小学校の先生


いつもいじめられていた。彼の八つ当たりの的だった。私は。
彼から見れば私はどんな風に写っていたのだろう。

あの時の私の母親は今の私より5才ほど上だけど、
世間知らずな彼女の精神年齢は今の私のそれと同じくらいかな。
その頃の私ときたら、いいかげん。
毎日のように幼なじみ同士で宿題の写し合いをしてた。
宿題なんてしなくてもしても私の中の何かに影響することはないって思ってた。
つまり、してもしなくても次のテストの点数は下がりもしなければ上がりもしないと。
ただ、していかないと体罰がまってるから。
あの時の母親も大して気にはしてなかったんだと思う。今になってもそう思う。
なのに、ふと、何かの拍子に口をすべらしたんだ。
母親自身、そんなことどうでもよかったから簡単に口をすべらしたのに、
私は次の日お約束のように体罰を受けた。
「あやのと宿題を写したやつは立て!」
(誰も立たないでくれ)って...。
私の幼なじみたちはみんな立った。
彼らの正義感か、本当にばれていたときの体罰が恐かったのかは知らないけど。
でも、私はそんな事件も日常茶飯事のひとつにしか感じなかった。
私の母親は驚いたのだ。自分の口の軽さをひどく気にすることになってしまった。

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