2010年3月31日

春闘KOBE

No.3


   春闘KOBE
  国民春闘神戸地区共闘会議

  集え労働者
    底なし日本を変えるぜよ
      10春闘地域から

 

 

春闘講演会

 

 

  春闘を闘う意味は壮大だった

 

 

五十嵐仁さん

 

 

 神戸地区春闘は3月5日、勤労会館で法政大学大原社会問題研究所長・五十嵐仁教授を迎えて春闘講演会を開き、7組合他49人が参加した。全港湾・住田元則さんの感想を紹介します。

 

 

 

 

 この時期になると決まり事で春闘を闘うと言ってきたが、もはや春闘が始まった55年頃の意味は忘れ去られ、やっている組合自らもどんな意味があるのか、どこまで労働組合が本気なのかを疑いながら、なんとなくやってきたのではないか。そんなモヤモヤな気分を一気に吹き飛ばしてくれる大変内容のある講演だった。
 特にこのところ景気の低迷を理由に良くても定昇だけにとどまってきた春闘で、賃上げをする意味は実は個々の労働者の生活向上だけでなく、収入が増えることで国の内需拡大を生み、景気を回復させ、デフレスパイラルを断ち切って国の経済を立て直すことができると説く。そして気をつけなればならないことは、過去の自民党政権政策の過ちを犯さないこと。トリクルダウン理論(金持ちが潤えばおこぼれが庶民を潤す)のまやかしに騙されず、逆累進性課税・消費税を廃し、抜け目のないセーフティネット、弾みのよいトランポリンが必要と言う。さらに目指すべきはEU型の福祉国家で、ヨーロッパでは労働者に失業の自由があり、条件の悪い企業は人が残らず淘汰されると説明する。
 昨年、今年とその筋の専門研究家である大学教授の講演だったが、どちらも内容のあるいい話で具体例もおもしろく聞きやすかった。これから春闘に向かうにあたって力のわく内容だった。最後に5月には決着するという沖縄普天間米軍基地に関して、五十嵐教授はフィリピンの米軍基地も撤去された。これはフィリピン国会で決議をあげて撤去に持ち込んだ。その後アメリカとの間でトラブルがあったとは聞かないし中国が攻めて来たという話もない。もはやアメリカも正規軍の戦争を想定しておらず、勃発するテロ対策を考えての軍隊の配備に変わっていると指摘する。教授は私が鳩山首相なら、フィリピンと同じように国会で決議を上げてオバマ大統領と直談判する、普天間のことで日米関係に重大な危機をもたらせてもいいのかと。

 


 

第4期地区労COM。

 

 

 仲間を増やす
     学習を続ける
         協力を呼びかける

 

 

川口常男さん (元日本油料検定労働組合委員長)

 

 

 
 

 26歳で結婚と同時に油検労組の執行委員となり、20年余り役員を続けた。当時は役員のなり手がなく、このままだと労働者の権利であるストライキもできなくなるとの危機感から引き受けた。その頃はビラや議案書を作るにもガリ版で、かなり苦労した。
 当時、栄町通の組合事務所は4畳半と狭かったが、組合員が気軽に入れる場所にあり、組合員が集まっていた。また油検労組が労働災害補償や安全衛生問題に力を入れてきたのは、吉原製油労組に立上げ当時から支援を頂き、学習させてもらったお陰だ。
 化学一般や地区労、あるいは検定地連など、外部の組織はトラブルを解決するための専門家がいる。わからないことがあれば、遠慮なく相談してほしい。
 油検労組では組合創立30周年のとき、非組合員であった水島・福岡の支所をオルグして回り組合員化を図った。また、組合員にいつも助けてほしいと呼びかけた。その結果、それまでは5分の2が欠席していた集会がほぼ100%に近い出席率になった。これが管理側に与える影響は大きかった。
 二つ目に、職場の不満をどのような形で吸上げているか?これを今、非常に心配している。
 三つ目に、今ある労働条件が守られているか?点検と学習をして、その知識を次の人たちへの資料として残すことを問題提起した。負ける闘争はしたくなかったので、そのために労働関係の知識を身につけていった。そして地域にも顔を出し、それが縁で全港湾の人とも面識ができた。職場交流にも取り組み、助け合う仲間を増やした。「仲間を増やすこと、労働問題の学習を続けること、そしてみんなに協力してくれと訴えることが大切だ。最後に活力が無ければ活動はできない」と語った。 

 終了後の懇談会で「組合活動は目標や目的を持って進むことが重要だ。これをみんなに伝えてほしい」と話された。

 
 

【 油検  梶原 】  

 
     

 

  相談活動デビュー

 

 

 3月5日〜6日

 

 

雇用があぶない賃下げ・パワハラホットライン

 

 

 

 

