***

平成17年5月12日(木曜日) 参議院 経済産業委員会 審議録

*クリアランス制度に関する部分のみ黒字で、その他はやや薄い字で表しています。

第162回国会 経済産業委員会 第16号
平成十七年五月十二日(木曜日)
   午前十時開会
    ─────────────
   委員の異動
 五月十一日
    辞任         補欠選任   
     近藤 正道君     田  英夫君
 五月十二日
    辞任         補欠選任   
     田  英夫君     近藤 正道君
    ─────────────
  出席者は左のとおり。
    委員長         佐藤 昭郎君
    理 事
                泉  信也君
                加納 時男君
                小林  温君
                藤原 正司君
                渡辺 秀央君
    委 員
                魚住 汎英君
                沓掛 哲男君
                倉田 寛之君
                保坂 三蔵君
                松田 岩夫君
                松村 祥史君
                加藤 敏幸君
                木俣 佳丈君
                直嶋 正行君
                平田 健二君
                藤末 健三君
                浜田 昌良君
                松 あきら君
                近藤 正道君
                鈴木 陽悦君
   国務大臣
       経済産業大臣   中川 昭一君
   副大臣
       文部科学副大臣  小島 敏男君
       農林水産副大臣  常田 享詳君
       経済産業副大臣  保坂 三蔵君
       国土交通副大臣  岩井 國臣君
   大臣政務官
       経済産業大臣政
       務官       平田 耕一君
   事務局側
       常任委員会専門
       員        世木 義之君
   政府参考人
       内閣府大臣官房
       審議官      塩沢 文朗君
       外務省総合外交
       政策局軍縮不拡
       散・科学部長   天野 之弥君
       文部科学大臣官
       房審議官     森口 泰孝君
       経済産業省産業
       技術環境局長   齋藤  浩君
       資源エネルギー
       庁長官      小平 信因君
       資源エネルギー
       庁電力・ガス事
       業部長      安達 健祐君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院長     松永 和夫君
       資源エネルギー
       庁原子力安全・
       保安院次長    三代 真彰君
       国土交通省自動
       車交通局次長   松尾 庄一君
       国土交通省自動
       車交通局技術安
       全部長      久米 正一君
       環境大臣官房審
       議官       寺田 達志君
    ─────────────
  本日の会議に付した案件
○政府参考人の出席要求に関する件
○原子力発電における使用済燃料の再処理等のた
 めの積立金の積立て及び管理に関する法律案(
 内閣提出、衆議院送付)
○核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関
 する法律の一部を改正する法律案(内閣提出、
 衆議院送付)
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を開会いたします。
 委員の異動について御報告いたします。
 昨日、近藤正道君が委員を辞任され、その補欠として田英夫君が選任されました。
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) 政府参考人の出席要求に関する件についてお諮りいたします。
 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の審査のため、本日の委員会に内閣府大臣官房審議官塩沢文朗君、外務省総合外交政策局軍縮不拡散・科学部長天野之弥君、文部科学大臣官房審議官森口泰孝君、経済産業省産業技術環境局長齋藤浩君、資源エネルギー庁長官小平信因君、資源エネルギー庁電力・ガス事業部長安達健祐君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院長松永和夫君、資源エネルギー庁原子力安全・保安院次長三代真彰君、国土交通省自動車交通局次長松尾庄一君、国土交通省自動車交通局技術安全部長久米正一君及び環境大臣官房審議官寺田達志君を政府参考人として出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) 原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○小林温君 おはようございます。自民党、小林温でございます。
 火曜日に引き続きまして、原子力二法の審議、トップバッターを務めさせていただきたいというふうに思います。
 この質問をさせていただくに当たりまして、改めて我が国の原子力政策あるいは核燃料サイクル政策についておさらいをさせていただきました。やはり我が国のエネルギー環境等を考えると、本日も議論させていただきます原子力政策というものをどういうふうに位置付けていくかということ、極めて我が国にとって重要だということを改めて実感したわけでございますが、特に本日は、この政策において国がその実効性を法律面のみならず様々な施策面においても担保していくのかどうかと、あるいは国と自治体との関係、それから国と民間との役割分担の中において国はどういう覚悟を持って責任を果たしていくのかと、こういうことについてこれから順次質問をさせていただきたいというふうに思います。
 まず、クリアランス制度について、経済産業省と環境省に見解を伺っていきたいというふうに思います。
 我が国では、先ほども申し上げましたが、供給の安定性、温暖化問題への対応などの観点から、安全確保というものを前提に原子力発電を基幹電源として位置付けてまいりました。そういう流れの中で、今回の法改正においてクリアランス制度を導入する意義というものについて、改めてお伺いをしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) おはようございます。
 済みません。不摂生のために声が。おわびをいたします。
 このクリアランス制度は、御案内のとおり、国際的なクリアランスレベルを用いまして、原子力施設から出る廃棄物を放射性廃棄物と、それからもう一つは放射性廃棄物の取扱いの必要のないものに区分しようというものでございます。その結果、原子力の活用の結果出てまいりました廃棄物を有効的かつ合理的に処理・処分をする、もう一つは資源の活用をしようと、こういう大きな意義がございまして、注目をされているところでございます。
 結果におきまして、処分費用の軽減など経済的な効果があるわけではございますが、それは当初の目標ではございませんで、むしろ、これから出てまいります経年炉等の廃棄に当たりましてもより一層事業が進捗するように、この制度は有効に活用するものと信じてやまない次第でございます。
 なお難しい問題がございますので、国民の理解を一層深めるように、あらゆる場をとらまえて努力してまいることを申し上げたいと存じております。
○小林温君 副大臣、お仕事に熱心な余り声が出ないようでございますが、大変申し訳ございません。
 今副大臣の方から、原子力施設から出てくる廃棄物について科学的、合理的に扱う、あるいは循環型社会形成、こういう要請からもこのクリアランス制度を導入する一つの要請があると、こういうお話もございました。平成十年の三月に東海発電所が運転を停止して十三年からは解体工事に着手しているわけで、正にこのクリアランス制度の創設というものは、これからさらに順次出てまいります廃棄物、放射性廃棄物あるいはそれ以外の廃棄物をどう扱うかということにとって大変重要な制度で、正に今回、法制度をしていただくということは極めてタイムリーだというふうに評価をさせていただきたいというふうに思います。
 そこで、このクリアランスをされた廃棄物の処理については、経済産業省それから環境省、そして都道府県のその三者の緊密な連携の下に行われるべきものであると私は承知をしているわけでございますが、この際、経済産業省と環境省、それぞれの役割分担というものをどのようにお考えでしょうか。見解をお伺いしたいと思います。
 まず、経済産業省の方から。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 ただいま保坂副大臣から答弁されましたとおり、クリアランス制度におきましては、クリアランスレベル以下であることが確認をされたものが廃棄をされる場合には、環境省が所管をしております廃棄物の処理及び清掃に関する法律、いわゆる廃掃法に規定をする産業廃棄物となります。この段階では、廃棄物行政を具体的に担っております地方自治体の理解と協力を得るとともに、クリアランスされたものが産業廃棄物処理業者に円滑に引き取られて処分をされるということがクリアランス制度の円滑な運用に向けまして必要不可欠なことであるというふうに理解をしております。
 したがいまして、経済産業省におきましては、自らこうした制度につきまして理解促進活動を行うことに加えまして、廃棄物行政を所管をいたします環境省と連携をいたしまして、廃棄物処理業者及び地方自治体に対しましてクリアランス制度についての理解と円滑な処分への協力を求めるなどの取組が重要であると理解をしております。
 このため、法案におきましては具体的にこのための幾つかの規定が置かれているわけでございます。御紹介いたしますと、一つは、環境大臣がこうしたクリアランス制度の運用について意見が述べることができるようにしたこと、二番目に、主務大臣が測定・評価の認可あるいは測定結果の確認につきまして環境大臣に連絡をするという規定、三番目は、主務大臣が環境大臣に協力を求めることができることと、こうした規定を整備をしたところでございます。
 こうした改正法案が成立をいたしました、成立をさせていただきました後も、環境省と私ども経済産業省は密接な連携を図りながら、クリアランス制度につきまして地方自治体や産業廃棄物処理業者等の理解の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○小林温君 同じ質問を環境省からお願いいたします。
○政府参考人(寺田達志君) お答えいたします。
 ただいま経済産業省の方からお答えがございましたように、本制度におきましては、クリアランスの確認を受けたものにつきましてはいわゆる産業廃棄物ということで、私どもの所管しております廃掃法における対処ということになってくるわけでございます。産業廃棄物の適正処理を確保するという観点で廃掃法では様々な規定が置かれておりますけれども、さらにこれに加えまして、先ほど経済産業省からお答えがありましたように、本法案におきましても、このクリアランス制度の各般の段階において環境大臣が関与し、様々な連絡を経済産業省からいただきまして、この処理に遺憾なきを期すという仕組みになっているところでございます。
 また同時に、環境省としての役割でございますけれども、廃掃法上はかなり具体的なお仕事が廃棄物処理業者ないし都道府県というところにございますので、そうした廃掃法を担う皆様に対しまして本制度の適正な運用趣旨等を徹底し、この制度の運用に遺憾なきを期すという、そういう立場での役割もあるものと考えておるところでございます。
○小林温君 是非、環境省さんと経産省さんの連携、密接にしていただいて、実効性が上がるように御努力をお願いをしたいと思います。
 そこで、今、産業廃棄物の問題についても御言及がございました。この廃棄物行政については、都道府県、自治体、それから地域住民、それから廃棄物の事業者が複雑に関係をしているために、現在でもいろんな問題が全国各地で生じているというふうに私は承知をしております。
 一般に、廃棄物に関する行政としての方針、許認可等は都道府県にこれはゆだねられているというふうに思いますが、この新しいクリアランス制度の中でいわゆるクリアランスされた廃棄物の処理については、これは原子力にかかわる問題でもございますので、都道府県が例えば廃棄物の受入れを拒否するなど、今進めている国の原子力政策と都道府県のいわゆる廃棄物の政策とが方向性が必ずしも一致しないという事態が生じる可能性があるのじゃないかと、私はこういう懸念を持つわけでございますが、この点について、制度の実効性というものはこの法律の整備も含めて法律上担保をされているんでしょうか。この点について、経済産業省、そして環境省さんからお答えをいただきたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 クリアランスされましたものが廃棄物処理業者に円滑に引き取られて処分されるためには、廃棄物行政を所管する環境省と連携をいたしまして、都道府県や廃棄物処理業者に対しまして、このクリアランス制度に対する理解、あるいは円滑な処分への協力を求める、こうした取組が重要でございます。
 委員御指摘のようなそうした懸念もあり得ますので、このため、法案におきましては第七十二条の二の二に環境大臣との関係を規定しておりまして、主務大臣が環境大臣に対しましてクリアランスされたものの円滑な処理に向けて必要な協力を求めることができるような枠組みを設けている次第でございます。
 こうした法整備上の対応はなされておりますけれども、先ほどお答え申しましたとおり、基本的なことは、クリアランス制度に対する十分な理解と信頼が得られるように、きちっとした説明、これに最大限努力を傾注することにあるのではないかというふうに考えておりまして、今後とも環境省と連携を図りながら、産業廃棄物処理行政を担当する都道府県、あるいは産業廃棄物処理業者に対しまして、十分な理解と信頼が得られるように引き続き努力をしてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(寺田達志君) お答え申し上げます。
 確かに、ただいま委員御指摘のとおり、産業廃棄物行政におきましては大規模不法投棄事件等ございまして、いろいろと国民の方々に御心配をちょうだいしているということは事実でございます。こうした事態を踏まえまして、実はこの三年間、廃掃法の改正というのを繰り返してまいりました。その中で出てきましたのが国の関与の拡大ということでございまして、現時点におきましては、産廃行政の中で従来都道府県に任せられておりました例えば産廃業者への立入調査等々も国ができるというようなことになっております。
 また同時に、既に今国会におきまして成立させていただきましたけれども、環境省設置法の改正ということを行いまして、環境省の地方機関としての地方環境事務所というものを設置し、そこに環境大臣の権限をゆだねまして、しっかり現場での廃棄物行政の管理監督をするという仕組みも成立させていただいたところでございます。
 こうしたものを活用いたしまして、正に原子力行政でございますので、国の責任をしっかり踏まえまして、環境省といたしましても、地元住民の方々あるいは都道府県その他と協力いたしまして、しっかりとした管理監督、国民に安心していただけるこの制度の円滑な施行ということに努力してまいりたいと考えているところでございます。
○小林温君 これまでも、各種法律の改正も含めて、今回の制度が法律上担保されるような仕組みをつくっていただいているということは承知をさせていただきました。
 ただ、このクリアランス制度というものが象徴的なのは、産業廃棄物をめぐる問題、一つには。それから、原子力発電まで、あるいはその立地をめぐる問題ででも、現在でも発生をしている国と自治体の権限の在り方について、重なった二重の意味を持つものだというふうに思います。そして、今法律上は担保されているということを確認をさせていただきましたが、だからといってその実効性が確保できるものではないということも様々な事例を見ても明らかであるというふうに思います。
 衆議院の方でも、福島の原発のことについて保安院で検査が終了したにもかかわらず、例えば県がその運転の再開を許可しないというようなことも質問もあったかというふうに思いますが、三位一体の改革など地方分権というものが大きく進んでいく中で、国が国策として責任と権限を持って進めるべき政策について国と自治体との関係をどういうふうに定義していくかと、これは極めて重要な問題であろうというふうに思います。我々もこうして今回その法律を審議をさせていただいて仮に成立をしたとすれば、その実効性が果たしてどうなのかということが問われるわけでもございますので、是非その実効性の部分についてしっかりとした努力を傾注をしていただきたいというふうに思います。
 後ほど再処理政策の議論でもさせていただこうと思いますけれども、例えばその全量再処理のシナリオというものを選択した一つの要因というのも、例えば直接処分ということを実際に考えた場合に、その処分場所をどこにするのかと、本当にそういう受入れの自治体があるのかということがそういうことを決める一つの要因にもなったというふうにも聞いております。是非この実効性の確保のために、国それから都道府県、そして特に住民の皆さんの理解と合意の下で制度の運用が図られる、そういうために、環境省さん、それから経済産業省さんで具体的にどのように対応をされるのか。私は万全の取組を行っていただくべきだと思いますが、その点について御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 今御指摘のとおり、クリアランス制度につきまして、国民、住民、あるいは地域社会の皆様に十分な理解をいただくために、私ども最大限努力するということが極めて重要であるというふうに考えております。このため、具体的には、審議会での検討あるいは私どもが法律案を準備する過程から、こうした活動を環境省ともあるいは都道府県とも連絡を図りながら進めてまいってきたところでございます。
 具体的に申し上げますと、昨年の六月から七月にかけまして、今回の法律案のベースになりました審議会での検討状況につきましてパブリックコメントを求めましたけれども、その際に、夏、東京と大阪に一般的に公開をされておりますシンポジウムを開催いたしまして、直接住民、国民の方に御説明をし、また意見をいただくというような活動をしてまいりました。また、今年に入りましてから更に、一月から二月にかけまして、全国主要八か所での説明会を開催をしたところでございます。また、具体的に、産業廃棄物行政に現場で携わっておられます都道府県の職員の方にもいろんな形でお集まりをいただきまして、また私どもからお伺いをさせていただきまして、今回の制度の内容あるいは安全性の観点から何ら問題がないということについての御説明もさせていただいたところでございます。
 今後も、繰り返しになりますけれども、環境省とも引き続き密接な連携を図りながら、正確な情報提供と地域の皆様に対する理解の促進に努めてまいりたいというふうに考えております。
○政府参考人(寺田達志君) お答え申し上げます。
 制度設計の細部はこれからということになろうかと存じますけれども、環境省といたしましては、このクリアランス制度につきまして、個別のクリアランスが行われた際には逐次連絡を経済産業省からいただくことになっておりますので、そうした情報も地域住民、都道府県等に提供しながら、この制度の円滑な運用に資してまいりたいと考えております。
 また、具体的な話になってしまいますけれども、具体的な産業廃棄物の処理施設等におけます例えば調査をどうしたらいいのか、どういうことをしたらいいのか等々につきましてのマニュアルの策定等なども心掛けまして、経済産業省と連携しながらこの制度の円滑な運用を図ってまいりたいと考えております。
○小林温君 是非、都道府県、そして住民との合意をもってこのクリアランス制度というものが定着をしていくように、万全のお取り組みを両省にはお願いをしたいというふうに思います。
 続きまして、バックエンド法についての質問に移らせていただきます。
 今、クリアランス制度では国と自治体との関係について議論をさせていただいたわけでございますが、ここで改めて官民の役割分担、特に国の役割と責任の在り方について見解を伺っていきたいというふうに思います。
 と申しますのは、これは先日のこの委員会での議論でも幾つか論点が出てまいりましたが、国の役割と責任が果たしてどこまで明確なのかということが、この法案あるいは今の原子力政策全般でやはり確認をしていくべき事項だというふうに私は感じております。
 例えば、高レベルの放射性廃棄物や使用済燃料の処分については、海外では国やあるいは国が深く関与した組織が担当しているところが多いわけでございます。再処理のことを考えましても、その処理量あるいは実績等を考えると、イギリスやフランスというのはある意味でいうと日本が今後モデルとしていくべき国々だともとらえることができるわけですが、このイギリスやフランスでも国に近い機関がこうした事業を担当をしているわけでございます。一方、我が国では、原子力長計において原子力に関する国の役割というものはこれはしっかりと明記をされているわけでございますが、今回法案になっておりますバックエンド事業あるいは核燃サイクル事業の実施責任は、これは民間にゆだねられているわけでございます。
 そういう意味において、現在進めております再処理事業では、特にこの法案の関係する部分において民間が多くの部分を担うスキームになっている。こういう点も含めて、改めてバックエンド事業に関する国の役割と責任について経済産業省の見解をお伺いしたいというふうに思います。
○国務大臣(中川昭一君) おはようございます。
 まず、小林委員の御質問の大前提として、エネルギー政策というものは、もちろん国の産業活動、生活の根幹を成すものでございますから、国が責任を持つということでございます。ただ、エネルギー事業一般は、これは民間がやっているわけでございますし、また自由化という一つの時代の流れもあるわけでございます。
 原子力というものは、日本の場合には平和利用、つまりエネルギーの重要な一部分として位置付けているわけでございますから、そういう意味で、原子力エネルギーという部分はエネルギー政策の一環としての位置付けということになるわけで、今申し上げたような大枠の中に入ってくるんだろうと思います。ただ、原子力ということになりますと、特別の、また国民的ないろいろな御理解も必要でございますし、とりわけ国としても特別の位置付けをしてきているわけでございます。そういう意味で、国としての関与度といいましょうか、責任の重さというものは他の基幹エネルギーに比べて大きいというふうに考えなければいけないし、そういう行政をやっているわけでございます。
 原子力エネルギーについては、今御指摘がありましたように、一つのサイクル事業としての位置付けというものもあるわけでございますから、フロントエンドにつきましては、一義的に国の最終責任、あるいは基本的な計画や指導等を前提としながらやっているわけでございますけれども、御指摘のバックエンド、再処理とかあるいは中間貯蔵とか最終処分とかいった問題について、今諸外国ではこういう例があるじゃないかという御指摘がございましたけれども、これも含めて日本の場合には御指摘のように民間が主体になっておりますけれども、しかし、先ほど申し上げたように、エネルギーとしての位置付け、とりわけこの原子力エネルギー、そしてサイクルということになりますと、国としての最終責任の重さといいましょうか、程度といいましょうか、これはやっぱりおのずから次元の違うものになってきておりますので、そういう意味で、いろいろな基本方針でありますとか、あるいはまたチェック度とか、いろいろな意味で国としての関与度、あるいはまた責任というものの大きさはおのずから違ってくるわけでございます。
 いずれにいたしましても、地元、国民の御理解をいただきながら、この原子力エネルギー政策、あるいはまた最終処分等を含めましたサイクル政策につきましては、国の大きな責任と、また計画等基本的なきちっとした方針を立てた上で事業者も責任を持ってやっていただくということで、広い意味では一体でございますけれども、そういう前提の下で役割分担をしているというのが日本の政策でございます。
○小林温君 大臣の方から、ほかの基幹エネルギーに比べても原子力においては責任の重さというものをしっかりと自覚をされておるという御答弁をいただきました。私、やっぱりこういう国の関与があってしかるべきだというふうに思うわけでございます。
 と申しますのは、例えば、今法務委員会の方では会社法の審議が行われております。民間の会社の寿命というのは、実はどんどんどんどん短くなっているというのが今の趨勢ではないかというふうに私はとらえているわけでございます。ですから、今回、国と民間とが一体となってこの事業を行うときに、私は、本当に民間企業というものが、今回は各電力会社も事業に参加をしますし、それから日本原燃始めとした共同事業体も参加するわけでございますが、当てになるのかと、特に超長期の事業の中でという懸念も持っているわけでございます。
