞれ違う立場で力を合わせていこうということで提案をし、それが今年一月にインドのニューデリーでアジアのエネルギー対話と、産消対話ということで、日本、中国、韓国という東の端から中東の産油国までの国々が集まって共同してやっていきましょうというフォーラムがスタートいたしました。これはもう年一回やっていきましょうと──二年に一回、三回目はたしか日本でやる予定になっておりますけれども、そして先ほど申し上げましたIEAでも私が冒頭の提言をしたところでございますし、もうそれは共同宣言の中にも取り込まれました。
 共同宣言の中で画期的なのは、やはり省エネと。最近、日本ではもったいないという言葉が随分と使われるわけで、サミットでも何か使われるとか使われないとかいう話がありますが、エネルギーについても省エネということが非常に大事である、あるいは何年ぶりかで原子力エネルギーも選択肢の一つであるということがあの会議の最終報告の中に盛り込まれたところでございまして、そういう成果は十分上がったと思います。
 加藤委員御指摘のように、幾ら日本が世界一だ、クリーンだ、省エネ努めていますといっても、お隣の国で煙もくもく、CO2、あるいは硫化物質その他がどんどん出て、あるいはまたそれが川を伝わり空気を伝わって、自分の国だけでかぶっているんだったら大いに、関係ないで済まされますけれども、こっちに降ってくるわけでありますからこれはもうとてもたまったものではないんで、どうぞ省エネもしっかりやってください、CO2その他の地球にとってプラスでない物質はできるだけ出さないようにしてくださいということで、先ほどから申し上げておりますように、それぞれの国が持っております技術を大いに移転をして、そしてできるだけ地球を汚さない、あるいはまた、先ほど申し上げましたようにIEAのデータでは日本と中国とのエネルギー効率が十対一ということでありますから、向こうで十必要だとしても日本の技術をもってすれば一で済むという単純計算になるわけでございますので、そういう意味でも、ただ爆食という言葉がありますが、やたらと集めて、そしてエネルギーとして燃やせばいいんだというだけでは、その国にとってももちろんプラスになりませんし、国際的にもいろんな意味で悪影響を及ぼすので、中国に限らず、特に省エネ途上国といいましょうか、あるいはまた地球温暖化途上国という国々に対しましては、それぞれ技術を持っている国々が協力をしたり、また共同で作業をやったり、いろんなやり方で国際戦略を推し進めていかなければならないというふうに思っております。
○加藤敏幸君 よろしくお願いいたします。
 さて、原子力発電の量的拡大並びに核燃料サイクルの実現化に向けて、政府は国策として民間の事業者への支援策を一段と充実させていかなければならないと思います。そして、その中でも一番大事なことは、この政策の推進に関して国民の支持を得ていくことだと、このように思います。
 例えば、二〇〇三年十月七日に閣議決定されましたエネルギー基本計画に対し、原発施設を多く抱える福島県の佐藤県知事は、後に原子力政策が破綻したら今生きている者の責任だと、自治体はこれに拘束されないと強く批判されました。やはり原子力発電の安全面あるいはコスト面だけからではなく、国のエネルギー政策全般について、国民の理解あるいは関係地域の理解は依然としてまだまだ不十分な状態にあると私は思います。
 そこで、まず政府として考えていただきたいのは、原子力発電はエネルギー政策の中核にあるのでやむを得ないといいましょうか、組織上仕方がない点があると思いますけれども、政府の策定する原子力政策はやや複雑過ぎる、あるいは重複が多過ぎるのではないかということであります。これは私は非常に素人の目で見てそういう思いを持つわけでございまして、例えば内閣府の原子力委員会が策定する原子力研究開発利用長期計画があります。それから、経済産業大臣の諮問機関の総合資源エネルギー調査会からは長期エネルギー需給見通しが出されます。この需給見通しは、近年ではエネルギー政策の最上位に位置付けられ、これが原子力発電政策の方向性も打ち出しています。さらに、議員立法として二〇〇二年六月に制定されたエネルギー政策基本法に基づくエネルギー基本計画があります。これは十年を見通してのエネルギー政策の定性的な計画をまとめられたものだと。
 それぞれ、よって来るゆえん、あるいはその役割、目指すところ、あるわけでございますけれども、しかし国民から見た場合には、やっぱり国のエネルギー政策なりその中における原子力政策というふうなものはやっぱり一体であり、やっぱり一本だと、そういうふうなことでございまして、そういうふうな視点で定量的な見通しを立てられる総合資源エネルギー調査会では、電気事業分科会や原子力部会が原子力政策に関する政策提言をタイムリーに出されていると。本年三月の二〇三〇年のエネルギー需給展望や、昨年十一月の核燃料サイクル政策についての中間取りまとめなどがそうだということでございまして、原子力発電政策に関するこれらの計画なり見通しは、いずれも最終的な帰結は核燃料サイクル政策の推進にあるわけでして、これは正に日本の長期のエネルギー政策の一つの目玉といいましょうか、へそだと、ポイントだと、このように思うわけであります。国民からすれば、いろんな形で、これでもかこれでもかといういろんな形で報告なり計画書なりいろんなものが出てくるわけでありまして、そんなに手を替え品を替えいろいろ言ってくるのかと、こういうふうな思いも国民の中では持たれている方もおられると、このように思います。
 エネルギーに関する計画や提言についても、定性的計画であるとか定量的計画であるとか、それぞれの役割分担も私はこれはロジカルに言えばあるというふうに思いますけれども、一方で国民から見た原子力政策という場合には、くどいようですけれども、やっぱりそれは一つだと、こういうふうなことだというふうに思いますので、私はそういうような意味では、作る場合の役割分担はいろいろあったとしても、国民に提示するときの形なり見え方というのはやっぱりすっきりと一本化した中身だというふうなことが大切ではないかと、このように思いますけれども、この点どう思われるのか、見解をいただきたいと思いますけれども。
○政府参考人(小平信因君) 正に結論は先生のおっしゃったとおりであろうかと思いますけれども、その前に、今御指摘のございました様々な計画等につきまして少し御説明をさせていただきたいと思います。
 まず、エネルギー基本計画でございますけれども、これは大変広範にわたりますエネルギー、先ほどもおっしゃいましたとおり、原子力ももちろんございます。石油、新エネルギー、天然ガス、石炭等大変広範にわたっておるわけでございまして、これらのエネルギーの需給に関します施策の長期的、総合的、計画的な推進を図るということで様々なエネルギー源を対象に策定をいたしております。したがいまして、原子力に特化をして、深く原子力を掘り下げて施策を網羅的に位置付けたという計画ではないということでございます。
 他方、原子力長期計画、正式には原子力の研究、開発及び利用に関する長期計画、これは原子力委員会によって策定をされるわけでございますけれども、これは対象は原子力に限定をされておりますけれども、放射線、これは食品の利用でございますとか医療における利用でございますとか、大変幅の広い放射線利用等ございまして、エネルギーに限らない原子力全般につきまして国の施策を整理をするということで、これは昭和三十年ごろから原子力という大変重要な施策を政府全体として取りまとめるために作ってきているというものでございまして、エネルギー基本計画と原子力長期計画は重なる部分と重ならない部分がございますけれども、それぞれエネルギーに関しましては方向性は常に一致をし、相互にもよく調整、議論をしながら詰めているということでございまして、こうした統一された方向性に基づきまして原子力政策を着実に推進していく必要があるというふうに考えております。
 それから、エネルギー需給展望との関係でございますけれども、これはエネルギー基本計画におきまして、将来のエネルギー需給構成についての情報提供を国民に対して行うとともに、施策の検討と評価の基礎とするため、定量的な見通しを示すこととするというふうに計画においてされておるわけでございまして、これに基づきましてこの三月に二〇三〇年のエネルギー需給展望を取りまとめたものでございます。したがいまして、エネルギー基本計画と需給展望は一体のものでございます。
 いずれにいたしましても、確かに国民の皆様から見ますといろいろなものが次々に出てきて分かりづらいという面があろうかと思いますので、統一的に関係のところでよく連携、調整をしながら、分かりやすい説明をし、御理解をいただくように努めてまいりたいというふうに思っております。
○加藤敏幸君 私は生まれ付き気が弱くて余り追及タイプじゃないんです。ですから、まあ私が主張したいことは長官は最後に理解をしていただいたと、こう思うんです。
 で、くどいようですけれども、この原子力政策なりエネルギー政策の基本というのは、国民がどう理解していただくかと、そして国民の共感がなければ何もできないじゃないですかと、どんなこと言ったって、というところに一番大きなポイントがあるんでしょと。私たち業界から言えば、やっぱりお客様は神様なんです。お客様が大事なんですよ。そのお客様から見てよう分からぬなと、何かいろいろ言うてくるけど、それは揚げまんじゅうも蒸しまんじゅうもやっぱりまんじゅうなんだろうと。やっぱりどこが違うんですかって、それは学問的に専門家が言えば違いはあるし、私は間違っているとは言いませんし、全部正しいんですよ。それぞれ意味があって、区分けがあって、作ってくれる機関が違う、組織が違う。それはそれで現実ですから。でも、お客様に提示するときには、やっぱり理解してほしいなら理解してもらえるように、食べやすいように、私は、きちっとそういう努力をやっぱりしっかりとしていく。それはやはりこれから政府に求められている、私は、この説明責任などというややこしい硬い言葉じゃなくて、親切な、本当に分かってほしい、その思いを込めた、私たちの業界でいけば情報宣伝、広報、そういうふうなことを是非お願いをしたいし、それがなければこれから先の私はエネルギー政策の成功はないんではないかと、こういうふうなことを申し上げたいということでございますので。(発言する者あり)という声がございますので、コメントを、大臣なり副大臣なり。
