ふと出会った男の子


もう何年も前の事だから、どんなきっかけだったか思い出せない。
なにしろ、親友とその子が連れてきた男の子と3人で本牧をドライブしてた。
その時流行だったプールバーをみつけて、
ひとしきり遊んだ後、都内のそれぞれの家へ帰る。
親友は後ろのシートで眠っている。
私は男の子を気に入っていた。
光ゲンジの諸星に似ていて、かわいかった。
親友を先におろしてしまえば少しでも二人でいられる。なんて腹黒い事を。
もくろみどおり二人にはなれたけど、あっというまに男の子の家にも着いてしまった。
あの時「じゃ。」なんて言ったんだと思う。
男の子は車から降りようとしたとき、私はとても素直に表情を作れた。
「ん?」ってもう一度シートに座り直して、男の子は私にキスした。
電話番号の交換はいつしたとか、親友への報告はなんて言ったとか、
全然思い出せないけど、それから、ホンの少しの間、恋人同士になれた。
それの終わりはここでは語れないほど醜いものだった。

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