 今回のこのバックエンド法の前提は、四十年間六ケ所の再処理工場が順調に稼働するということになっております。今ほど述べましたような、民間の会社のある意味でいうと安定性みたいなことも考えますと、果たして我が国のエネルギー政策の根幹をこの四十年の間、しっかりと今の枠組みで担保できるのかなという不安も実は私は持つわけでございます。
 ですから、私が国にお願いしたいのは、この超長期にわたる事業の中で様々なリスクが私は発生する可能性はあると思います。そのリスクというのは予見可能なものからそうでないものまで、例えば、これも議論に出ておりますが、国際情勢が変化をした場合どう対応するのか、あるいはウラン資源の確保が困難になるような事態が発生した場合にはどうするのか。こういう、例えば現在の核燃サイクルあるいは再処理事業のシナリオ自体大きく変更せざるを得なくなるような事態も私は一応そのリスクとしては織り込んでいくべきだと、織り込んでおくべきだというふうに思うわけでございますが、こうした予見不可能な部分も含めてこの法律が前提としている状況が変わった場合にはどのような対応を経済産業省としては取られる用意があるのか、その点についての御見解をお伺いしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 御指摘のとおり、いわゆる民間企業自体は世の中のスピード化の中でどんどんとそれに対応するためにいろいろ変化をしたり、あるいはまた、今御指摘のあった会社法の現代化等の法整備も必要になってきているわけであります。
 他方、エネルギー政策というのは、ある意味では中長期的なもので、例えば二〇一〇年がどうだとか二〇三〇年がどうだとかいう計画というものも、私は国としては必要なものだろうと、そういうものがやっぱり国民のいろいろな活動をする上で国としてやるべき責務だろうというふうに思っております。
 したがいまして、前回も三百年どうなるんだとか、御指摘のように、今回の再処理は四十年というものを見据えてやっているわけでございますけれども、これも核燃料物質の性格からいって、あるいはまたエネルギー政策からいって、そういう中期的あるいは超長期的なものを前提とした政策、したがってその根幹になる法律というものが必要になってきて、今御審議をいただいているところでございます。
 他方、世の中何が起こるか分からない。今御指摘のように、事業者と直接関係のない、あるいは日本と直接関係のない大幅な事態、大規模なというか重大な事態が発生した場合にどうなるのか。それによって政策あるいはまた根幹の法律がどうなるのかということに対応することはどうなのかという御指摘でございますけれども、基本的にはこの法律はある程度の予見性を持って二法を御審議をいただいているところでございますけれども、それを超えるような、想像をはるかに超えるような重大な、国際的な、あるいは予測できないような事態が発生することによってこの法律の趣旨というものが機能しなくなる、あるいはまた変更しなければならない必然性が出てくるということになれば、そこはこの法律ありきではなくて、あくまでもエネルギー政策あるいは核燃サイクルの安全性と安定性を前提として、これはもう対応していかなければいけないというふうに考えております。
○小林温君 今、前提条件を揺るがすような事態の発生があった場合には、そういう取組を行っていただけるというお話だったと思います。
 ちょうど先週でございますが、ニューヨークでNPTの再検討会議がございました。IAEA体制やNPTについて議論が行われたわけでございますが、我が国は非核保有国で唯一濃縮再処理施設を持つ国でございます。これは厳しいIAEAのチェックを経て核の平和利用に徹しているという信頼を、ある意味でいうと、先人の長い間の努力によって言わばかち得たものだと私は理解をしているわけでございますが、この中でIAEAのエルバラダイ事務局長が、ウラン濃縮再処理施設の凍結論、あるいは国際的な核管理構想について言及をされたという報道がございます。
 今日、外務省さんにもおいでをいただいておりますので、この議論に対する外務省の見解及び対応をお聞きしたいと思います。
○政府参考人(天野之弥君) お答えいたします。
 五月二日、エルバラダイIAEA事務局長は、NPT運用検討会議におきまして、国連ハイレベル委員会に言及しつつ、新たな核燃料サイクル施設に関する自発的な時限付のモラトリアムについて言及いたしました。
 この新たな核燃料サイクル施設に関する自発的な期限付のモラトリアムについて、一般論として申し上げれば、我が国が国際社会の信頼を得て行っている核燃料サイクル活動を含めまして、原子力の平和利用を阻害する可能性があり、適切なアプローチではないと考えております。
 また、核燃料サイクルへの多国間の取組につきまして、エルバラダイ事務局長の下に設置された国際専門家グループが今年の二月に報告書を提出、公表して、五つの取組について検討することを提案しております。
 これらの取組について今後どう取り扱うかということはまだ決まっておりませんが、一般論として申し上げますと、国際的な不拡散体制の強化に具体的にどう貢献するのか、またNPTの義務を誠実に履行し、高い透明性を持って国際社会の信頼を得て原子力の平和活動を行っている国の活動を不必要に制限することにならないのかといったような点につきまして、十分な議論を行っていく必要があるというふうに考えております。
○小林温君 正に今もお話がありましたが、核の平和利用というものを推進している我が国、実は隣には今核の保有で国際的に大変な注目を集めている国もあるわけでございますが、この立場というものをやはりこれからしっかりと守っていただきたいというふうに思うわけです。
 特に、そのウラン濃縮再処理施設の凍結論というものは、このバックエンド法も含めて、今後の我が国のエネルギー政策に対しても大きな影響を持つかと思いますが、今の外務省の見解について大臣のコメントをいただくと同時に、経済産業省としてはこの原子力の平和利用の中で再処理の推進を更に進めるということについての決意も併せてお伺いをできればと思います。
○国務大臣(中川昭一君) エネルギー政策として、先ほど申し上げましたように、原子力エネルギーは基幹エネルギーである、そしてまた使用済燃料は再処理をして有効に使っていく。
 その大前提には、まず平和利用という目的があって、安全があって、国民の理解があってということで、当委員会を始め国会の御指導もいろいろいただきながら、先輩たちから懸命の努力でやってきたところでございまして、その結果として、IAEA上の統合保障措置というんでしょうか、特別のといいましょうか、平和利用についての信用というものを与えられているわけでございまして、それを今回、今御指摘のような隣のとんでもない国が、何をやっているのかよく分かりませんけれども、ああいうこととか、あるいはまた、いろいろな国でそういう疑惑があるとかないとかということによってのみでこのエルバラダイ事務局長の案なるものが出てきたとするならば、そして、それは日本なり平和利用を目指そうとしている国に対して影響を与えるということは、むしろ平和利用促進へのインセンティブを失うものというふうに考えておりまして、結論的には外務省と同じでございまして、政府として一体となってこの問題には、決してIAEAの目的にも合致するものではない、日本のもちろん今までの努力、今後の努力にも影響を与えかねないものとして、我々としては、今の段階ではあくまでも正式のものではございませんから、こういうことにならないように我々としても努力をしていきたいというふうに思っております。
○小林温君 今大臣から力強い御決意をお伺いをいたしました。やっぱり唯一の被爆国として核の平和利用を進めていくと、そのことを通じてある意味では地域の安定あるいは世界平和へ貢献していくと、これが一つの日本の進むべき方向性であると私は確信をしておりますし、今御決意をいただいた方向に向けて是非また御努力をお願いをしたいと思います。
 そこで、またリスクへの対応について議論を戻したいというふうに思いますが、一つには、資金管理法人が運用する積立金についてでございます。最大三・五兆円ぐらいの残高になるというふうに承知をしておりますが、これ、どの程度の利率での運用を目指して、運用益はどの程度発生することが見込まれているんでしょうか。とともに、六ケ所の工場も稼働を始めます。ただ、これもトラブルが仮に発生をして稼働率の低下等が起こることも、これもまたリスクとして織り込んでおくべきことだと思います。この例えば稼働率が大幅に低下して想定していた額以上の積立てが必要になった場合、こういう場合にはどういう対応をお考えであるか、経済産業省の御見解をお伺いしたいと思います。
○政府参考人(安達健祐君) 御説明申し上げます。
 再処理等積立金は極めて長期にわたる核燃料サイクル事業に備えるものでございまして、多くの運用益を得るというよりは、長期間にわたり安全かつ確実に管理されることが何よりも重要であると認識してございます。このため、積立金の資金運用につきましては、国債その他経済産業大臣が指定する安全な有価証券の保有等で行うことを基本としてございます。
 具体的な運用利回りにつきましては、当該積立金の運用は極めて長期にわたりますので具体的な数字としてなかなか申し上げることは困難でございますが、ちなみにこの運用の中心となることが想定されます十年物、十年国債の利回りについて申し上げますと、平成十二年から平成十六年までの間の平均の五年間の利回りは約一・四%となってございます。
 次に、稼働率の低下などの場合にどう対処するのかというお尋ねでございますが、再処理等に要する費用につきましては、昨年取りまとめられた総合資源エネルギー調査会電気事業分科会中間報告においても、将来、技術開発の進展、事業実施の不確定性等によりまして費用の変動があり得るものとして示されてございます。当初予定、想定したものと比べてある程度上下に変動することは当然あり得ることと考えてございます。想定と比べて増減した場合におきましては、基本的に必要な費用が過不足なく積み立てられるよう、経済産業大臣が本法律案に基づいて積立額を算定し通知することとなってございます。
 このような中で、積立額に大きな影響があるような状況の変化が生じた場合には、あらかじめ審議会の意見なども聞き、変化が生じた原因等もよく吟味しつつ、適切に積立額が算定されるよう努めていく所存でございます。
○小林温君 金利も含めて、いろんな環境変化もこれからまたあるかと思います。そういったことも織り込んだ形のリスクのヘッジというものを是非お願いをしていきたいというふうに思います。
 先日、大変痛ましいJR西日本の脱線事故がございました。まだ最終報告が出ておりませんが、稼働率を向上させようという企業の論理がああいった事故を招いたのではないかという、こういう見方もあるわけでございます。
 今回のバックエンド法の中で議論をさせていただいている再処理事業でございますが、国がしっかりと指導監督をして安全性を確保するということが大前提であろうというふうに思います。しかし一方で、先ほど来議論させていただいておりますように、民間にかなりの部分をゆだねるということになるわけでございまして、正にこの再処理事業を稼働させるということ、安全運転の思想というものが必要であろうと私は思うわけでございます。
 先ほど来、様々なリスク発生の可能性について議論をさせていただきました。例えば、明らかにこれは民間に責任があるというものについてはその責をしっかりと問うていくべきものだというふうに思いますが、先ほど来議論させていただいているような、想定できる、あるいはできないものも含めて、民間にその責任をすべて押し付けることができないような事由でも、この再処理事業に大きな影響を与えるような事態が発生する可能性もあると思います。
 こういう状況に至った際には、やはり国としてその責任を十分に示す必要があろうと思いますし、仮に民間に大きな影響が及ぶような場合には柔軟な対応も是非国としてすべきだというふうに私は考えますが、この点については経済産業省さんとしてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(小平信因君) ただいま御指摘がございましたとおり、再処理を含みます原子力の推進は安全の確保ということが大前提でございまして、当省といたしましても再処理事業が安全に行われていきますように万全を期していきたいと考えております。
 バックエンド事業に関しましては、制度、措置の検討が行われました総合資源エネルギー調査会電気事業分科会の中間報告、これは平成十六年の八月に作られたものでございますけれども、これで指摘をされておりますとおり、民間事業として行われます事業に付随いたします責任はこれを行う事業者に帰属することが基本でございまして、これはその重要な一部を成します再処理事業についても同様であると考えております。
 しかしながら、今お話ございましたような国際的な理由など、通常の事業活動とは別次元の要因等によりまして、事業者が事業継続の意思に反しまして事業を停止せざるを得ないような場合には、それによって生じます不利益をすべて事業者に負担していただくということは不適当な場合があるわけでございます。そうした場合の対応につきましては、その背景あるいは原因が何であるかということの議論なしに責任関係を整理することはなかなか難しゅうございますので、実際問題といたしましては、その時点で具体的な事情に即した議論を行いまして、それに基づいて国と民間がどのように責任を負い、あるいは負担をしていくのかにつきまして適切に対応をすべきものであるというふうに考えております。
○小林温君 国を取り巻く環境もこれからまた大きく変わるんだろうと思います。あるいは経済社会を取り巻く環境も同様だろうと思います。まあ超長期の事業でございますので、その時代状況に適応した官民の役割分担、その中での国の責任の在り方ということについては絶えず問い掛けをしていただきたいということをお願いを申し上げます。
 時間も残りわずかになりました。最後の質問にさせていただきますが、一時、脱原発ということが言われたわけでもございますが、国際的に見ると、例えば最近アメリカでは、新規の原子力発電所の建設あるいは新たにMOX燃料を加工し利用するような動きも出てくるなど、原子力をもう一度見直して新たにその政策を推進しようという、そういう動きも見られるようになってまいりました。このような国際的な動向をどのように認識をしておられるか。また、この動向を踏まえた上で、我が国の原子力政策を今後どのように位置付けていくか、経済産業省としての御決意をお伺いしたいと思います。
○大臣政務官(平田耕一君) 米国、フィンランド、中国、インド等で世界的に原子力の推進に向けた動きがあるというのは御指摘のとおりでございます。
 例えば米国では、ブッシュ大統領の指示で、二〇一〇年までに新規原子力発電所の建設、運転開始を目指す原子力二〇一〇プログラムが発表されまして、それに基づいて具体的な新規建設に向けた動きが出ておるわけでございます。また、解体核から抽出されるプルトニウムをMOX燃料に加工してプルサーマルで利用する計画も進行中であると承知をしておるわけでございます。
 さらに、フィンランドでは、チェルノブイリ事故以後の新規原子力発電に否定的な方針を変更いたしまして、五基目の原子炉建設が議会で承認をされ、二〇〇九年に運転開始の予定でございます。
 さらに、御承知でございましょうが、中国では二〇二〇年までに新規原子力発電所が二十ないし三十基程度建設される計画がもう既に発表されておるわけでございまして、このような新たな動向の背景としては、昨今の世界的なエネルギー制約や地球環境問題の高まりというのがあると認識をしております。
 我が国といたしましても、今後とも安全の確保を大前提にいたしまして、国民の皆様の御理解を得ながら原子力政策を着実に進めてまいりたいと、このように考えているところでございます。
○小林温君 終わります。
○木俣佳丈君 おはようございます。
 民主党・新緑風会の木俣佳丈でございます。特別委員長をやっておりまして、この通常国会唯一の質問に立たせていただきまして、非常に有り難く、感謝をしている次第でございます。
 二日間にわたって大変、同僚議員の皆さんからすばらしい質問の数々出ておりまして、クリアランスについてはもうほぼ質問出尽くしたかなという感もございますが、いずれにいたしましても、一時間お付き合いいただきますようによろしくお願いしたいと思います。
 まずちょっと、通告をしていないんですが、先ほどのとんでもない国がという話をちょっと中川大臣に一問だけ、とんでもない北朝鮮の話でございますが。
 新聞も一面から、燃料棒八千本取り出したということを高らかにニュースを使って言いまくっていると。更に言うと、原子力発電所を見ますと、実験炉といいながら送電線もないじゃないかと。じゃ何のためにやっているんだと。これは簡単に言えばプルトニウムを取るためだと、こういうことになるわけでございまして、こういったふらちな国家がもう間近にあって、核を幾つできるなんという、あと四か月後には五つぐらい、つくろうと思ったらできるという話もありますし、既に保有しているのが二つとか八つとか、いろいろ話がありますけれども、恐らくこれもあるだろうと。
 ただ、私は、まず言っておきたいのは、つくる能力はある程度あるかもしれませんが、核弾頭にはなっていないだろうと。小型化ができるような技術は私はないと。更に言えば、ノドンにしてもテポドンにしても、いわゆる命中率、射程距離は長いかもしれませんが、いわゆる半径必中界というので考えた場合には、東京をねらったとしてもどこかほかの、地域を言うといけませんので、どこかに落ちていく。それがむしろ危ないじゃないかと。こういうレベルではないかという。名古屋まではないと思いますね。恐らくはもうちょっと射程はあるかも、半径必中界でありますので、十キロとか、そういう精度の悪いものだと私は思っております。
 いずれにいたしましても、このならず者国家の北朝鮮、中川大臣は前、拉致の救う会議員連盟の会長という立場でありましたので、今外交をつかさどる担当大臣ではございませんけれども、是非経済制裁、これは効くとか効かないとかいう話ではなくて、今度も国務次官補がずっと回りますけれども、米国の、そういう方にもはっきり言いながら、早期に我が国の態度を示さなければ、これは国民からしたら何なんだという話になると思うんです。どうでしょうか。
○国務大臣(中川昭一君) 先ほどはお隣のとんでもない国というふうに申し上げましたが、正にそれは北朝鮮を指しているわけでございます。
 今日も一面トップ、あるいは二面三面等々に大々的に出ておりましたけれども、とにかく、私はあの国はよく知りません、行ったこともありませんし。ただ、いろいろな人の話を聞くと、多くの国民は大変生活に困っている。食べ物も、特に冬の燃料も含めて非常に困っている。お隣の国ですから、何としても我々のできることは隣国として、また長いお付き合いの地域でございますから、困っている人々に私も一人の人間として、政治家として何とかできることはしたいというふうに思っております。
 しかし、その前に、日本から盗んでいった多くの普通の日本人を早くきちっと返して、そして困っているのであればその困っていることを解決するために、危険なおもちゃを振り回さずにきちっとしていけば、私は、あんな無理してエネルギーを費やして、しかも国威発揚を目的としたであろうワールドカップの試合まで取り上げられて、何か随分と、何かもう少しやりようがあるんじゃないのかなというふうに思っているわけでございます。
 たまたま今日、後ほど曽我ひとみさんが私のところにも来られます。国会にも、多分いろいろなところを回られているんだろうと思いますけれども、またあの方々のいわゆる家族会あるいはまたいろいろな支援団体、そして多くの国民が経済発動をすべきであるという声もございますし、昨年、議員立法で先生方の御支援をいただいてあの経済発動に関する外為法の改正もやっていただきました。法律は現に存在をいたしております。これを発動するかどうかは内閣の決定でございますけれども、多くの国民あるいはまた国会の御判断があれば、我々としては、主権在民、議院内閣制ということで、そういう判断にしていく……
○木俣佳丈君 大臣個人として。
○国務大臣(中川昭一君) 個人というか、私はその担当大臣、所管大臣でございますので、あの外為法の経済発動、特に輸出輸入等の問題については所管大臣でございますので、個人というよりも、私は政治家として、多くの国民あるいはまた多くの国会の皆様方の現時点での御意思は発動すべきものであろうというふうに私は判断をしておりまして、そうであるとするならば、それを尊重するということになるんだろうというふうに思っております。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。はっきり発動すべきということを明言いただいたというふうに思っております。
 是非、これは本当、国民も、国会議員もそうですが、国民すべてがこのままじゃ本当にどういう国家だということになってしまいますので、我が国の正に威信に懸けてこれはもう経済制裁をしなければならない時期になっておりますので、よろしく、小泉総理を説得いただきますようにお願い申し上げます。
 次に、エネルギーの話全般にわたって今からいろいろ質問させていただきます。
 二〇一〇年、そしてまた二〇〇八年から始まる第一約束期間、二〇一二までの期間の京都議定書についてるる御質問をさせていただくわけでありますが、初めに、私も余り慣れておりませんが、風力発電のことについて農水の副大臣に御質問をしたいというふうに思っておりますけれども。
 三百万キロワットを二〇一〇年までに導入するというのが国の目標であります。ただ、現在非常に、九〇万とか、全く目標に達してないという中で、あと五年ということになっておりますけれども、やはりこれを進めるというのも非常に大事なことだと思います。
 ただ、私の立場から言うと、風力発電どんなに頑張っても、加納議員がお話があったように大したCO2の削減又はエネルギーの量になりません。例えば中部電力の浜岡五号機、百三十五万キロワットを代替する風力発電量というのは、恐らくはあれ琵琶湖を全面を風力で埋めるぐらいですかね、藤原さんは聞いていないかな、の量だったと記憶しておりますが、そういう薄い電力ではあるかと思います。
 ただ、欧州のデンマーク始めとしていろんな国で、ドイツもそうです、頑張っておりますように、いろんな電力のミックスでこれを乗り越えていかなきゃならない、こういう立場で質問させていただくわけでありますが、特に日本の場合、洋上のこの風力というのはなかなか難しいということもあって、そうすると、山林野、国土の七〇%を占めるこの山林野をどう使うかということになります。これが昭和二十六年の通達によって、この保安林というのがあって、五ヘクタールを超えるこの開発については、風力については非常に厳しい通達が昭和二十六年に出たまま、そのまま現存しているということになっております。昭和二十六年ですから私は生まれておりませんが。
 とにかく、そういったものを一つ一つ解除しながら国策を進めていかなければならないと、このように思いますけれども、是非、農水副大臣からどのようにこの辺りを考えていらっしゃるか、御発言をいただいて、その後で是非大臣の決意を、経済産業大臣の決意をお聞かせいただきたいと思います。
○副大臣(常田享詳君) 電気事業者への売電を目的として国有林野内の土地を風力発電のために用いることについては、原則として、まず国有林野における森林経営などの用途や目的に支障を与えないということ、そして今委員御指摘のとおり、五ヘクタール以下であれば民間事業者へその土地を貸し付けることができるというふうにしております。
 他方、本年三月からは、構造改革特別区域においては、一般電気事業者への売電を目的とする場合には五ヘクタールを超えても貸付けを認めるというふうにいたしております。ただ、残念ながら、現時点においてこのような構造改革特別区の申請は出ておりません。
 私も参議院の院の派遣で、ちょうど九・一一の事件が起こったちょうどそのときに、院の派遣でニュージーランド等に環境調査、エネルギー・環境調査に行かしていただきました。そのときに、ニュージーランドのタラルア山地の尾根の上に当時で四十八基の風力発電の装置、そして現在では百三基にそれがなっているということで、やはり山を利用した風力発電というのは、日本の七十数%は山地でもありますし、国有林野を活用するという視点からも私は大変有効な活用方法ではないかとそのとき思って帰ってまいりました。そのことを付け加えて御報告いたします。
○木俣佳丈君 ありがとうございました。
 今お話がありましたように、是非、まだ出ていないということでありますけれども、出るように、国策ですから、地方から出るような、幾つも私のところにやりたいんだというお話が来ておりますので、出るような方向で頑張っていただきますようにお願いをしたいと思います。
 また、この三百万キロワットというのは、大臣、これ達成できますか、そういうことをやっていけば。
○国務大臣(中川昭一君) まず、風力始めいわゆる再生可能エネルギーというんでしょうか、新エネというんでしょうか、こういうものをこれからのエネルギー政策の中で、基幹と言えるかどうかは別にして、大幅に増やしていかなければならないというのは国のエネルギー政策の大きな柱の一つでございます。
 そういう中で、風力ということにつきまして、これも新エネというか再生エネルギーといいましょうか、その中での大きな柱の一つでございますが、北海道も非常に多いわけでありますし、六ケ所村にも大変多くございますが、やはりある意味では、風車を利用してエネルギーを利用するということで非常にメリットの大きなものだと思います。