○国務大臣(中川昭一君) もう加藤委員のおっしゃるとおりでございまして、まあ今、エネ庁長官の方からいろいろ現状を御説明いたしましたが、先ほども申し上げましたが、産業活動する上でも、普通の生活する上でも、エネルギーは必要であります。特に日本の場合には、今ほとんどが海外からの依存という中で、長期的に、安定的に、そしてまた環境にも優しい、できるだけそういう方向でエネルギーを求めるということは、国民の皆様の支持していただけるエネルギー政策だろうと思います。
 しかし、そのために我々がいろいろやっていても一体何やっているかよく分からない、今の例でいいますと、揚げまんじゅうと肉まんじゅうでしたっけ、──蒸しまんじゅう。揚げまんじゅうと蒸しまんじゅうというものをどちらを食べたいかというときに、まあメニューが、もういろんなメニューがあって、結局、揚げまんじゅうと蒸しまんじゅうなんですけれども、あるいは何とかまんじゅうであっても、日本語で書いてあったり、英語で書いてあったり、写真付きであったり、あるいはまたカロリーで計算してみたり、あるいはまた重量で計算してみたり、値段だけのメニューがあったりといったら、一体、どのメニューを見て一体国民の皆さんが本当に理解をしていただけるのかと。これ一枚見れば分かりますよというものを本当は、計画というものはそれぞれ目的を持って、しかし整合性を持ってやってはおりますけれども、国民の皆様に御理解と御支持をいただく上では、もっともっと分かりやすくするように、パブリックコメントあるいは地方公聴会あるいはまたインターネット、あらゆる手段でやってはおりますけれども、やればやるほど屋上屋を重ねるということがあってもいけないと思いますので、その辺は国民の皆様の声もよく聞いて、こっちからこういうものを分かりやすいだろうといっても、向こうから見ればますます分かりにくいものがもう一個できちゃったというんじゃ意味がないので、今の御指摘、十分我々、政策を進める上での大きなポイントだと思いますので、政府全体で、また改めていろんな各方面の御意見をよく伺いながら、目的達成のために、御理解いただくために努力をしていきたいと思っております。
○加藤敏幸君 ありがとうございました。
 次に、電力自由化を含めた、私が考えています、少し、やや勇み足かも分かりませんけれども、少し御質問をしてみたいと思います。
 今回、バックエンドコストがほぼ明らかになったことによりまして、電力自由化が一段と進展する中で原子力発電と火力発電の競争の枠組みが明確になってきたと思います。現時点では依然として原子力発電の競争力というふうなものが確保されているわけでございますけれども、今後長期にわたってこの競争力が保持されるのかどうか、ここのところは現時点で保証はないわけでございます。
 そこで、国策としての原子力発電の量的拡大と核燃料サイクルを実現していくためには、やはり私は、国としての積極的支援策を取っていくしかないと、このように考えるわけでございますが、将来的には原子力発電は、エネルギーセキュリティーの確保あるいは地球温暖化防止という観点から、政府や国民はこのコストを積極的に負担していくというような、そういう制度的な枠組みをつくり、それについて国民的合意を形成していくことも大事だと、私はそう考えておるわけであります。
 このコストを、電気事業者に対する支援、政策支援ということで税金で賄っていくのか、あるいは電気料金として受益者負担で賄っていくのかという議論もありますが、一方で、国レベルにおける、原子力発電に発生した電力、原発電力の買取り方式という発想もあってもいいのではないかと、このようにも思うわけであります。
 この制度的枠組みにつきましては、既に再生可能エネルギー割当て基準というものがあるわけで、例えば地球温暖化防止エネルギー割当て基準というような名称で運営できれば、多くの国民の理解も得られるのではないかと考えるわけであります。このコストの一部を税で賄うのであれば、例えば、ここは少し議論としては先走って申し訳ございませんけれども、環境税という枠組みも活用できますし、自由化市場で拡大する火力発電からもバックエンドのみならず全体のコストも負担してもらうこともできると、いろいろなことがあるわけでございます。
 先走った議論ですけれども、そういった政策が取られれば、一般電気事業者も安心して核燃料サイクルシステムの確立に向けた研究開発、そのことに専念できて、併せてバックエンドについても十分準備することができると考えますが、少し御見解をお伺いしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) お答え申し上げます。
 原子力は、ただいまもいろいろ議論ありましたとおり、日本の基幹電源でございます。したがいまして、平成七年の部分自由化以降も環境整備のためにはもう精一杯努めてきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば、私などもびっくりしているんでございますが、平成十二年に、例えばゴールデンウイークみたく非常に電力の消費が下がったときに、同じように電力事業者が発電して供給してくるというようなシステムでは余ってしまうわけですね。原子力のように、一方、長期固定電源を守っていくという立場からいたしまして、どうするんだと。原子力を止めるわけには、それは理論上はできますし、まあ実際はできるわけでございましょうが、それを守っていくという立場から、例えば電気事業法の中で優先給電指令というのをやったんですね、優先給電。給電ですから電力の供給をお願いするんだろうと思っていましたら、そうじゃなく、ほかの人たちにはちょっと待ってくれと抑制をして原子力の方を守ったというような、そういう措置を具体的に平成十二年に実施したわけであります。そのとき、PPSにまでそれを掛けたわけですね。
 それから、その三年後でございましたけれども、平成十五年、電源開発促進税、これを交付金を拡充いたしまして、一層、原子力発電所の設置を可能にさせたり、あるいはまた運転を円滑にさせたり、そういう努力もしてまいりました。そして、更に今回、使用済核燃料の再処理の準備金の制度を創設したと。もう数々の一応手は打ってきたわけでございます。
 しかしながら、中長期的に見た場合、加藤先生がおっしゃるとおり、エネルギーの割当て制度というものがこれ可能であるならば、あるいはまたやるべきであるならば、やはりこの部分自由化がこれ一層進みまして、この四月からまた電力の自由化が進んだわけでございまして、こういうものをよく勘案しながら、これらを検討していくという課題として私たちは認識しているところでございますので、よろしく御理解のほどをお願いしたいと存じます。
○加藤敏幸君 どうもありがとうございました。
 最後に、今回の法制は、使用済核燃料の再処理に関しまして、二十五年先の世界を見詰めて様々な角度から検証され、原子力発電の姿と役割を示されたものだと思います。しかし、二十五年というのは様々な不確定要素を持っているというのも事実でございます。
 現に私たちは、二十五年前を振り返りますと、例えば一九七八年の第五回原子力長期計画では、我が国の原子力開発を軽水炉から高速増殖炉路線とすることを確認をしました。一九九五年から二〇〇五年の間を高速増殖炉の臨界達成の目標、こう定めたわけでございます。しかし、現実は周知のとおりでございます。さらに、一九七八年には原子力の安全性の確保から原子力安全委員会を発足させましたが、翌一九七九年にはアメリカのスリーマイルアイランドで原発事故が発生したと、こういうふうなことであります。
 原子力発電という、開発立地から廃炉に至るまでの長期間、膨大な資金その他経営資源をつぎ込んで行う正に一大事業、このために大変多くのリスクを負うことは避けられませんけれども、これからも我が国にとって、エネルギー需給の実情と見通し、さらにはエネルギー技術の進展状況、そして国際情勢の変化など、あらゆる要素を想定し、科学的な知見の下で的確なバックエンド対策を官民一体になって取り組んでいかれることを期待し、また私たちも最大限の努力をする必要があるというふうなことを申し上げまして、私の質問を終わりたいと思います。
 ありがとうございました。
○松あきら君 公明党の松あきらでございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 原子力関連二法案に入る前に、実は全然原子力とは関係ないんですけれども、とってもうれしい記事に出会いましたので、ちょっと一言申し上げたいと思いまして。
 昨日の日経新聞に囲み記事で、「経産省、カンヌで後押し」という記事が載りました。「経済産業省は十一日からフランスで始まるカンヌ国際映画祭で、日本の映画産業を紹介するコーナーを設置し、日本映画を売り込む。作品だけでなく国内のロケ地や日本文化を紹介。海外の配給会社との商談の場にも活用する。政府が日本映画の海外展開を後押しする初めての試みだ。」そうであります。「経産省は世界の映画関係者が注目するカンヌ映画祭をきっかけに、アニメやキャラクターも含めた日本のコンテンツ産業の情報発信を強化したいとしている。」というこの記事でございます。
 実は私もカンヌ映画祭に行ったことがあります。別に映画に出たわけじゃないんですけれども、夫の仕事の関係で参りました。本当に世界じゅうの正に業界関係者が集まり、またそれを目当てに観光客がもう本当にたくさん集まり、すばらしい映画祭だったわけでございますけれども、そのコンテンツ産業というのは二〇一〇年には約十七兆円規模になると言われているわけでございます。日本にとりましても重要な私は戦略になると、新たな産業になるというふうに思うわけでございます。
 正直言いまして、経産省もなかなかやるなと。何となくお役所は頭が固いかなと、こういうふうに思っておりましたけれども、とてもいいことをしていただいたなというふうに思っておりまして、新たな産業あるいはまた文化という点におきましても非常に大切である。
