メールフレンド


水曜日、彼からの初めてのメールが届く。
リンクしてくれというありきたりのメール。
早速リンクを貼り、返事のメールを出す。
木曜日、お礼のメールが届く。中に、 「君には親近感がわくので、会ってみたい」という文が1行。
うかつにもときめいてしまう。
金曜日、彼のhpを覗いてみる。メッセージボックスから「さびしい」と送る。
土曜日、「さびしさを慰めてあげよう」と返事が来る。
月曜日、彼のhpのリンク集が女の子ばかりなことに気付く。
火曜日、水曜日、木曜日熱くロマンチックなメッセージのオンパレード。
金曜日、いつもの様な本文に、PSがついてた。私の違う名字を見つけたという。
ゲームはここまでだ。私は結婚してる旨、返事を書く。
同じ日、「自分は離婚の経験がある。二人は運命の出会いだ。」との返事。
夕方、現実の相手を確かめるべく、待ち合わせをしてみる。
少し、がっかりしてしまった。そりゃ、あんなに、ロマンチックな文章に似合う王子様なんて。
むしろ、現実で幻滅させるためだけにあれはあったんだ。
それでも、なんか惹かれる物があったのだろうか。
次の日、とりあえず、会えてよかったとメールする。返事はやけに短かった。
次の日もまた次の日も、よそをむいたままのような言葉だけの「会いたい」のメッセージが届く。
私は感じ取れる、その言葉の薄さにいらいらした。会って、もっと私を見てもらいたかった。
電話もしてみた。受話器があがったとたん、別の女に間違えられた。
現実の私に本気で恋して欲しかった。
あれから、2回会ったけど、とうとう、私の方を見ないまま、もう2度とこちらを向いてくれなかった。

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