 他方、いろいろな困難、今の土地の利用の問題とかいろいろございますけれども、可能かどうかと言われれば、今や、今二〇〇五年の段階で、この目標に向けて、この達成することが非常にメリットが大きいわけでございますので、それに向けて今全力を挙げて取り組んでいるところでございます。
 例えば、具体的な地名を挙げますと、和歌山行ったりいろんなところに行くと、是非風力やりたいといって、その地元の方々から要請を受けることも私も何回も経験をしておりますので、地元のニーズにも合っているのではないかというふうに思っておりますので、そういう意味でも何とか達成したいと思っております。
○木俣佳丈君 何としても、国策でございますので、大臣からも農水省にも働き掛けていただきまして、是非達成をしていただきたいというふうに思います。
 次に、四月の二十八日に閣議決定をされました目達計画、目標達成の計画でございます。平成十三年に大綱ができて、失礼しました、大綱ができたのは五年ぐらい前でございますが、改善をしながら、経済産業省と環境省が削減の目標をすり合わせながら作られたわけであります。その中で、やはり民生部門並びに運輸部門、こういったところが非常に大きく伸びるというのは致し方ないのかもしれませんが、そういうことになっておりまして、産業はかなり頑張っているというような、頑張る、頑張るだろうということが目標達成計画の中に書いてございます。
 今度は車の話でございますけれども、愛知県もトヨタ始めとして、日産、スズキといろんな、三菱と、いろいろあるわけでありますけれども、ホンダもあります、あるわけでございますけれども、全部あります。
 非常に、平成十三年に取りあえず低公害車のアクションプランというのができまして、このときに二〇一〇年までに一千万台、低公害の車、これはいわゆる低排出とそれから燃費の向上ということを併せたものを一千万台、二〇一〇年までに達成するんだと。これは非常に大きなCO2削減、そして環境浄化になるということで、政府以上に、例えば我々、応援団体である自動車総連などもそれ以上に削減量は行くんだということを示させていただいておる次第でございます。
 今となっては、実はこの平成十三年のこの基準というものが非常に甘々というか、甘々という言い方していいのか悪いのか分かりませんが、今のこの出ている新車の、国内販売の四百万からもうちょっと上でしょうか、この台数はすべてこの平成十三年の基準をクリアしているということになりますので、二〇一〇年ならず、今年、来年ぐらいにはこの一千万の目標はもう悠々にクリアできるようにメーカーが努力をしているという言い方で正しいかなと思っておりますけれども。
 大臣に伺いたいのは、こういったその基準づくりについてなんですが、このスタンダード、基準をつくったからこれ目標が達成できたとお思いになるのか、それとも、自主的にメーカーはどんどんどんどん効率化を図って、そういった低公害のものを自主的にこうやったというふうに考えるのか。どちらがパーセンテージ高いと考えますか、大臣。
○国務大臣(中川昭一君) 甘々というよりも、当時としては非常に一つの目標として意味があったんでしょうけれども、やはり計画、政府が立てた計画に、民間が達成できない部分と、達成可能というか、この場合のようにクリアしてしまう部分とあって、私はやっぱり、日本の自動車産業が今世界の中で文字どおり最先端を行っているという、要するに売れている。売れている原因の一つは何かというと、低燃費とかあるいは低公害とかいうことで、アメリカ行くと、政治家とか有名スターはみんな低公害車に乗っている。つまり、日本の車に乗っているというような話も聞いたことがあります。つまりそれは、ある意味では、もちろんメリットもありますし、それだけの、何というんですか、ブランドイメージといいましょうか、内容を伴うブランドイメージというものが日本車にはできたということ。
 そういう企業努力をする。昔マスキー法なんという法律がアメリカでありまして、そんなもの日本はクリアできないよなんて言っていたものが企業の努力であっという間にクリアをしたということもございます。そういうところがやっぱり日本の自動車産業の強いところでありまして、だからこそ世界の中でニーズがあって、しかも工場も誘致してくださいと。私が会う先進国から途上国に至るまで、日本の自動車メーカー、是非工場を造ってくださいと、もう本当にほとんどの国と言っていいぐらいに言われるわけでございまして。
 それだけの努力をしたわけでございますから、これでもって目標を達成したんだからいいんだということではないんでありまして、やはり次の目標をどうするかはもちろん決めておりませんけれども、どう思うかということでございますので、それならば、更に低燃費あるいはまた低公害、究極的にはCO2を出さない燃料電池車ということになるんでしょうけれども、これはまあちょっと時間が掛かる話ではございますけれども。更に努力をしていって、乾いたぞうきんを絞るなんという言葉がありますけれども、日本の場合にはそういう輝かしい実績がありますので、その不断の努力を続けていただくことが日本の産業界にとっても貢献ですし、この場合には地球温暖化という地球規模の大きな貢献になると思いますので、そういう意味で更なる努力をしていただくことを、今の段階では計画を、次の計画を作るということは決めておりませんのではっきり申し上げられませんけれども、日本のメーカーには大いに期待して、その結果、またいい結果が産業としても出てくるのではないかというふうに思っております。
○木俣佳丈君 私が思うのは、やはり基準をつくってもらうというのは非常に大事なことだと思いますし、さらに日本の世界最高の技術力がそれをまた凌駕していくということは、努力も非常にすばらしい。どちらかというと、努力の度合いでいうと、一、九ぐらいかなと。メーカー九に、国が努力が一かなというのが私の印象であります。
 それで、いずれにしても、目標でその一千万台の目標のほかに、例えばクリーンエネルギーカーというのがございます。燃料電池も入った電気自動車、ガスの自動車、天然ガスですね、それからハイブリッド車、メタノール、四兄弟なんということを言われます。このクリーンエネルギーカーの四兄弟、目標が三百四十八万台、温暖化大綱のときには導入をされるというふうにうたっていたんですが、今回随分減りまして、二百三十三万台に減らさなきゃいけないということで目標が下がっております。残念ながら、こちら下がっておりまして、現在導入されているのが二十三万台というようなことになっておりまして、二十五万台ですか、最近は。ということでございますので、十分の一しかまだこの導入がされていないということで、これは何とか、二〇一〇年まであと五年でございますので、これもやはり大きな目標だし、これこそ正に技術のフロントラインだものですから達成しなければいけないと思います。
 そこで、少ないじゃないかなんということを批判してもしようがないものですから、今の制度で、じゃどれだけそのバックアップしているのかという観点から御質問しますけれども、やはり基本的には税で軽減して導入を進めるのか、それとも補助金を付けて導入を進めるのか。これが末端の消費者からすれば恩典があるということでありますけれども、税といっても、例えば、今減免されているのは自動車取得税、取得のときに掛かる税と毎年掛かる自動車税、この二つについて減免が行われているわけであります。
 まず、取得税の話からいたしますと、このいわゆる四兄弟、すべて減免ということで自動的に減免がされているというのが今の現状になっております。
 しかし、この自動車税の方を見てみたときに、三兄弟、電気自動車、CNG、ガスのところ、それからメタノールについては自動的に五〇%この自動車税がオフになると、カットされるというのに対しまして、ハイブリッドは機種によるんですね。
 ハイブリッドは、いわゆる普通ガソリン車と同じように、五〇%削減されるのは新四つ星かつ燃費が五%超ということが要件になっておりまして、実はこの低公害車ガイドブックというのがこれ三省共監で作られております。これ見ますと、ハイブリッド車は全部出ておりますが、この中で型プリウスだけかな、五〇%自動的にカットされますのは。あとは二五%カットとか低率のカットになっているというふうになっておりまして、なぜ四兄弟がそろって取得税は減免されるのに対し、自動車税はハイブリッドだけまま子扱いされるのかなと。これを、これは国交副大臣、せっかく来ていらっしゃいますので、お答えいただけますでしょうか。
○副大臣(岩井國臣君) 今、木俣先生御指摘のように、自動車取得税にかかわる特例につきましては、ガソリン、軽油に代わる代替エネルギーの利用促進という観点から、昭和五十年から措置が講ぜられてきております。
 他方、自動車税の方でございますけれども、自動車税にかかわる特例につきましては、代替エネルギーという観点ではなくて、大気汚染対策あるいは地球温暖化対策一層推進するという立場から、これは平成十三年度より措置が講ぜられてきておる。観点が違うというところがあります。
 そういうことでございまして、今後とも、自動車税のグリーン化につきましては、関係者の御意見もお聞きしながらよく前向きに検討してまいりたいと思っております。
○木俣佳丈君 車の販売を促進する経済産業省、副大臣から、是非、これハイブリッドも当然ながら自動的にやれるようにお願いしたいと思いますが、いかがですか。
○副大臣(保坂三蔵君) 私も全くそのとおりだと思います。
 二〇一〇の計画が立つときに議論をしたこと覚えておりますけれども、トヨタ自動車の説明では、ハイブリッド車一台売るたびに、プリウス一台売ると十万円の損金が出ると、こういうPRをされました。
 しかし、現実にその当時の開発から考えると、普及というものに非常に耐えられたわけですけれども、今日、税制上の優遇措置、あるいは買換え時のユーザーへの補助、こういうものは本当に利いてきたと思いますが、一方では、技術の開発にも非常に努力されまして、開発コストを埋めていく、そういう両面が整ったと、こういうふうに考えております。しかし、確かに全体の一割しか普及していないんですね。
 そこで、この点につきましては、木俣委員がおっしゃる方向は全くそのとおりだと思っておりまして、我々も引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
○木俣佳丈君 全くそのとおりで、燃料電池車がすべてCO2を排出しないというような勘違いをしている方もありますが、藤原委員が言われましたように、実は改質をするときに、ガソリンからか天然ガスかからの改質でございますからCO2は必ず出ます。
 ですから、そういった意味でも、ハイブリッドをとにかくどういうふうに世界に広めていくか、又は、いや、まあ日本で広めていくか、世界に広めていくかというのが恐らく、今後の十年の恐らく自動車産業の勝負だと私は思っておりますので、今言われた方向で是非、両省、財務省に働き掛けをしていただきたいというふうに思っております。
 さらに、ちょっとこの質問を進めますと、その自動車税、まあハイブリッドだけがまま子扱いされているわけでありますけれども、重軽課の措置がされているわけですね。つまりは、重課されるところ、これは例えば車齢が十一年のディーゼル車、車齢が十三年のガソリン車、これについては重い税が一〇%掛かると。その分、中立をさせて軽課、つまりその分だけ要は軽減措置をするというので中立をさせるということであります。
 大体、程度が、大体二百億程度という非常に小さな額になっておりまして、まあ額もさることながら、当然なんだと思うんですね。車歴、車齢が要は、十一年、ディーゼル、車齢が十三年のガソリン車、こんなものがそんなに残っているのかなということを考えますと、今後非常にこの制度自体が矮小化していくということは否めないと私は思っておりまして、是非、重軽課のこの措置、つまり重軽課で中立させるという措置ですね、これを含めて経済産業省には解除をしていただいて、重課するのはそれはいいでしょう。だけれども、その軽減する方は別枠で措置をしていただかないと困ると思いますが、いかがですか。
○副大臣(保坂三蔵君) お話のとおりだと思うんですけれども、現実的に、省エネで実施したこの優遇措置でございますので、これは代替えをしてもらうというところに、最初から念頭に置いているわけです。
 ところが、十一年あるいはまたガソリン車の十三年のように、経年車両につきまして車を買ってくれというのはどうも、これは自動車業界に対しては申し訳ない言い方でございますが、今まで電車に乗っていた人が自動車に乗ることを促進をするというような、そこまではちょっと踏み切れないというような部分がございます。かつて優遇税制やりましたときも、一年間で六千キロ以上走らなくちゃいけないとか、そういう枠も導入したような時期がございましたが、そういうことを考えますと、税制の中立という点では、中立だからというんではなく、使って代替えをする人には税制優遇措置をする、そしてまた替えない人には重課をして、これも率直に言って代替えをしてもらうというような努力をしながらやっていくのが最も促進をするんではないか、このように考えております。
○木俣佳丈君 多分、一問先のお答えも併せていただいたのかなと思って今ちょっと拝見していました。
 ちょっと、すごく、いや、私も勉強しながらなかなか分かりにくいなというふうに思っておりますけれども、今のお話は補助金の話だと思いますが、補助金については買換えのみで新規の購入についてはないと。私もこれで損したわけでありますけれども、とにかく、新規であろうが買換えであろうが、それを普及させるならばいいじゃないかと。つまりは、名義人が例えば別の方がどんどん買っていくんですね。当然ですね。要は、お年を召して亡くなっていく方があり、新しいドライバーになっていく方があるわけなものですから。買換えのときはいいよと、だけれども新規の人は駄目だよということはチャンスを実は奪っちゃうんですね。ということは、非常に税制の簡素、中立、公平という、別の意味での中立という意味でいうと、公平という意味でも非常におかしな実は恩典を既得権者に与えているという税制になっているということになります。
 ですから、この今のは補助金の話でございますね。補助金を新規の人には出しませんが、その買換えのときには渡しますという話は是非やめていただきたいと同時に、先ほどの話は、要するに税収全体、自動車税として中立をするように、こちらには重課をし、こちらには軽課をしというようなのがツーペイになるような形で税が施されているわけでありますが、これが要は、車歴、車齢が十一年のディーゼル、それから十三年のガソリンという非常にもう古いものについてのみの重課になりますから、こんなものを、どんどん今は別の規制が掛かって、もうなくなり始めているんですよ。ということは、新車を買い、保有する方々にとっても、そっちのその重課する分が減るものですから軽課措置もどんどん減っていくということになりますので、非常にこれ制度的に矮小化されていくだろうというのが予想されるので、これは是非取っ払っていただきたいと、こういうことなんですが、再度、ちょっとそこだけ。
○副大臣(保坂三蔵君) 環境負荷ということから考えれば、もう全く木俣先生おっしゃるとおりでございまして、もう十一年、十三年という車両は、これはクラシックカーの部分で入ってきますから、現実的な議論ではございません。確かにそういう方向で努力しなくちゃいけない、このように考えております。
○木俣佳丈君 是非、強い決意でお願いしたいというふうに思っております。
 やはり、大臣に最後に、お帰りになって突然でございますが、お願いしたいのは、今国交省さんの方でも頑張っていらっしゃいますけれども、このトップランナーの燃費のものと、それから排出の非常に削減されたものと、二つのマトリックスで頑張っていらっしゃる、頑張っていただいておるわけなんですね、この日本、我が国は。これをデファクトスタンダードとして世界に訴えていく、これがやはり私は一番大事だというふうに思います。
 これは、要するに我が国産業の育成ということが一つ大きな目的でありますけれども、のみならず世界の環境問題、本当に考えるならば、これはやはりみんな、中国なんかでもどんどんどんどんこれ増えていくわけでありまして、車が。ですから、世界の環境問題をやはり考えるときには、日本発の、珍しいと思いますがね、それをやはりデファクトにしていくということを是非決意を持って行っていただきたいと思うんですが。
○国務大臣(中川昭一君) これは、木俣委員おっしゃる御趣旨は全くそのとおりだと思います。新産業創造戦略の中でも燃料電池という、究極というか、さっきもちょっと時間が掛かると申し上げましたが、そういう観点。それから、現時点においての一番世界的に勢いのある日本の自動車産業というものが更に、さっき九対一というお話されましたけれども、確かに、比率は別にして、本当に民間の方が国なりアメリカなりのいろいろな厳しい基準をいち早くクリアしていっているという実績もございますので、今後も是非頑張っていただきたいと思いますし、それにお役に立つようなバックアップ的な政策をしていかなければいけないと思っております。
 他方、もっと大きな次元で、環境面、省エネ面という観点で申し上げますと、先日も申し上げましたが、先週、パリで国際エネルギー機関の会合の中でも私から、省エネあるいは新エネが重要である、日本はこれだけ努力して世界一のエネルギー効率国家になった、省エネ国家になった、しかし、これは日本だけではなくて、技術移転というか協力というものも必要であるということを強く訴えたところでございます。
 また、その後、私はバンコクに行って、タイとのEPA交渉の、まあ交渉ではございませんけれども、首相あるいは担当大臣といろいろな話合いをいたしましたが、タイという国は二〇一〇年を目指してアジアのデトロイト、つまり自動車産業の生産基地になりたいという大きな目標があって、そういう意味では競合関係にいずれはなっていくのかなと思っておりますけれども、しかしまた協力すべきところは協力したいと。向こうのニーズの最大のポイントは、低燃費車、低公害車を是非タイで今後普及したいんだというようなことを強く要望を、首相、副首相以下言っておられました。
 そういう意味で私は、特に中国とかインドとかいった急速にエネルギーを必要とする国、消費しなければいけない国に対してこういう車が普及していくということは、私はこの前も申し上げましたが、その国のみならず、近隣諸国に空気、大気を通じて、あるいはまたいろんなものを通じて我々にも降ってくるわけでありますから、そういう意味でも、地球のためにも、前回申し上げました子孫からの借り物であるこの地球のためにも私は必要であると。その大きな柱が輸送部門といいましょうか自動車部門だと思いますので、実質デファクトスタンダードというか、日本に何とか追い付きたいというふうに各国の自動車メーカーは思っているんじゃないでしょうか、アメリカとかヨーロッパの車メーカーは。
 そういう意味で、実質なっていると思いますけれども、さらに今、何といいましょうか、協力といいましょうか、大きな意味で、単なる産業政策、自動車業界がもうかるとかもうからないとかいうだけではない、もっと大きな意味で日本の車がトップランナーとして走り続け、それを各国が目標にしていくという形というものはいろんな意味で意味のあることだと思っておりますので、デファクトスタンダードというのは正に国同士が決めるものでは文字どおりない、文字どおりデファクトでございますけれども、そういう意識を持ってこれからもメーカーもやっていただきたいと思いますし、我々もそういう認識を持ってこの政策に取り組んでいきたいというふうに思っております。
○木俣佳丈君 ただ、やはりちょっと違うなというふうに思いましてね。それは何かというと、民間企業というのは何かというと、基本的には営利追求にあるんですね。やはり、だからこそガバメントが要るわけなんですから、ですから再配分機能というか、いうことも含めて要ると思うんですよね。
 今のお話だと、非常にもうみんなが善人で、世界じゅうの皆さんが、善人というか心が非常に善くて、もうすべてハイブリッド車をみんな幾らお金を掛けても買うんだというような話の前提であれば今のような話はあるんですが、残念ながら、やはり今は安ければいいという方がまだあります。これは所得の制限もあると思いますけれども。そういった方々がまだまだ多いわけなものですから、やはり世界で、例えばBIS基準なんという金融関係の方の基準もさることながら、ISOなんという基準もさることながら、要するに日本が主導権を握ってスタンダードをやはり決めると。これ以下の排出基準、排出をするような車は世界で売ったら違反だともう条約で決めるというぐらいのやはりことがなければ、残念ながらそういった車は走らないというふうに私は信じて疑いません。
 今朝、イギリスのフライ大使とお話をちょっとする機会がありまして、面白い話だなと思って聞いておりましたのが、この京都議定書について我々としてはもちろん推進派だと、中国の方がアメリカよりも話しやすいんだといって、話が分かりやすいんだといって言われましてね、すごいなと思って話を伺いました。そんな感じなんですよ。
 ですから、我々からすると、中国なんか話なんか聞くもんかというふうに思い込んでいる節がございますけれども、実は非常にある意味でのへ理屈、論理的にアメリカはそこを逃げようとすると。私は、京都議定書がすべてそれが正しいというか、すべてそれを守らない人はもう悪人だということは言いたくありませんし、だけれども、今の環境問題、地球環境全体を考えたときに京都議定書は必要だという立場でありますが、いずれにしても、そこに入る国と入らない国があって、中国よりアメリカの方が難しいんだなんてイギリスの大使が、イギリスが言っているというような中で、今の大臣の御発言のように、もっと自主的にみんながいい方向に向かうんだというのはちょっと僕は甘いんじゃないかなという感じを受けました。私の意見でございます。
 原子力の話にちょっと移りますけれども、今日は文科の副大臣にも来ていただいております。
 私は原子力は、私はというか、中川大臣も前平沼大臣も原子力は国策であるということは否めないことだと思いますし、最終責任はこれは国にあるということだと思います。
 たまたまウランの価格が下がったり上がったりしますので、再処理のところ、又はバックエンドのところは民間がやってもいいよ、やらなくてもいいよという話がこの二十年間あるわけでございますけれども、いずれにしても、国が最終的な責任は取るというのが私は立場であり、私もそう思っております。
 そういう中で、先般も藤原議員から質問がありましたけれども、高速増殖炉「もんじゅ」のこの再開ということでありますが、私は絶対的に必要なものだというふうに思いますし、全世界がやめたとしても日本はあきらめるべきではないというのが私の意見でございます。
 ただ、やはりいろんな省がかかわっていて非常に分かりにくいという話が先般もありましたけれども、私もそれはそうだと思いますが、いずれにしても、明確な期限と目標というものを定めて戦略的に取り組んでいかなければいけないと。
 さらに言えば、今、実験炉から原型炉というところにございますけれども、そこから実証炉、商用炉という四段階あるかなと思いますけれども、しかし、それをそのままのフレームで考えていいのかなと。つまりは、もう原型炉、現在の原型炉がもう商用炉であるというような中で、もう倍ぐらい要るかもしれませんが、考えることができないかなということも含めて、もう少し戦略的に国民に分かりやすく御説明をされないと、これは何かあればすぐ止める、再開まではめどが立たないというような話がずっと続くと思いますけれども、是非副大臣から、どのようにお考えになるか、御説明をいただきたいと思います。
○副大臣(小島敏男君) 高速増殖炉「もんじゅ」の関係について御質問があったわけでありますけれども、今お話がありましたように、実験炉から原型炉から、それから実証炉、実用炉という形の四段階に実は入っているということも事実であります。
 現在、ウランの関係がどういうふうになるかという先行きが余り見通しが立たないということも実際あるわけですけれども、それがもしウランが枯渇した場合にはどうしたらいいかということで、現在、高速増殖炉の形をやっているわけであります。
 海外におきましては、例えばフランスの原型炉フェニックス、これは電気出力が二十五万キロワットという形でありますけれども、二十年弱にわたって行っておりますし、またロシアの原型炉BN600は電気出力が六十万キロワットということで非常に大きいんですけれども、これはもう二十年以上順調な稼働実績を示しているということが外国にはございます。
 我が国においては、実験炉「常陽」や原型炉「もんじゅ」などの設計、建設、運転などを通じて高速増殖炉の技術的な成立性を確認するとともに、実用化に向けた研究開発に有効な多くの知見、経験を蓄積してきたところであるということでありますけれども、先ほど木俣委員がおっしゃいましたように、いったんナトリウム漏れということで十年間の空白があったということでありますけれども、これがこれから始まるという形になっていますが、実際、「もんじゅ」が稼働しているときには、平成七年八月の試運転中には四〇%の出力で送電を行った実績もございますので、これから十分に技術的に成立するような見通しを得ることを模索しながら進めていきたいというふうに考えてございます。
○木俣佳丈君 もう少し、要は、先ほど言いましたように、戦略的にやはり僕は考えないと駄目だと思いますね。今の御説明は、すごくもう何年も、十年近くされている御説明だというふうに私は、もっと長いですね、だと思いますね、ですから三十年ぐらいかもしれませんが。