 と申しますのは、ちょっとまた違う新聞なんですけれども、「日本の活路は「文化力」?」というのが載っておりまして、三十年後にはGDPが第四位になると。じゃ、五十年後はどうかというと、ゴールドマン・サックスの予測では、中国のGDPが四十四兆四千五百三十億ドル、約四千四百五十兆円だそうでございまして、二位の米国、九兆ドルも引き離すと。そして、インドの二十七兆八千三十億ドルは四位の日本の六兆六千七百三十億ドルの約四倍、ブラジルが五位だそうでございます。ですから、日本はITに次ぐ第三次産業革命のような新技術を開発できなければ、日本の世界に対する影響力もすべて落ちてしまうという、こういう危惧もあるんですけれども、また反面、いやいや、そうではないと。日本の文化力、この日本の文化というものをもっと発信していけばもっともっと世界に影響力を保てるという御意見もありまして、特に最近では、アニメ、漫画、あるいは宇多田ヒカルさんのような世界に通用する歌手もいらっしゃいますけれども、そうした平和と文化の国日本というものをもっと世界にアピールすればいいのだと、日本情報文化センターといった文化機関を中国を始め世界各地に作り、アニメなどを見せるとともに、平和憲法の存在も知ってもらうような文化活動を積極的に行う必要があると、こうおっしゃっている方もいるわけでございまして、私は、また新たな産業、そして文化という両方の点で今回こういう取組をしていただいた経済産業省、とてもすばらしいなというふうに思っているわけでございます。
 大臣、何かございましたら一言、どうぞお願いいたします。
○国務大臣(中川昭一君) もう何といいましょうか、松先生の前で文化の話をするほど私もずうずうしくはないんでありますけれども、まず、経済産業省が文化あるいはコンテンツについていろいろやってきていただいていることにつきまして、今評価をしていただいたことを職員を代表して厚く御礼を申し上げます。大変今後の励みになる御発言でございます。
 去年の新産業創造戦略の先端的な四分野の一つとしてコンテンツというものを挙げまして、そして去年の東京国際映画祭においてアジアの映画をできるだけ集めて、そして多くの世界じゅうの人に見ていただこうという第一弾の事業をスタートいたしました。
 その後、アジア、特にASEANの私のカウンターパートの皆さん方に、今年の十月の東京国際映画祭には是非担当大臣と、それからそれぞれの国々の映画あるいはアニメあるいは文化、その他みんなで持ち寄って、そして、より世界に、アジアはもとより世界に広げていこうということで、私から御招待を去年しているところでございまして、今年の秋の東京国際映画祭は、映画に限らず、いわゆる広い意味のコンテンツを更にASEANとの、広く言えば共有できる部分も多い東アジアでございますので、そういうものを更に広げていきたいと、こういうふうに考えているところでございます。
 カンヌにつきましても、つい先日、私もパリへ行ってまいりまして、ジェトロの職員を中心に、あるいはまた大使館の皆さん、あるいはあそこは日本文化センターというんですか、パリの日本文化センター、前、NHKの磯村さんが会長をやられて、今度新しく交代されましたけれども、等々の関係者が、今御指摘のように、カンヌにおいて日本の映画の文化村みたいな、発信基地みたいなものをつくろうといって大変張り切って今準備作業をしているということで、督励をしてきたところでございます。
 ただ、日本は映画にしても音楽にしてもアニメにしても、あるいは絵であっても、お相撲も含めましていろいろな文化等々があるわけでありますが、これを特にIT関連ということで、アニメとか映画とかいろいろあるんですけれども、私もコンテンツは行け行けとこう思っておりましたが、ただいい作品を作ればいいというだけではないんだということを最近ちょっと感じまして、ただ立派な作者がいるだけでは駄目なんで、そのアニメを実際に動画にする人であるとか、それをプロデュースしたりあるいは販売したり営業したりする人との文字どおりチームプレーであるわけでございますので、そういう意味で、コンテンツ、コンテンツ、宮崎先生、何とか先生の作品と言っているだけでは後に続いていかない。
 例えば、韓国の場合には国を挙げて映画村があるそうでありますけれども、どうも日本としては単発的に、何か後押しをすればいいというだけでは、私はそう長くない時期に、もうアジアやあるいはインド、その他の国々、アフリカも今頑張っているようでありますから、競争の中で埋没してしまうわけでありますので、中長期的な戦略を立ててあらゆるコンテンツにかかわる人たちがそれぞれやっていけるように、例えばフランスですと、もう子供のころから、自分は映画の舞台照明のために頑張るんだとか、あるいはまた大道具のために頑張るんだというような志を立て、そしてまたそれをいろんなところが支援をして一流のバレエ団になったり映画になったりということ。これを日本で体系的にやっている唯一の機関は、歴史を誇る宝塚だけではないかと私は思っておりますけれども、そういうものを、そういう民間で頑張っている部分を今後も広いコンテンツの中の主要分野のお手本として、国として何ができるかということが大事だろうと。
 今、展望と同時に若干危機感を持っておりますので、今後ますます松先生の御指導を賜りますことを心からお願いを申し上げます。
○松あきら君 大臣、力強い御発言、ありがとうございます。特に宝塚を挙げていただきまして、大変に感謝を申し上げます。中長期的な、しかもチームで体制的に取り組むことが必要であると、正にそのとおりでありまして、どうか文科省のおしりをたたきながら、よろしくお願い申し上げます。
 それでは、原子力関連二法案に移らせていただきたいと思います。
 朝から御専門の先生方が数々の御質問なさいまして、私もない知恵を絞っていろいろ質問考えたんですけれども、半分以上、三分の二ぐらいは出ちゃったなという、これも駄目、あれも駄目という、消していきながら、重なる部分もあるかもしれませんけれども、お許しをいただきたいと思います。
 一昨年、特に関東圏におきましては、停電、大停電ということが心配されました。これは福島あるいは新潟の原子力発電所が止まってしまったことによることでございますけれども、いろんな報道なんかもありまして、大パニックかなというふうに心配いたしておりましたけれども、それは杞憂に終わってとてもよかったわけでございますけれども、やはり原子力発電所が安定的に運転されることを始めとした強靱な供給体制を作り上げなければならないということ、これは強く私も感じましたし、また多くの皆様がそういうふうに感じてくださったのではないかなというふうに思っております。
 もちろん、日本の電力の供給は原子力だけではございません。石炭、天然ガス、石油といった火力発電あるいは水力発電、太陽光などの新エネルギー、地熱など、多様なエネルギー源が用いられているわけでございます。何にしても電力供給にはとても大切な位置付けを持っているということを認識すべきであるというふうに考えております。そうした総体的な立場に立って考えても、やはり原子力の重要性というものはまた新たな再認識をされるところでございまして、やはり原子力を長期的に、安定的に利用していくという視点が必要なわけでございます。
 国は原子力を基幹電源と位置付けまして、これを推進していく方向であるというふうに理解をしておりますけれども、原子力発電を我が国の基幹電源と位置付ける以上は、原子力発電に伴い発生します使用済燃料の処分、どうするかが大きな問題になっております。
 先ほど来御質問も出ておりますけれども、我が国では使用済燃料を再処理して、再度燃料としてリサイクルをする核燃料サイクル政策の推進が基本的考え方と言われております。
 一方で、この核燃料サイクル政策につきましては、昨年来、新聞紙上をにぎわしております様々な多様な御意見があるというのも事実であります。核燃料サイクル政策三百年計画、あるいは三百年先というふうなお話も出ましたけれども、そうした核燃料サイクル政策については、多様な意見を踏まえながら推進していくことが重要であるというふうに思っておりますけれども、その核燃料サイクルの実現に向けた決意をお伺いしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) お答えいたします。
 ただいまの松先生からもお話がありましたように、原子力政策につきましては、一昨年十月の長期計画の中におきまして核燃料サイクルを含めて日本の基幹電源にするということが明記されております、もちろん安全性確保という大前提の下。
 その後、内閣府にございます原子力委員会でもエネルギーの原子力の長期計画の検討を続けておりまして、この四月十四日に中間の取りまとめが出ました。この中におきましても、原子力発電に関しましては、中長期的なスパンで見れば現在の水準あるいはそれ以上、まあ現在の水準といいますとおおむね供給配分は三〇%ぐらいでございますが、それ以上を期待をするというような原子力政策の基本がここに明らかにされたわけでございます。
 当省といたしましても、これに基づきまして、安全性の確保と、それから国民の皆様の信頼性をしっかりと確保した上で、この長期安定供給型の、しかも環境負荷が少ない原子力の推進に向けて努力を続けてまいりたいと思っております。
○松あきら君 ありがとうございます。
 午前中に藤原先生からも御質問出ましたけれども、核不拡散という御質問も出ました。一方で、北朝鮮の核問題を見ても分かりますように、この核燃料サイクルの実施に当たっては、原子力の平和利用について国際的な協調体制を構築することがやはり大事だと思うんですね。藤原先生は国際管理というふうにおっしゃっていたというふうに思います、同じような内容であるとは思いますけれども。
 それから、日本が唯一、非核兵器国として唯一商業用の再処理工場を有する日本であります。原子力の平和利用に向けた国際協調体制をどのように主導していかれるのか、これをお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小平信因君) 原子力はそのすそ野の広さ、人類社会全般への影響の大きさから、国際的な視野に立って取り組むべき問題でございます。
