韜晦記

2003年6月

 掲示板 TOP 
6月29日(日曜日)

 久しぶりに(本当に久しぶりに)、ローライを携え新宿を徘徊する。装填したまままだ撮り切っていなかった Kodak TriX で数枚シャッターを切る。特に傑作が撮れるわけでもないのだが、こうして街を彷徨いながらちょっと面白いと思えた風景を撮影するのは、インプロヴィゼーションと言うか、一種のライブ性、無意識の解放とでも言えそうな自由な感覚がある。それと感じるのは、自分がやはり都市が好きだということ。無秩序に広がった低層・高層のビル群、けばけばしい看板、雑多な人間の群、こうした空間のなかを無目的に歩きながら撮影していると、日々のストレスを忘れ気分がリフレッシュされるのがわかる。そういうことは普通は人工物のない自然のなかで実現されるのだろうし、それがまっとうななのかもしれないが、いかに人工的で猥雑であろうと、否それだからこそ、自分にとって都市空間は自由な感覚を解放する場となっているのだ。