Truman Capote 

トルーマン・カポーティ「ティファニーで朝食を」
新潮文庫

9月から3回読んだ。今は原書で読んでいる。
これは私の語学力でも原書に挑戦できるくらい
よく読んだということです。

どこにも所属せず、なにも所有しない「ホリー」はNYという都会
で、一人気ままに暮らしている。
「travelling」と印刷された名刺、飼い猫との関係、ハリウッドで
の出来事。彼女の人生は確かに「travelling」そのもの。
だけど、無計画でも無自覚でもない。
自分の人生は自分次第という覚悟が感じられる。

彼女の目指す場所は「ティファニー」。
最高級品が手に入る場所。
節度あるフレンドリーさで対応してくれる店員。
ゆったりと買い物を楽しむお客たち。

I don't mean I'd mind being rich and famous.
That's very much on my schedule, and some day
I'll try to get around to it; but if it happens,
I'd like to have my ego tagging along.
I want to still be me when I wake up one fine morning
and have breakfast at Tiffany's.

私はなにもお金持ちになりたくないとか、有名になりたくないって
言ってるんじゃないの。
むしろ計画に入っているくらいよ。
これからもその計画のために努力していくつもり。
だけどもし、それが現実になったとしても、
私は私自身を見失ったりしないわ。
ある晴れた朝、心地よい目覚めのあと、ティファニーで朝食をとる
ような生活が私を訪れたとしても、私は私自身であり続けるの。

自分自身の欲望を理解していること。
その欲望を満たすために努力していること。
だけど、その欲望のために自分を見失うわけではない。
欲望を自分でコントロールしようという明確な意志の存在。

こんなグラマラスな女がいたら、私だって貢いだろうな。

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トルーマン・カポーティ「冷血」新潮文庫

夏に起こった人間関係のごたつきにうんざりしていたときに
立ち寄った書店で、買い求めたもの。
ほぼタイトルだけで選んだ。

カポーティは「ティファニーで朝食」しか読んだことが
ないけれど、これはそれとは全く違う小説。
「ノンフィクションノベル」と呼ぶらしい。
一家四人が惨殺された事件について
犯人の行動やその背景を中心に物語的に書いたもの。
私は、映像では、「血なまぐさい」のがかなり苦手。
「暴力的」なものも。
「火曜サスペンス」なんて絶対見たくないし、刑事物も嫌い。
「俺たちに明日はない」は好きなんだけど、もう一度見たいとは
思えない。
だけど、文字なら大丈夫なこともある。
というわけで、せっせせっせと読みました。

一貫してとても筆が安定している。
作者の思い入れが露骨ではない。
だから、とてもクールに感じる。
「冷血」の原題は、「In cold blood」。
「冷血」とはちょっと違う気がする。
つまり、冷血そのものではなくて、人の中に潜んでいる冷血を
描いているというか。
そしてそれは、誰にでもある部分、しかし大半の人はその部分を
むき出しにせず生涯を終える。
作者もこの作品を「In cold blood」で書いたのではないかしら。

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