 我が国は、様々な分野で世界の原子力の平和利用に関しまして、これまで主導的な役割を果たしながら、国際的な協調を進めてきております。例えば、核不拡散につきましては、我が国は原子力の平和利用のフロントランナーということで、厳格な保障措置、輸出管理規制、核物質防護等を講じてきております。
 特に、大型商業再処理施設の保障措置手法の検討、開発、実証に我が国がイニシアチブを取りまして、アメリカ、イギリス、フランス、ドイツ、IAEAなどと協力しながら取り組んでまいりました。そうした努力の結果もございまして、我が国は非核兵器国として唯一商業用の再処理施設の設置、運転を行うことが可能になったわけでございます。
 このように、核不拡散体制に万全を期しながら原子力の平和利用を進めることにつきまして世界に範を示していくことこそが日本に期待される役割であり、また責務でもあるというふうに考えております。これからも国際機関や各国と協調しながら、原子力の平和利用のフロントランナーとして、引き続きその責務を果たしてまいりたいというふうに考えております。
○松あきら君 是非しっかりとした主導をよろしくお願い申し上げます。
 使用済燃料を再処理して得られたプルトニウムは、当面今ある原子力発電所で燃料としてリサイクルをされます。これがプルサーマルというわけでございますけれども、電力会社は二〇一〇年までに十六基から十八基の原子力発電所でプルサーマルを実施するというふうに表明しているわけでございます。
 二〇〇二年の東京電力の不正記録問題や、あるいは昨年の美浜原発の事故などが発生する中で、プルサーマル実施の見通しに対して危惧する声が上がっているところでございます。このプルサーマル実施の見通しについて、御説明をよろしくお願いいたします。
○政府参考人(小平信因君) プルサーマルでございますけれども、昨年の五月に九州電力から出されておりました原子炉設置変更許可申請につきましては、本年二月、原子力安全・保安院の一次審査を終了いたしまして、現在、原子力委員会及び原子力安全委員会の二次審査に付されているところであります。また、四国電力からは昨年十一月に地元の事前了解を得まして、原子炉等規制法に基づく原子炉設置変更許可申請が出されております。このようにプルサーマル計画の実現に向けて、現在着実に前進が見られているというふうに認識をいたしております。
 経済産業省といたしましては、エネルギー基本計画にございますように、プルサーマルを含めました核燃料サイクル政策を着実に進めていくことが重要であるというふうに考えておりまして、今申し上げました二社以外の電力会社による取組も含めまして、電力会社とともに引き続き地元説明会などによります地元の住民の方々への理解活動を行うなど、プルサーマルの実現に向けまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
○松あきら君 原子力政策そして核燃料サイクル政策の着実な推進に向けて進んでいるという御答弁であったというふうに思います。また、そのために今回、再処理積立金法案を国会に提出されたというふうに私は理解をいたしております。
 先ほどもバックエンドの御質問が出ましたけれども、やはりその再処理事業を始めとする原子力バックエンド事業というのは超長期の事業でありまして、事業の不確定性も高いと言われております。このためにバックエンド事業に要する費用については、当然今後増減があるというふうに思うわけですね。先ほど来、バックエンドコストということも問題になりました。産業界ももちろんですけれども、やっぱり私は一主婦でもありまして、この電気料金という形で私たちに転嫁されるんじゃないかなと。やっぱり電気料金、特に家庭の電気料金というのは非常に国民にとっては関心があるわけでございまして、この法律案の制定によって簡単に言えば電気料金は上がるのか、上がらないのか、下がるのか、お答えしにくいでしょうけれども、どうなんでしょうか。
○政府参考人(安達健祐君) 御説明申し上げます。
 電力会社は、本法律によりまして再処理等に要する費用の外部積立てを行うこととなります。この際、この積立てに要する費用相当額は料金原価に織り込まれ、電気料金として回収されることとなります。一方で、各電力会社が料金において具体的にどう取り扱うにつきましては、本法案に基づき積み立てるべき再処理等に要する費用だけを考慮するということでなく、その他の費用の動向とか経営効率化の進展状況などを総合的に判断した上で実施されるものであるため、いつ料金改定が行われるのか、またその電気料金が値上がりするかどうかにつきましては、現時点では確たることは申し上げられない状況でございます。
 ただ、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の試算によりますと、バックエンド事業に要する費用につきましては、現在でも内部留保型の準備金制度がございまして、その一部が料金として回収されておりますことから、今般の制度改正の前後において需要家の負担に大きな影響はないというふうに考えてございます。
○松あきら君 まあ、そうなんでしょうね。そんなに詳しくは下がるとか上がるとか言えませんわね。何となく分かったような分からないような気がいたしますけれども、ありがとうございました。
 今回の原子炉等規制法の改正案では、放射性廃棄物として取り扱う必要のない廃棄物を通常の廃棄物と同じ産業廃棄物ですね、同じ扱いができるようにするクリアランス制度を設けることがもう一つの柱になっております。
 クリアランス制度につきましては、パブリックコメントでも多くの意見が寄せられております。まずもって、国民の皆様にとってこの不安が現実のものにならないように、しっかりとした規制を行っていただきたいと。そして、もしそのクリアランス制度が人体に影響のあるような物質が混ざったりおかしな運用をされたりすると、それはもう大変な問題でありまして、ともかくしっかりとした規制の運用をする必要があるというふうに思っておりますけれども、どのような取組をされるのでしょうか、お伺いをいたします。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 クリアランス制度でございますけれども、松委員御指摘のとおり、クリアランスレベル以下であることの確認ということを的確に行うということが非常に大事でございます。これは、一義的には事業者の責任でございますけれども、国はその活動が適切に行われているかどうかということを厳格にチェックすることとしております。
 具体的に申し上げますと、原子力事業者は、国が定めます技術基準などに基づきまして、クリアランスの対象資材の測定及び評価の方法を定めまして、その放射性核種濃度の測定などを行いまして、クリアランスレベル以下になっているかどうかということを判断をいたします。こうして判断されたものにつきましては、具体的に搬出されるまでの間、適切に保管、管理いたしますとともに、その測定などの記録を作成・保管をする、こういう義務があるわけでございます。また、これら一連の活動につきましては、適切な品質保証体制の下に行われるというふうなことが重要でございます。
 国につきましては、こうした事業者における測定・評価の方法が技術基準に照らして妥当であるかどうかということをまず第一弾として審査をいたしまして、認可をいたします。次に、事業者による測定及び評価の結果につきましては、記録及び抜取り測定によりまして確認をすると。またさらに、保安検査や立入検査等を通じまして、事業者のこうした品質保証活動がきちっと行われているかどうかということをチェックをすると、こういう形で厳格にチェックをしていくこととしております。
○松あきら君 今、厳格にチェックをするというふうにお答えいただきましたけれども、ちょっと素人的なまた質問で申し訳ないんですけれども、例えば二から三ぐらい捨てるのかなと思っていたら、二十から三十、あるいは二百から三百捨てられちゃったなんということになるととても、もし、その一つずつを見れば基準が本当に安心な基準であったとしても、そういう心配があるんじゃないかと、こう思うんですね。ですから、例えば一定の、これだけの以上の廃棄物は捨てませんとか、これぐらいの以上になったら捨てさせませんとか、そういう基準がちゃんとあるのかないのか、そういうこともしっかりと情報提供もしていただきたいと思いますけれども、その点いかがでございましょうか。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、クリアランスされる対象廃棄物の量、これが環境や人体に与える影響、あるいは事業者による自主的な再生利用への取組などを含めまして、適時適切に国民の皆様に情報提供を行うことによりましてこうしたクリアランス制度についての信頼感を醸成していくということが非常に大事だというふうに考えております。したがいまして、これまでも、昨年の夏以来、全国主要都市でシンポジウムを開催いたしまして説明会を行うなど、いろんな形で国民の理解の促進に努めてまいりました。
 今、具体的に御質問いただきましたその廃棄物の量との関係でございますけれども、クリアランスレベルを算出する際の線量目安量として年間〇・〇一ミリシーベルトという水準を定めておりますけれども、これは、複数の線源からの影響を考慮して言わば安全側に設定されたもの、具体的に言いますと、かなりの多くの量の廃棄物が例えば一か所のところに捨てられて、そのところに、例えば非常に近いところにだれかが住んでいる、あるいはそういう廃棄物を具体的に搬出するその作業に具体的に従事する人がそこにおられる、そういう極端なケースを想定しても、この〇・〇一ミリシーベルトという言わば目安量の中に定まるように具体的なクリアランスのレベルを設定をしておりますので、今御指摘のような形で途中で量が増えてというようなことになりましても、言わば大きな問題は起こらないというふうにお考えいただいていいのではないかというふうに考えております。