 やはりそうではなくて、今言ったように、今「もんじゅ」が二十七万キロワットで何とかやれるんだと。世界でもやっているんだと。だから大体六十万ぐらい、五十万とか六十万キロワットでいけばコスト的にも合うんだと。その技術は日本はあるんだと。そしてナトリウムが駄目なら例えばガスで冷やしていくというような話もあるんだと。それをどういうふうにするんだ、どのぐらい期限切ってやるんだというのをやらなければやはり駄目だろうということを私は申し上げているので、是非その辺りは違う味の御答弁をいただきたいなというふうに思います。
 今、副大臣お話がありました、ウランの現在価格が非常に急騰しているという話、又は百年もつとか七十年とかいろいろ話がございますが、非常に需給は逼迫しております。中国なんかでももうすぐに百基できるんじゃないかなんという話もありますし、中国国内では大体毎年毎年、関西電力や中部電力一社が発電するぐらいの量が増加していると、毎年、というような状況だと聞いております。
 そういう中で、やはりウランを始め、これは天然ガスもそうでございますけれども、いわゆる非化石燃料の価格は高騰するに違いないわけでありますけれども、今後どうなるか、ちょっとどなたかお答えいただけますか。
○副大臣(保坂三蔵君) ウランについてでございますけれども、OECDの原子力機関の発表いたしましたウラニウム二〇〇三、これによりますと世界のウランの埋蔵量は四百六十万トンぐらいだと、こう言われております。このまま計算いたしまして現在の需要量で割り切りますと、八十五、六年で可採年数が切れてしまうと、こうなっておりますが、委員御案内のとおり、ウラニウムは現在需要におきまして、一次的な供給は頭でも六割ぐらい、五割から六割なんですね。その残りはいわゆるアメリカやロシアの兵器の解体から出るところの二次供給で埋めていると、こういうところでございます。
 そして、新たに新しい国の需要などが入ってまいりますので、ひょっとしますと、このまま行きますと、ウラニウムは十年ぐらいで不足が見えてきてしまうんじゃないかという非常に末恐ろしい状況でございます。現に、その影響もありまして、スポット価格が上がっているわけですね。そういうことを考えますと、やはり核燃料サイクルシステムはどうしてもやり遂げていかなくちゃならない、このように考えております。
○木俣佳丈君 さらに、昨年来からいろいろ核燃サイクルの問題で、コスト面、経済性ということが言われておりますが、この辺りを大臣はどのようにお考えになりますでしょうか。サイクル、要するに、これは再処理のコストと再処理しないでワンススルーでするコスト等々のお話でございます。
○国務大臣(中川昭一君) これを言うと御批判を受けるかもしれませんけれども、サイクル自体の最終処分の問題がまだ残っているわけでございますし、第二再処理の問題も今後の問題としてあるわけでありますから、最終的にこういう再処理と直接処分とどっちがコストが高くなるかということについては、時間の問題もありますし、一概には言えないことだろうと思います。もう少し詳しいことであれば担当の方から答えさせますが。
 ただ、今の直接処分というのは、要するに一回きりでもう捨ててしまうというか埋めてしまうということと、理論的には何回でもということだそうでありますけれども、少なくとも再処理して利用できるというメリット、それから安全ということが大前提でございますけれども、環境へのプラス面ということも考えますと、十項目ですか、あの検討のときに幾つかの検討項目を挙げた結果、総合的に、単にエネルギー政策だけではなくて、あるいはコスト面だけではなくて、総合的にやっぱり再処理した方が、私が好んで使う言葉でちょっと抽象的ではありますけれども、最終的には日本の国益にかなうということではないかということで、専門家の皆様方も再処理という御判断をいただいたというふうに理解をしております。
○木俣佳丈君 時間も、ちょっと延長していいですか。委員長、十二時まで。
   〔資料配付〕
○木俣佳丈君 あと十五分ぐらいでございますが、今日、今資料をお配りさせていただきました。ちょっと見にくい資料でございますけれども、目達計画及び二〇三〇年のエネルギーの需給展望、これを両方合わせた資料を調査室に作っていただきました。その関連の質問をさせていただきたいというふうに思っている次第でございます。観点は、非常に数字合わせが過ぎるんじゃないかというのが私の思い、そういうので質問をいたします。ちょっと細かい質問になるかもしれません。
 まず一番初めに、経済産業省と環境省がこの統合案を作る前に現行のそのままのケース、これどこで見るかというと、二〇一〇年度現行対策ケース、上の表の真ん中の経産省案、環境省案のところであります。これ、九〇年度比のこの伸び率、エネルギー起源CO2が、一番上の欄でございます、五%、八・四%、こういう差があり、その下もずっと環境省とは大きなパーセンテージの差を持ってシミュレーションをしていると。
 つまりは、現行のまま対策を、追加対策ですね、対策を今しているわけですから、対策を行わなかった場合には大きな差が出てくるということになるわけです。つまり、発射台が、要は議論のベースが違うということでありますが、なぜこんな大きな三・四%も違うようなことになったのか、まず御説明をいただきたいと思います。
○政府参考人(齋藤浩君) まず最初に、両審議会あるいは両省で検討を始めた経緯でございますが、平成十四年にこの以前の温暖化推進大綱というのが決定されました。その際に、その中に十年先までほっておくんではなくてそれぞれのステップごとに見直しをしましょうという見直し条項、ステップ・バイ・ステップアプローチと呼んでおりますが、それを入れておりました。その最初のファーストステップの評価というのがちょうど平成十六年に来るということでございまして、昨年の初めぐらいから関係省庁におきまして現行の温暖化大綱による対策についてどのくらいの効果があるか、それで達成ができるだろうかということについての評価の作業を既に始めていたということでございます。これが八月までにそれぞれ中間的に出てきたということであります。
 それでは、それぞれなぜ別々にやったのかということでございますが、これは従来から温暖化対策につきましては、産業、民生、運輸、それからプレーヤーも民間であったり、公共であったり、また関連する施策がエネルギーであったり、交通問題であったり、住宅問題であったり、あるいは環境問題ということで極めて多岐にわたるということでございますので、政策の評価につきましてはできるだけ個別具体的な対策の評価を積み上げていこう、それを総合して全体を見ていくことが重要であろうというやり方をしてございます。
 したがいまして、当省の中でも省エネ、新エネ、代替フロン、それから経団連の自主行動計画の進捗状況など、それぞれ専門的な知識をお持ちの関係する審議会で御検討を積み上げていただいておりまして、最終的にそれを産構審の環境部会で全体の評価にすると、こういうやり方を進めておったわけでございます。
 一方、環境省におきましても、そういうステップ・バイ・ステップということで、平成十六年における中間評価に向かいまして中央環境審議会におきまして専門的な観点から審議を行いまして、これも中間的な取りまとめを昨年に出されたということでございます。
 その際にどういう違いが出たかということでございますが、基本的には、その将来の推計の見方につきまして大きなものを幾つか申し上げますと、すり合わせをいたしましたんで、すべてどこが違ったかということは我々も十分承知を実はしておったわけでございますが、例えば業務用の伸びのところにつきまして、ビルのエネルギー原単位が上がるか下がるかというような見方の違い、それから原子力発電所の稼働率をどう見るかという点で違いがあった、それから、経団連の自主行動計画についての評価の違い等があったということで、発射台、現行の対策における数字の違いというのが出てきたわけでございます。
 その後、最終的な温暖化計画、目標達成計画の策定過程におきまして十分すり合わせをしながら、最終的には統一見解というものにまとめたという経緯でございます。
○木俣佳丈君 時間がありませんので、ポイントだけ言っていただければ結構でありますが、事前に私いただいた回答では、例えば排出権取引や環境税、こういったものの導入というようなこともかなりあるというふうに聞いておりましたが、今のお答えとちょっと違うかなと思います。
 ただ、いずれにしても、同じ政府なものですから、要するに、我が国の政府の中で環境省と経済産業省のベースとなるその発射台の数値がこれだけ違うと。で、結果何が違うかといろいろ検討されたということでありますが、出される前に、その辺は政策とか、こういったものを導入するんだ、導入しないんだというような、恐らくそうなるんだろうというのはやられるのは当たり前だということを申し上げたいと思います。
 ただ、いずれにしても、時間がございませんので次の質問に行きますが、黒いシャドーでちょっと落としてある部分でございます。黒いシャドーで、上のところ二つ、それから下四つ箇所をシャドーでやって、影でちょっとやっておりますけれども。
 何が言いたいかというと、まず下の方からちょっと見ていただきたいと思いますが、自主行動計画、今の経団連の自主行動計画ということでありますが、温暖化対策大綱のときには二千十万キロリットルの省エネをできますよというふうになっていた。今回は、追加対策ケース、まあ現行推進ケースでも、いやいやそこまでやれないしやらなくてもいいよ、つまり半分ですね、一千百九十万キロリットルの省エネを経済界でやってくれればそれでいいんだよ、こういうふうに半減させているわけであります。
 同じように、じゃ、今度は上の表に行ってください。産業のところを横に見ていただくと分かりますように、今度はCO2の排出量がどれだけ、要は、これは増えるか、増えるかというか減量でございます。要は、百万トン単位で四六二百万トン産業界から排出しますよというものでありますが、要するに、省エネ量は減りながら四六二百万トンから四三五百万トンに削減をされると、CO2の排出については。
 ということになっているわけでありまして、まあ積算根拠を聞いておりますので、長くなるといけませんので、それを聞いたのをそのまま申し上げますと、つまり経済成長率が二%で一応計算したのを、それだけは行かないと、実質経済成長率一・五に直したと、これは政府全体が直しております。ですから、一・〇一五と一・〇二を八年間ということで計算しているようでございますので、これを八乗するということになりますと、差が実は五%出てくると。産業界全体の石油の消費量をキロリットルに直しますと二億キロリットルになるということでありまして、掛ける五%で一千キロリットル削減するから、要は経済成長に合わせて減るんだよと。だけれども、このCO2の削減はそこまで、要するに、何というんでしょう、増えませんよと、更にそれ以上に減りますよということなんでございますが、私が計算しますと、この八年間で産業界全体、全部が二〇%以上のエネルギーカットをしてもまだ実はこの数字にならないということになるんですね。
 先ほど来から大臣がおっしゃるように、九〇年基準というのは日本にとって最悪の基準であります。というのは、それまで省エネ機器等々も含めてかなりもうやり切った、これが九〇年ということでございまして、それ以降たまたま経済成長が伸びていないがゆえに何となく産業界も落ち着いて見ている、いや、落ち着いてはおりませんが、見ている向きもありますけれども。しかし、それを更に全産業、エアコンとかそういう単品だけじゃなくて全産業を二〇%省エネするという、八年間で、ということは、これはちょっと極めてその期待値が高過ぎるんではないかなということを考えるわけなんですね。
 どうでしょうか。
○政府参考人(小平信因君) お答えを申し上げます。
 今先生から御指摘ございましたようなことが積算の背景にあるわけでございますが、もう一つ申し上げますと、これはエネルギー、どのようなエネルギーを使うかということがCO2の排出量には当然関係をしてくるわけでございまして、需要サイドにおきまして産業構造が変わっている、よりCO2の排出量の少ないものにエネルギーが変わっている、あるいは電力の消費の割合が増えるということで、その電力をつくるところ、原子力の割合が高まるというようなことで、結果として、これは産業界におけるエネルギー需要、どのようなエネルギーを使っているか、それによるCO2ということで計算をいたしておりますので、結果としてただいま先生のおっしゃったような積算あるいは試算結果になっているということでございます。
○木俣佳丈君 今、エネルギーのスペクトラムが変わるということでありますが、簡単に言いますと、百三十五万キロワットの原子力発電所、これを要は石炭から代替したときに、大体全CO2排出量、九〇年比の排出量でいうとポツ五ですね、〇・五%削減になると、これが大体のそのベースになると思いますね。それをベースにして考えますと、例えば東京電力さんで原子炉が十七基全停しましたね。これ一年間止まりますと年間でどれだけ上がるかというと、九%になります。半年ぐらいは平気で止まっていましたから、四%ぐらいはアップしているんですよ、実は。
 それプラスもっとすごいことは、四、五年前は十から十三基というお話でございました。現在、二〇一〇年まで五基がマックスということになりますと、八基要するに減少をしていくということになりますね。
 ですから、そういった今の御説明の中で、原子力に頼る、つまりは脱化石燃料というような御説明がございましたが、どうしてもこれはちょっと違うんじゃないかというふうに思うんですが、いかがですか、長官。
○政府参考人(小平信因君) 簡単にお答えを申し上げます。
 これは電力需要の伸び全体が以前の試算をしましたときに比べましてかなり落ち込んでおりますので、今御指摘のとおり、原子力発電所の基数につきましては十から十三基が五基ということに減っておりますけれども、電力需要全体が落ち込んでおりますことから、原子力発電による発電のシェアはむしろ上がっていると、こういうことが一つ背景にあるということでございます。
○木俣佳丈君 時間がございませんので、私が言いたいことは、原子力発電所は絶対にもっと増設しなければならないだろうということでございます。たまたま今経済状況が余り、鈍化しているということで、ここ平成十三年からずっと軒並み電力のキロワットアワーの数が減っております。ですから、そういう省エネはある程度は進んで、又は経済鈍化ということで名目GNPは要するに下がり続けているわけですから、そういうことがあるかもしれませんけれども、巡航速度で一・五%の実質経済成長、デフレがもう脱却されておりますので、ということで考えていきますとこのままで済むわけはないわけなんですね。
 ですから、最後の質問になりますけれども、これ原子力発電所、もちろん二〇一〇年までのみならず、今後も大臣にしっかり頑張っていただきながら、国策として今やっていかないと、さあやめた、さあやるよ、これではやっぱり始まらないと思うんですね。特に、先ほど来から何度も申しますように、お隣中国では、もう今三菱重工さんとか、もう用意ドンで今売り込み合戦が始まっております、原子炉のですね。そういった中で本当に、いわゆる量的なセキュリティー、安全保障ということと、それから本当、いわゆる危ないという意味での安全保障ということを考えたときに、日本が中心になって原子力をどう進めていくかというのが極めて大事だと思います。
 ですから、今、十三か月で一回の定期点検ということを加納議員が言っていらっしゃいましたが、そういった規制緩和も含めて、大規模にこれ進めていかないと、我々の本当に年を取ったころには非常に惨たんたることになってしまうということでございますので、最後に御決意をいただいて、質問を終わりたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) まず、エネルギー政策的に言うと、今、木俣委員御指摘のように、やっぱり日本経済どんどん元気になってもらいたい、それによって当然エネルギーも使うんでしょうけれども、その場合のエネルギーとして、多様化といいましょうか、それから環境面とかいろんな面がございますので、何が何でも原子力オンリーでシフトをしろということにもならないとは思いますけれども、御指摘のように原子力というものは、基幹電源としての重要性、まあエネルギー、経済面だけではないこともございます。
 他方、原子力発電所を造るに当たっては、先ほども申し上げましたように、何よりも安全性、御地元の理解ということもございまして、いろいろと今御指摘のように計画が中断というか大幅に減っていることも事実でございますが、原子力発電の重要性というものについて御指摘をいただきました。そういう面も十分踏まえながら、原子力発電の基幹電源としての位置付けというものを改めて認識をしながら、中長期的に日本経済あるいはまた民生のレベルを落とすことなく省エネができながらやっていくことが大事だろうと思います。
 一言だけ申し上げますと、産業部門について御指摘がありましたけれども、私はいつも申し上げているんですが、一人一人の心掛けということも、ある意味では小さなことかもしれませんけれども、みんなが民生用を仮に一〇%カットすれば、これだけでも相当の量が利いてくるわけでございますので、そういう意味も含めて、御指摘非常に重く受け止めさせていただきたいと思います。
○木俣佳丈君 終わります。
    ─────────────
○委員長(佐藤昭郎君) この際、委員の異動について御報告いたします。
 本日、田英夫君が委員を辞任され、その補欠として近藤正道君が選任されました。
 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。
   午後零時二分休憩
     ─────・─────
   午後一時三十分開会
○委員長(佐藤昭郎君) ただいまから経済産業委員会を再開いたします。
 休憩前に引き続き、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案及び核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の両案を便宜一括して議題とし、質疑を行います。
 質疑のある方は順次御発言願います。
○藤原正司君 民主党の藤原でございます。
 一昨日に引き続きまして質問させていただきます。
 午前中、同僚議員の方から北朝鮮が使用済燃料を抜き出したということについての言及がありました。私としましては、北朝鮮が核を持っているかどうかというのは知り得ないところでありますが、しかし、あのような言動が、あるいはさらに、今ばっこしているテロ軍団とかですね、ああいうことが別の国際的な平和利用、原子力の平和利用という面において選択肢を狭めたり制約を加えていくと、この点においても極めて残念なことだというふうに思っております。
 そこで、法案の内容について質問に入らせていただきますが、まず、核物質防護の関係についてでございます。
 一九九九年にIAEAからガイドラインが出されました。これINFCIRCというんですか、INFCIRC二二五というんですか、この内容はほとんど今回の核物質防護の法案の内容に合致するものだというふうに思っておりますが、その後、二〇〇一年には、九・一一テロがあって以降、核拡散ということをめぐって国際社会が大変厳しい考え方を持つようになってきたと。
 こういう中で、この核物質防護のこの法案について、我が国の場合は、平成十六年に総合資源エネルギー調査会の原子力防災小委員会、ここで考え方が整理されて今回の法案提出になっているというふうに思うんですが、なぜこのようにタイムラグがあるのかということについてお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 今御指摘のとおり、IAEAが作成をしております核物質防護に関するガイドラインでございますけれども、そのうちのリビジョン四、最新のものが策定をされましたのは、御指摘のとおり、一九九九年でございます。まだ、一方で、ガイドラインでございますので法的拘束力がない勧告でございまして、それをどうその時点で各国が国内法に移し替えるかどうかということにつきましては各国にゆだねられているという、そういう性格のものでございます。
 一方で、我が国におきましては、原子炉等規制法に基づきまして防護対策を事業者に対して講じさせてきたところでございますが、特に、今御指摘のとおり、二〇〇一年の米国同時多発テロの後、特別の警察部隊あるいは海上保安庁の巡視船艇による二十四時間体制での警備という形で強化をしたわけでございます。
 その後も、しかしテロの脅威は更に高まってきていると、こういう情勢を受けまして、御指摘のとおり、昨年、総合資源エネルギー調査会の下に防災小委員会を設けまして幅広く御議論をいただいた結果、その結論を踏まえて、今回、法律改正をお願いをしている次第でございます。
 本法案で規定しております核物質防護検査は、事業者の核物質防護措置が適切かつ確実に講じられていることを国がきちんと確認をする制度でございまして、今回の制度改正の中核をなす重要なものでございます。御指摘のとおり、その内容は基本的にはこのIAEAの最新のガイドラインに即したものになっているわけでございます。
○藤原正司君 テロということについて、欧米各国と我が国、欧米各国の国民と我が国の国民の意識というものについてのギャップがあるということはある程度やむを得ないこともありますし、この点に関してはまたこのちょっと後から質問の中で論議をさせていただきたいと思うんですけれども、やっぱりこのように国際社会がテロに対してきちっと前向きに厳しく取り組んでいこうという姿勢を出しているわけでありまして、四月にも国連で、国連が、核によるテロリズム行為の防止に関する国際条約、これを採択をした。これ我が国もいずれ国内法に落とし込んでいく必要がある。さらに、核物質防護条約と、これが特に国際輸送中の核物質の警備を中心として条約が結ばれている。これに対する国内法の整備の問題も出てくる。こういうことに対して、我が国としてもやっぱり機敏に対応していく必要があるというふうに思っているわけでございます。
 そこで、ちょっと質問を飛ばさせていただいて申し訳ないんですけれども、この今申し上げました核物質の国際輸送の問題とは別に、核物質防護条約についての今見直しの論議がされているというふうに承知をしておりますが、この論議と今回の改正の内容というものがどういう関係にあるのか、あるいは内容的に十分マッチしたものになっているのか、その点についてお尋ねしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 ただいま御指摘いただきましたとおり、核物質防護条約改正に係る国際会議が開かれておりまして、四月に準備会合がウィーンで開催をされまして、この会合を踏まえてこの七月にも国際会議が開催をされて、ただいまございます核物質防護条約の改正作業が行われる予定でございます。準備会合から我が国におきましても積極的にこの議論に参加をしているところでございます。
 この条約改正は現在交渉中でございますので、その内容を予断をすることは差し控えたいと思いますけれども、今般の核物質防護対策の強化の主要な内容でございますDBTの導入あるいは核物質防護検査制度の創設あるいは秘密保護制度の制定というのは、先ほど御説明しましたとおりIAEAの最新のガイドラインの内容でございますけれども、今回の条約改正の内容にもなり得るというふうに承知をしております。
 もちろん、条約改正はこれから議論行われますので、仮に何らかの形で新たな論点につきまして合意が得られた場合には国内法で対応することは将来的には必要になってくると思いますけれども、基本的には現在の条約改正の方向の趣旨に現在お願いしております法改正はのっとっているものだというふうに認識をしております。
○藤原正司君 ちょっと時間の関係で通告した内容を飛ばしていくかも分かりませんので、その点、よろしくお願いしたいと思います。
 そこで、今回のこの核物質防護というのは、むしろ外部からの脅威に対してどのように防護していくかということが中心になっているわけでありますが、この内部脅威に対する対策というのが今後の課題であるということについてはこの原子力防災小委員会報告においても指摘をされているところでございます。
 これについて、とりわけ従業員を始め関係者ですね、このプライバシー保護との関係が重要になってくるというふうに思うわけでありますが、政府は今後この内部脅威に対してどういうふうに対策を講じていくかという点について、検討の方向についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 原子力施設における内部脅威対策、いわゆるインサイダー対策につきましては、その対策の必要性についていろいろ指摘をされているところでございまして、我が国におきましても本年一月より原子力防災小委員会の下に特別のワーキンググループを置きまして検討をしておりまして、ワーキンググループとしての報告書案が現在取りまとめられたところでございます。
 このワーキンググループの報告書案におきましては、個人のプライバシー情報を内部脅威対策として活用することにつきまして国民の理解を得るためには、原子力施設の安全確保が特に不可欠であるということが理解されるということと同時に、プライバシーを含む基本的な人権に一定の制約を課すということにつきましても国民に納得していただくことが重要であるというふうに考えております。
