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"In the Garth of Shidoh"
第7回 ゲスト:井上佐智&山田聖矢
船頭多くして船山に登る……のか!?
*「船頭多くして船山に登る」
=事を進める際、指示する人や関係者が多くて統一がとれず、かえって目的からそれてしまうことのたとえ。(角川新国語辞典より)
 







 
 
 
 
 
 
Illustrated by OOYA,Kazumi, Copyright (C) 1999 託生 「初めての厳戒態勢の中、じゃない、大勢のギャラリーに囲まれつつお送りする『祠堂の中庭で』第7回のゲストは──」
佐智 「こんにちは、井上佐智です」
聖矢 「山田です」
ギイ 「崎義一です」
託生 「ギイは呼んでないだろ!」
ギイ 「まあまあまあ」
託生 「それでなくても緊張ぎみなのに、4人もいたら、収拾つかなくなるじゃないか!」
ギイ 「しかも、今回は参加人数が多い割にお送りする時間が短いので、──ほら託生、さっさと始める」
託生 「あ、そうだった! 済みません、挨拶抜きで本題入っちゃっていいですか?」
佐智 「どうぞどうぞ」
聖矢 「それにしても、凄いねえ。いつもこんなに、たくさんの学生達に取り囲まれてやってるのかい?」
託生 「いえ、そんな、とんでもない」
ギイ 「ミーハー多いからなあ、うちの学生」
佐智 「その筆頭が、義一くんだね」
ギイ 「佐智、何度も訂正して耳タコだろうが、オレのことを義一くんと呼ぶのはヤメロ」
佐智 「託生くん、質問って何?」
ギイ 「話をはぐらかすんじゃない」
託生 「えっと、けっこうきてるんだけど、まず好きな音楽家は誰ですか。それと、毎日どれくらいバイオリンを練習しますか。トリートメントは何を使ってますか。お気に入りのブランドを教えてください。それから──」
佐智 「ストップ! もうやめよう。質問を覚えられないよ。まず、音楽家はね、弾くのが好きなのはモーツァルト、ラヴェルやドビュッシーの近代の作曲家のもの。聴くのが好きなのは、作曲家にかかわらず、楽器編制の多いもの一連」
聖矢 「へえ、やっぱり佐智にも作曲家の好き嫌い、あるんだ」
佐智 「ホント言うと、ないですよ。厳密には、得意と苦手でわかれてるんです」
ギイ 「聴く方もか?」
佐智 「聴く方はね、ないものねだり。いつも単楽器で演奏してるから、アンサンブルが聴きたくなるんだ」
託生 「ないものねだりかー。わかるような気がするなあ」
佐智 「ふふふ、ありがとう」
Illustrated by OOYA,Kazumi, Copyright (C) 1999 託生 (笑顔にクラリとしつつ)「天才の佐智さんでも、練習はたくさんするんでしょうか」
佐智 「今は、そうだね、平均すると1日2時間くらいかな」
ギイ 「それって、長いのか? 短いのか?」
佐智 「長くはないね。子供の頃は、それこそ一日中弾いてたけれど、今は練習にそれほど時間も取れないし、技術を習得する段階なわけでもないから。ただし、1日も欠かさずバイオリンには触ってるよ」
託生 「ガーン」
ギイ 「託生、もっとショックを受けろ。お前、オレがせっかくあげたストラディバリ、もう何日弾いてない?」
佐智 「え? なんだ義一くん、ストラディバリウス、無料貸与じゃなくて、託生くんにあげちゃったんだ」
託生 「違います違います! 貰ってません、借りてるだけです!」
聖矢 「そういや俺も知りたいな。佐智、髪の毛どうしてるんだ?」
佐智 「(クスクス)いきなりとばしましたね、聖矢さん」
ギイ 「佐智、お前、リンスじゃなくてトリートメントなんか使ってるのか?」
佐智 「正確には、ゾートス・シナジー・リバイタライズパックというのを使ってます」
ギイ 「あー?」
佐智 「マリコさんの行きつけの美容室で使っている営業用のものを、こっそりウラから買わせてもらってるのを、僕も使ってるという仕組み」
ギイ 「ポリシーあって使ってんのか?」
佐智 「うちの風呂場には、それしか置いてないんだ」
ギイ 「なんだそりゃ」
聖矢 「ああ良かった。会ってないうちに、人格が変貌したのかと一瞬ドキッとしたよ。見かけによらず、佐智は、服とか髪の毛とか、頓着ないからなあ」
託生 「じゃもしかして、服のブランドも……」
佐智 「基本的には、目について、いいなと思うと衝動買いのタイプかな。でも、一応、ベントゥーリとかビジオーネとか、押さえてるブランドもちゃんとあるよ」
託生 「ギ、ギイ、今の紳士もの?」
ギイ 「イタリアの紳士もの」
託生 「そうなんだ。やっぱり、服はイタリアですか?」
佐智 「気持ち良く着れれば、何でもOK」
ギイ 「こーゆーヤツなんだ、わかったか?」

(本文中の募集等は、雑誌掲載時のものです。現在、募集は行っておりません)




 
 
イラストレーション/おおや和美
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