○松あきら君 どうぞ国民の皆様にも、その点もしっかり基準を決めていますので御心配いただかなくて結構ですということを広報していただきたいというふうに思います。今私が質問申し上げたようなことを御心配なさるといけないので、是非よろしくお願いいたします。
 ところで、現在でも電力供給源の半分以上を占めております火力発電をどのようにしていくかという問題がまたあると思います。二酸化炭素排出という観点から、火力発電はいずれにしても化石燃料を燃やして発電するので、原子力や水力あるいは新エネルギーにはかなわないわけですけれども、資源の安定性やあるいは経済性を考えると、これを利用しないという状況はやっぱり日本としては考えられないのじゃないかなというふうに思います。また、原油の価格が非常に高い水準で推移しておりますし、やはり石炭の利用というものも当然視野に入れていかなければならないのじゃないかなと思います。また、例の中国の関係も取りざたされている天然ガス、これもいかに安定的に確保して、これも利用していくかということも重要なわけでございます。
 実は、この石炭のガス化なんですけれども、私、石炭というのはもう単に、ああ、これはもう大変だ、CO2をどんどん出すと、こう思っておりましたら、昨年この当委員会の参考人に新日鉄の会長の千速会長来ていただきまして、石炭も今は燃やすんじゃなくてガス化するんですね、して、もうとてもクリーンなエネルギーになっているので、考え方を変えてくださいというようなお話がありました。これをクリーンコールテクノロジーと呼ぶんだそうでございまして、やはりこうした技術開発が日本でも進められているわけなんですね。やはり供給の安定性や低コストを念頭に置くと、私は重要な燃料ではないかなというふうに思っております。
 石炭ガス化技術の現状、そして今後の利用可能性について、御説明よろしくお願いいたします。手短によろしくお願いいたします。
○政府参考人(近藤賢二君) 御説明を申し上げます。
 今先生御指摘のように、石炭は供給の安定性、経済性の面で非常に優れているわけでございます。経済性の面に例を取りますと、キロカロリー当たりの石炭の値段は、大ざっぱに言いまして石油の三分の一程度ということでございます。他の化石燃料に比べて燃焼時に二酸化炭素が多いという課題は一方であるわけでございます。こういう中で、私どもクリーンコールテクノロジーと申しておりますけれども、環境に調和した形での石炭利用技術をやっていこうということで、石炭のガス化の技術の開発にも非常に努力をしているわけでございます。
 具体的に、手短に申し上げますが、福島県のいわき市の勿来発電所におきまして、従来の石炭火力発電所より高効率の発電、これを石炭ガス化複合発電システムの実証実験をやっておりますし、また、北九州市の電源開発若松事業所におきまして、それに更に燃料電池を組み合わせた形での研究開発といったことを実証実験もしておるわけでございます。
 いずれにいたしましても、こういったところの技術をできるだけ早期に実用化を図るべく、今後とも技術開発に対する支援を継続し、一刻も早い技術開発を完成をさせていきたいと、このように考えておるところでございます。
○松あきら君 私、これ、すばらしいと思いましたら、この石炭ガス化にするものに建て替えるとしたらとても費用が掛かるというふうに伺いましたので、やっぱりいいことをするにはお金が掛かるのだというふうに思いましたけれども、高経年化をしているわけで、そうした火力発電所を建て替えるときはこういうものに替えていくということが大事じゃないかなというふうに思うんです。
 先ほどもそしてお話が出ましたように、中国やインドやあるいはそうした後進国が、正にどんどんどんどんそのまんま石炭燃やしちゃっている。地球家族ですから、大臣もおっしゃいましたように、幾ら日本だけがいろいろ努力をしたって、隣から酸性雨も降ってくるわけで、なかなかこれも大変なわけでございます。ですから、中国やインドへの石炭ガス化技術の輸出の可能性、これ、これ造らしたらいいと思うんですね。やっぱりこういうのを、石炭使いたいんならこれやりなさいと、そうすればクリーンになるからということで、こういうことも積極的にやっていくべきだと思うんですけれども、これについてはいかがでございましょうか。
○政府参考人(近藤賢二君) お答えを申し上げます。
 中国、インドを始めといたしますアジア諸国で、石炭は最も重要なエネルギー源の一つだというわけでございます。例えば、中国におきましてはその五六%を石炭に頼っております。インドも五五%というものを石炭に頼っているわけでございます。今後とも、この中国、インドの需要の伸びが非常に大きなものが見込まれているわけでございます。そういう中で、先生御指摘のとおり、アジア域内の環境エネルギー問題を解決していくためには、我が国の優れた石炭利用技術、いわゆるクリーンコールテクノロジーをアジアに普及していくことが極めて重要でございます。
 このため、私どもは、石炭ガス化技術につきましても、将来のアジアでの普及を視野に入れて現在、開発・実証を進めているところでございます。今年度予算の中でもお金をいただきまして、こういったクリーンコールテクノロジーの国内外への普及の可能性についての調査というものも実施をすることとしております。この一環として、石炭のガス化技術を中国やインド、そのほかのアジアの国々に普及していくためにどういうことをやっていけばいいか、どういう問題があって、そこをどう乗り越えていけばいいか、こういったことについての検討も行ってまいる予定にしておるところでございます。引き続き、これについての努力を進めていきたいと、こんなふうに考えているところでございます。
○松あきら君 是非、しっかりとした推進をよろしくお願いいたします。
 私たちは、もはや電力なくしては生活できないということでございます。余りにも電力に依存し過ぎているのではないかなと自分でも反省もいたしておりますけれども、しかし、こうした便利な生活に慣れますと、やはりこれは後戻りができないという状況であります。このような電力の位置付けの大きさを理解した上で、様々に想定されます万が一の際にも電力の安定供給が確保されますように、政策面での対応に万全を期することを強く要請をいたすところでございます。
 最後になりますが、原子力発電を着実に推進するために、電気料金から電源開発促進税を徴収し、それを電源開発促進対策特別会計、いわゆる電源特会に繰り入れをしたと。原発立地地域の公共用施設整備やあるいは産業振興事業の促進を図るという電源三法制度があります。しかし、電源特会については以前から、予算に計上されたにもかかわらず実際に執行されないことによる不用額あるいは余剰金が多額である、こうした指摘がなされております。
 その指摘を受けまして、平成十五年の十月から、将来的な原発立地が進んだときの財政需要に備えるという目的で周辺地域整備資金が整備をされましたが、依然として様々な問題が指摘をされているところでございます。衆議院の当委員会の原子力二法案の審議でも、原子力の広報のためのホームページの作成費などに関して、いわゆる税金の無駄遣いがあると言われても仕方がない過大な予算見積りがなされていたという審議がされました。問題点が指摘をされております。
 私も実は、今回レクに来てくださった方にこれをちょっと言ったら、いろいろおっしゃったんですよ。私、だから、言い訳はするなって言ったんです。正に予算として計上したことは確かなんですから、三億何ぼですかね、これ出ていますけれども。余り、いい新聞記事は好きなんですけれども、悪い新聞記事とか嫌いなんですけれどもね。でも、やっぱり言うべきは言わなきゃいけないなと。ですから、私も、まず最初に、いや、そうじゃないんです、実際ホームページには一千何百万円しか使っていなくてどうのこうのおっしゃったから、そういうことは言っちゃいけない、事実は事実として認めて、そして、しかし真実はこうなんです、次からは真実に基づいた予算計上いたしますので大変申し訳ありませんでしたと、こういう姿勢がないと、私は与党だけれども、やっぱり私だって腹が立ちますよというふうに申し上げた次第でございます。
 最後に、大臣は電源特会の抜本見直しの方針を表明されたようでございますけれども、経済産業省の特別会計全般についての見直しの必要性あるいは方向性についてどのような御見解をお持ちなのかお伺いをして、質問を終わります。
○国務大臣(中川昭一君) 今、松委員御指摘のとおり、とにかく、予算参考書と言うんだそうですけれども、に計上されていて、実際には使われなかったというものがあるということが国会の御審議の中で判明をいたしまして、これはもう松委員御指摘のとおりで、とにかく計上する以上は何らかの根拠を持って使うという必然性の下で計上したというふうに考えるのが自然でございます。それにもかかわらず実際大きく乖離をした結果になっているということで、四月二十二日に、私は、電源特会の広報事業等について見直しということで五つの改善策を指示をしたところでございます。
 いずれにいたしましても、第二の予算とも言われております特会でございますから、国民の皆さんの御理解あるいは御審議をいただいておる国会にきちっと説明ができなければいけないわけでございまして、これに関しては少なくともきちっとした説明ができなかった。したがって、徹底的に調べて資料を国会に提出をさせていただいたところでございまして、これに限らず、我が省、あるいは政府全体かもしれませんけれども、この特会あるいは予算全般に関して、これだけ財政が厳しいとか、あるいはまた節約しなければいけないとか、大事に使わなければいけないと言っている中でこういうことがあったということは、大いに改善を抜本的にしなければいけないと思っております。
 本来の電源特会の位置付けは私は重要なものがあるというふうに思っておりますが、その目的達成のためにもきちっとした今改善のための作業をやっておりますので、またそれが全体が出ましたら、またしかるべき形で御報告をさせていただきたいというふうに思っております。
○松あきら君 ありがとうございます。
 終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。