 このプライバシーの保護、基本的な人権というものと、それから内部脅威対策というものについてきちっとした対応をするということについての議論につきましては、更に幅広く慎重に御議論いただく必要があるというふうに考えておりまして、私どもとしましては、このワーキンググループの報告書を踏まえまして、さらにその上部組織でございます総合資源エネルギー調査会の防災小委員会での議論を進めながら、またこれは警備当局を中心とします関係省庁とも十分な連携が必要でございますので、政府全体としての幅広い議論も行いながらきちんとした検討を行ってまいりたいというふうに考えております。
○藤原正司君 誤解なきように申し上げておきたいんですが、私、テロからの核防護をいい加減にしていいと言うつもりは全くありません。これはきちっとやっていかないと国民の生命、財産守っていけないということでありますから、これは当然やっていかなければならない。
 ただ、テロに対する認識が我が国の場合と欧米の場合ではかなり違いがある。確かに今テレビやあるいは新聞等の報道で外国で頻繁に行われているテロを我が国民は十分承知していると思いますが、それは対岸の火事的な知識として承知をしているということであって、すぐ我が身に、身近なところでテロ行為が起きるとか、身近なところで原子力発電所等が襲われるとか、あるいは燃料が争奪されるとか、そういうこととしてなかなか受け止め切れていない、そういう感情にあるというふうにまず思っています。また、アメリカなどは、一般人が銃器を保持することが許されているように、暴力から自ら守るということについての割合意識もある。
 そういう国情の違いという、違いがかなり多い中で、さあこれからテロに対して、それは我が国でもいつ起きるか分からないんですし、起きた以上は当然大きな影響を与えるわけですから、さあこれからその対策を打ちましょうと、そのためには内部脅威に対してもきちっとやらなければならないといったときに、どれほどの心構え、理解を持ってこれを受け止めてもらえるかということが一つあるというふうに思っておりますし、国民全体がそういう理解があるかどうかということが一つあると思います。
 もう一つは、当然これは、個人のプライバシー問題というのは絶対に侵してはならないというのは当然これはまたあるわけですし、それをどう守りながらテロ対策を講じていくかという難しい問題もあるわけですけれども、こういう我が国と欧米のテロに対する認識の違い、ギャップというものをうずめつつ我が国としてきちっとしたテロ対策を講じていかなければならない。ここにある意味での難しさがあるというふうに思いますが、この辺について、大臣としてのお考えがありましたらお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 藤原委員御指摘のとおり、テロといってテレビの中で見ている外国のテロとどうも日本の場合は、地下鉄サリン事件というようなものございましたけれども、どうも御指摘のように私自身も欧米と日本では一般国民の間で認識に若干の差があるのだろうというふうに思っております。
 しかし、仮に例えば、国際的なテロは世界じゅうどこでも弱いところをねらってくるわけでありますから、例えばあのバリ島のテロであるとか、あるいはまた、昨年ですか、オーストラリア大使館、ジャカルタでやられた事件でありますとか、あれらは別にアジア向け仕様とかアメリカ向け仕様なんてことはないわけで、世界的に同じようなことをやるわけで、そのターゲットが万が一、日本に、ねらわれたときには、例えば原子力発電所であるとか、まあ世上よく言われております新幹線であるとか水力発電所であるとかといったときに、それに対しての意識あるいは対応というものはやっぱりきちっと共有しておかなければいけないんだろうというふうに思っております。
 アメリカの場合には、九・一一以降特別の法律を作って、テロから国家国民を守るためにかなりプライバシーに踏み込んだ特別立法、例えば電話の盗聴ができるであるとか令状なしで捜索できるであるとか、かなりまあ非常事態的な立法措置までとって、国民ももちろん納得してやっているわけでありまして、今すぐ日本にそんなものをやれといっても、これはまあちょっと極端過ぎる話ではありますけれども。
 今回御審議いただいている法律というものは、日本にも向けられる可能性があると、まあどういう規模かは別にしてですね、その場合に原子力発電所というものに対してのターゲットという可能性があるので、それに対して守るべき法益というものを御審議いただいているわけであります。他方、個人の情報あるいはプライバシーの保護というこれまた重要な問題、あるいはまた守るべき権利、あるいはまた法律上の目的等があって、前者の方は必要にして最小限、まあ言葉では簡単ですけれども、これまた難しいんでしょうけれども、必要にして最小限にとどめるべきだとは思いますけれども、それにしても重なっちゃった部分、場合にどうするかという問題につきましては、実は、政府部内においても、あるいはまた国会、国民的にもまだコンセンサスが実は得られていないんだろうというふうに思っておりますので、この問題についてよく国民の皆様に御理解をいただき、そして、決して必要以上の個人のプライバシーを侵害するということはないんだ。
 他方、守るべき法益という、この御審議いただいている法律についての守るべき法益はこうなんだということを御理解を得ながら、何としても、万が一襲われた場合とか、あるいは内部からのそういうものに関係するような行為が行われた場合にどうなるかということを、仮定の話でありますけれども、御理解をいただきながら、現時点ではきちっとした線引きが実は政府としても、また法的にも整備されておりませんけれども、できるだけ早くそういうものをきちっと確立すべく、その前提としての国会あるいは国民の御議論をいただくために我々としても広報活動をきちっとやって、その結論を得るための一助になればというふうに考えて努力していかなければいけないというふうに思っております。
○藤原正司君 次に、クリアランス制度についてお尋ねをしたいと思います。
 日本の場合は、放射能とかあるいはそれに被爆という言葉について特に、国民は特別の思いを持っておりまして、科学的安全が必ずしも安心、イコールではないというところが非常に強い国家ではないかというふうに思っております。例えば、ある集団が、このクリアランス制度の導入によって原子力発電所の廃棄物で作ったスプーンでカレーを食べないかぬ、こういう表現をすると、そのことが案外国民にちらっと心をつかむような傾向がある。とはいいながら、やっぱり安全というのは安心のまず基礎になければならぬということは言うまでもないわけであります。
 そこで、基本的な問題なんでありますけれども、まず安全の基礎は、正しい測り方で、そしてまず正しい基準を設けて、安全な基準を設けて、そして正しい測り方でそれを検出する、そしてそのことをきちっとチェックをする、そういうことが必要だと思うわけですけれども、このクリアランス制度の基本を成す検認作業ですね、この点について基本となる考え方をお教え願いたい。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 クリアランス制度におきまして、クリアランスレベル以下であることの確認を的確に行うことは非常に大事なことでございますけれども、一義的には事業者の責任であると同時に、国はその事業者の活動が適切に行われているかどうかということを厳格にチェックをすることとしております。
 具体的に申し上げますと、クリアランスの確認、検認におきましては、原子力事業者は、国があらかじめ定めます技術基準などに基づきまして、対象となります資材の測定及び評価の方法を定めまして、その上で具体的な放射性核種濃度の測定を行うと、こういう形になっております。クリアランスレベル以下というふうに判断されたものにつきましては、発電所の外に搬出されるまでの間、事業者におきまして適切に保管、管理をすると同時に、その測定などの記録を作成、保管をすると、こういう義務を掛けているわけでございます。また、これら一連の活動が適切な品質保証体制の下で行われるということも担保されるわけでございます。
 国におきましては、こうした事業者における測定、評価の方法、これがきちっとした形で行われているかどうかということをあらかじめ審査をして認可をいたします。さらに、その次の段階といたしまして、測定、評価の結果につきまして事業者が保存をしております記録、あるいは国自らが抜取り検査をするというような形で確認をする。更に加えまして、年四回実施をいたします保安検査あるいは随時の立入検査を通じて、こうした測定に係る事業者の品質保証活動というものが適切かどうかをチェックをすると、こういう形で担保したいと思っております。
○藤原正司君 そこで、クリアランスレベルなんですが、おとといからの論議を通じまして、このクリアランスレベルである十ミリシーベルトというのは自然放射線、放射能の二百分の一ということで、健康上全く問題のない数字であるということはこれまでの質疑を通じて明らかになっているわけであります。ところが、この十ミリシーベルトというのは、その対象物の表面の放射性物質が放出する放射能が十ミリシーベルト。ところが、原子力設備の場合は原子力発電所の稼働中に中性子線を浴びて内部が放射化すると、内部が放射化したものが放射能を、放射線を出すと。
 こういう内部放射化したものに対して、この表面の十ミリシーベルトで判断するということだけで安全ということが言えるのかどうか、この点についてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(三代真彰君) お答えいたします。
 クリアランス対象物、対象物と申しますのはコンクリートや金属の構造物などでございますけれども、これの汚染の形態というものは中性子線によってその対象物の内部まで汚染される、いわゆる放射化の汚染と、それから放射性物質の付着などにより表面が汚染される二次的な汚染に大別されるわけでございます。
 まずは、その測定の仕方でございますけれども、御質問の放射化による内部汚染の場合には、過去、運転中に受けました中性子線の線量と、それからその対象物の組成、どういう元素から成り立っているか、そういうものから内部に生成される放射性核種の種類と濃度を計算いたします。そして、その中にできました放射性核種の濃度を計算によって求めることができるわけでございます。なお、その際には、その対象物内部からサンプリングした試料の放射性核種濃度を測定して計算結果の妥当性を確認するわけでございます。
 先ほど先生の御質問にありました、いわゆる被曝量ということでございますけれども、今現在我々が考えておりますのは、そのベクレル・パー・グラムという濃度で規制をするということでございますと、濃度については今のような計算で出てくるということになっております。
 それから、二次的な汚染による表面汚染の場合には、対象物の性状を踏まえて、そして各種の、いろんな種類の放射線測定装置でもって表面の濃度を求めるということになるわけでございます。
 このように、いろいろな放射線による汚染形態というのがあるわけでございますけれども、それに応じた適切な測定、評価方法によりまして対象物にある、対象物の中あるいはその表面の放射性核種の濃度を求めて、それがそのクリアランスレベル以下であるということの判断をするということにしております。
○藤原正司君 まあ、むいた話、その対象物の大きなコンクリートブロックがありましたと、表面測ったら十ミリシーベルト以下でしたと。すうっとこれ通過しまして、後からぱかんとこうハンマーで割った中から濃いのがぽんと出てきたと、そういうようなことはないんですねという、こうまあ平たく聞けばそういう意味なんです。
○政府参考人(三代真彰君) 正に、おっしゃるとおり計算によって求めますけれども、サンプリングによっても確認いたします。ですからそういうことはございません。
○藤原正司君 私もむいた話の方が得意なんですが、(発言する者あり)そうですか、割った話で。
 次に、このクリアランス制度というのは、先ほども申しましたように、安全であるということが必ずしも住民の皆さんから安心になかなかつながらないという部分があるわけでございまして、この制度も、本制度が定着するまでの間、クリアランスされた廃棄物については原子力事業者自らが率先して再利用を進めるとか、そういうふうに書いてあるわけですけれども、この点についてどういうことを想定しておけばいいのか、お聞きしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) 御指摘のとおり、きちっと安全確認されたものが国民皆様の安心につながるということが大事でございますので、そういう意味で、クリアランス制度が、新しい制度でございますので、社会に定着するまでの間、国民に信頼感を持って受け入れてもらうための取組が必要でございます。そういう意味で、今御指摘のとおり、原子力事業者におきましては、クリアランスされたものにつきましては、当面の間でございますけれども、自ら率先をいたしまして電力業界を中心に再生利用などを進めるということを考えているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、例えば金属でございますと鉄筋、鉄骨に、あるいはコンクリート廃材でございますと埋め戻し材、路盤材と、こういう形で再生利用することが考えられますけれども、具体的なその再生利用の内容は検討中でございますけれども、こうした形で再生利用されたものを電力事業者の中で、彼らの活動の中で再生利用品として使っていくと、こういうことを考えているわけでございます。
○藤原正司君 クリアランス制度というのは、単に原子力施設の廃材を処理をするということだけではなくて、これ平成六年の原子力長計にも、敷地を原子力発電所用地として引き続き有効に利用すると、すなわち用地のリユースというところに大変大きな目的があるわけであります。
 我が国の場合、狭い国土でありますし、原子力発電所を始めとして原子力施設の立地という面で見ると、それほどあちこちに土地があるわけではないと。ですから、このいったん廃止した原子力施設を、その用地をもう一度新しい発電所等で再利用していくというのは極めて重要なわけであります。
 特に、この我が国のこれからの原子力計画考えても、向こう三十年、二〇三〇年においては五千万キロワット程度の原子力発電の体制を保持していかなければなりませんし、さらに、その後においては、例えばFBRの炉ができるかも分かりませんし、どういう原子力設備を設けていかなければならないか、これはまあ、少なくともこれから長期にわたって原子力施設用地の確保というのは極めて大事なわけでして、このクリアランス制度というのがうまく機能するかしないかによって、ある意味ではこの五千万キロワット体制が維持できるかどうかということにも懸かってくるほど大変重要な問題ではないかなというふうに思っているわけでございまして、もしこのクリアランス制度が地域住民あるいは自治体、広くは国民の理解が得られないとするならば、単に発電所を廃止したけどその廃材を外へ持ち出せないということではなくて、我が国のエネルギーの供給体制にすら影響を与えるというほど重要なものではないかと。ある意味では地味な法律ではありますけれども、極めて重要性を持っているのではないかというふうに思っているわけでございまして、このためには、このクリアランス制度が本当に国民の中にうまく定着していくためには周到な対応が必要ではないかというふうに思うわけでございますが、この辺について大臣の御所見をお聞きしたいと思います。
○副大臣(保坂三蔵君) 私の方から御答弁させていただきます。
 ただいままで保安院からいろいろ御答弁してまいりましたとおり、このクリアランス制度はフェールセーフになっておりまして、一、二とちゃんとチェックをするシステム化が国民の安全、安心を確保すると、こういう前提になっているわけでございます。したがいまして、この排出された廃棄物が今後例えば使われる場合におきましても、事業者、電力業界を中心にこれを再生利用していくとか、明確に制約をしております。
 こういうことを基本にいたしまして、あくまでも廃止措置を円滑に進める上で必要不可欠な点をすべてチェックをするという前提で進めてまいりますので、これから御心配、御懸念があるようなことのないように、国民各層により一層丁寧に説明をしていく必要がある、このように私たちは考えております。
○藤原正司君 今日、私は環境省の方をお呼びしておりませんけれども、このクリアランスされた対象物が外へ出ていくという場合には、当然、産廃業者の手を通じて廃棄物処理場に運ばれると。ごくごく一部の業者のために、一般国民の産廃業者の受け止めというのは、産廃業者イコール不法投棄というふうな非常に、何といいますか、厳しい評価を受けていると。
 こういう中において、このクリアランス制度というものがうまく機能していくためには、環境省、そしてもちろん経済産業省、そして地方自治体、そして業者、この全体としての連携といいますか、きちっとした対応をしていかないと、一つこのクリアランス制度の何かの網を抜けてしまって問題が起きたということになると今後に大変大きな影響を与えると。その意味で、十分、今副大臣の答弁があった趣旨を踏まえて対応していただきたいというふうに思うわけでございます。
 次に、海洋投棄の禁止に関してお尋ねをしたいと思います。
 これは一九九三年の十一月に原子力委員会で海洋投棄の禁止ということを決定をしているわけでございますが、ちょうど、その同年の十一月の、この十日後にロンドン条約の締約国会議で海洋投棄禁止を正式に採択をしているわけでございます。それがこれまた何で今なのかということについてお尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 九三年に、一九九三年にロンドン条約の改正が行われまして、海洋投棄の禁止対象がこれまでの高レベル放射性廃棄物から、放射性廃棄物その他の放射性物質という形で拡大をされたわけでございます。御指摘のとおり、同年の十一月に、日本におきましても原子力委員会において、「我が国としては、今後、低レベル放射性廃棄物の処分の方針として、海洋投棄は選択肢としないものとする。」と、こういう決定が行われたわけでございます。
 他方、原子炉等規制法におきましては、海洋投棄は主務大臣の確認を受けた場合以外には行ってはならないと、こういう規定になっておりまして、逆に言いますと、確認を受ければ海洋投棄は行えると、こういう内容であったわけでございます。
 このため、当時、法令の見直しについてどうするかということが検討がなされたわけでございますけれども、国際条約の方を見ますと、ロンドン条約では、別途、IAEAによりまして適用除外レベルの放射能を含む廃棄物その他のものにつきましては海洋投棄禁止のルールを適用しないと、こういう内容が盛り込まれていたわけでございます。IAEAでこのレベルをどう決定をするのかということはその時点ではなかなか予測困難でございまして、したがいまして、IAEAにおける議論を踏まえた法令上の仕組みというものをその段階ではなかなか確定しにくかったと、こういうことでございました。
 その後、IAEAの議論をフォローしてまいりますと、引き続き実は継続検討中ではございますけれども、仮にこの適用除外レベルが確定したといたしましても放射性廃棄物の海洋投棄が許容されるような状況にならないと、こういうことが明らかになりましたので、今回、法律改正をお願いする中に、この海洋投棄の禁止も明らかになるように炉規制法の規定の見直しを行ったと、こういう経過でございます。
○藤原正司君 安全という面からいえば、それは一定の数値レベルというものは当然あるんだろうと思いますけれども、ただ、今、国際社会においても、海洋投棄というその言葉自体が、言葉自体が極めて否定的にとらえられているわけでして、その意味で、遅きに失したとはいえ、当然きちっと整理しておかなければ、我が国自体のこういうものに対する姿勢というものが問われかねないというふうに思っております。
 そこで、一昨日、バックエンド積立法の中で、一部時間切れでお聞きできなかった部分がございますので、お尋ねをしたいと思います。
 バックエンド積立法におきましては、バックエンド事業費約十八・八兆円のうち三・七兆円が積立金の対象になっていないと。すなわち、当期費用で処理すべきものというふうに整理をされているわけでございますが、この積立ての対象となるものと当期費用で対応すべきものというこの線引きの原則というのは一体どういうところにあるのか、お尋ねしたいと思います。
○政府参考人(安達健祐君) 御説明申し上げます。
 本法案におきまして積立対象としている再処理等費用でございますが、これにつきましては、基本的に引当金として会計上処理され、準備金として税制措置の適用を受けるものとしてございます。いかなる費用を引き当て対象とすべきかにつきましては、資源エネルギー調査会電気事業分科会において議論が行われましたが、その際、直接再処理にかかわらないようなものであって、当事者の裁量によって変えることができるようなものについては引き当てる必要がないという考え方が示されたところでございます。そこで線引きをしているところでございます。
○藤原正司君 まあ、一応聞いておきます。
 それで、積立対象となるこの使用済燃料についてお尋ねをしたいわけでありますが、これは同僚の加藤議員が一昨日質問した内容において、従来は全量再処理を前提に発生する使用済燃料に対して引き当てていくと。今後は六ケ所施設の能力に応じて、結果、二〇四六年までで三・二万トン処理できるということで、これを対象にして、残り三万四千トンについては計画が具体化するまではお客様からそれをいただいたり積み立てるという対象にはしないと、こういうことになっているわけでございます。
 そこで、ちょっとくどいようですが、先ほどの関係とにおいてお尋ねしたいんですが、電気事業者が具体的計画を固めるまでの間、回収、積立てを行うことは困難というこの報告、中間報告という意味は、どこが、いつ、どんな施設かということも含めてまだ今は決まらないんだから、残りの部分について、いわゆる第二再処理の問題について何も決まっていないんだから、具体化した時点で考えるといいますか、検討するという、そういう理解でいいんでしょうかね。
○政府参考人(小平信因君) お答え申し上げます。
 今御指摘ございましたとおり、今回の法案におきましては六ケ所再処理工場で再処理されるものを対象にいたしております。そこで、六ケ所再処理工場で再処理されずに当面貯蔵される使用済燃料、これは昨年の原子力委員会の中間取りまとめで再処理するということを基本的な方針にしておりますけれども、これにつきましては、同じ取りまとめにおきまして、この六ケ所の再処理工場に続きます施設につきましては、二〇一〇年ごろから検討を開始をするということになっておるわけでございます。
 これは、よく御承知のとおり、再処理につきましても諸外国含め様々な技術開発も行われておりますし、二〇一〇年から検討を開始をいたしました、その結果として建設される再処理工場がどのようなものになるのか、あるいはだれが主体になって建設をするのかというようなことも含めて二〇一〇年から検討するということでございまして、したがいまして、その第二といいますか、六ケ所工場に続く施設で再処理をされます場合の費用の合理的な見積りができないということでございまして、仮にこの費用を見積りをいたしまして、積立ての中に入れますと、発電コストの一部を成すということになりまして、電気料金から回収されるということになるわけでございますけれども、今申し上げましたとおり、合理的な必ずしも見積りができないものまで義務付けますと、需要家から適切性を欠く負担をいただくというようなことになるということで、結論的に申し上げますと、二〇一〇年から検討を開始される、その結果として、結論が出るまでは積立ては行わない、むしろそれが決まった段階、具体化して見積りが可能になった段階で、検討の上、積立てを始めるということになるということでございます。
○藤原正司君 このことによって生ずる負担と受益の不公平の問題は、加藤議員の方が一昨日もされましたので、これには触れません。
 そこで、この処理されない部分については中間貯蔵しますということになります。これは、この中間貯蔵は今回積立金の対象になっていないわけであります。
 その理由がどういう理由かというと、再処理に直接かかわる費用でない、コスト検討小委員会の報告に含まれていない。何となく、分かったような、いい加減な答弁のような、私がそっちに座ったらそんな答弁するんちゃうかみたいな答弁なんですが、実は、それはそれとしても、少なくとも現在の六ケ所の再処理工場が予定どおり稼働したとしても、これから発生していく使用済燃料を全量再処理することはできない。第二再処理工場ができるまでは順番待ちをしなければならない。その順番待ちのための、いすと言うたらいかぬが、待合所、待合所がこれ中間貯蔵なんで、この待合所というのは、今から考えたときに、全量再処理できないという前提に立てば、当然必要な設備、待合所というのは。そうすると、これは一応、一兆百億円が十八・八兆円の計算の中に入っているわけですけれども、その当然必要な順番待ちの費用、中間貯蔵費用というものが、今申し上げた直接かかわる費用でない、コスト検討小委員会の報告に含まれていないということだけで対象にしないというのは何となく理解がしづらい部分があるんですけれども。というのは、直接再処理とは関係ない部分でも対象になっているものもあるわけでして、その辺についてもう一度お考えをお聞きしておきたい。
○政府参考人(安達健祐君) 確かに、委員御指摘のとおり、中間貯蔵は将来の再処理のために貯蔵する事業でございます。これをどう扱うかというのは分科会でもいろいろ議論がございました。
