エジキになった人


昼間、用事があって、職場には行かないでいました。
その用事は1時からだったので、午前中は映画でも見ようと思っていたのに、
なんだかぐっすり眠ってしまって結局その用事に行くのがその日の一番始めでした。
大した用事ではないし、特に嫌な事でもないのに、その用事は私を不機嫌にさせるのです。
なんだか人生に疑問を持ってしまって。
ふに落ちない。
なんで、私の人生だけがこんななのだろう。
楽しくて、幸せで、何も嫌じゃないのに。
その用事で私はやけになってしまうのです。
2時間程で済むはずの用事は4時間に及んでしまいました。
お金も仕事も友情も家族も恵まれている私の人生がとても否定的なものに感じるどん底でした。
きっと胃になにか入れれば少しは幸福になるだろうと思って、銀座でパスタを食べました。
それにしてもふに落ちないので、ビールも飲む事にしました。
普通の国産のビールにするべきだった。ギネスをもらってしまって、それの口に合わない事。
私の機嫌はどんどん悪くなる。まだ悪くなれるか?と少し冷静にもなったりしました。
店を出ると映画館が目に入って、そうだ、見ようと思いました。
映画なら違う世界に入り込んできっと忘れる。こんな気持ち。
結構、前評判のよい「もののけ姫」を見ました。
前評判がよすぎなのか、宮崎さんにはもう最後の力はこれしかなかったのか。つまらないこの上ないのです。
もう少し話が進めばなにか感動することがあるだろうと..
しかし、だらだらだらだらと一向に私の気持ちを動かすものが現れない。
もはや、あの犬がしゃべるのをなんとかしてくれ!しゃべるのはいい。その声が嫌だ。
ついに出演者のテロップが流れ出した一行目でもう出てしまいました。
映画館でもビールを飲んでいて、この機嫌で悪酔いしてるかもしれないけど、
まだおさまらない、どころかこんなにも機嫌って悪くなれるのか初めて知ったほどでした。
こんな日には誰にも会うわけにはいかないのだけど、
そこへちゃんとエジキが電話を掛けてきました。
「すぐに行くわ」

menu