GOTO Shinobu WebPage
"In the Garth of Shidoh"
第1回 プロローグ
まずは、はじめのごあいさつ!
 







 
 
 
 
 
 
Illustrated by OOYA,Kazumi, Copyright (C) 1998 託生「初めまして、あ、こんにちは、かな。えー、葉山託生です。このたび、『祠堂の中庭で』という、このコーナーを、担当させていただくことになりました。ので、よろしくおねがいいたします。──えー、と。あー、あと何を喋ればいいのかな。(ガサゴソと原稿をまさぐる音)えっと、このコーナーでは、毎回、ゲストをお招きして、いつもはちょっと聞けない話とかをうかがう、もしかすると、けっこうカルトな趣の──」
ギイ「おい、何やってんだこんな所で」
託生「いたいっ! ギイ、いきなり人の後頭部、叩かないでよ」
ギイ「ふうん、『祠堂の中庭で』? 『ワーズワースの庭で』のパロディか?」
託生「違うよ! 返してよ、その原稿!」
ギイ「アンチョコないと喋れないだろ! とか言うんだろ、託生?」
託生「──わかってるんなら、返してよ」
ギイ「赤いぞ、顔」
託生「いいから! 邪魔するんなら、どっか行っててくれよ」
ギイ「ゲストって、誰、招ぶんだ?」
託生「ギイには関係ないだろ!」
ギイ「初回、オレにしろよ、オレ」
託生「今更ギイに訊きたいことなんて、ぼくにはないよ。──いいから、返してってば、原稿!」
ギイ「託生ってさー、どうして朝の歯磨き、あんなにのったらくったらやるんだ? もっとこう、シャキシャキっと手早くできないもんか?」
託生「苦手なの!」
ギイ「歯磨きがか!?」
託生「悪かったよ! ぼくのことなんかどーでもいいだろ! マジで時間が限られてるんだから、邪魔しないでよ、ギイ!」
ギイ「バイオリン弾く時は、あんなに器用に手先が動くのに、不思議なヤツだよなー、お前って」
託生「そう言うギイこそ、オールマイティなくせして、どうして音痴なんだよ」
ギイ「人間、ひとつくらい欠点があった方がいいだろ? そもそも、欠点がひとつしかないって方が、驚異じゃないか」
託生「そりゃ、そーですけどね……」
ギイ「だからオレ、託生のバイオリン、尊敬してるんだぜ」
託生「そっ、そんな話をしてるんじゃなくて──ハッ、照れてる場合じゃない! ギイ、原稿返してってば!」
ギイ「そういや、さっきから、お前、中庭で何、ひとりで喋ってんだよ」
託生「だから! あーもう、時間なくなっちゃったじゃないかっ──ということで、皆様から、招きたいゲストと、そのゲストへの質問を大々的に募集します! どうぞ、ヨロシク!!」
ギイ「よろしくな。ハガキで書いてこいよ」

(この募集は、雑誌掲載時のものです。現在、募集は行っておりません)


◆タクミくんへの Q&A

Q: ウチの兄貴は今年中3。だからゼッタイ来年は祠堂学院に入学して欲しいんだけど、祠堂の入学方法が良くわからないのです……。だからお願い、教えてください。入試はすっごく難しいのでしょうか。由緒正しいお金持ちじゃないとダメとか。もしかして、厳し〜い面接試験なんかがあって、痩身かつ美形もしくは逞しい好青年でないと不可……とか。
A: 寄付金が高いのは知ってるけど、成績の方は……。ぼくが入れたくらいなんだから、ほとんどの人は大丈夫じゃないかな。でも、全寮制の学校なんて窮屈な所、ワザワザ行かなくても……?

Q: ギイをひとりじめにするタクミくん、許せないっ! ギイはいつもどんな風に愛撫してくれるの? 終わったあとどんな言葉をささやいてくれるの? やだっ、聞きたくない。うっ、でも知りたい。そうよ、せめて教えてくれなきゃもっと許さない!
A: え……。(絶句)

Q: タクミくんが好きです。すっごくすっごく好きです。わかってます。タクミくんの目にはギイしか映らないんだってこと。でもやっぱりタクミくんのことが好きです。こんな女の子は迷惑ですか? いつかは、振り向いてくれますか?
A: あー、女の子に好きだとか、言われたこと、ないんで、その、照れてます。ありがとう。女の子は、当たり前だけど、嫌いじゃないです。ただ、今は、えっと、好きな人がいるので、その。──そういうことなのです。ごめんね。

Q: ギイと一緒に映画を観に行ったりしますか? 二人で観て印象に残った映画なんてあったら教えてください。
A: ビデオで観たんだけど、洋画の『白い森のふたり』とかいうB級サスペンス映画が、面白かった。『エクソシスト』のリンダ・ブレアが主役で、逃亡犯の人質にされちゃうんだけど、逃亡生活中、次第にふたりの間に愛情が芽生え始めて……。という、だがしかし、ラストは涙なくては、観れません。勿論、ギイのお勧めの1本でした。

Q: 託生くんはどうしてそんなに細いんですか? 何食べてたらそんなに細くなれるんですか?
A: いや、実際はそんなに細くないです。細いのは高林君とギイです。同じ質問を、底なし食欲ブラックホールの胃を持つギイに聞いてやってください!

Q: イヤなあだ名をつけられたことはありますか? わたしは今、愛情を込めて“おチビ”って呼ばれてますが、本当はヤなんです。どうしたらいいのかなぁ。
A: あんまりイヤなら、みんなに相談してみたらどうかな。今のあだ名、実は、あんまり嬉しくないんだって。愛情があって呼んでくれてるみんななら、検討してくれるかもしれないよね。うまくいって、新しいお気に入りのあだ名が決まったら、また、ハガキで教えてください。待ってます。




Q: 『Sincerely…』で猛烈うまいスキーを披露してくれてるギイですが、ほかに得意なスポーツは何? また、タクミくんが「これなら」と胸をはれる種目は?
A: ギイは、スポーツ全般得意です。プラス、乗馬やらクリケットやら、日本人には馴染みの浅いものまでたしなみます。で、本人曰く、今一番興味があるのは日本の武道で、剣道や柔道や空手をやってみたいんだそうです。ぼくはですね、球技系は好きかな。うん。

Q: 祠堂学院でのごく平均的な1日のタイムスケジュールを教えてください。
A: 7時起床、学食で朝食を済ませて8時20分までに教室へ。午前に4時限、昼食を挟んで午後2時限の授業の後(勿論、土曜日は半日だよ)放課後はフリーで部活のある人は部活をし、6時から8時までの間に夕食を済ませ、消灯は10時、完全就寝が11時です。
 
 
イラストレーション/おおや和美
Illustration Copyright © 1994-1998 OOYA,Kazumi
First Published Copyright © KADOKAWA SHOTEN PUBLISHING CO.,LTD
Copyright © 1994-1998 GOTO,Shinobu
Copyright © 1998 GOTO,Shinobu, All Rights Reserved.