 それで、いつ、使用済燃料のどれだけの量を原子力発電所の貯蔵プールから搬出し、いずれの施設に貯蔵するかにつきましては、電力会社の裁量が相当働くものでございます。元々、使用済燃料は、オンサイト、原子力発電所にあって、そのところから、その貯蔵プールから中間貯蔵施設へ移すわけでございますが、それぞれのサイトごとに、いつどのぐらいの量を移すかはそれぞれ電力会社の裁量に、働くものが多いということから、これに係る費用につきましては、会計上引当金として整理をしないで、各年度において発生する施設の減価償却費や運営費用として、当期費用として処理することが適当という議論がされたところでございます。
 以上のような考え方を基に、中間貯蔵費用につきましては本法案の積立金の対象費用には含めないこととしておりますが、いずれにしても、発電コストの一部を成すことは間違いありませんので、受益者負担の原則の下、電気料金として回収されることとなると考えているところでございます。
○藤原正司君 最後の質問にさしていただきたいと思います。
 ちょっとしつこいようで申し訳ございませんが、一昨日、私、大臣に対しまして、エネルギー政策を推進するに当たって一貫した行政組織といいますか、そういうものが必要ではないかと、あちらは研究開発やる、こちらは実施部門だとか、いろんな形でばらばらになっていることが我が国のエネルギー政策を推進していく上でそごを生じるんではないかということ、それから、これからエネルギーというのがますます戦略物資化していく中でそういうことでいいんだろうかという懸念を申し上げました。また、省庁の中にもエネルギー関係で経験を踏まれ、それなりの知識と経験を踏まれた方が、きちっとした人材がスパイラルアップしていくような組織になっているかどうかということも含めて申し上げました。大臣は、一昨日の答弁は、私のそういう考え方については同感であるという上で、今後関係省庁間の連携強化という形で御答弁をいただいたというふうに私は承知をしております。
 で、今すぐここで省庁再編問題についての御答弁をいただこうとは思いませんけども、是非、これは与野党を超えて、エネルギー政策の推進体制について我が国がきちっとしたものを、なってほしいというのはそんなに異論のあることではないと思いますし、是非、今後の検討課題として是非御検討いただきたいというふうに思うわけでございますが、この点について、しつこいようですが、もう一度回答をいただきまして、私の最後の質問にさしていただきます。
○国務大臣(中川昭一君) 藤原委員の御指摘は、前回も申し上げましたが、国民の観点あるいはまた国のエネルギー政策、原子力政策からいって、きちっと実質的に一本化された方がいいのではないかということでございまして、それについては私も、御趣旨はそうあるべきで、実質的にそうあるべきであるというふうに思っております。
 例えば、ロケット開発にいたしましても、またこの場でも時々御議論いただくWTOやEPA戦略でも、いわゆる各省ばらばらではという御指摘があるわけでございまして、それについてはそれぞれお答えをさしていただいておりますが、午前中も御議論の出ましたいわゆる実験炉あるいは原型炉、実証炉云々という段階で担当が違うとか、あるいはまた今のような御指摘含めて担当行政が違うというのは現実でございまして、それで果たして国の根幹である、今後ますます重要になるエネルギー政策がいいのかという御指摘については、それによってそごが生じることについてはもとより良くないわけでございますから、そういう意味で、人的な面あるいはまた組織面も含めまして、私はそういうそごが起きないようにやっていくことは当然のことだろうというふうに思っております。
 これが具体的に組織云々という話に即結び付くだけの私には権限がございませんので、それ以上の発言ではないということは残念ながら御理解をいただかなければいけないところでございますけれども、御趣旨につきましては、実態論としてそういう問題が起きないように、またこれは各国間の競争でもあるわけでございますから、ある意味でその競争に負けない体制づくりという観点からも極めて重要な論点提起だというふうに思っておりますので、そういう御指摘を踏まえながら、これからの原子力行政、エネルギー行政に取り組んでいきたいというふうに思います。
 ありがとうございます。
○藤原正司君 終わります。
○浜田昌良君 公明党の浜田昌良でございます。
 本日審議となっております使用済燃料再処理積立金法案及びクリアランス制度を規定する原子炉等規制法改正案は、我が国の原子力発電政策においてバックエンドを確立する上で非常に重要な法案であると私は理解しております。
 つまり、我が国において使用済燃料からプルトニウムを抽出する、そしてMOX燃料をつくる、そのための積立金制度をつくるんだと。一方、原子力発電においてはプルサーマル運転を開始すると。一方、経年変化した原子炉につきましては廃炉の制度を確立し、また、そのために出てくる廃棄物については合理的な処理のための制度を確立すると、そういう内容でございます。
 これらの法案によって提案されていることは、今まで国民的議論が必ずしも十分ではなかった原子力発電のバックエンド事業を我が国においてもいよいよ本格的に確立すると、そういう時期が来ているんだなと実感しているわけでございます。
 そこで、本日、私からは、このバックエンド体制が果たして十分であるのかという点について幾つか質問をさせていただきたいと思っております。
 その前に、この時期にバックエンド事業に関する経済的措置を決める契機になりました電力の自由化について一点確認しておきたいと思っております。
 本年四月から電力小売市場の自由化の契約電力量が五十キロワットまで引き下げられまして、自由化部門の電力量ベースが六三%になると。そういう大きな自由化になるわけでございますが、そうしますと、高圧契約のスーパーや中小ビル、さらには小規模の工場までも自由化されると。一体、こういうことは我が国に何をもたらすんだろうかと考えているわけでございます。結局は、高い電力料金で空洞化が懸念された産業部門よりも、むしろ二十四時間営業を拡大しているスーパーとか、また事務所といった業務部門を中心に電力料金が引き下げられていると、そういう実態も聞きました。また、新規参入電力事業者の約半数が温暖化ガスを多量に排出する石炭火力とのことでもあります。
 そこで、是非、大臣にお聞きしたいと思うんですが、電力自由化、電力料金引下げによる業務部門のエネルギー消費の拡大、また石油・石炭火力会社の新規参入による温暖化ガスの排出拡大が懸念される中で、この電力自由化政策と地球温暖化対策とのバランスについてどのように取っていくべきかについて、そのお考えをお聞きしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 今御指摘のように、四月からまた自由化が一層広がって、中規模といいましょうか、中よりも小に近い部分まで自由化されていったわけでありまして、その結果、今御指摘のような業界を中心に需要量が増えてきているという現実があるわけでございます。そして、御指摘のように、そういうところに新規に参入してきているところはコストを勝負にしてやってきておりますので、石炭火力が多かったりということになりますと、当然、当然といいましょうか、一般的に天然ガスよりも石油、石油よりも石炭の方がCO2等の排出量が多いということも頭の中に入れておかなければならないわけでございます。
 自由化のそもそも論というのは、そもそも東京に住んでいる人は東京電力しか知らない、あるいは北海道の私のような人間は北海道電力しか知らないという意味で、ある意味では、極端に言えばそれは公的な会社ではないかと、一社独占体制で。その公益事業という観点から、そういう側面も要求されていた過去もございますけれども、こういう規制緩和による競争によるメリットの面をもっと生かそうということで、自由化という議論というか、現実がスタートをしていったわけでありますけれども、しかし、自由化によるメリットというものは、あくまでも大前提として電力の安定供給とか、あるいはまた公益性とか、そしてまた、特に昨今は温暖化等の環境への配慮とかいったものが大原則にあって、その上での市場化によるメリット。
 つまり、もちろん買う方から見れば、この電力が一体どこの電力によって、例えば何かが違うなんということは分からないわけでありますから、だとするならば、三番目の論点としては、それは安いにこしたことはないねということになるわけでございますので、そういう総合的な観点から、やっぱり安ければいいとか、市場化だけが最大の目的であるということではなくて、その土台にあくまでも安定供給とか環境への配慮とかいった問題が前提にあっての、したがって、条件付といいましょうか、土台がまずしっかりあっての上でのそういう自由化という政策を取らしていただいているということでございます。
○浜田昌良君 自由化はこの四月で電力量ベース六三%の話をしましたが、実際自由化されている実供給ベースではまだ数%であると思いますので、これからどんどん拡大していくと。その中で、是非、自由化政策とやっぱり地球温暖化政策というもののバランスについてはしっかりやっぱり見ていただきたいなということをお願いいたしまして、本題でありますこのバックエンド政策について質問を移りたいと思います。
 今回のその質問の最初でございますけれども、法案の考え方のベースになりましたのは、昨年八月の総合エネルギー調査会の中間報告でございますが、このパブリックコメントの結果を見ますと、提出件数七百八十件意見があるんですが、その中で核燃料サイクルに反対、再処理やプルサーマルに反対、これらの安全性に疑問というものが約半数の三百三十八件あるわけです。そういう意味では、まだ国民はまだまだ核燃料サイクルを心から納得しているというわけではないんじゃないかというのが実態だと思います。
 そういう意味で、非常にこの工夫、広報といいますか、正しくこのバックエンド政策、核燃料サイクルを理解していただくような政策が重要と考えているんですが、一方で、昨今、電源特別会計の広報予算の計上についてはずさんな計上問題もあったわけでございます。
 そこで、是非もう一度大臣にお聞きしたいんですが、我が国が大きくバックエンド政策に踏み込んでいくに当たりまして、今まで以上に真摯に国民の声に耳を傾け、その理解が得られますように、原子力発電に対する広報体制を一から出直すと、その必要があると思いますが、いかがでしょうか。
○国務大臣(中川昭一君) もとより、日本は世界で唯一の被爆国であり、また第五福竜丸、水爆実験の被害でもありということで、国民の間に忘れてはならない核兵器に対する、つまり核兵器に対する絶対に二度と繰り返してはならないという決意があるわけであります。
 平和利用ということは、もちろん私は国民の皆様の間には御理解をいただいておると思いますけれども、ただ、原子力施設、それからウラン、それから今後はその再処理ということになるとプルトニウムという言葉が出てまいりまして、そのたびにやっぱり一般的な国民は、今先生御指摘のように、そのパブリックコメントの中でも、専門的でない方々にとってまだまだなじみのない言葉であり、したがってそういう御意見もあったんであろうというふうに理解をしております。
 したがいまして、先ほどから何回も、これはもうこれでいいということはないと思いますので繰り返しますけれども、日本はあくまでも平和利用を前提とし、そして安全を前提として、国民の御理解をいただいた上で原子力発電あるいは核燃サイクルという政策を推し進めていかなければいけないわけでございますので、そういう意味で、きちっとした国民への、あらゆる手段といいましょうか、とにかく分かっていただかなければいけない、これだけやったからいいというものじゃなくて、分かっていただくための不断の努力をしていかなければならないと思っております。
 そういう中で、今御指摘の電源特会を使いました広報予算の執行に名をかりて、そうではない実際の執行をやったということは全く別次元の、これはもう問題外といいましょうか大問題、問題外じゃなくて大問題のことでございますので、今省内で五つの基本方針に基づいて徹底的に見直しをしているところでございまして、それはそれとしてと言うとちょっと誤解を招きます。それはきちっとやることをお約束しながら、御指摘のように、国民の皆様に御理解をいただいて、このエネルギー政策の中の大きな柱であります原子力エネルギー政策あるいはサイクル政策を御理解いただいて進めていくように今後ますます努力をしていく決意でございますので、御指導をよろしくお願いをいたします。
○浜田昌良君 ありがとうございます。
 是非大臣のリーダーシップの下で原子力の広報体制を一から見直していただきまして、是非このバックエンド政策、再処理政策が国民にとって理解と納得が得られるようにお願いしたいと思います。
 それでは次に、一つ一つこのバックエンド対策について検証していきたいと思っておりますが、まず我が国として核燃料サイクルを原子力政策の基本シナリオとするということについて何点か質問したいと思います。
 まず、この核燃料サイクルについての国際動向についてでありますけれども、北欧、ドイツ、アメリカ、カナダなどでは使用済核燃料を再処理せずに埋立処分をしていると。一方、フランス、ロシア、中国などにおいては再処理を選択していると。このような諸外国のバックエンド政策の違いは一体どのような要因から生まれてくるんでしょうかと、このことについて最初にお伺いしたいと思います。
○政府参考人(小平信因君) 今御指摘のとおり、各国それぞれバックエンドに関しまして政策が違いがあるわけでございます。今先生からお話ございましたけれども、再度申し上げますと、使用済燃料を再処理してプルトニウム、ウラン等を有効利用するとしております国は、日本のほかにフランス、ロシア、中国等がございます。他方、直接処分をするといたしております国は、アメリカ、スウェーデン、フィンランド、カナダ等でございます。イギリスにおきましては、現時点では明確な方針を出しておりませんで、再処理するかどうかは事業者の判断にゆだねられておるところでございます。
 このような違いでございますけれども、それぞれの国が資源の賦存状況あるいは原子力発電、どの程度の規模があるか、コスト競争力などに応じましてそれぞれの路線の選択を行ってきていることから来ているものと考えております。
 総じて申し上げますと、フィンランド、スウェーデン、ドイツ、ベルギーといったような原子力発電の規模が小さい国でございますとか、あるいは原子力発電から撤退をするということを基本方針にいたしております国、それからアメリカ、カナダのように国内にエネルギー資源が豊富な国は直接処分を選択しております一方、フランス、ロシア、中国など原子力発電の規模が大きい国や原子力発電を継続あるいは拡大利用することを基本方針としております国、あるいは国内のエネルギー資源が乏しい国は再処理を選択をしているという傾向が見られるわけでございます。こうした見方につきましては、昨年十一月の原子力委員会新計画策定会議が取りまとめました核燃料サイクル政策についての中間取りまとめでも示されているところでございます。
○浜田昌良君 今御答弁いただきましたですけれども、原子力の規模が大きい国、また国内ではエネルギー資源が乏しい国についてはこのような再処理を選択していると、そういう路線であるということについては日本にも当たるのかなと思っております。そういう意味では、是非先ほどの普及、広報、国民が納得を得られる広報において、そういう我が国が置かれている状況についても詳しく説明いただければと思っております。
 それでは次の質問でございますが、今引用もございました原子力委員会の中間報告におきまして、このバックエンドについて幾つかのシナリオが想定されまして、安全性、エネルギーセキュリティー、環境適合性、経済性等の各視点から評価を行っております。
 そこで、内閣府にお聞きしたいと思いますが、エネルギーセキュリティー、環境適合性、経済性等の各視点から判断しまして、我が国がバックエンド政策において再処理を選択することは妥当と説明できるんでしょうか、御説明お願いします。
○政府参考人(塩沢文朗君) 御説明申し上げます。
 ただいま先生も御指摘されましたように、核燃料サイクル政策の在り方につきましては、原子力委員会の新計画策定会議において昨年十一月に中間取りまとめが行われました。そこで核燃料サイクル政策についての評価を行ったわけでございますが、その評価に当たりましてはすべての資料、会議を公開いたしまして十八回、延べ四十五時間余にわたりまして審議を行っていただいたものでございます。
 さらに、その評価に当たりましては、極力政策選択の根拠を明確化するという観点から、現行の、現在の基本方針であります使用済燃料は再処理をするという方針のみならず、使用済燃料の直接処分をするという、そういう仮想のシナリオも設けまして、計四つのシナリオを設けまして、エネルギーセキュリティー、高レベル廃棄物の発生量等の環境適合性、経済性等の十個の視点からできるだけ定量的に評価し、幅広い視点からその意味について総合評価したものでございます。
 その結果といたしまして、中間取りまとめでは、使用済燃料を再処理し回収されるプルトニウム、ウラン等を有効利用することを基本方針とすることが妥当であるという取りまとめが行われておるところでございます。
○浜田昌良君 今の御答弁で、総論としてバックエンド政策として再処理を選択するということが説明されたわけでございますが、次に、その各視点ごとに少し掘り下げてお聞きしたいと思いますけれども、まず、エネルギーセキュリティーについてでございますが、現状のプルサーマル技術で再処理することによってどの程度のウラン燃料の節約になるのか御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(塩沢文朗君) 御説明させていただきます。
 中間取りまとめにおきましては、使用済燃料を再処理する場合には、再処理しない場合に比べて一割から二割のウラン資源節減効果があると評価されております。さらに、高速増殖炉サイクルが実用化すれば半永久的な核燃料資源を得られる可能性があり、優位性が格段に高まるというふうに評価をされております。
○浜田昌良君 ただいま御答弁いただきましたが、プルサーマルでも一割から二割程度の節約になるということでございます。
 次に、環境適合性からでございますけれども、これについては興味深い評価となっております。それは、直接処分するよりも再処理した方が高レベル廃棄物の処分場の面積が二分の一から三分の一減るという結果になっております。それで、内閣府に追加的にお聞きしますが、環境適合性についてはこの処分量が減少すること以外にも直接埋立てに比べてどのような積極的に評価できるポイントがあるんでしょうか。御説明いただきたいと思います。
○政府参考人(塩沢文朗君) 御説明いたします。
 中間取りまとめでは使用済燃料を直接処分せずに再処理してウランやプルトニウムを取り出し使用するという核燃料サイクル政策を採用することによりまして、千年後の高レベル放射性廃棄物の潜在的有害度が、直接処分の約八分の一、高レベル放射性廃棄物の体積が三から四割、その処分場の面積が二分の一から三分の二になるということから、資源をなるべく有効に使用し、廃棄物量をなるべく減らすという循環型社会の目標に対する適合性も高いことから全量再処理という路線が優位性があるというふうに判断をされております。
 さらに、高速増殖炉サイクルが実用化すれば、現在高レベル放射性廃棄物に含まれるマイナーアクチニドというものも炉内で処理することができますので、高レベル放射性廃棄物の放射能量を減少させることができるので環境適合性からの優位性が更に高まるというふうに評価をされております。
○浜田昌良君 今までの御答弁で、中立的機関でございます原子力委員会の結論というのは我が国政策として、バックエンド政策として再処理を選択するということが、経済性の面でもまたエネルギーセキュリティーの面でもまた環境適合性の面でも優れているということであったと思います。
 それでは次に、バックエンドの個々の要素について質問に移りたいと思いますが、まず、再処理技術について、保安院に質問したいと思います。
 昨年十二月から開始されています六ケ所村でのウラン再処理試験の進捗状況及び本年十二月から予定されております使用済燃料を使用するアクティブ試験の準備状況についていかがでしょうか。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 ウラン試験でございますけれども、昨年の十二月から実施をしておりまして、この二月に硝酸性溶液の漏えい等のトラブルがございましたけれども、全体といたしましては計画どおり順調に実施をされているというふうに承知をしております。その上で、今年の十月でございますけれども、このウラン試験の最終段階といたしまして、工場全体の安全性について確認をいたします総合確認試験を約一か月程度行うことが計画をされております。
 保安院といたしましては、この総合確認試験に先立ちまして、その実施に必要となる関係施設の使用前検査、保安規定の変更認可申請に対する審査等を行いまして、安全性を確認をしていきたいというふうに考えております。
 その上で、今御指摘のとおり、十二月から約十七か月間の予定で具体的に使用済燃料に基づいたアクティブ試験を行うと、こういう計画を日本原燃株式会社は持っているわけでございます。
 保安院といたしましては、そのときまでに、これまで行われました化学試験、ウラン試験の結果と、それから、これから行われますアクティブ試験の計画の妥当性につきまして、専門家の意見を踏まえながら評価いたしまして、安全性を確認をしていきたい。また、このアクティブ試験に必要となります保安規定の変更認可申請に係る審査ということにつきましても厳正に行っていきたいというふうに考えております。
○浜田昌良君 今のところは順調に進んでいるという御答弁だと思いますが、少し前の話になりますけれども、二〇〇二年二月に、日本原燃におきまして、この使用済燃料受入れの貯蔵プールの水漏れの事件がございました。本件について再度保安院にお聞きしたいと思いますけれども、問題となりましたこのプール水の漏えいの原因、またその漏えい後の対応はどうであったのかと、また、その後の日本原燃の社内の品質保証体制は改善されたのかについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、平成十三年から使用済燃料のプールにおきまして、そのプール水が漏えいをする、こういう事象が起こったわけでございます。
 これにつきましては、特別の検討会を平成十五年八月に設けましてその原因等を検討したわけでございますが、直接的な原因は不適切な溶接施工にあったわけでございますけれども、根本的な原因は日本原燃の品質保証体制といった組織的な問題にあるということが指摘をされたわけでございます。
 これに基づきまして、この日本原燃の品質保証体制と全体についての総点検が行われまして、これを踏まえて、昨年の三月三十一日に日本原燃が再発防止策というものを全体として作りまして、その内容につきましてこの検討会でオーソライズをされたわけでございます。保安院といたしましては、この総点検に当たりましては、現地の保安検査官が具体的な検証を行っているわけでございます。
 その後でございますけれども、こうした日本原燃の再発防止策、とりわけ品質保証体制というものがきちっとされているのかどうかということにつきまして、例えば、今年の四月には保安院におきまして日本原燃の社長以下を呼びまして継続的なヒアリング等を行っているところでございます。また、保安検査等を通じまして、この品質保証の改善の実施状況というものにつきましても確認をしているわけでございまして、引き続き、この再発防止策に書かれました品質保証体制というものがきちっとワークをしているのかどうかということにつきまして継続的に監視、指導していきたいというふうに考えております。
○浜田昌良君 今、正に電力会社の品質保証体制については関心が高まっているときだと思っております。また、この再処理技術については、いったんまたいろんな意味で国民の方からいろんな疑問を呈せられたり、安全性にまた疑問を呈せられたりするとなかなか後戻りできないということもあると思いますので、是非その品質保証体制についてはいろんな指導を保安院の方からお願いしたいと思います。
 次、プルサーマル計画についてであります。
 世界各国に比べまして我が国のプルサーマル計画については実験実績が極端に少ないと、二例であるということを聞いておりますけれども、そこで、是非大臣にお聞きしたいと思うんですが、プルサーマルの現状、今後の見通しは本当に大丈夫でしょうかと、こういう質問なんですけれども、一応二〇一〇年度までに我が国全体で十六から十八基稼働させるという電気事業連合会の目標があるわけでありますけれども、これについて、もう一〇年といいますとあともう五年であるわけでありますが、現実的に可能であるんでしょうか。決意をお聞きしたいと思います。
○大臣政務官(平田耕一君) 国としましては、核燃サイクルの一環を成しますプルサーマルについて、平成十五年のエネルギー基本計画に基づいて着実に推進をすることにいたしておりまして、また電気事業連合会は二〇一〇年度までに御承知のように十六基から十八基の導入という、目指して取り組むこととしておるわけでございます。
 この実施に向けまして、昨年五月に九州電力から出されておりました原子炉設置変更許可申請については、今年の二月に安全・保安院の一次審査を終了いたしまして、原子力委員会及び原子力安全委員会の二次審査に付されているところでございます。また、四電からは、昨年十一月に地元の事前了解を得て実施に向けて規制法に基づく設置変更許可申請が提出されておるわけでございまして、これらのように、プルサーマル計画の実現に向けた取組は着実に進展しているものと、前進しているものと認識をしております。