 私の地元は新潟でございます。新潟には柏崎刈羽そして巻と、二つの原子力発電所の計画がございました。柏崎刈羽は現在順調に運転を続けておりますが、巻につきましては、住民投票の結果、計画が白紙撤回をされました。そしてまた、柏崎刈羽原子力発電所につきましても、いわゆるプルサーマル計画については刈羽村で住民投票が行われ、その結果、プルサーマル計画は中止ということになりました。
 つまり、二つの住民投票の結果が原子力発電あるいはプルサーマル計画にノーを突き付けたと、そういうところでありますので、私にとりましては、今日この委員会では原発の、原子力発電の着実な推進、この声が圧倒的に多数でございますけれども、また一方、私も、原子力エネルギーの重要電源であること、あるいは基幹エネルギーであるということも重々承知をしておりますけれども、しかし、なかなかこの私の地元新潟では着実な推進一色という形にはならない。やっぱり三十年間、この原子力発電あるいはプルサーマルで揺れ続いてきた、そういうところであります。しかも、首都圏の電源を賄う、そういうところであるにもかかわらず合意形成がなかなか得られない、そういうところでありますので、この今回の原発二法についてもなかなかやっぱり厳しい意見がある、これは率直な事実でございます。
 そこで私は、この原子力二法につきまして、様々な不安とかあるいは懸念とか、そういうものを少し中心に、そこは本当に大丈夫なのかどうか、皆さんにお尋ねをしていきたいと、こういうふうに思います。
 まず最初に、原子炉等規制法の一部改正でありますが、これは核物質の防護対策の強化ということと、今ほど来お話がありましたクリアランス制度の確立と、これを二つの柱にしているわけでございます。最初に、その核物質の防護対策の強化についてお聞きをしたいというふうに思っております。
 事業者の中には、新聞情報でございますけれども、この間、徹底した情報公開を信頼回復の手段としてきた、しかし今回の改正はこの流れの障壁となるかもしれないと、こういうふうにおっしゃっておられる方がいるとか、あるいは守秘義務というものを理由に情報公開の煩わしさから解放されたいとの誘惑も働くと、こういうことを新聞等に吐露されておられる方もございます。そういうことなどもありまして、この間、情報公開が原発の安全性を担保する、そういう文化がそれなりにやっぱり形成されてきたというふうに私は思っています。
 この間の美浜の三号の事故の問題もそうでありますし、まあ、原発ではありませんけれども、この間の尼崎の列車事故などもそうでありますが、やっぱり情報公開が安全性を最終的にやっぱりきちっと担保をする、国民の、住民の監視の目が安全をやっぱり担保している、その側面はやっぱり否めない。
 そういうふうに情報公開というものが機能してきたというふうに思っておるわけでありますが、今回の改正によりまして、原発の中に秘密部分というものがある意味設けられると、あるいは安全保障上問題のある箇所は非公開、こういう言わば制度になるわけでありますが、こういう改正案は、私は、意図するところ分からぬわけではありませんけれども、この原子力発電に関する情報公開の流れ、この間の流れをやっぱり阻害することになりはしないか。あるいは内部の脅威対策という、そういう言わば概念を持ち込んで、原発従事者に様々なやっぱり規制を求める、こういうことは、ある意味で内部告発を非常に難しく、やりにくくする、こういう側面はありはしないか。
 確かに、この間の原発の安全性を確保する意味で、この内部からの問題提起というのは非常に重要な意味を持っていた、これはもう隠しようのない事実だというふうに思うんですが、ここが果たしてどうなるんだろうか。テロ対策だとかあるいは情報管理、これを口実に、電気事業者の、まあ率直に言って隠ぺい体質、まだまだ私はあるというふうに思っております。この隠ぺい体質に格好な口実を与えることになりはしないか。また、原発については、当初から核管理社会、これを具体化するおそれがあるという指摘がされておりますけれども、この情報公開の流れを阻害しないか、核管理社会を促進することになりはしないか、そういうものにこの核物質防護対策の強化が資することになりはしないか、こういう懸念はやっぱり率直に言ってたくさんあります。
 そうではないんだというしっかりとした説明を大臣からお聞かせをいただきたい、こういうふうに思います。
○副大臣(保坂三蔵君) お答え申し上げます。
 今、委員のお話を聞きながら、確かにごもっともな点が多いと思いますが、今回の守秘義務の対象となる秘密、この秘密は、国際原子力機関、IAEAのガイドラインに基づいて、この情報が不法に開示されますと核物質やあるいは原子力施設の防護を損なうおそれがあるものというものに限定をしてこれを設定するということがあくまでも前提に立っているわけでございます。
 お話のとおり、一方では、原子力に関しましては、公開というものが極めて信頼性に結ぶ重要なファクターではございますけど、やはり施設を守るということは大前提でございまして、そのまま安全性につながるわけでございます。
 今回の場合は、原子炉等規制法に基づきます関係省令でまずその秘密の範囲を、具体的に申し上げますと、指定をいたします、範囲を。それから、その後に国が具体的に指針を、どういう事項をやったらいいかということを特定をした上で策定をいたします、指針を。これを受けて、事業者がまず情報の管理要領というのを作りまして、これを策定した上で秘密事項を、それぞれ秘密事項とそれから秘密保護、保持者でございますね、この範囲を順次決めます。ここまでは事業者が決めます。それについて国が関与していきまして、この秘密を決めたことについて国がまず確認をいたします。それから、第三者機関によりまして、これをもう一回、妥当であるかどうかという審査をいたします。
 こういうチェックをずっと入れておりますので、かなりこの秘密の範囲につきましては限定される。しかも、客観的なものでございまして、隠ぺい体質というお話がございましたけど、そういうものには入り切れない、そういうシステムになっております。
 それから、法令違反等のいわゆる内部告発、これにつきましては、これは罰則の内容になっておりません。したがいまして、従前ありました、守秘義務の導入によりますところの内部告発が妨げられる、いわゆる公益的な内部告発が妨げられるというようなおそれはないと思っております。
 いずれにいたしましても、情報公開の精神やあるいはまた原子力の公開の原則というものにのっとってこのシステムが運用されていくことによって御懸念は解消されるものだと信じてやみません。
○近藤正道君 核物質の防護は必要だ、必要であると、こういうふうにしたとしても、守秘義務について条文に秘密情報の範囲を具体的に定めておらず、これはすべて省令等にゆだねられる、こういう形になっておりまして、これでは行政と事業者へのある意味での白紙委任、こういう結果になるんではないか、こういうふうな懸念を持っております。
 その結果、恣意的な秘密指定を許すことになりはしないか。今ほど、国の、あるいは第三者のチェックというお話がありましたけれども、そういう懸念はやっぱりぬぐい去ることができないと、こういうふうに思っておりまして、事故だとかあるいはトラブルの際、守秘義務を盾に事業者が情報の開示を拒否するというおそれはないんだろうか。また、こうしたおそれに歯止めを掛けるという意味もあって、今ほど、その仕組みとして第三者による、第三者機関の関与、こういうものがあるんだと、こういうものをつくるんだと、こういうふうにお話しになられましたけれども、なぜこの第三者機関の関与がこの歯止めになるのか。歯止めになる、こういうことでなるんだという理由をもう少し具体的にお聞かせをください。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 核物質防護対策の重要な要素といたしまして、例えばDBTそのものもそうでございますけれども、そういうものがきちっと秘密として担保されるということは、言わばこうした対策のかなめでございます。しかし同時に、これが、これまでの原子力発電所について国民の信頼を得る際の重要な要素となってきた、情報公開でございますとかそういうことについて妨げにならないように厳格に運用しなければならない。その辺のところの仕組みをどうするかということにつきましては、ただいま副大臣が御答弁されましたとおりでございます。
 それで、御指摘でございますその第三者機関のところにつきまして、やや詳細に申し上げますと、国が、具体的に事業者が設定をいたしました秘密の範囲あるいは守秘義務の対象者の範囲をどういうふうに決めているのか、あるいはどういうふうに運用しているのかということにつきまして、国がチェックをし、場合によりますと立入検査等を通じて確認するわけでございますが、そうした状況につきまして国が確認をするということだけじゃなくて、各分野の専門家から成る第三者機関、これは早急に策定をしたいと思っておりますけれども、十数名の委員の、第三者の立場から成る、委員から成る機関を設けたいと思っておりますけれども、そこにお諮りをいたしまして、事業者の判断、あるいは事業者の判断が法律に従ってきちっとされているということについての国の確認というものについて改めて第三者の視点から監査をしてもらうと、こういう機関として設定をするものでございます。
 こうした運用を通じて、秘密の範囲が過大に設定をされている、あるいはそういうことを通じて情報公開とかあるいは原子力公開の原則に言わばのっとっていないのではないかと、こういう運用にならないようにきちっと対応していきたいというふうに考えております。
○近藤正道君 次に、クリアランス制度の確立についてお尋ねをいたしたいと思います。