 8件のうち正社員が5件、他は契約社員からの相談だった。内容は「事業所閉鎖の上積補償」「中国人の残業代」「雇用保険の受給」「契約更新拒否」「雇用形態の変更」「パワハラ」など。神戸新聞・読売新聞に掲載され、ホットライン前日にも相談あり。
 相談員は6人、電話相談のない時間を利用し、労働相談マニュアルで勉強。勉強した成果で、パワハラの相談に初挑戦。緊張と相談者の声を聞き漏らさないために、汗をかきながら悪戦苦闘した。20分以上悩みを聞き、相談者デビュー!!ホットライン後も、戸別ビラをもって来所する人もいる。

 


 

  兵庫闘う仲間の集会

 

 

合言葉は

 

 

生きるために組織せよ

 

 

 

 

 3月13日、神戸中央労働者港湾センターで2010兵庫たたかう仲間の集会が開かれ、県下各地から270人が参加した。
 集会は、加古川市職労「アンチウォー」による歌で幕を開けた。酒井浩二・尼崎地区労議長から基調提起がされ、「労働組合の運動の力のひとつが数の力だ。巷では団塊の世代がリタイアする2013年問題が取りざたされ、このまま何もせず、指をくわえて物ごとが進行すれば、労働組合は存在しても労働運動は死滅をしてしまう。そうさせないために、5年・10年先を見据えた次世代つくり、組織化をやりきる以外、私たちの道は残されていない。『生きるために組織せよ』、言いかえれば『死ぬのが嫌なら組織せよ』。これが当分の間、私たちの間の合言葉になる。厳しい現状を打開するには、働く者の連帯と協力をつくっていくしかない」と訴えた。

 

 

 

 

 闘いの報告
 国鉄分割民営化と闘う鉄建公団訴訟の原告が「国鉄闘争は、新自由主義のスタートだった。23年間の闘いと政権交代によって、解決素案が示され、大詰めを迎えているが、『雇用・年金・解決金』は譲れない」と闘争報告。
 全港湾神戸支部は、姫路伊藤分会の「会社解散・全員解雇」の組合つぶし攻撃に対して、“勝つまで闘う”姿を小劇で披露。
 神戸ワーカーズユニオンは、派遣労働者の相談実例をもとに寸劇で派遣法の規制緩和の歴史と問題点、抜本改正をアピールした。
 郵政で働く仲間は、民営化後、命令、処分が大手をふるうようになっているが、非正規ユニオンの結成や酒井裁判など職場で労働組合は生きている。有志で新たな塊をつくり、地域共闘を大切にやっていきたいと訴えた。
 県青年団結集会からは、人員削減、非正規化、アウトソーシングがすすむ自治体職場の厳しい実態が報告された。
 武庫川ユニオンは、ダストマンサービス分会の労基法や労組法を踏みにじり組合つぶしを行う会社との闘いを小劇で報告した。

 

 

 

 

 

 宇野克巳・全港湾神戸支部書記次長から「共通して出されたことは、労働者がモノとして扱われていること、仲間がいるから闘えるということだった。私たちのまわりには未組織の『声なき声』であふれている。そんな仲間たちを労働組合、労働運動に組織していこう」とまとめがされた。
 集会後、約1時間のコースを「働くものに生きる権利を!」「世の中変えよう!」などシュプレヒコールをあげてデモ行進した。

 


 

 春闘の動き 

 

 

 
 

 西日本NTT関連労組は3月17日、尼崎に支局で9時から1時間の時限ストを行った。
 公務員連絡会は23日、総務省・人事院交渉を行い、超勤縮減、非常勤職員制度見直しや労働基本権の確立などについて回答が得られたとして春期段階の最終交渉を終わった。県職労神戸支部では、24日、25日に西神戸庁舎・神戸庁舎で昼休み集会を開いて報告し、ユニオン・全港湾からも参加して民間での春闘を報告し連帯した。
 全港湾神戸支部は26日、全国港湾(全港湾などが加盟)による中央団交決裂に対して始業時から2時間の全港・全職種ストライキに突入した。これは、基準賃金制度、港湾年金制度、年末年始荷役協定、適正料金、安全軽視、アスベストなどでの対応改善を求めたもの。
 当日は、8時半から中央港湾センターでスト突入集会を開いた。
 ユニオンは30日勤労会館で春闘交流会を開き、各分会が春闘要求・交渉経過を報告・交流した。19か月賃金未払いの中国人女性、電話通訳で賃金未払いに対して交渉をはじめた3人、分会結成準備中の2人も参加した。

 

 

  ひげ裁判 サクラサク

 

 

芝さん 満面の笑み     

 

 

 

 

 「ひげ」を理由に不当に低い人事評価を受け、給与をひらされたのは人権侵害だとして訴えた芝英機さん(灘郵便局・元地区労教宣部長)の裁判は、3月26日、神戸地裁で判決があった。
 判決理由では「(身だしなみ基準)過度の制限を課するものというべきで、合理的な制限であるとは認められない」「(担務指定)被告は、原告がこれによって被った損害を負する責任を負う」「(人事評価)評価権者に付与された裁量権を乱用又は逸脱するものであって違法」など、全面勝利判決。
 裁判には、地区労元議長の前田さんなど、芝さんと親交のあった先輩も多数駆けつけともに祝った。

 

 

 【 教宣部 塚原 】    

 


 

 

戻る