 当省といたしまして、この基本計画に基づきまして、プルサーマルを含めた核燃サイクル政策を着実に進めていくことといたしておりまして、他の電力会社による取組を含めまして、引き続き、地元説明会等、地元住民への理解活動を行うなど、プルサーマルの実現に向けまして積極的に取り組んでまいりたいというふうに思っております。
○浜田昌良君 是非、プルサーマルの運転は再処理政策の基本でございますので、国民の理解を得ながら進めていただきたいと思います。
 次に、中間貯蔵施設、また最終処分場の準備状況について質問したいと思いますが、これは関連質問もございましたが、使用済燃料の全量を再処理する場合には二〇五〇年までに五千トン規模の中間処理施設が三から六基必要であると、そうされております。現時点では青森県のむつ市以外にはこの中間処理施設が予定されているという自治体は聞いていないわけでありますけれども、一応二〇五〇年ですからあと四十五年先であると言われるかもしれませんけれども、バックエンド政策については長期的な視点が重要と思っております。そういう意味では、その他の立地を進めていくためにどのような対策を考えているのか、またこれ以外の立地点についてどのような見通しであるのかについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(安達健祐君) 御説明申し上げます。
 中間貯蔵施設に関するお尋ねでございますが、御指摘のとおり、原子力委員会長期計画策定会議の中間取りまとめにおきましては、当面は利用可能になる再処理能力の範囲で使用済燃料の再処理を行うこととし、これを超えて発生する使用済燃料は中間貯蔵することとされてございます。
 そして、委員御指摘のとおり、この中間貯蔵施設は二〇五〇年度ごろまでに五千トン規模の施設が順次三―六か所必要とされているところでございます。
 中間貯蔵施設の現在の立地へ向けた動きでございますが、今、正に先生御指摘のとおり、東京電力株式会社及び日本原子力発電株式会社が青森県むつ市において具体的な計画を持っており、現在、青森県及びむつ市が立地受入れの可否について検討中ということでございます。
 具体化しているものは今この一件でございますが、事柄の性格上、具体的な地点を申し上げるのは差し控えさせていただきますが、幾つかの自治体におきましては中間貯蔵施設に関する様々な検討が行われているというものと聞いてございます。
 御指摘のとおり、中間貯蔵施設は使用済燃料が再処理するまでの間の時間的調整を行うことを可能とするものであり、核燃料サイクル全体の運営の柔軟性を付与する手段として重要なものと認識してございます。このため、施設の立地が円滑に進められるよう、施設の必要性などについて分かりやすく説明し、国民や立地地域の理解を得るための広報活動に真摯に取り組んでいきたいと考えてございます。
○浜田昌良君 ただいまの御答弁で、具体的な立地点は明らかにできませんが、そういう話も進んでいるという御答弁がございましたので、少し安心をいたしました。
 次に、この使用済燃料の再処理プロセスから排出されますTRU廃棄物の処分についての問題でございます。
 これはウランよりも原子番号の大きな人工放射性核種でございまして、一般的に半減期が長く、人体に有害なアルファ線を放出するというものが多いという特性を持つ超ウラン核種という、そういうものを含む廃棄物でございますが、このTRU廃棄物の処理につきましては、今回の外部積立金の対象費目には算定されているんですけれども、一体だれがやるのかというその法的主体、そういうものが未定であるというままになっております。これについて早急に決める必要があると思いますが、この点についていかがでしょうか。
○政府参考人(小平信因君) 放射性廃棄物処分の基本的な考え方につきましては、現在の原子力長期計画におきまして、安全な処分は発生させた者の責任において行われることが基本であるというふうにされておりまして、国は、安全かつ確実にこれが行われるよう、発生者等に対して指導や規制を行うなど所要の措置を取ることが必要であるというふうにされているところでございます。
 こうした考え方に基づきまして、まず電気事業者におきまして、TRU廃棄物につきましてコンクリートピット処分、余裕深度処分及び地層処分という処分方法に応じました具体的な処分計画が策定されることになるというふうに考えております。
 国といたしましては、こうした電気事業者によります計画の具体化の動きを見つつ、できるだけ早急に、今御指摘のございましたどこがこれを行うかという実施主体も含めまして、TRU廃棄物処分にかかわります適切な事業形態に関する制度の整備を行ってまいりたいというふうに考えております。
○浜田昌良君 是非、あの一覧表を見ますと、そこだけが未定となっておりますので、是非埋めていただきたいなと思っております。
 次に、法律が異なりますが、原子炉の解体などに伴いますバックエンドの一環としての、核燃料物質として汚染されたものでないものと、そう日本語では言うようでありますが、として扱うクリアランス制度が提案されております。その内容について質問させていただきたいと思います。
 まず、クリアランス制度の経済性についてでございますが、百万キロワットクラスの商用原子炉の場合、あくまで放射性廃棄物ではない普通の一般廃棄物が九割以上でございまして、クリアランスの対象となるのは数%以下にすぎません。これは、一、二%程度の低レベル廃棄物の二倍程度であると一般に言われております。ある意味では、クリアランス制度を導入しなくても、全体廃棄物の一、二%の低レベル廃棄物の合計が三倍程度に増えるにすぎないという見方もあるわけでございます。
 そこで質問いたしますが、このクリアランス制度の導入につきましては、午前中の保坂副大臣の御答弁でも、結果として処分費用の低減があるとお答えがございましたが、クリアランス制度を導入した場合としなかった場合で、商用原子炉の場合、経済合理性にどの程度の差があるのかについてお聞きしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 クリアランス制度を導入した場合につきましてのその費用につきましてのお尋ねでございますけれども、具体的に厳密にその費用につきまして、制度があった場合なかった場合の比較を行うことは困難だということは御理解いただきたいと思いますけれども、仮にクリアランス対象の資材が低レベル放射性廃棄物のうちの最も低いもの、極低レベルの放射性廃棄物として埋設処分される場合のコストにつきましては、総合資源エネルギー調査会の場におきまして電気事業連合会が提出をいたしました資料等に示されましたデータを基に試算をいたしますと、トン当たりで見ますと、金属で三十五万円、コンクリートにつきますと二十一万円程度というふうになるわけでございます。ただ、この場合、更に処分場までの運搬費用というものがこれに加算をされると、こういうことでございます。
 一方、クリアランスをされまして産業廃棄物として処分される場合の費用でございますけれども、この場合はトン当たり、コンクリートでは二千円、金属の場合では有価物として扱われるというふうに考えますとゼロ円ということでございます。
 したがいまして、クリアランス制度を導入された場合の言わば経済的な合理性というものは十分に成立をするのではないかというふうに考えております。
 ただ、午前中も副大臣から御答弁申し上げましたとおり、あくまでもクリアランスの確認につきましては、経済性が安全性に優先させられると、こういうことのないような形できちっと運用されなければならないというふうに考えております。
○浜田昌良君 今一定の試算の御説明がございましたが、クリアランス制度について国民が理解をしてもらうときには、安全であるという理解とともに、今のような大きく、三十五万円なり二十一万円という値段に対して数千円ということですから大きな違いがあるということも国民が納得する一つの方法かなと思っておりますので、是非普及、広報に努めていただきたいと思います。
 次に、年間十マイクロシーベルトというクリアランスレベルの目安値と核・放射性物質とのクリアランスレベル、つまりグラム当たりのベクレル量との対応が適切であるかどうかという点についてお聞きしたいと思います。
 経済産業省の御説明によりますと、原子力安全委員会で七十三通りの暴露シナリオが提案されまして、それに基づいて検証を行ったということではございますが、原子炉施設解体から発生するコンクリート及び金属について、最もリスクが高いと判断されるシナリオはそれではどういうものであったのかについて、是非簡単に分かりやすく御説明をお願いしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 原子力安全委員会では、御指摘のとおり、七十三の具体的なケースに即しまして、この〇・〇一ミリシーベルトに相当するクリアランスレベル、ベクレルの値というものを算定をしているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、ガンマ線を放出するコバルト60という放射性の核種について申し上げますと、コンクリートから回収をされました再生の骨材を使用した住居に居住をする子供が日常的に外部被曝を受けるという場合、これが最も影響が大きい決定経路として試算をされているわけでございます。
 具体的に申し上げますと、一般構造用のコンクリートの再生骨材としてその全体のうちの一五%に解体廃棄物が使用される、更にそのうちの一〇%についてクリアランスをされたコバルト60を含む廃材が使われると、こういうふうに、これは一番ケースとしては高いケースでございます。
 この住居に住む年間の居住時間でございます。三百六十五日、二十四時間住みますと八千六百時間強でございますけれども、在宅時間を最も長いケースとして年間六千時間というふうに仮定をいたします。その結果、年間〇・〇一ミリシーベルトとなるような濃度、コバルト60の濃度は幾らかというふうに試算いたしますと、これが言わば〇・三ベクレル・パー・グラムということで試算をされたということでございます。これは一つの例でございます。
○浜田昌良君 非常に分かりやすいと思います。是非これから普及、広報、先ほどのパブリックコメントでまだまだ不安という声があるという話をいたしましたが、そういう具体的な数字を使って、こういうケースを使っても安全であるという説明をしていただきたいと思います。
 最後に、大臣に一言御決意をお聞きして終わりたいと思いますが、今回のクリアランスの関係においては、社会的にこの制度が定着するまでの間においては、最終的なその搬出先の把握、また再生利用については電力事業者の自主的な努力を期待すると、話になっておりますけれども、法律の条文上は特に努力義務がないわけでございます。そういう意味で、是非本件について今後も電力事業者については強力に指導をお願いするという、徹底について大臣の御決意をお聞きしまして、私の質問を終わらせていただきます。
○国務大臣(中川昭一君) 基本的には、国が基本方針を決めまして、それに基づいて事業主体が自主的に決めていくわけであります。前回の当委員会でも御質問がありましたように、そもそも企業、とりわけ電力会社というもののコンプライアンスというものは、私は一般の企業より以上に高いものを求められているんだろうというふうに思っておりますし、また社会的責任も同様だと思っております。
 そういう意味で、今、保安院長の方から、一つの例といってもかなり現実的ではないぐらいに厳しい、年間六千時間家にいるということはまあ普通のお子さんでは考えられないようなレベルでも安全だということをまず情報として国民の皆様にできるだけ届くようにして、そして御理解をいただいて、その上でこういう作業を進めていかなければなりませんが、スタートとしては、この業界の中で再利用してくださいという限定的ではございますけれども、今後、他方、どんどん廃炉も増えてくるわけでございますので、先ほど藤原委員からも御指摘ございましたけれども、跡地をほったらかしにしておくのかとか、あるいは単に廃棄物として捨てたりどこかに貯蔵していくだけなのかということではなくて、大前提の下での有効活用という観点でのクリアランス制度でございますので、スタートからいきなりということは、先ほどの浜田委員の御指摘のように、パブリックコメントからもまだまだ国民には御理解いただいていない部分もございますので、そういう努力も続けながら、国民の御理解と御支持をいただきながらいろんな観点から安全性あるいはまた地球温暖化対策あるいは資源の有効利用といった観点から、このクリアランス制度を事業者の責任においてきちっと進めていくように、我々としても、特にスタート時点からよく連携を取りながらといいましょうかチェックをしながらといいましょうか、そういう方針でこの作業を進めていきたいというふうに考えております。
○浜田昌良君 ありがとうございます。終わります。
○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道でございます。一昨日に引き続きまして質問をさせていただきたいというふうに思っています。
 一昨日の積み残しからでありますが、最初はクリアランス制度についてお尋ねをいたしたいというふうに思っています。
 今日もいろんな観点から、クリアランス制度が大丈夫なのかという観点からいろいろ御質問がありました。御論議がございました。
 私は、このクリアランス制度、言わば関所みたいなものだと思っておりますが、これでしっかりと皆さんとしてはチェックをして、その手続を経たものだけが外部に出る、こういうことでございますが、万一クリアランスされるものとして扱われるべきでない廃棄物、これが外部に出たと、言わば関所が破られたと、こういう違法、不当、不適切な運用が行われた万一の場合の対応についてお尋ねをしたいというふうに思っております。
 総合資源エネルギー調査会でこの点についての御議論がありまして、この調査会では、そういう場合必要に応じ回収を含む適切な措置を講ずる体制はしっかりと確立されなければならないと、こういう趣旨のことが書いてあったというふうに思いますが、この指摘のとおりの体制になっているのかどうかということと、そして、もし違法行為が認められた場合、調査会の指摘では、厳罰を適用することも必要だと、こういうふうになっております。この言わばクリアランスというか、言わば関所破りに対する厳罰の、つまり罰則の体制はどういうふうになっているのか、お尋ねをしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 これまでお答え申し上げましているとおり、クリアランスレベルそのものは十分安全に設定されておりますが、更に加えて、クリアランスの対象となる資材につきましては事前の評価を行いまして、汚染のレベルが低いものを選定をするということにしております。
 したがいまして、今御指摘のように、万が一放射性廃棄物として扱うべきものがクリアランスされたものの中に混入をして発電所の外に搬出をされても、直ちに人の健康に対する影響が懸念される事態には至らないというふうに考えております。しかしながら、仮にこのような事態が発生した場合には、国といたしましては、きちんと調査を行いまして、その問題の状況に応じまして、炉規制法に基づきまして適切な措置を講ずることとしております。
 具体的に申し上げますと、原子力事業者に対しまして、事業所外への廃棄を規制するために設けられております炉規制法の五十八条第三項に基づきまして、放射性廃棄物の回収を含む措置命令というものを発します。仮にこの命令に従わない場合には、この同じ炉規制法の七十八条第一項第八号の二に基づきまして、一年以下の懲役若しくは百万円以下の罰金に処する、あるいはこれを併科をする、こういう罰則の規定を適用することになるわけでございます。
 仮にこうした廃棄物処理の過程で放射線汚染の疑いがあるものが発見されるなど、個別のこれからのクリアランスの確認の制度について疑義がある場合の具体的な仕組み、特に環境省等関係省庁との具体的な対応ぶりにつきまして、さらに今後マニュアルづくり等も含めて検討してまいりたいというふうに考えております。
○近藤正道君 違法に持ち出された場合、回収措置命令を発して、そして、それに従わないときには罰則ということでございます。確かに、その搬出されたものがどこにあるか、それがきちっと分かっていれば今院長おっしゃるようなそういう手続でいいというふうに思うんですが、外部に出て例えば回収がもうできないとか、どこ行ったか分からないという場合はどうなるんだろうか。
 私がお聞きしたいのは、そういう場合でも、とにかくその言わば関所を破ったこと自身についてきちっとやっぱり罰則をもって臨むという体制がやっぱり必要なんではないか。先ほどのような場合であれば、出たものの所在が分かっている場合だけが対象になるのかなと。分かっている場合でも分からない場合でも、とにかく破ったこと自身に罰則をもって臨む、これを調査会は求めていたんではないかと、こういうふうに思うんですが、いかがでしょうか。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 これはクリアランスに限らず、放射性廃棄物につきましては、きちっとした管理をして事業所外には廃棄をしないということがこのクリアランス制度を導入する以前の炉規制法の考え方でございまして、このために、この法令として、仮に出した場合にはきちっとした回収命令を出す、これに従わない場合には罰則を掛ける、これが放射性廃棄物の事業所外廃棄に対する規制でございまして、クリアランス制度につきましては、これは放射性廃棄物ではない、非常にレベルの低い廃棄物についてクリアランスレベルか否かというものを確認をした上で、そうでないものを外に出せるようにするということでございますので、この審議会の考え方も、クリアランス制度に言わばその運用を過って外に出した場合には、より言わば廃棄物のレベルでいいますと高いレベルでございます放射性廃棄物につきましての事業所外廃棄規制というものの制度を適用する、そういう考え方で報告書もできているというふうに承知をしております。
○近藤正道君 ちょっとよく理解できませんが、時間がありませんので次に行きたいというふうに思っています。
 クリアランスされたものの最終処分は、クリアランスされたものの処分又は再生利用の際の最初の搬出先について、制度が社会に定着するまでの間、事業所が把握、記録するよう求める、そして業界内で再利用する、こういうことになっております。このことにつきましては、今ほど来御議論がございました。
 業界内でどうやって再利用するのかということにつきましては、藤原委員の御質問、御答弁がありましたのでこれは省きますけれども、ある時期、国民の信頼が得られるまで業界内で再利用するということでございますが、それはいつごろまでなんだろうかと、社会的に定着したという判断はどういうふうに行うのか。この質問が一つと、もう一つは、把握、記録というのは、これは最初の搬出先だけに限られるのか。当面はもう少し先まで行かないと国民の信頼は得られないんではないか、こういうふうに思いますが、この辺についてはどういうふうにお考えでしょうか。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 御指摘のとおり、当分の間、具体的にクリアランスされたものの再利用につきましては電気事業者の中で行う、こういう方針を取っているわけでございますけれども、この当分の間、まあクリアランス制度定着がしたかどうかという判断でございますけれども、これにつきましては、クリアランス制度が具体的に運用されました後の適切な時期に、総合資源エネルギー調査会の原子力安全・保安部会などそうした審議会の情報公開が可能な場においていろいろなデータ等をお諮りしながら広く御意見を伺って、制度が定着したかどうかということを判断をしていきたいと。そういう意味では、透明、公開のプロセスの中で判断をしていきたいというふうに考えております。
 それから、搬出先の把握の言わば段階でございますけれども、これにつきましては、あくまでも事業者における自主的な措置でございます。クリアランス制度の言わば制度の考え方としましては、言わば法制度として条件を付けるものではございません。したがいまして、具体的には、有価物として再生利用する場合には中間処理を行う会社、あるいは埋設処分をする場合には処分場までという一次的な段階までというふうに考えております。
○近藤正道君 じゃ次に、今日も、あるいは一昨日もいろんな角度から御議論がありましたバックエンド積立法についてお尋ねをしたいというふうに思っています。
 この法案は、言うまでもなく、青森県の六ケ所に建設中の再処理工場、この運転を前提とした法案でございます。核燃料サイクルの推進、そしてその言わば重要な一環である再処理というものを推進すると、こういう立場で作られた法律でございます。
 しかし、今ほど来御議論もありましたように、ここにかかわる様々なパブリックコメントを見ますと、まだまだ半数近い人たちが懐疑的、批判的な立場で物申していると、こういう厳然たる事実がございますし、今日も御議論ありました中間貯蔵の問題だとか第二再処理工場の問題だとか、あるいはこの間様々出ておりますバックエンドのコスト、費用の問題だとか、本当に問題は山積みしているわけでありますが、とりわけこの再処理工場の後のプルトニウムの使途の関係で、高速増殖炉「もんじゅ」のこれから、あるいはプルサーマル計画の見通し、いずれも大変厳しいものがございます。
 そしてまた、先ほど、世界の状況を見ますと、再処理路線を取るところと、直接処分、ワンスルー方式を取るところとあるわけでございますが、私はとにかく再処理一辺倒というやり方は本当にいかがなものかというふうに一貫して思っているわけでありまして、いろんな状況がある中でやっぱり選択肢はそれなりにちゃんと残しておくべきではないか。
 そういう意味では、直接処分方式も、その研究もやっぱりちゃんとする、今のように全くしないという方向は本当にいかがなものかと、こういうふうに思えてならぬわけでございますが、この点についてひとつ御答弁。もう少し選択肢を増やす、そのために直接処分方式も研究をもう少し力を入れるべきではないかというふうな私の疑問があるわけでございますが、いかがでしょうか。
○政府参考人(小平信因君) 昭和五十二年以降、核燃料サイクル開発機構を中心にいたしまして、使用済燃料を再処理する過程で生じます高レベル放射性廃棄物をガラス固化体にいたしましたものを深い地層に処分するための研究開発が行われてきているところでございます。これらの研究開発によります技術的知見の中には、ガラス固化体の処分の場合と同様に深い地層に処分する必要がございます使用済燃料の直接処分の場合にも活用できるものがあるというふうに考えております。
 一方、昨年の原子力委員会長期計画策定会議技術検討小委員会の報告書によりますと、直接処分の場合にはガラス固化体の処分の場合に比べまして、プルトニウムを環境中に廃棄することとなるため処分後の臨界防止や核物質防護の観点からの配慮が必要である、プルトニウムなどから放出される放射線の地質環境への影響や使用済燃料が水に溶け出す速さなどが十分把握されていない、廃棄体の発熱量、寸法、重量が大きいため必要な空間が大きくなる、また取扱設備の負担が増大するなどの課題があることが示されておりまして、これらについての技術的知見は十分でないというふうに考えられているところでございます。
 昨年十一月に取りまとめられました原子力委員会の策定会議の中間取りまとめの中では、将来の不確実性に対応するために必要な調査研究を進めていくべきであるという指摘もなされているところでございます。この中間取りまとめを踏まえながら、安全の確保を大前提に、地元を始めとします国民の御理解を得て核燃料サイクル政策を着実に進めてまいりたいというふうに考えております。
○近藤正道君 私はそれとは少し見解を異にするわけでございますが、またそれは議論になりますので避けたいというふうに思います。
 いずれにいたしましても、核燃料サイクル、そして再処理路線で皆さんやられるわけでありますが、今月の三十日にはその再処理路線のその先の言わば高速増殖炉「もんじゅ」、この最高裁判決が控えております。仮定の話で大変恐縮でございますが、できたら大臣に御答弁をいただきたいと思いますが、「もんじゅ」の設置許可処分、これが二審は無効、そして最高裁でもし設置許可無効、これ出た場合どうなるんだろうかと。それでも核燃料サイクル、この路線をこれからも続けるんだろうか、お答えをいただきたいというふうに思っておりますし、昨日、おととい来、エルバラダイの話もあります。あるいは福島県知事の佐藤知事の、いったん立ち止まってもう一度国民的論議をすべきではないかと、こういう議論もございます。
 私は、やっぱりいろんな観点から考えますと、先ほどのパブリックコメントの話もありますけれども、核燃料サイクル、国民的な論議はやっぱりする必要があるし、そのことをたくさんの国民が、このパブリックコメントの中身を見ても求めているんではないかと、こういうふうに思っておりますが、中川大臣の所見をお尋ねをしたい。それで質問を終わります。
○国務大臣(中川昭一君) まず、先ほど浜田委員からのあのパブリックコメントは、分からないというのが非常に多いという御趣旨の数字を挙げられたというふうに理解をしておるわけでございまして、反対というのが半分だということではないというふうに理解をしております。だからこそ、広報が大事だというふうに私どもは理解をしております。