 クリアランスレベルの設定経過が、この間、随分転々としてきた、そういう経緯があるというふうに思っています。自然放射線よりも二けた低いから大丈夫ということをおっしゃいますが、この間、クリアランスレベルの設定経過、例えばトリチウム一つを取りましても、以前に言っていたことと、その後いろんなところでこれがクリアランスレベルだというのが随分変わった。最高四けたも変わった。したがって、二けた、自然界の放射線よりも二けたレベルが低いといっても、この間四けた変わってきた経緯がありますので本当に大丈夫かいなと、私は素人ながらそういうふうに思わざるを得ない。しかも、いったんクリアランスされて加工されますと、もうその後は全くどこに使われるか分からない、そういうことを考えますと、本当にこれはしっかりとやっていただかないとやっぱり困ると。私は率直に言って大丈夫かなという思いがあるわけでございます。
 時間がありませんので、今日は最後の質問になろうかと思いますが、環境省の方、来ておられますか。
 一点だけお聞かせをいただきたいというふうに思いますが、このクリアランス制度の導入は循環型社会形成の推進に資すると、これが大きなクリアランス制度導入の契機になっているわけでありますが、原子力発電所からの廃棄物が世間にリサイクルされるということについて、そもそも環境省としてはどういうお考えを基本的に持っておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。
○政府参考人(南川秀樹君) お答え申し上げます。
 まずこの法案で、環境省としましては、クリアランスの確認結果について経産省より逐一報告を受けまして、その内容を踏まえて適宜廃棄物の放射線濃度の測定を含む現地調査あるいは確認情報との照合などを行った上で、必要な場合には措置命令等の必要な対応を経産省に要請するといったことになるわけでございます。
 私ども、この今回のクリアランスでございますけれども、その制度の厳格な運用をする、そして安全性が確保されるということで、それを前提に運用したいと思っておりますし、そして、これが通常の産廃として扱うということができれば、それは循環型社会の形成に寄与するものと考えておりますし、私ども常に目指しております循環型社会の形成、それから脱温暖化社会の形成といったことに役立つわけでございまして、METI、経産省と連携しながら厳格な運用を図りまして国民の安全、安心を確保していきたいと考えております。
○近藤正道君 もう一つお聞きをいたしますが、今の話で、環境省としては必要な際に措置命令等を出して言わば介入をすると、こういうことでございます。是非、環境をつかさどる省としてしっかりと見ていっていただきたいし、監視をしていただきたいというふうに思います。
 そのクリアランスによって、放射性の廃棄物が一般のごみあるいは産業廃棄物になるわけでございます。そうなりますと自治体がこれを今度は所管をすると、こういう形になるんですが、環境省とその自治体、それと原子力発電所、この三つの関係はどういうことになるんでしょうか、御説明ください。
○政府参考人(南川秀樹君) まず、先ほど若干答弁が不足しましたが、私ども、経産省に対して必要な意見を述べるということで経産省に的確な対応をお願いしようと思っております。
 その上ででございますけれども、現地では実際に都道府県等が許可等をやるわけでございます。私ども、都道府県とは常に緊密に連絡取っておりますけれども、今回も、今回のクリアランスの制度の趣旨を徹底し、また途中の情報も適宜自治体にも示しながら、なおかつ一般の方にも示しながら、それが心配を引き起こすことのないようにしてまいります。
 また、自治体においても、産廃業者等を経由する場合には当然ながらマニフェストなども残るわけでございます。そういう中で、その廃棄物がどのように扱われたか、リサイクルされたか、あるいは処理されたかも含めて、問題が残ることのないような処理をしてまいりたいと考えております。
○近藤正道君 終わります。
○鈴木陽悦君 ありがとうございます。
 午前中から午後にかけてのやり取りを伺っておりまして、私、ふっとある言葉を思い浮かべました。それは、アメリカの未来学者で社会学者でありますジョン・マックヘール、一九六七年に「未来の未来」という本を書いたんですが、その巻頭言、過去の未来は未来にあり、現在の未来は過去にあり、未来の未来は現在にある。正に、未来の未来は現在にある、その未来を審議している大切な本日の委員会だと思っております。そうした気構えで本日最後の質問をさしていただきます。よろしくお願いします。
 午前中、加納先生からもお話がございましたけれども、新エネルギーに関しまして初めに伺ってまいります。
 今日は、二〇三〇年、そして三百年後、三百年前、いろいろと年代の話が出ておりますが、私が申し上げますのは二一〇〇年でございます。二一〇〇年までの超長期エネルギー需給見通しが今年の三月、原子力委員会の原子力長期計画策定会議に提示されましたけれども、この資料によりますと、地球温暖化の防止ではCO2の排出量を半分以下に抑えなければならないとしておりまして、原子力は現状と同じ程度が必要であるとしております。一方で、新エネルギーにつきましては、太陽光それから風力など、新エネルギーの導入はCO2の排出削減には非常に有効な手段であるが、経済性、供給安定性などの課題が存在するとしておりまして、新エネルギーの普及は限界があるのではないかとしております。まあ細かい数字もこの中に出ておるんですけれども、今日はあえて御紹介しません。
 午前中の大臣の発言にもございましたように、政府としてこの新エネルギーをやっていこうという力強い表明は分かるんですけれども、今回のこの超長期の見通しによって新エネルギーの扱い、今後どのようになっていくのか、その辺から伺ってまいりたいと思います。お願いします。
○政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。
 ただいま先生から御指摘のございました二一〇〇年の見通しでございますけれども、これは、原子力委員会の長期計画の策定が現在検討されておりますけれども、その中で資源エネルギー庁といたしまして、エネルギーは大変超長期の問題でございますので、二一〇〇年までを見通すとどういう需要の見通しになり、それに対応するに、今、省エネを含めどのような政策を講じていく必要があるかと、こういうことを大変、議論のたたき台として提起をさしていただいたものでございます。
 その中で、新エネルギーにつきましては、現時点で経済性の課題を有しますけれども、エネルギー自給率の向上、地球温暖化対策に資する貴重なエネルギーであるということで、これは今まであるいは現在遂行しておりますエネルギー政策と同様のことを述べておるわけでございます。
 したがいまして、今後とも新エネルギーの推進につきましては様々な手段を持って取り組んでまいりたいというふうに思っております。具体的には、平成十七年度、新エネルギー関連予算は千六百六十六億円を計上いたしておりまして、研究開発への支援、設備導入の補助を行っております。また、平成十四年に電気事業者による新エネルギー等の利用に関する特別措置法によります電気事業者への新エネルギー利用の義務付け等を講じておるところでございます。
 今後の見通しでございますけれども、二一〇〇年の件につきましては先ほど申し上げたような位置付けのものでございますけれども、二〇三〇年のエネルギー需給展望におきましては、新エネルギー、二〇〇二年度実績で一・六%となっておりますものを、二〇一〇年度は約三%、二〇三〇年度で約七%というふうに伸びていくと見通しております。
 今後とも、新エネルギーの導入拡大に向けまして全力を挙げて取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 以前の質問の機会にもお話をさしていただきましたけれども、青森県の八戸市ではマイクログリッド、世界で初めての試験が行われています。それから、大臣の御出身、北海道、石狩市なんですけれども、こちらでは市民風車事業の費用出資の呼び掛け、これに全国から二か月で、必要事業費の四億円余りがあっという間に、二か月の間に集まるなど、新エネルギーに対する市民レベルの関心高いものがありますし、動きもこの新エネルギーに関しましては活発になっている。特に風力がいろんな形で動きがあると思います。市民出資事業の風力発電に関しましては、このほかにも、今年の三月現在なんですが、北海道、青森、秋田など五か所が挙げられています。このうちの四か所に関しては、新エネルギー・産業技術総合開発機構、いわゆるNEDOでも一億円の補助金の交付を決めていると。
 こうした国の動きはエネルギーの選択に非常に有り難いことだと思っておりますけれども、こうした市民レベル、今後予測が付かない部分で、いろんな形で市民の新エネルギーに対する関心というのは高まってくる可能性もあるわけですが、この市民レベルの新エネルギーに対する積極的な取組を今後とも支援していくお考えはどうなのか、その辺を伺いたいんですが。
○政府参考人(小平信因君) ただいま御指摘ございましたように、一般市民の方々が主体となられまして風力発電や太陽光発電の導入を行うケースが幾つか出てきております。こういう取組は新エネルギー導入のすそ野を広げ、また新たなビジネスモデルを構築する契機となり得るものでございまして、大変有意義なものと考えております。このため、経済産業省といたしましては、こうした取組を支援すべく、平成十二年度から市民レベルでの新エネルギー導入の取組を支援をいたしております。
 具体的には、ただいま先生から御指摘ございましたように、新エネルギー・産業技術総合開発機構を通じまして、NPO等の非営利活動を行う民間団体に対しまして設備導入に係ります費用の補助を行っております。平成十六年度におきましては合計百六十五件、十五億二千六百万円の支援実績がございまして、風力発電十件、太陽光発電百十九件、太陽熱利用十二件等となっております。
 経済産業省といたしましては、引き続きこうした市民レベルでの取組を支援し、新エネルギーの導入を図ってまいりたいと考えております。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 こうした動きがますます活発になってくるものだと思います。新エネルギーに対する市民レベルの動きが活発だというのは、そこに安全と安心、それから地球環境に対する啓蒙が進展してきている表れだと私はとらえておるんです。
