フィリピーナ


もしかしたら、私はそんなに特別じゃないかもしれない。
普通に生活するのでも家族と生活するのと一人で生活するのと、だいぶ緊張感が違う事、知らされた。

私は親元を離れると、どう変わるのだろう。とフィリピーナをみて思った。
私と同じ年のフィリピーナ。
日本語がまだ話せないのに、誰も予防接種に付いてきてくれないって泣いてる。
背筋がゾッとした。例えば今、両親が突然死んでしまったら、なんて変な事思ってしまった。
だって、この子今まで一度も泣いた事なかったから。
私とこの子が同じ女の子なんだなんて、わかってなかったんだ。
親の元を出てみたいと思った。
あまりの厳しさに性格が急に大人びるかもとか、
自立した素敵な女に見えるかもとか、まだちょっと勘違いしてたみたいだけど。

この際だからちょっと遠くにしようと思った。
何も手出しされないように行き先は教えないでおこうと思った。
それで、大阪。
就職先がなかなか決まらなかった。当たり前だ。身元が怪しすぎる。
たまたま働く事になった会社で私はパソコンが使える事を発見した。
そこで知り合った人たちとテニスやらスキーやらいっぱい遊んでもらった。
おまけに結婚までしてしまった。
当たり前のように軽くこなしてるように自分でも思ってた。
もしかしたら私は少し特別かもしれないなんて思って。
でも、一人になったら、がんばってしまうものなんだ。
パソコンだって使えなきゃ仕事失って東京に帰らなきゃならないし、
お友達だってほんとに大切にしなきゃひとりぼっちだし。
私はそんなに特別じゃない。最近家族ができて、手抜きしだしたみたいで、わかってしまった。

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