 それから、エルバラダイさんの御発言については、ある意味では我々迷惑しているわけでございまして、平和利用のある意味では世界の模範としてやっているという自負が日本にあるわけでございますから、それを逆に損ねるような御発言という意味では、率直に言って迷惑をしているということでございます。
 それから、福島県知事さんの御発言については、福島県を代表している佐藤知事の御発言でございますから、これは我々としてもきちっと発言として受け止めさせていただき、御理解をいただくようにまた今後とも努力をしていかなければならないと思っております。
 いずれにしても、我々としては、設置の手続は有効だと思って最高裁まで行っているわけでございますけれども、近々判決が出るということでございますので、これ以上私から、言いたいところはいろいろございますけれども、発言は差し控えさせていただきたいと思います。
○近藤正道君 終わります。
○鈴木陽悦君 おとといに続いて質問させていただきます、鈴木陽悦でございます。どうぞよろしくお願いいたします。
 初めに大臣に伺ってまいりたいと思います。
 今回の法案によりまして、将来のバックエンドを賄う大切な資金が積み立てられまして、投資環境が一段と整備されるわけなんですけれども、この前提となります核燃料サイクルは、MOX燃料加工工場、中間貯蔵施設の建設、プルサーマルの推進、第二再処理施設構想、高速増殖炉など、多くの課題が残されております。これらの多くの課題を解決するためにも、大臣の強いリーダーシップが何よりも必要ではないかと思うんですが、今日はあらゆる場面で御決意をいただきましたが、どうぞ最後の、この核燃料サイクルに懸けます、推進に向けた御決意をお願いいたしたいと思います。
○国務大臣(中川昭一君) 改めまして機会をいただきましてありがとうございます。
 エネルギー政策という観点で、日本はもとよりでございますけれども、先週のパリでのIEA国際エネルギー閣僚会合でも、過度な石油依存からの脱却というものが一つの大きなテーマになり、また最終的な合意にも盛り込まれたところでございます。そういう意味で、新エネあるいは天然ガス、そして原子力発電というものが重要である、先ほどから中止していたところ、あるいはまた新たに原子力発電所を造る国々が各国あるわけでございまして、そういうことも、ある意味では世界的な意味のエネルギー政策という観点からも原子力のエネルギーというものは重要であるということが何年ぶりかであのIEAの会合で確認をされたということ、一つの大きな成果だというふうに思っております。
 そういう中で、もう何回も申し上げておりますけれども、安全性と国民の理解という観点が大前提でございますが、更に一歩完成形に近づく形でサイクルを、いよいよ再処理作業を進めるということで御議論を二日間にわたっていただいているところでございますけれども、サイクルというものが資源の有効利用、あるいはまたいろいろな面で、今御指摘のありましたこれからまた御議論をいただかなければいけない部分、まだ決定されていない部分がございますけれども、最終形として再処理という方針を政府として手続を経て取らせていただいております以上、今、逐一御指摘のありました残されている部分についても、一つ一つ国会での御議論あるいはまた国民的御議論、御理解をいただいて、最終的なサイクルに向けて努力をしていきたいと思いますので、ひとつ鈴木委員始め、当委員会の先生方の引き続きの御指導を改めてお願いを申し上げます。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 では次に、高経年化対策について伺ってまいりたいと思います。
 初の原子炉稼働から四十年近くなろうとしておりまして、初の原子炉、日本原子力発電株式会社の東海発電所、既に運転が終了して廃止段階に移っていますが、現在運転中の五十三基の原子炉のうち七基は三十年以上経過している原子炉でございます。今後、こうした高経年化した炉について、その費用対効果なども考え併せて、対応策が重要となってきていると思いますが、高経年化が一概に安全性に問題があるとは言えませんけれども、安全第一のためにはより厳しい対応が求められると思います。現在、原子力安全・保安院で高経年化対策について最終報告に向けての作業が進んでいると伺っておりますけれども、この最終報告が出ますと高経年化対策が今と比べてどのような形で充実するのか、その辺をお聞かせください。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 高経年化対策は原子力安全規制上も極めて重要な課題でございまして、昨年の関西電力美浜発電所三号機の事故も契機といたしまして、現在やっております高経年化対策を更に充実させるために、昨年の十二月に高経年化対策検討委員会を設置をいたしまして鋭意審議をしているところでございます。
 この四月に中間的な論点整理を行いました。その中では、高経年化対策に係る知見やデータを収集、整備をいたしましてこれを有効活用する産官学の協力による情報ネットワークの構築、それから高経年化事象の発生、進展メカニズムの解明、これに基づきます予測手法等に係る安全研究の充実、こうしたことが重要であると、こういう提言をいただいたわけでございます。
 この提言に基づきましてこれから高経年化対策を実施するわけでございますけれども、情報ネットワークの具体的な内容、あるいは経年劣化に伴いまして生じます性能低下を緩和させるための予防保全技術あるいは補修修繕技術等の開発等の在り方と、この辺の具体的な内容につきましてはこれから更にこの検討委員会の中で審議を進めていきたいと思っております。その上で、八月ごろを目途にこの高経年化対策検討委員会の最終報告書を作成する予定でございまして、これができますと、情報ネットワーク構築のための産官学の仕組みができまして、これに基づいて安全研究も更に進みまして、私ども、これに基づく具体的な検査、こういうものにつきましても一層高度化が期待できるのではないかというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 よりきめ細かくなるというお答えをいただきまして、ありがとうございました。
 次に、再三出ておりますクリアランス制度について伺いたいと思います。
 今回の改正でこのクリアランス制を導入するわけなんですが、人体への影響という点で、やはり国民の考えの中に、万が一ということを考えずにはいられない、そういった意見もあります。あってはならない、一〇〇%ないという厳しさが求められると思います。表現の方法として、万が一超えたとしても直ちに人体への影響は云々という表現、よくマスコミに登場するわけなんですけれども、あったらどうするという議論ではなくて、あってはならないためにどうするのかという議論にしていかなくてはいけないと思います。
 そこで、安心、安全につなげるのがクリアランスの最大の要素でございますが、今日、藤原委員からもう質問出ました、塊をぱっかんと割ったらどうなるという、私も質問したかったんでございますが、そのぱっかんの中に、外部から測定する、しかし塊の中には、誘導放射能という言葉にぶつかったんでございますが、いわゆる固体内部の放射線量について改めてもう一度伺いたいと思います。
 先ほど中性子線のお話も出ましたけれども、この判定、判断、さらに確認と、国の二段階のチェック機能がありますけれども、この誘導放射能を含めましたチェック内容、もう一度その安全性についてお話しいただければと思います。再確認します。
○政府参考人(三代真彰君) 先ほど御説明させていただきましたとおり、クリアランスレベルというものはまず濃度で規定されております。今御質問にありましたように、大きな対象物の中にその誘導放射能、いわゆる中性子線などが中に、コンクリートだとか金属の中を通ったために生じた放射性物質、そういうものが含まれているケースがあるわけでございます。
 先ほど御説明させていただきましたんですけれども、計算によって、その濃度は結果が出てくるわけでございます。我々といたしましては、その事業者に対して、その中からサンプリング材料を取りまして、その濃度が計算どおりの濃度であるかどうかということを確認し、なおかつその濃度がクリアランスレベル以下であるかどうかということをチェックすると、そういう体制で万全を尽くしていきたいというふうに考えておるわけでございます。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。再確認をさせていただきました。
 ところで、廃棄物とされたものですが、一次搬出、搬出といいますか、出るときにはどこの発電所の材料であったかというのは多分分かると思うんですけれども、これがその後の処理によりまして、例えば粉砕処置などによって判別が不可能に、不能になる可能性が十分に考えられます。食べるものでありますとトレーサビリティーという言葉がありまして、これは消費者に対する信頼につながっておりますが、クリアランスの導入に当たってこうした原産地証明のようなシステムが必要になるんじゃないかと思うんですが、その辺についてのお考えお聞かせください。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 クリアランスされたものにつきましては、原子力安全規制の観点からは特に条件を付けず、当然、産業廃棄物とされた場合にはこれに対する関連の法令の適用を受けると、こういうことになるわけでございます。
 一方で、これまでも御説明しておりますとおり、この新たなクリアランス制度が社会の中で受け入れられて定着されるまでの間につきましては、再生利用あるいは具体的な廃棄物として処理をする場合の最初の搬出先につきましては事業者が自主的に把握をするということを考えておりまして、国としてもこうした事業者の対応を求めているところでございます。例えば、有価物として再生利用する場合には、中間処理をする会社がどこなのか、あるいは埋設処分をする場合には処分場までの把握ということを要請をしていくこととしております。
 こうした取組の中でクリアランス制度につきましての円滑な定着というものが期待できるのではないかというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 なぜこの件について伺ったのかと申しますと、廃棄物安全小委員会が去年の末に報告した「原子力施設におけるクリアランス制度の整備について」、この文書の中によりますと、三の五番でございますが、三項の五、「国による確認」の基本的な考え方の中で次のように文章が載っております。「クリアランスレベル以下であることが確認された対象物については、国が検認し、クリアランスレベル以下であることを証する証明書を交付することも考えられる。」という文章が載っております。
 つまり、この文章を見ますと、一次搬出の段階ですら証明書が交付されるのかされないのかはっきりしておりません。私は必要ではないかと考えるんですが、これ大変大事な点でございますので、是非明快なお答えをお願いしたいと思います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 クリアランスの確認におきましては、事業者が行いますクリアランスにつきまして、国といたしまして、その測定、評価の方法が技術基準に照らして妥当かどうかと、また具体的な記録、測定の結果につきまして記録や抜取り測定によりまして確認をいたします。その結果につきましては、国としてきちっと確認をしたと、確認が終了したと、そういうことを記載をした通知書というものを事業者に交付をすることとしております。この通知書の詳細につきましては、具体的な制度の実施までに細部につきましては決めてまいりたいというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 もう一つだけクリアランスについて伺っておきたいと思います。ちょっと通告していないんですけれども。
 資料を見ますと、今のこの東海発電所、解体中でございますが、クリアランス対象物が全体の二一・九%、四・二万トンという、この解体のクリアランスのレベルの対象物がございます。これは十トントラックで約四千二百台分という、ちょっと考えられないような数字なんですが、この十トントラック四千二百台分というのは一体どんな形で、どんな順序に従って、一体どういった形で処理されるのか、その辺をちょっと伺っておきたいんですが。多分、東海に限らず、今後廃炉になったところの解体が始まりますと、トラック四千二百台分というのはずらずら出てくると思うんでありますけれども、この辺の構想、そしてまた予定、方向性というのはいかがでしょうか。
○政府参考人(松永和夫君) 今御指摘の現に廃炉措置が行われております東海発電所、これは来年から具体的なクリアランス対象物が出てまいりますけれども、確かに四・二万トンと、こういう推定になっております。
 この量のイメージでございますけれども、産業廃棄物総排出量、これにつきましては、今統計がございます十四年度でいいますと三億九千三百万トンでございますので、それとの比較でいいますと一万分の一の量でございます。
 これにつきましては、具体的にどの部分を再生利用するのか、あるいはどの部分を最終的な処分に回すのかということにつきましては、今、日本原電株式会社の方で検討しておりまして、再生利用の場合も最終処分の場合もいずれもあろうかと思いますけれども、これについてはまだ詳細は明らかになっていないというふうに承知をしております。
 いずれにしましても、先ほどまで御答弁申し上げておりますとおり、具体的な一次的な搬出先につきましては、きちっと日本原電株式会社が把握をするというふうになるように国としてもきちっと監視をしていきたいというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。
 多分最後になりますので、最後は秘密保持について伺います。
 秘密保持の義務付けでございますが、原子力基本法では民主、自主、公開の三原則がうたわれておりますけれども、この公開の原則と今回の秘密の保持との関係はどうなるのか、その辺伺いたいんですが。
○副大臣(保坂三蔵君) 原子力基本法第二条におきましては、原子力の研究、開発、そしてまた利用の成果に関しましては公開をしなくてはならない、このようになっております。
 一方、国際的なレベルで、今回お認めいただきます不法に開示された核物質やあるいは核施設の防護についての情報は、漏えいいたしました結果のことに関しましては限定的に制限しようというわけでございまして、いかにも二律背反のようではございますが、国民の理解の下でこれが成り立っている前提で今回その措置をとったわけでございます。
○鈴木陽悦君 もう一つ伺います。
 インサイダー対策について伺いますが、いわゆる内部の脅威に対するその対策というのは何回も出ていますが、この委員会でも。個人のプライバシーなどと密接にかかわる問題で、極めて慎重な対応が必要になるわけですが、日々の監視が人権侵害にならないようにチェックされるべきなんですが、現在どのような議論が政府で行われているのか、また、どのような方向に議論を進めていくつもりなのか、これを最後に伺います。
○政府参考人(松永和夫君) お答え申し上げます。
 いわゆるインサイダー対策につきましては、本年一月より総合資源エネルギー調査会の下のワーキンググループにおきまして、今回の法改正とは別途検討を進めているところでございます。特にその際問題になりますいわゆる原子力施設で働く従業員の信頼性確認、これにつきましては、諸外国の制度を参考にしながら検討が進められております。
 諸外国の制度を見ますと、その詳細は国により異なりますけれども、具体的には、国の機関が国家安全とか治安を脅かす者に対する情報を横断的に蓄積をして、個々に必要となる際にその情報を照会をすると、こういった仕組みができているわけでございます。
 日本におきましては、当然のことながら、こうした制度はまだ整備をしておりません。ワーキンググループの報告書では、こうした諸外国の例に見るような横断的な普遍的な制度というものも一つの重要なアプローチの仕方ではないかと、こういう指摘もされているわけでございます。
 いずれにしましても、当省といたしましては、御指摘のとおり、内部脅威者対策の重要性とともにやはり個人のプライバシー保護というものも十分に配慮をしながら、かつ加えて関係省庁とも十分に密接に協議をしながら、望ましい制度の在り方というものを検討していきたいというふうに考えております。
○鈴木陽悦君 ありがとうございました。時間が参りました。
 野球はよく筋書のないドラマと申しますが、委員会の最後の質問者は正に筋書のないドラマでございまして、途中全部いろいろとカットいたしましたけれども、通告して御用意いただいた皆さんには大変申し訳ございませんでした。
 これで質問を終わらしていただきます。ありがとうございます。
○委員長(佐藤昭郎君) 他に御発言もないようですから、両案に対する質疑は終局したものと認めます。
 これより討論に入ります。
 御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
○近藤正道君 私は、社民党・護憲連合を代表し、提案されております原子力二法案について反対討論を行います。
 まず、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部改正案について申し上げます。
 反対の第一の理由は、原発の安全性を担保する上で大きな役割を果たしてきた情報公開がこの改正案によって大きく阻害され、事業者に今なお残る隠ぺい体質を助長することになるおそれであります。
 事業者から、徹底した情報公開を信頼回復の手段としてきたけれども、法改正は障壁となるかもしれないという声も聞かれております。これは、守秘義務の範囲が条文で明確に定められていないことも要因となっております。
 核物質防護の名の下に、内部告発を困難にし、核管理社会に道を開く危険性を指摘せざるを得ません。情報公開を阻害しない仕組みやルールをしっかりと明記すべきであります。それがなければ情報公開が大きく後退してしまいます。
 第二の理由は、クリアランス制度の導入であります。
 レベルの変転が繰り返された経緯から、クリアランスレベルについて国民の理解が十分に得られておりません。クリアランスされた廃棄物が再利用され、乳幼児の生活用品に使用されたり一般住宅等に使用されたりする危険性も否定できません。こうした不安に対する歯止め、万一のときの対応策は十分講じられているとは思いません。
 次に、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案について申し上げたいと思います。
 この法律は、青森県六ケ所村に建設されております再処理工場の運転を前提にした法案であります。しかし、高速増殖炉「もんじゅ」のめどはまるで立っておりませんし、つなぎのプルサーマル計画の見通しも極めて厳しい中での提案であります。
 再処理には、不確定なものも含め膨大な費用を要します。にもかかわらず、こうした情報が国民に十分開示をされ周知されているとは到底思えません。しかも、いわゆるエルバラダイ構想が議論を呼び、世界の目は非常に厳しいものになっております。
 福島県知事は、核燃料サイクルについてはいったん立ち止まり国民的論議をと、こういうふうに提言をしております。これを支持する国民の声もたくさんあります。今こそ核燃料サイクルの在り方につき国民的論議が必要であり、直接処分方式の研究にも力を入れるべきであります。国民の合意がない中で再処理の既定路線を突き進む、そのための積立金制度は国民の理解を得られるとは思いません。
 以上、原子力二法案に対する反対意見を申し述べ、私の討論を終わります。
 ありがとうございました。
○委員長(佐藤昭郎君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。
 これより採決に入ります。
 まず、原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤昭郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
○藤原正司君 私は、ただいま可決されました原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    原子力発電における使用済燃料の再処理等のための積立金の積立て及び管理に関する法律案に対する附帯決議(案)
  核燃料サイクル政策の根幹である使用済燃料の再処理事業の重要性にかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 核燃料サイクル政策については、国の責務であることにかんがみ、事業者及び地方公共団体との役割を明確にするとともに、具体的な将来展望を早期に示すよう努めること。
   なお、核燃料サイクル関連施設の建設・運営について、国及び事業者は、事業の必要性・安全確保への取組などについて十分な説明を行うなど地元との信頼関係を構築し、その着実な実施に努めること。
 二 巨額の資金の安全・透明な管理という資金管理法人の業務の重要性にかんがみ、資金管理法人の指定についてはその過程を明らかにするとともに、資金管理法人に対し十分な指導・監督を行うこと。また、資金管理法人の指定により、天下りが行われることがないよう厳正に取り組むこと。
 三 原子力を始めとするエネルギー政策を着実に遂行するためには、政府一丸となった取組が必要不可欠であることにかんがみ、関係省庁間において緊密な連携を図るとともに、諸外国の例を踏まえつつ、望ましい組織・体制の在り方について検討を進めること。
   右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(佐藤昭郎君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤昭郎君) 多数と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川経済産業大臣。
○国務大臣(中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
○委員長(佐藤昭郎君) 次に、核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案の採決を行います。
 本案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤昭郎君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。
 この際、藤原正司君から発言を求められておりますので、これを許します。藤原正司君。
○藤原正司君 私は、ただいま可決されました核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派並びに各派に属しない議員鈴木陽悦君の共同提案による附帯決議案を提出いたします。
 案文を朗読いたします。
    核原料物質、核燃料物質及び原子炉の規制に関する法律の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)
  原子力施設の安全確保及び国民の原子力に対する信頼確保の重要性にかんがみ、政府は、本法施行に当たり、次の諸点について適切な措置を講ずべきである。
 一 核物質防護検査制度の導入に当たっては、内外の情勢を踏まえ、治安当局との連携を緊密に行い、実効性の高い核物質防護規定が策定され、その確実な遵守が行われるよう事業者を指導・監督すること。
   また、原子力施設における従業員等の内部脅威対策については、従業員等が不当に人権侵害を受けることがないよう、十分検討を行うこと。
 二 いわゆるクリアランス制度の導入に当たっては、本制度の円滑な運用を図るため、関係省庁、地方公共団体等において緊密な連携を行うとともに、事業者に対して十分な指導・監督を行い、その厳格な運用がなされるよう万全を期すこと。
   また、本制度の導入により、国民にいたずらに不安を抱かせることがないよう、その趣旨・内容の周知徹底に努めること。
   右決議する。
 以上であります。
 何とぞ委員各位の御賛同をお願いいたします。
○委員長(佐藤昭郎君) ただいま藤原君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。
 本附帯決議案に賛成の方の挙手を願います。
   〔賛成者挙手〕
○委員長(佐藤昭郎君) 多数と認めます。よって、藤原君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会の決議とすることに決定いたしました。
 ただいまの決議に対し、中川経済産業大臣から発言を求められておりますので、この際、これを許します。中川経済産業大臣。
○国務大臣(中川昭一君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を尊重し、本法律案の実施に努めてまいりたいと考えております。
 ありがとうございました。
○委員長(佐藤昭郎君) なお、両案の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。
   〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
○委員長(佐藤昭郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。
 本日はこれにて散会いたします。
   午後三時四十九分散会

▲先頭へ