 そこで、こうした動きとともに大切なのは、将来も大きな役割を担うであろう原子力に対する安全性、そして信頼性について、今回の二法案を含めて核燃料サイクルなど国民的な理解が必要であると考えます。いろいろとお話出ておりますけれども、あえて伺います。
 老朽化した施設の高経年化対策などを含めまして、地方自治体や国民の理解を得るための方策、どのようにしていかれるのか、あえて伺います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 原子力発電所等の安全確保につきましては、法律にのっとりまして、事業者の取組につきまして検査等を通じて厳格にチェックをしていくことは当然大事でございますが、こうした活動について自治体あるいは国民に対して十分に説明をし、信頼を得ていくということが御指摘のとおり非常に大事だと思っております。
 このため、原子力安全・保安院といたしましては、昨年の四月にこうした活動をミッションといたします課を設置をいたしまして、広報誌の発行、メールマガジンの発行、あるいは住民との直接対話の試みなどを開始をしているところでございます。
 また、地元に対しましては積極的に御説明をするということで、機会があるごとに大臣、副大臣、大臣政務官を始めといたしまして幹部が直接地元に赴きまして説明や意見交換を行うというようなことをやってきております。
 御指摘の高経年化対策でございます。これは原子力安全規制上の非常に重要な課題でございますけれども、昨年の十二月から審議会に特別の検討委員会を設けまして審議を開始したところでございますけれども、この審議は公開で行い、また、二回は福井県、地元で開催をする、また、その資料等につきましては直ちにホームページ等に掲載をいたしまして、いろいろな形で情報提供に努めているところでございます。
 今後とも、国といたしましては、特に原子力の安全についての透明性を確保し、信頼感を確保するという観点から一層積極的な情報発信、それから立地地域を中心とした地道な説明活動、これに最大限努めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 私もマスコミ出身でございます。テレビ出身でございますので、多くの皆さんに広く知ってもらう、情報の共有、これは非常に大切なことだと思いますので、今後とも積極的にお進めいただきたいと思います。
 さて、安全性についてお話しいただきましたけれども、このたびの兵庫県尼崎市のJR西日本の脱線事故を見ますと、日に日に国民の、いろんな事件が、次々に情報が出てくるにつれまして国民の企業に対する信頼というのは残念ながら薄れていく一方ではないかと思います。特に安全性に対する信頼、政策推進のキーワードと言っても過言ではないと思う原子力発電につきましても、同じくくりではちょっと表現できないかもしれませんが、公共の交通機関と同様に高いものでなければいけないと考えます。
 去年の美浜原発の事故も企業の持つ体質が露呈した形になっていると私感じております。大臣は、常々、人材の育成が日本の将来を担うポイントとおっしゃっておりますが、私も同感でございます。その中には企業育成、最近よく使われます安全文化の醸成ということが非常に大切な点ではないかと思いますけれども、そこで、大臣に企業の安全文化について御所見伺えればと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 今、鈴木委員御指摘のとおり、あの鉄道事故については今、事故究明、鋭意やられておられるわけで、まあいずれにしましても百人以上の方が、通常の鉄道であれだけの方の人命が失われるというのはちょっと信じられないんですけれども、いずれにしても御冥福と一日も早い全容解明が必要だと思っております。
 また、美浜につきましても、当委員会でも何回も御審議いただき、先日、報告書が出まして、その中でも安全文化の劣化ということが厳しく指摘されているところでございます。
 いずれも日本を代表する企業でありますから、企業イメージといいましょうかブランド力というものがあって、ブランドというものがあって、あの会社は大丈夫だろう。まあ、空を飛んでいる会社も最近いろんな事故とか問題を起こしているわけでありますけれども、やっぱり大丈夫だろうと。百キロで動くものに乗ったり、空を飛んだり、あるいはまた巨大なエネルギー施設、事故が起きないということは一〇〇%ない。しかし、事故を起こさないための最大限の努力をしているはずだというところにこういう企業の信頼性あるいはブランド力、そして万が一のときには適時適切かつ全面的な対応、今、鈴木委員御指摘のような広報も含めて対策が求められるわけでございまして、緊張感、スピード感が必要だろうと思っておりますけれども、いずれもどうも欠けている、欠けていた。その結果、尊い人命が失われた、あるいはまた信用が損なわれていったということでございまして、いずれにしても、大企業であろうが中小企業であろうが、あるいはどんな仕事であっても、そういうものは正に株式会社としての経営の根幹にかかわる問題であり、お客様、その他多くの関係者にとっても多大な御迷惑をお掛けすることであり、最大限の緊張感あるいは努力をしていかなければなりませんが、とりわけ巨大なエネルギー機関であります発電所については、こういうものが、もうこれでいいというものがないぐらいに緊張感をやって、今後もやっていくことによって初めて、地元を始め国民の御理解と、午前中から御審議いただいております当法案の核燃サイクルが回っていくための最低限の私は条件だろうというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 大臣、ありがとうございました。
 それでは、多分、本日、これ最後の質問になると思いますが、使用済燃料の再処理積立金に関する法律案について伺ってまいります。
 バックエンド事業に要する費用、十八・八兆円に及びます。このうち本法案の措置の対象となる費用、六ケ所工場で処理される三・二万トンの使用済燃料についての再処理、これに伴い発生する廃棄物の処理費用などおよそ十二・六兆円ということなんですが、これ、簡単に語れない莫大な費用でございまして、資金管理の重要性を改めて感じます。
 この費用が年度ごとに電気料金として回収されまして、積み立てられて、再処理が進むにつれて取り戻されていくということなんですが、各年度ごとの積立額、取戻し額はどの程度になるのか。また、最大の積立額はどうなるのか。さらに、取扱いの決まっていない三・四万トン分は積立ての対象外となっておりますけれども、いずれ処理費用が必要になるわけでございまして、その手当ては今後どのようにされるのか。まだ具体的な見積りでき上がっていないと伺っておりますけれども、方向性を含めて最後の質問、伺います。
○政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。
 再処理等積立金の年度ごとの積立額等の具体的な数字でございますけれども、これは使用済燃料の発生の状況など様々な要因によって変動いたしますので正確な数字を申し上げるのは困難でございます。しかしながら、総合資源エネルギー調査会電気事業分科会におきまして合理的であるというふうに判断をされました電気事業者が行いました試算を基に計算をいたしましたところ、電力会社全体の数字でございますけれども、まず積立額につきましては、当面は毎年度二千五百億円程度となりまして、過去に発生しました使用済燃料に対応する積立てが終了しました後には毎年度千五百億円程度になるものと見込まれております。また、これに加えまして、法律の施行から十五年以内のうちに、現在各電力会社に内部留保されております引当金が外部に積み替えられるということになるわけでございます。
 次に、取戻し額でございますけれども、毎年度二千億円から三千億円程度になるというふうに見込まれております。
 さらに、積立額の残高でございますけれども、当面三兆円程度で推移をいたしまして、最大で約三・五兆円程度の残高になるときがあるという見込みでございます。
 次に、現時点におきまして取扱いが決まっていない使用済燃料でございますけれども、我が国におきましては、中間貯蔵されました後の使用済燃料につきましても最終的にはすべて再処理するということを基本方針としておるところでございます。しかしながら、このような当面は貯蔵し、将来再処理を行うこととなります使用済燃料につきましては、昨年十一月に取りまとめられました原子力委員会新計画策定会議の中間取りまとめにおきまして、六ケ所再処理工場に続く施設につきましては二〇一〇年ごろから検討が開始されることとされておりまして、現時点におきましては再処理等に要する費用の合理的な見積りができないわけでございます。
 また、本法案に基づきます積立額につきましては、発電コストの一部を成すということでございまして、電気料金として回収されることとなりますので、そのような合理的な見積りができない費用につきましてまで積立てを義務付けました場合には、需要家に対しまして適正性を欠く負担を強いることになる可能性がございます。したがいまして、当面貯蔵されます使用済燃料につきましては、二〇一〇年ごろから検討が開始されることとなっております六ケ所再処理工場に続く施設の建設計画が具体化し、再処理等に必要な費用の合理的な見積りが可能となった段階で適切な検討を行った上で積立てを行うということになるわけでございます。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 まだ不確定要素があるということで、もっとこれから質問したい部分がございますけれども、後日の方に譲らせていただきまして、本日の私の質問を終わらせていただきます。
 ありがとうございました。
○委員長(佐藤昭郎君) 本日の質疑はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。
   午後三時十四分散会

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